マネジメントに登用する人への動機づけを行っていますか?|出世したくない人が8割の時代

出世したくない人が8割の時代

マネトレでは、新任リーダーやマネジャーのスキルアップと、個々の日々のフォローをお願いしたいといったご相談を多くいただきます。
いざ現場に導入してみると、スキル向上の前に、そもそも当のリーダーやマネジャーの動機づけができていない(本人はマネジメントをやりたくない)ことが判明するケースが少なくありません。
今回は、上司や人事が見落としがちな「マネジメントに登用する人への動機づけ」について解説します。

今は出世したくない人が8割の時代である

会社で出世して給料を上げていくこと。過去は、多くの会社員にとってそれは目標でした。
ところが、現在はそれとは全く違った様相があります。

人材サービスのマンパワーグループが2020年3月にまとめた調査では、役職についていない20~50代の正社員400人の83%が「管理職になりたくない」と回答しました。
また、「管理職になりたくない」と回答した人の理由の上位3つは、「責任の重い仕事をしたくない」(51.2%)、「報酬面でのメリットが少ない」(40.4%)、「業務負荷が高い」(40.4%)となっています。

引用: https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20200316.html

この結果からは、「皆が出世を目指している、昇進は喜ばしい」という価値観は既に崩壊しており、そもそも当の本人は管理職になりたいと思っていない可能性が大いにあることが伺えます。
ところが、登用する側の上司は古い価値観を持っており、「管理職になるのはめでたいこと」「本人も嬉しいこと」だと決めつけて、任命している傾向があります。
登用される側のやる気やモチベーションに対する配慮が抜け落ちてしまった任命はあらゆる企業で見られ、新任リーダーやマネジャーが、不満やストレス、怒りを感じているケースは無視できない数です。

動機づけされていない新任リーダー・マネジャーはとても多い

マネジメントへの動機づけがされていない状態では、研修や指導によって管理職に必要なスキルを身に付けてもらおうとしても、本人が望んでいないため身に付けさせることは難しいです。

実際の現場で動機づけされていない管理職が多く見られるのは、新任のリーダー・マネジャーです。
現場の上司も人事も昇進を良いものだと決めつけていて、昇進に際して本人のモチベーションや考えを聞くような対話を行い、動機づけることを全く行っていないケースもあります。
制度や権限、タスクに対する細かい伝達や、マネジャーとしての役割に関する教育をしても、「昇進おめでとう。よろしく頼むね。」では登用される本人は動機づけされません。
これでは、元々管理職になりたかった2割の人以外は、やりたくない管理職をやらされている状態となってしまいます。

組織をマネジメントしていくためには、リーダー・マネジャーを継続的につくっていかなければなりません。
今や人事や上司は、マネジメントに登用する人を動機づけることに、力を入れていく必要性が生まれているのです。

モチベーションがないリーダー・マネジャーの負の影響は大きい

マネトレ利用者において「リーダー・マネジャーにモチベーションがない組織」の半年間の変化を調べたところ、実に89%の組織で従業員エンゲージメントが低下しました。

このように、やる気がない人をリーダー・マネジャーとして置いておくことの弊害はとても大きく、無視することはできません。
一方で、マネジメントに関する能力とやる気の両方がある人のみを登用していては、「マネジメントできる人材が足りない」ということが発生してしまう企業がほとんどでしょう。
では、どうやってリーダー・マネジャーを動機づけていけば良いのでしょうか?

※調査方法:
リーダー・マネジャーにモチベーションがない組織は「マネトレ利用ユーザーの内、まったくログインせず組織改善に取り組まない管理職がいる組織」を指し、当該組織に所属するメンバーに対し3ヶ月に1度サーベイを実施し、エンゲージメントスコアの推移を計測

リーダー・マネジャーを動機づけるにはどうすればよいのか?

リーダー・マネジャーを動機づけていくには、全社的な取り組みと、現場での取り組みの両方が必要です。
例えば、いくら会社として魅力的な報酬制度やサポート体制をつくったとしても、現場の部長が朝誰よりも早く出社し遅く帰るようでは、「そんな働き方をしてまで昇進したくはない」と社員は考え管理職になりたいとは思わないでしょう。

全社的な取り組み例
  • なりたいと思える管理職の役割や報酬制度の再考
  • 労働環境の整備(管理職のワークライフバランスへの配慮、管理職業務の省力化・効率化)
  • 教育環境の整備(学びに対するサポート)
  • 管理職を孤立させないフォロー体制
  • キャリア教育(管理職でもスペシャリストでもないマイペースのキャリアはないことの周知など)
  • 管理職像の多様化(引っ張るリーダーだけでなく、サーバントリーダーシップを発揮する管理職もあるなど)
  • 現場の推薦する管理職候補に対する第三者からの対話、動機づけ
現場での取り組み例
  • 管理職になりたくない可能性を考慮し、登用に際しては丁寧なコミュニケーションを取り、必要に応じて時間をかけて進める
  • なりたくない背景を聞き、その原因を解決・改善できないかの検討
  • 管理職になって得られること、成長できることをしっかりと伝える(給与のアップ、権限が増えることによる意思決定の幅、マネジメントすることによって得られる仕事のやりがい、市場価値の向上など)
  • 管理職になるまでのステップの整備(徐々に権限や裁量を増やしていくなど)
  • マネジメント負荷への配慮 (チームの構成メンバーや、補佐するリーダー的な存在をチームに入れるなど管理職のマネジメントのしやすさへの配慮)
  • 登用後も管理職の悩みを吸い上げる姿勢

メンバーと同様に、リーダー、マネジャーにも動機づけは必要

会社の中でより高い職位を目指すことが、かつては多くの人にとってキャリアの目標でした。
しかし、価値観やライフスタイルの多様化、転職の一般化、共働き世帯の増加、ワークライフバランス重視、個人のキャリアに対する意識の向上などにより、今いる会社で出世することが共通の目標ではなくなっています。
共働き世帯であれば、片方がほどほどに働き家事の多くを担って、片方が給与の高い会社に勤め仕事に精を出すといった、夫婦でバランスを取る若い世代は珍しくありません。
最近では、副業が広がったことにより、本業で管理職に登用されることで昇給する給料以上を副業で稼ぐ人も出てきています。
今後「管理職になりたくない」という人はさらに増加するかもしれません。

