用語解説

【2021年度版】人事なら押さえておきたい労務関連の重要法改正まとめ解説

労務関連の重要法改正のポイント

2021年度も企業にとって影響の大きい労務関連の法改正が行われています。​
今回は、労務担当者に限らず、把握しておく必要がある重要な法改正について解説します。​

2021年度 労務関連の重要法改正のポイント
  1. 子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得
  2. 障害者の法定雇用率引上げ
  3. 同一労働・同一賃金の中小企業適用
  4. 70歳までの就業機会確保の努力義務(70歳定年制)
  5. 中途採用者比率の公表義務
  6. 65歳以上の副業者への雇用保険適用

① 子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得(2021年1月1日〜)

育児や介護を⾏う労働者が、⼦の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することができるよう、育児・介護休業法施⾏規則等が改正され 、時間単位で取得が可能になりました。

育児・介護休業法施⾏規則等の改正内容_202101

・「時間」とは、1時間の整数倍の時間をいい、労働者からの申し出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できる。

・ 法令で求められているのは、「中抜け」なしの時間単位休暇。法を上回る制度として「中抜け」ありの休暇取得を奨励。
 ※中抜け:就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ることを指します。

② 障害者の法定雇用率引上げ(2021年3月1日〜)

障害者雇用促進法の法定雇用率が、2.2%から2.3%に引き上げられたことにより、障害者を雇用しなければならない民間企業の対象範囲が、従業員数45.5人以上から43.5人以上の企業に拡大されました。

障害者の法定雇用率改定内容_202103

引用:厚生労働省HP https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/content/contents/000753695.pdf

・「常時雇用する労働者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年を超えて雇用される見込みがある、または1年を超えて雇用されている労働者のことを指します。このうち、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方は、短時間労働者となり、0.5カウントで判断することとなります。
(例)正社員:35人、短時間労働者:20人のケース
    35人+(20人 ✕ 0.5) =45人 ➜ 現行では対象外だったが、21年3月1日以降は対象に!

・対象企業の場合は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告する必要があります。

③ 同一労働・同一賃金の中小企業適用(2021年4月1日〜)

改正のポイントは、3点です。

1.不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇差について不合理な待遇差を設けることが禁止されました。裁判の判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」が法律に整備されるとともに、判断のためのガイドラインも策定されました。

2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規社員は「正社員との待遇差の内容や理由など」について事業主に説明を求めることができるようになりました。事業主は、非正規社員から求めがあった場合には、説明をしなければなりません。

3.行政による事業主への助言・指導等や、裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行います。「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象になります。

④ 70歳までの就業機会確保の努力義務(2021年4月1日〜)

現行は60歳定年・希望者については65歳まで継続雇用をするルールですが、高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業確保が努力義務としてルール化されました。また、定年年齢については段階的に引き上がっており、2025年4月から65歳定年制が全ての企業に適用されます。
 

高年齢者雇用安定法の改正内容_202104、高年齢者就業確保措置

⑤ 中途採用者比率の公表義務(2021年4月1日〜)

労働政策総合推進法が改正され、常時雇用する労働者数が301人以上の企業については、直近3事業年度分の中途採用比率の公表が義務化されました。
 

正規雇用労働者の中途採用比率の計算方法

引用:厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000737262.pdf

・公表は、おおむね年に1回、公表した日を明らかにして、インターネットの利用や、その他の求職者等が容易に閲覧できる方法で行います。

・中途採用比率とは「正規雇用労働者の採用者数に占める、正規雇用労働者の中途採用者数の割合」のことを指します。

・人数要件(301人以上)に該当するのであれば、全ての会社に公表が義務化されました。

⑥ 65歳以上の副業者への雇用保険適用(2022年1月1日〜)

雇用保険法が改正され、65歳以上の副業者の雇用保険の適用に関するルールが変更されます。これまで判定基準が1つの事業所毎での判断でしたが、複数事業所の場合、合計で判断することになります。
 

65歳以上の副業者の雇用保険適用内容改定_202201

近年は働き方改革や少子高齢化といった影響で、毎年のように労務関連の法改正が行われています。
変更のあった2021年労務管理のポイントは、把握してしっかりと対応していきましょう。

マネトレでは、マネジメントや人材育成、組織開発に役立つさまざまな資料を、無料で公開しています。ぜひお気軽にダウンロードください。