だからこそ、人事も現場の責任者も、マネジメントに登用したい人の動機づけから始めなければなりません。
会社として「管理職になりたい」人を増やすためのさまざまな改革も必要になります。
管理職に必要な知識やマネジメントスキルの教育の前に、まずはリーダー、マネジャー候補としっかり対話することからはじめましょう。

従業員サーベイを実施した後にマネジャーがやってはいけないこと|NG行動4選

従業員サーベイを実施した後にマネジャーが気をつけるべきNG行動4選

近年、従業員サーベイを実施する企業が増えています。
従業員や自社について客観的に知ることができるメリットがあり、経営や人事にとってサーベイ結果はとても有益です。
しかし、サーベイは使い方を誤ると、組織にマイナスの影響を与えてしまうことがあります。
今回は、従業員サーベイを実施した後にマネジャーがやってはいけないNG行動を4つをご紹介します。

やってはいけないこと① サーベイ目的の共有をしない

サーベイを実施する目的を必ず共有し、回答を促しましょう。
人は目的が分からないものに協力しようとは思いません。
組織や会社を良くしていくために活用するので、皆さんの率直な声を回答して欲しいと伝えましょう。

マネジャーがメンバーにサーベイの目的を説明し、アンケート回答への協力依頼をしないと、アンケートの回答率が下がったり、全て同じ点数をつけるといった適当な回答が増えてしまいます。
低い回答率や、適当な回答が増えれば、サーベイ結果が適正なものではなくなります。
誤ったサーベイ結果で、判断や行動を起こしては意味がないどころか、チームにとってマイナスになるかもしれません。

せっかく時間や費用をかけてサーベイを実施するのであれば、有益な結果が得られるように、マネジャーは必ず「目的」を伝え、メンバーに回答を促すようにしましょう。
たとえば、マネトレで実施した1万件以上のアンケートの回答率は95%を超えています。
もし、あなたの会社のアンケート回答率が9割を下回っているようであれば、マネジャーからメンバーに対するサーベイ目的の説明や、回答依頼が行われているかチェックしましょう。

やってはいけないこと② サーベイのやりっぱなし

サーベイをしたけれど忙しくて放置してしまった。
これは、管理職、人事の双方から良く聞く話ですが、サーベイは絶対にやりっぱなしにしてはいけません。
下記はマネトレ利用者に実施したアンケートで、従業員サーベイ後に何も行動ができなかったと答えた管理職がマネジメントする組織で、エンゲージメントスコアが6ヶ月後にどうなったか調べたものです。

51%の組織で、従業員のエンゲージメントスコアが悪化しました。
これは、「サーベイ結果を受けて何らかの行動をした」と答えた管理職がいる組織と比較すると、約2.5倍も悪い結果です。

「サーベイを実施したけれど、結局何もできなかった」とならないよう、サーベイ後の改善活動や、そのスケジュールをきちんと計画・チェックしていく施策を事前に設計しておく必要があります。

やってはいけないこと③ メンバーへのヒアリング

サーベイ結果を受けて、マネジャーがメンバーと対話することはとても重要です。
多くの管理職が、サーベイ結果を見て、その背景や課題をメンバーに確認しようとします。
しかし、それが「ヒアリング」だけになってはいけません。

「何が問題か?」「どうしてこうした結果になったと思う?」というヒアリングだけすると、メンバーを傍観者にしてしまいます。
サーベイ結果について1on1で確認されたことを「上司や会社が解決してくれるもの」とメンバーは期待する・考えるようになってしまうのです。
こうなってしまった経験があり、従業員サーベイをやめたという企業も多いです。

メンバーが傍観者になるのを防ぎ、サーベイを有効活用するためには、マネジャーの対話のスタンスが重要になります。
メンバーに当事者として考えさせる問いかけを行いましょう。

ただのヒアリングにしないための問いかけ
  • 出てきた問題に対して「ではどうすれば良いと思う?」「あなたならどう解決する?」「どんな協力ならしてもらえるだろうか?」と問いかけ、メンバーに当事者として問題を考えさせ、参加させる。

本来、組織の課題はマネジャーだけで解決できるものではなく、メンバーひとりひとりが当事者として関与することで解決されるものです。
もちろんサーベイの結果、マネジャーが改めなければならない点もあると思いますが、その過程でメンバーが協力できることはたくさんあります。
マネジャーは自身の言動を振り返るだけでなく、メンバーを巻き込み、チームとして組織課題を解決する意識でサーベイ結果に向き合いましょう。

やってはいけないこと④ 行動の過程・結果を共有しない

サーベイ結果を受けて、マネジャーが何らかの行動を起こしたとしても、その過程や結果が共有されなければ、何もしていないことと同じです。
メンバーは、「マネジャーは何もしていない」と考えるようになると、マネジャーに期待しなくなり、アンケートに真面目に回答しても無駄だと考えるようになります。

マネジャーの行動はメンバーから見えにくく、自身が思っているほどメンバーには見えていません。
特に、上位組織や人事に掛け合わなければ解決が難しい問題などに対する行動は、マネジャーがメンバーに共有しなければ全く見えないといって良いでしょう。

また、良い結果にならなければメンバーに共有しないという方がいらっしゃいますが、それは間違いです。
問題が改善された、解決された、という結果はもちろん重要ですが、「解決のために努力している」という事実も大きな意味を持ちます。

下記はマネトレ利用者に実施したアンケートで、従業員サーベイ後に何らかの行動を起こした、と答えた管理職がいる組織の、半年後のエンゲージメントスコアの変化を調べた結果です。

エンゲージメントスコアが良化した組織は全体の63%で、これは何も行動しなかった管理職がいる組織の2倍に相当します。
半年程度では課題は解決されないことも多く、エンゲージメントスコアの良化した組織がみな、課題解決がなされたわけではありません。
このデータは、結果のいかんに関わらず、マネジャーがサーベイ結果を受けて行動をすることに、意味があることを示しています。そうしたマネジャーの行動は、メンバーにとってポジティブに映ります。

マネジャーがやるべきこと
  • 解決のために行動していることを共有する。
  • 行動した結果を共有する(それが良い結果でも悪い結果でも)

やってはいけないを避ければ、サーベイはとても意味あるものになる

従業員サーベイは、やってはいけない行動をしてしまうとデメリットも多い施策となってしまいます。
一方で、今回ご紹介した失敗を避ければ、組織をより良くし、従業員のエンゲージメントを高め、働く人の環境を改善させるきっかけとなる施策です。
従業員サーベイを有効に活用していきましょう。

マネジメントには、なぜ「影響力」が必要なのか?

なぜ「影響力」が重要なのか?

「影響力」とは

影響力とは、他に働きかけ、考えや動きを変えさせるような力のことです。
マネジメントでは、部下はもちろん、上司や他部署、取引先、顧客など、さまざまな相手と関わります。
そのためマネトレでは、「必要な資源・協力を確保し、チームを成功に導く力」をマネジャーの影響力と定義しています。

チームを成功に導く過程では、ヒト・モノ・カネ・情報・時間などの資源が不足し、壁にぶつかることが多々あります。
こうした場面で、メンバーや上司、関係部署の協力を取り付ける、利害を調整する、人員や予算を確保するといった活動は、マネジャーとしての信頼を高めたり、チームを成功に導く上で必要不可欠な能力です。

「影響力」の低下が招く、マネジメントへの悪影響

影響力は、「マネジャーとしての信頼」に影響します。
メンバーとの信頼関係には、「人としての信頼」「マネジャーとしての信頼」の2段階があります。

・ 同僚としてなら良い(人間関係は良い)が、上司としては頼りない
・ メンバーの意見は聴いてくれるが、何も改善されない
・ 「誠実さ」のスコアは高いが、「影響力」のスコアが低い

これらは人としては信頼されているものの、影響力が低くマネジャーとしての信頼が十分に構築できていない状態です。

「マネジャーとしての信頼」は、マネジメントの土台です。
メンバーから信頼が得られないと、マネジメントのさまざまな場面でマイナスの影響が出てきます。

影響力が低いことが招く悪影響
  • マネジャーとしての信頼が得られず、マネジメントが機能しなくなる
  • 上司とメンバーの板挟みで、マネジャー自身の負担が増えてしまう
  • 他組織への依頼や要望が通らないことで、組織の生産性が高まらない
  • 恒常的な業務過多が改善されない
  • 「意見を出してもどうせ変わらない」と感じさせ、意見が出づらくなる
  • マネジャーに期待しなくなり、相談や新しい提案が減る
  • マネジャーに対して批判的・反発的な態度が増える
  • 不平不満や愚痴が増える    など

「影響力」を低下させる要因として考えられること

影響力がないと感じさせる行動をとってしまっていることもあれば、自分ではしっかりやってるつもりなのに、サーベイで低いスコアとなりショックを受けることもあります。
上司と部下の認知ギャップで多いのは、上司が何らかの行動を起こしていることがメンバーに伝わっていない(見えていない)というケースです。
メンバーへのサーベイで「影響力」や「信頼」が低いスコアとなった場合、以下チェックポイントが満たせているか、自身の行動を振り返ってみてください。

影響力や信頼に関するチェックポイント
  • チームで顕在化した問題を放置していないか
  • メンバーの意見を適切に上申しているか(マネジャーで止めていないか)
  • 自分だけで改善が難しい問題の場合、上司や関係者に相談し協力を求めているか
  • 聞くべきではないと判断した意見について、メンバーが納得できる説明をしているか
  • チームの役割や目標を明示し、そのためにチームとして解決すべき課題を説明しているか
  • 仕事を割り振るだけでなく、意義や重要性などを伝えて仕事に動機づけしているか
  • 上司という役割責任を権威と勘違いし、高圧的な態度で指示や指摘をしていないか
  • 問題やメンバーからの意見に対して、自身の対応方針を伝えているか
  • 上司に相談中など、きちんと改善に動いていることをメンバーに伝えているか

「影響力」の高め方

「影響力」は一朝一夕には高まらず、ある程度時間がかかります。
必要な資源・協力を確保しチームを成功に導くというマネジャーの役割を遂行していくことで、マネジャーとしての影響力や信頼は徐々に高まっていきます。

●問題を放置せず、適切に判断して対処する

マネジメントをしていると、大小さまざまな問題が発生します。
その際どのように対処していくのか、判断軸や分類方法をある程度決めておくと対処しやすくなります。

①その問題は、対処すべき課題か?

問題が発生したり、メンバーから不平不満や改善の要望が出た際は、まずそれらは「対処すべき課題か」を考えましょう。
対処すべきものが多いと思いますが、中には顧客に影響が出てしまうもの、メンバーの個別最適の意見で全体最適にならないものなど、「対処すべきでない問題」「聞くべきではない意見」もあります

頭ごなしに否定するのは良くないため、なぜそう考えるのか、目的は?、メリットとデメリットは?など、メンバーの意見の背景や考え方を確認した上で判断するのが適切です。
その上で、コンプライアンスや倫理観、会社のビジョン、部門のミッション、チームの役割や目標、顧客への影響、全体最適、メリットデメリットなど、何に照らして「対応すべきでない」と判断するのか、理由を説明しましょう。
その場で判断できない場合は、「検討する」と持ち帰って問題ありません。後日、検討の結果を忘れず伝えましょう。

②課題を分類して優先順位を決める

課題を分類する軸は複数あります。優先順位を整理するのが目的なので、使いやすい分類で構いません。
また、どれも対処すべき課題なので、厳密である必要はありません。大まかに優先順位を決め、対処していきましょう。

(例1)問題の重要度で分ける
・顧客や会社の信頼に影響する → 最優先で改善する
・無駄や非効率だが業務としては回っている → 対応時期を設定して改善に取り組む

(例2)改善によって得られる効果で分ける
・チーム全体に効果が及ぶ → 優先
・メンバー個人に効果が留まる → 次点

(例3)改善の難易度で分ける
・すぐに改善できる → すぐに改善し実績を作る。タスクとして溜めない
・改善できるが工数が大きい → 優先順位を決め、対応時期を設定する
・自分だけで改善できない → 相談や確認に時間がかかる旨を伝え、後日状況報告

●きちんと改善に動いていることを伝える

意外と多いのが、マネジャーは改善に取り組んでいるのに、それがメンバーに見えていない(伝わっていない)というケースです。
上司に相談する、関係部署と調整する、取引先と話し合いの場を持つなどマネジャーが活動している時、メンバーは自分の業務に向き合っているため、見えていないことが多いです。
テレワークや会議が多いなどメンバーの近くで仕事をする時間が少ない場合は、マネジャーが何をしているか、ほとんどメンバーには伝わっていないと考えた方が良いでしょう。

マネジャーの活動はメンバーから見えづらく、ともすればマネジャーは仕事をしていない、問題を放置しているとみられがちです。

・改善に取り組んでいるという事実
・途中経過(誰に相談し、誰がボールを持った状態か)
・改善の目処(いつ頃までに/時間がかかる理由)
・改善できなかった理由(上の判断理由)
・改善すべきでないと判断した理由(どんな判断軸で決めたのか)

など、きちんとマネジャーの責務として動いていることをメンバーに伝えるようにしてみてください。

●チームの目標や方針を明示し、チームとして解決すべき課題をメンバーと共有する

チームを成功に導くには、そもそもチームの成功とはどんな状態かを明確にしなければなりません。
チームの役割や目標を定め、それを達成するためにどんな戦略や方針で進めていくのか示すのもマネジャーの役割です。
メンバーとマネジャーでは、視座の違いや経営情報に触れる機会に差があり、メンバーは同じ情報を得たとしてもマネジャーと同じレベルで考え、情報を解釈することができません。

チームの役割や目標がなかったり、メンバーに理解されていない場合、マネジャーはチームの成功のために動いているつもりでも、メンバーはなぜそうするのか理解できないといったすれ違いが発生します。
共通の目標がないため、変えたくない、これまで通りの方が楽だ、などと個人の価値観をもとにした反対意見が増える悪影響も出てきます。

チームの目標や方針を明示し、チームとして解決すべき課題を共有することで、マネジャーの取り組みや依頼事項の意図が、メンバーに理解される状態を作りましょう。

●上司や他部署のマネジャーと良好な関係を築く

マネジャーが直面する問題の中には、自身に権限がない、影響が他組織にも及ぶなど、自分だけで解決が難しい問題が多々あります。
こうした問題は、上司や他部署に掛け合うことで、承認を得る、協力を得る、利害を調整するといった活動をしていくことになります。
日頃からコミュニケーションをとり良好な関係を築いておくと、いざ問題に直面した際に、協力を得やすくなります

●任せる仕事に対して動機づけする努力を欠かさない

マネジャーは、メンバーに対して業務の指示を出したり、その成果を評価したりと、その役職に一定のパワーがあります。
そのため、「これやって」とただ指示を出すだけでも、メンバーがその指示に従ってくれる場合も多いです。
ただ、このような仕事の任せ方では、メンバーは仕事に動機づけされることもなければ、自ら協力したいと思うこともないでしょう。

「必要な資源・協力を確保し、チームを成功に導く」には、チームメンバーの協力を得ることも当然必要です。
メンバーの心持ちも影響するため、任せる仕事に対して100%動機づけできることはないと思います。
しかし、仕事の目的や意義、重要性、なぜあなたに任せたいのか、その仕事にどんな魅力があるのかなどを伝え、メンバーを動機づけする努力を欠かしてはいけません。
こうした説明を怠らず、働きかけを続けていくことで、影響力やマネジャーに対する信頼が高まっていきます。

マネジメントには、なぜ「誠実さ」が必要なのか?

なぜ「誠実さ」が重要なのか?

「誠実さ」とは|マネジメントにおける重要性

誠実とは、「私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること」です。

・偽りのない本心で人や物事に接すること
・自身の損得を超えた判断ができること
・相手や周囲の状況を優先して考えられること

一般的には、こうした心構えを持っていると相手に理解されれば、「誠実さ」が伝わっていると言えます。

誠実さは、人として信頼できるかどうかの判断ポイントになります。
人は、信頼できない相手、信頼できるか分からない相手の話を素直に聞くことができません。
マネジャーは、メンバーを統率し、メンバーに組織の目的や目標の達成に向けて動いてもらう必要があります。
そのため、人として信頼されることは必要不可欠であり、何より先に取り組むべき最優先事項です。

「誠実さ」の低下が招く、マネジメントへの悪影響

上司の誠実さが低い、と思われている状態は、メンバーとの信頼関係が十分に構築できていない状態です。
信頼関係はマネジメントの土台です。
信頼が損なわれると、メンバーはマネジャーに対して批判的になり、マネジメントが機能しなくなります。
また、長く放置してしまうと、批判的な関係性が固定化され、関係修復が困難になってしまいます。

誠実さが低く、信頼されていないことが招く悪影響
  • 対話の際に、なかなか心を開いて本音で話してくれない
  • チームの方針に対して、批判や反発が増える
  • 依頼や指示をしても、素直に対応してくれない
  • チームをより良くしようとする活動に対しても協力が得られない
  • 会社やマネジャーに期待しなくなる(離職率が高まる)
  • メンバーの愚痴や不満の声が増える   など

「誠実さ」を低下させる要因として考えられること

メンバーは、マネジャーの普段の言動から、信頼できる人かどうかを無意識的に判断しています。
初対面の相手を信頼できるかすぐ判断できないように、「誠実さ」や「信頼」は時間をかけて構築されていきます。
チームを組成した直後は、互いの理解ができておらず、まだ分からない、判断できていない状態がほとんどです。
ある程度付き合いが長い場合は、これまでの関わりの中で、誠実な人物かメンバーから判断されています。

メンバーへのサーベイで誠実さや信頼が低いスコアとなった場合、以下チェックポイントが満たせているか、自身の言動を振り返ってみてください。

誠実さや信頼に関するチェックポイント
  • 人として尊重した態度でメンバーと接しているか
  • メンバーの意見や考えを聴く姿勢を持っているか
  • マネジャー自身がメンバーを信頼し自己開示しているか
  • 意思決定に判断軸があるか(感情や上司の意見に流されないか)
  • 発言や判断に一貫性があるか(言うことがコロコロ変わらないか)
  • 自分のミスや誤りを素直に認められるか
  • 発言に嘘や偽りがないか
  • 言葉遣いが横柄ではないか
  • 約束を守っているか
  • 仕事中と仕事後で発言は一貫しているか(たとえば飲み会での発言にも注意を払えているか)
  • 上司という役割責任を権威と勘違いし、高圧的な態度をとっていないか

「誠実さ」を高める方法

誠実さや信頼は、一瞬で失墜することはあっても、一気に高まることはありません。
ある程度時間がかかる(時間をかけて築いていく)ことを覚悟しましょう。

①すぐに改善に取り組むことが大事

メンバーからの信頼を得られないと、マネジメントが機能せず、組織をより良くしようとする活動も前に進みません。
「誠実さ」が低い場合は、まずメンバーから信頼を得ることを考えていきましょう。
リーダーとしての発言、行動を振り返り改善することが重要です。

<チーム組成タイミング>

新しくチームを組成したタイミングは、互いを理解しあい、信頼関係を構築するのに適したタイミングです。
メンバーも、新しい上司はどんな人か、同僚と良い関係が築けるかなど、不安を感じながら過ごしています。
そのタイミングで、お互いを知るための1on1ミーティングや、チームの懇親を目的としたランチ会などを行うと効果的です。
メンバーを理解しようとする、チームの関係性を良くしようとする姿勢が伝わり、マネジャーに対する信頼や、協力しようとする気持ちを高めます。

チーム組成初期は、チームの戦略や方針を考えたり、業務割り振りや目標設定をしたりとやることが山積みで大変な時期だと思います。
ついついメンバーとのコミュニケーションを疎かにしがちですが、最初の1ヶ月が大事な時期です。
その時期にコミュニケーションをとっておかないと、メンバーに関心がない、大切に思ってくれないという印象を与えてしまいます。
一度マイナスの印象が定着してしまうと、回復させるために時間を要します。
初期にメンバーとコミュニケーションをとり、互いを理解することは、その後のマネジメントを楽にします。長期でみると効率化に繋がリます。
忙しい時期ですが、積極的にメンバーとコミュニケーションを取りましょう。

<チーム組成から3ヶ月以上経過している場合>

メンバーとの付き合いが長ければ長いほど、「●●さんはこんな人だ」と印象が固定化している場合が多いです。
これまでのチームでの関わりの中で、あの時こんな判断をした、こんな振る舞いをした、こんな発言をしたなど、さまざまな言動を踏まえ、時間をかけて構築されたマネジャーへの見方です。
こうしたケースでは、マネジャーが2,3ヶ月、心を入れ替えてメンバーと接するだけでは、本当に変わったのか、ただの気まぐれなのか、メンバーは判断できません。
しかし、中長期でそうした態度を継続していくと、必ず上司への見方が変わり、良い変化が現れてきます。
諦めず、誠実な態度でメンバーと接し、信頼関係を構築していきましょう。

 

②具体的な改善アクション

上述した「誠実さや信頼に関するチェックポイント」で満たせていないことを、1つずつ改善していくことになります。

●メンバーとの対話を増やす

1対1で対話するのが、互いを理解し合い信頼関係を築く場として最も効果的です。
大っぴらに自分をさらけ出せる人は少ないので、個別に対話の中で、メンバー理解を深めていきましょう。
メンバーによっては、なかなか心を開いて本音で話してくれないメンバーもいます。
その場合は、マネジャー自身が先に自己開示をすることで、メンバーを信頼していることを示してみてください。

●裏表のない言動を心がける

メンバーは、業務時間中の言動だけでなく、業務時間外の振る舞いも見ています。
オンオフで言ってることが違う、上司には下から出るのに部下には偉そう、当人がいない場所で陰口や愚痴を漏らす、といった表裏がある振る舞いは信頼を損ないます。心当たりがある場合は改善しましょう。

●判断軸を作り、意思決定に一貫性を持たせる

メンバーの意見を聴く姿勢は重要ですが、メンバーの意見が全て正しいわけではありません。
マネジャーは何を優先するかきちんと判断軸をもち、適切にジャッジしていかなければなりません。
判断軸がなく優柔不断だったり、時や場合により判断が変わるようでは、信頼は生まれません。
コンプライアンスや倫理観、会社のビジョン、部門のミッション、チームの役割や目標、顧客への影響、全体最適、メリットデメリットなど、何に照らしてどう判断したのか、判断の理由を説明できるように意識してみてください。

●約束を守る/メンバーの意見や不満を聞き流さない

意見や不満を伝えてきた場合、メンバーはマネジャーが改善してくれることを望んでいます。
メンバーの意見や不満の中には、改善すべきではないもの、改善すべきだがマネジャーだけでは解決が難しいものも含まれます。
前者は、なぜ改善すべきではないと考えているのかきちんと説明する。
後者は、上司や関係者に相談していることや、改善が難しい理由、改善に時間がかかる旨をメンバーにきちんと伝える。
マネジャーの思考や行動は、思ってるほどメンバーに伝わらないため、メンバーに「伝える」ことを意識的に行ってみてください。

多様な価値観を受け入れる/部下が自分と同じ熱量で仕事に取り組んでいると思わない

上司は、部下に対して「仕事ならやって当然」、「昇進したら嬉しいはず」と考えがちです。
しかし、実際はそんなことはありません。部下が上司と同じ熱量で仕事に取り組んでいるとは限りません。
仕事はあくまで仕事で任されたことだけこなしたい人、責任を負いたくないので出世したくない人、さまざまなメンバーがいます。
自分は良かれと思い、発破をかけるため、危機感を与えるため、インセンティブを与えるため、と行動したことが相手には響かないかもしれません。
自分とメンバーは違う、という前提に立って、相手を理解するように努めましょう。

テレワーク マネジメントに効果があったマネジメント手法 23選

テレワークマネジメント23選

2022年4月の東京都の調査によると、東京都内の社員50名以上の企業におけるテレワーク導入率は約5割となっています。

参考)東京都のテレワーク実施率調査

前回調査よりテレワーク導入率は10%低下しており、出社という従来の勤務スタイルに回帰する企業も出てきました。
一方で、未だ5割以上の企業でテレワークを継続しており、テレワークでのマネジメントは、引き続き管理職に求められることが想定されます。

今回マネトレでは、500を超える組織の「テレワーク マネジメント」の悩みや、マネジメント手法について調査。
23個の効果のあったマネジメント手法についてまとめました。

テレワークで現場マネジャーが抱える不安や悩み

今回の調査でもさまざまな悩みが寄せられており、テレワークマネジメントを難しいと感じている管理職が多いようです。

テレワークマネジメントで発生する悩みの例
  • 様子が見えないためメンバーの状態が分からず不安
  • 新人や中途入社者の育成が難しい
  • メンバーの心理状態の把握が難しい
  • 新しいメンバーとの関係性が希薄
  • チーム内の情報共有や交流が減ってしまった
  • 業務の進捗状況の把握が難しい
  • メンバーがサボっている or 働きすぎているのではと不安
  • 生産性が落ちている
  • 業務に関係する人以外とコラボレーションする機会がない
  • チームの一体感が薄れている、メンバーの帰属意識が希薄化している

テレワーク マネジメントで難しくなること

・偶然やついでの機会を使ったマネジメント

これまでは、皆がオフィスで働くことを基本としていました。
オフィスでは、何か気づいたらすぐ話しかけたり、意図せずともすれ違ってコミュニケーションを取るといった、偶然やついでのコミュニケーション機会がありました。
マネジャーは、仕事ぶりや、顧客との電話での会話、表情や雰囲気といったリアルな情報を収集でき、そこから声がけや指導、アドバイスなどが可能でした。
メンバーも、そうした機会を使ってマネジャーに報告や相談をしていました。

しかし、テレワークでは、意図しなければコミュニケーションが発生しません。
偶然を利用することは難しくなります。

・プロセスや成果のタイムリーな把握、修正

オンラインでの頻繁な確認は、相手に監視されている感を強く与えるため、メンバーのやる気をそいでしまいます。チャットではすぐにメンバーから返信が来るかは分かりません。
テレワークでは、タイムリーにプロセスや成果を確認することが難しくなります。
テレワークを機能させるためには、メンバーの判断に任せることを多くし、メンバーが自律して動けるようにする必要があります。
メンバーに任せた上で、プロセスや成果を確認し、適切な修正やフィードバックを与えるには、これまでにない「新たな仕組み」が必要になります。

・会社や組織とのつながりを感じること

出社せず、離れた場所でひとりで働くことは、会社や組織に所属している感覚を持ちにくくします。
また、テレワークでメンバーが自律して働くことは良いことである一方、組織における遠心力(帰属意識が薄れる)にもなります。
ひとりで働くことはメンバーの考え方にも影響を与え、「自分ひとりの力で仕事ができている」「会社や上司は何もしてくれていない」と感じるようになるかもしれません。
このように、所属する会社や組織にいる意味が感じにくくなります。

・仕事で直接関わらない人たちとの交流、コラボレーション

オンラインで仕事をすると、基本的にコミュニケーションを取ろうと思わない限りコミュニケーションが発生しません。
仕事の優先順位が低い会話や、偶然顔を合わせたことによる会話、何かのついでに話に行くといった、これまで当たり前に発生していたコミュニケーション経路がなくなります。
仕事で直接関わらない人たちとのコミュニケーションや、部署をまたいだ交流は、優先順位が上がらないため、自然発生的には行われなくなります。

テレワークマネジメントに必要な「考え方のシフト」

・意図して行うマネジメントへの変化

先の難しくなることで述べたように、「偶然やついでの機会」を活かすことができません。
思いついたら声をかけていた、でマネジメントがなんとかなっていた部分は多くあります。
こうした部分を補うために、これまでの延長線上ではなく、マネジャーが意図して新たにコミュニケーション機会を設計する必要があります。

・メンバーの自律を支援するマネジメントへの変化

自身が部下にきめ細かな指示・指導することで支援し導いていく直接支援型のマネジメントはリモートでは難しくなります。
物理的な距離が遠くなることで、マネジャーが直接関与できる部分は小さくなります。
部下の自由や裁量が増える(=アンコントロールの部分が増える)ことは、部下に自律して仕事をしてもらわなければならないことを意味します。
つまり、部下の自律を支援するマネジメントへ転換する必要があります。
指示やアドバイスといった、与えるがベースだったマネジメントから、メンバーが自律して仕事を行う上での障害を把握し、取り除くマネジメントへの変化が必要になります。
障害とは、非効率な仕事の進め方やルール、他部署との連携、メンバーが手に入れにくい情報等です。

・仕組み化の重要性が格段に増す

情報共有と業務の見える化、全体・個別でのコミュニケーションをとるタイミング、報告や相談をもらうタイミング、フィードバックをもらうタイミング、雑談等のゆるいコミュニケーションのタイミングといった「仕組み」を設計しなければなりません。
何の仕組みもなしに、メンバーそれぞれが考えることだったり、報告しようと思うタイミングとマネジャーの意識を合わせることは不可能です。
仕組みを設計しなければ、テレワークはうまくいかなくなってしまいます。

テレワークマネジメントのTips|マネジメントのコツ

マネトレ利用者から収集した、テレワークマネジメントで効果を発揮している具体的なTipsについてご紹介します。

① テレワークの自由とそれに伴う責任についてメンバーに周知する

テレワークが当たり前になると、下記のようなメンバーが出てくることがあります。

・きちんと理由を説明した上で設定した出社機会を拒否する
・オンラインミーティングでは理由もなく常にカメラオフ
・就業時間中なのにレスポンスが遅い
・○○さんはきちんと働いているのかと他のメンバーから不満の声がでる

こうしたことが起こらないよう、上司は事前にメンバーにルールや責任について周知する必要があります。
もし問題が起きたら、マネジャーはすぐに改善のための行動を起こさなければなりません。

テレワークは社員の自由度を上げますが、自由には責任が伴います。
周囲を安心させる責任、チームの一員として皆と協力する責任、役割をしっかりと果たす責任、心身の健康を管理する責任など、責任を果たしてこそ自由を行使できます。

責任を果たさないメンバーが出てくると、同僚の信頼関係の悪化や、テレワークでの生産性が大きく低下してしまいます。
責任を果たさないテレワークは認められないことをしっかりと認識させましょう。

② 柔軟にルール設定し余計なハレーションを防ぐ

テレワークにおいては、ちょっとしたコミュニケーションが減少するため、働く人たちの間ですれ違いや不満が溜まりやすくなります。
上司は、新たにルールを設定し、メンバー間での無駄なハレーションを防いだり、認識を合わせたりする必要があります。
マネジャーが柔軟に判断し、テレワークを行う上で必要となるルールを設定するようにしましょう。
新たなルールを設定する際は、メンバーにその背景を説明することを忘れないようにしてください。

<ルールの例>
・オンラインミーティングではカメラは基本オン、バーチャル背景はOK
・顔出ししなくてもよいミーティングを明示する(朝会は顔出ししなくてOKなど)
・集中していてレスポンスしたくないときは必ずスケジュールに入力する(ただし1日○時間まで)
・集中タイムや休憩時間以外は、○分以内にレスポンスをする
・予め予定されていないショートミーティングは顔出ししなくてOK
・基本的にグループチャットを利用して連絡する
・きちんと理由のある出社要請には、相応の理由が無い限り従う
・22時以降、土日祝日は基本仕事のチャット禁止
・始業時間までに、その日の行動計画をスケジュールに記入する
・タスクの進捗や完了はタスク管理ツールに入力し、毎日必ず更新する
・仕事の開始時、終了時にはチャットで全体発信(おはようございます!お先に失礼します!など)

③ 業務の見える化を行う(ITツールの活用)

テレワークには業務の見える化が必須ですが、業務の見える化(タスク管理、進捗把握)はアナログのみではできません。
コミュニケーションに頼ったアナログな業務管理だけでテレワークのマネジメントは不可能です。
テレワークとは、デジタルツールの進化により可能になった新しい働き方です。
従来のコミュニケーションにプラスして、適切なITツールを活用してマネジメントする頭に切り替えましょう。

<参考:タスク管理ツール>
・Notion:https://www.notion.so/

・jooto:https://www.jooto.com/

・Trello:https://trello.com/ja

・asana:https://asana.com/ja

④ マネジャーの役割やマネジメント方針の変更を説明する

これまで述べてきたように、直接の指示や指導のマネジメントから、メンバーの自律を促す支援にマネジメントを変えていく必要があります。
しかし、「今後こうしていきます。なぜならば〜」というコミュニケーションが抜けると、意図したマネジメントの変化なのに、メンバーの中には上司がマネジャーとしての役割をサボっていると考える人が出てきます。
そうした勘違いを生まないよう、きちんとコミュニケーションを取ることが重要です。
自律に不安があるメンバーがいれば、自律して行動できるようになるまでフォローをしっかり行うなど柔軟に対応しましょう。

⑤ ゴールや目的を定義し、伝える

メンバーが自律して行動するためには、成果や方向性、納期、裁量などの明示が必須です。
タイムリーな軌道修正が難しいため、ゴールや目的が曖昧な中でメンバーに仕事をさせればゴールがズレてしまいますし、上司が違うと指摘すればメンバーの不満に繋がります
偶然やついでに間違いやズレに気づけないため、これまで以上に明確に共通認識として持たせることが必要となります。

<具体的な方法例>
・きちんと言語化し、テキスト、口頭両方で伝える。
・タスク管理ツールなどを活用し、常にお互いが見えるようにしておく。
・定例ミーティングの資料の冒頭にスライドを用意する。
・毎回1on1ミーティング時に確認する。

⑥ 全体発信する量を増やす

マネジャーとして全体発信を意識して増やしましょう。
通常テレワークマネジメントでは、マネジャーのコミュニケーション量が不足します。すると、メンバーから見たマネジャーの存在が薄れてしまいます。気づいたことがあれば積極的に発信しましょう。
会社や他部署の情報のシェアも有効です。
これまでメンバーは公式、非公式含めさまざまな会社情報に接してきていましたが、リモートワーク下ではそうもいきません。マネジャーは会社情報等を入手しやすい立ち位置にいますので、積極的にそうした情報をシェアしていきましょう。
また、チーム内のコミュニケーション活性化のため、メンバーの発信を促し、それを積極的に承認称賛し、メンバーが発信しやすい雰囲気づくりを行うことも重要です。

⑦ 発信内容に配慮や思いやりをのせる

感謝を積極的に伝え、発信内容には配慮や思いやりをのせましょう。
テキストだけだと、冷たく感じたり、発信者の想いは伝わりづらいです。特に叱るや指導は思った以上に厳しく、冷たく相手に伝わります。
どんなにイライラしても、それをそのままメッセージで送るのはやめましょう。急ぎでなければ一日置いて見直すことが効果的です。
思いやりを持ってメッセージを作成するようにしてください。

⑧ 報連相のタイミングの明示

メンバーに報告タイミングを任せると、業務レベルや個人の感覚で報告タイミングがバラバラになります。
いつでも相談してくれと伝えても、曖昧な「いつでも」はメンバーの質問や相談への心理的ハードルを下げません。
報連相のタイミングや方法を具体的に伝える必要があります。一定のルール化も効果的です。
ただし、監視と受け取られるような過度な確認は、メンバーのやる気を削ぐだけなのでやめましょう。

<具体的な例>
・例え予定が入っていても、チャットであればいつでも連絡してくれて構わない
・顧客との商談中以外はいつでも連絡してOK
・○○のタイミングで一度報告をしてください
・まずはチャットで連絡を。時間がある時にこちらから必ず折り返す。
・報告、連絡、相談の際は、いつまでにレスが欲しいか「期限」を記載して送ってほしい。

⑨ コミュニケーションは基本テキストベースで行う

テレワークマネジメントでは、基本「テキスト化」し、全体チャットで行うことを意識してください。
テレワークでのコミュニケーションを電話で行いがちなマネジャーもいますが、電話は1対1のコミュニケーションにしかなりません。
テレワークで口頭コミュニケーションを中心にすると、情報の漏れや暗黙知化が起こります。
他のメンバーにも今回指摘したポイントを知ってもらう、お互いの進捗状況を知ってもらう、マネジャーの判断軸を知ってもらう、チームの情報を共有する、といったことに電話は不向きです。
また、メンバーの自律を基本とするテレワークでは、後から情報にアクセスできる、振り返れることは非常に価値があります。
チャットなら忘れても後から遡れますが、口頭コミュニケーションはそれができません。
メンバーの自律に必要な、情報共有、振り返りという点で、テキストベースのコミュニケーションは優れており、テレワークと非常に相性が良いのです。

⑩ 必ず何らかのレスポンスをする(確認するだけで終わらない)

テレワークでは、上司や同僚の反応が見えにくくなります。
反応が見えないと、メンバーの発信する気が削がれてしまい、チーム内のコミュニケーションは顕著に減っていきます。
チャットに投稿された内容には必ず反応するようにしましょう。簡単なコメントができればベストですが、いいね!等のスタンプでのリアクションでもOKです。
チームメンバーにも積極的にレスポンスすることを促しましょう。

⑪ コミュニケーションタイミングの設計

偶然やついでのコミュニケーションが発生しないため、計画的にフランクなコミュニケーション機会を設定しましょう。
予め決まったタスクとして設定しておかないと、日々の忙しさでどうしてもメンバーとのフランクなコミュニケーションは後回しになりがちです。メンバー目線でも同じことが言えます。

⑫ 1on1コミュニケーション頻度の再考

どうしても1on1でのコミュニケーション機会が少なくなってしまうため、機会の頻度について見直しましょう。
たとえば隔週で1on1を実施していたならば、毎週1on1を実施するなど、従来行っていたことの頻度を増やすことを検討してみてください。

⑬ オンラインミーティングでは情報共有は事前に済ませる

対面と比べ、オンラインミーティングは長く集中が難しいです。ミーティングが長くなれば会議に参加しながら他の作業をし始める人もでてきてしまいます。
ミーティングではアジェンダを作成し、目的や議題、既に判明している事実などは、必ず事前に共有し、会議の密度を濃くする意識を持ちましょう。
テンポよく進み、予定していた時間より早く終わったならミーティングを切り上げてしまって構いません。
情報共有をいちからオンラインミーティングで行うと、聞き手は集中力が続かず伝えたいことが伝わらなくなります。
また、読めば分かるようなことであれば、それ事前に共有できたのでは?みんなで集まる必要ある?とメンバーの不満にも繋がります。

⑭ オンラインミーティングでは個に問いかけながら輪を広げる

オンラインミーティングは、対面でのミーテイングと異なり二人同時に話すと音が被ってしまい聞こえません。声が被ってしまった後の譲り合いも、オンラインは行いにくいです。
そのため、全体に質問を投げかけると発言が出にくく、全体に話しを振ってもレスポンスがない、といったことが生まれやすい構造があります。
オンラインミーテイングでは、誰か特定の人に対して問いかけ、そこから他の人に広げていき、皆の参加・発言を引き出すような進め方が効果的です。

⑮ オンラインミーティングでの質問の促し方

オンラインミーティングでは、発表者に質問したい時も、リアルでのミーティングと異なりタイミングが難しいです。
質問や疑問を思いついたら、発表中でも「チャット」を使って発言するよう促すと話が盛り上がりやすいです。
チャットに対しては、発表者の好きなタイミングで答える、最後にまとめて答えるでもどちらでも構いません。
最後にだけ口頭での質問時間を設ける進め方だと、内容を忘れてしまったり、疑問が浮かんだ時から時間が経ち「やっぱりいいや」と質問をやめてしまう人が生まれ、議論が盛り上がりにくくなります。
チーム全体のミーティングは議題が終われば終了し、個別質問等がある人は、ミーティング後にマネジャーと残って話すといったことも有効です。

⑯ テキストで良いので積極的に承認称賛をする

テレワークは放っておくと承認称賛がなくなってしまいます。
良い結果だけでなく、良い行動や進捗に対して、マネジャーは積極的に承認称賛を行いましょう。
メンバーからも、他のメンバーに対する承認称賛が出てくる雰囲気づくり、協力を仰ぐことも大切です。
プロセスや結果の可視化があっても、承認称賛がないとチームの一体感が作れません。
お互いに承認称賛のないチームは、メンバーの個人主義が進み、チームへの貢献心がなくなり、利己的なメンバーばかりになりやすいので注意が必要です。

⑰ メンバーの自律度と、能力の変化に気を配る

細かすぎる関与はNGですが、関与しなさすぎ、放置もいけません。
メンバーそれぞれの自律度を見極め、適切な関与の仕方、タイミングを考えましょう。
メンバーの成長によって、どこまで任せるかは変わります。
メンバーが成長した時に、上司がメンバーに対する認識を変化させられていないと、上司はメンバーができるようになったことまで口出ししてしまい、メンバーの不満になります。
テレワークでは個人ワークが増えることで、メンバーの自己評価と上司からの評価のズレが発生しやすいです。
メンバーの自律度は変化するため、変化に気を配りましょう。

⑱ 評価面談とは別にメンバーから自身の実績を説明させる場を設ける

テレワークでは、どうしても成果をベースに評価せざるを得なくなります。
マネジャーは、仕事ぶりが見えなくなることでプロセスの評価が難しくなり、従来の対面でのマネジメントの時と異なり、結果を重視してプロセスの比重を下げ評価します。
一方で、メンバーはこれまでと同じように自分が頑張ったプロセスについても自信を持っています。
マネジャーとメンバーとで、評価の認識のズレが生じやすくなります。
評価面談の場で、マネジャーは自分の仕事ぶりを見ていてくれなかったと不満が生まれないよう、事前にメンバーが思っている自身の実績を説明させる場を設けましょう。
説明を受ければ相手の言い分は理解できるので、その場で認識のズレを修正したり、その後の評価面談での伝え方を考えるといった対応を取ることができます。

⑲ メンバーのライフを大切にする(ワークライフバランス)

テレワークにより、通勤のストレスがなくなり、家の中で仕事をするようになったことで、家族やプライベートへの関わり方が大きく変化しました。
より家族やライフの大切さを感じるようになった人も増え、通勤時間より子育て環境を重視した住居に転居するケースも増えています。
傾向として以前より働く人にとってライフの重要性が増しており、上司はこれまで以上にメンバーのライフを気にかけ、大切にしなければならなくなっています。

⑳ メンバーが仕事をする際の周辺状況にも配慮する

家の中に仕事を持ち込んでいるため、周囲への配慮も必要です。
例えば評価のタイミングで厳しいことを伝えたりといった場合は、相手の家庭の中での尊厳を傷つける可能性があります。
出社するタイミングで行なったり、家族に聞かれないような環境に移動してもらえるよう事前に伝えるなど配慮が必要です。

㉑ 物理的な距離を埋める場の設定

オンラインではメンバー同士のコミュニケーションやコラボレーションが減ってしまうため、それらを補う場の設定は効果的です。

<事例>
・若手を指導する担当を役割として設定する
・週に1度、オンラインランチ会を設定する
・他の人の良い資料などを参考にできるように、クラウド上に資料を格納する
・簡単な質問や、役立つ情報などを気軽に投稿できるチャンネルを設置する
・マネジャー、メンバーの講師持ち回りで勉強会を設ける
・ミーティングで、チームの誰かの良い仕事や感謝したことを発表する
ミーティングで、困っていること、協力してほしいこと、廃止・解決してほしいことを言える場を設ける

㉒ 雑談の生み方

雑談のようなゆるいコミュニケーションを生むには、意図したアクションが必要です。

<事例>
・メンバーの誕生日を把握しておき、朝礼で皆でお祝いを伝える
・マネジャーが率先してチャットで毎朝あいさつする
・ミーティングでは事前に具体的な質問を準備し、特定の人に問いかける
・テーマを設定し、チームで話してもらう(テーマは複数から選ばせる方がメンバーはストレスを感じにくい)

㉓ 新しいメンバーがチームに加わる際は「出社」する

お互いの顔や人柄を知ることは、距離感を近づける上でとても重要です。これはオンラインより対面が圧倒的に有利です。
メンバーの予定を調整し、実際に出社してコミュニケーションを取る機会を設けるとスムーズです。


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従業員が会社を選ぶ基準として、テレワーク・リモートワークは大きな関心事となっています。
今後も管理職にテレワークのマネジメントスキルが求められる流れは続きそうです。
ぜひ今回の内容をテレワークマネジメントに取り入れてみてください。