【調査レポート】マネジメント力は経験によって高まるのか?

マネジメント能力は経験で大きく変わる?ベテラン管理職と新任管理職とで差はあるのか

マネジメントは、研修や本で学ぶだけではダメで、実際に経験することで身になると考えられています。
多種多様な「人」を相手にするため、何かを学んでも実践の中でカスタマイズしながらでないと使いこなせないのは感じるところでしょう。
では、実際にベテラン管理職と新任管理職の間にはマネジメント力の差があるのでしょうか?
今回は、マネトレを利用している管理職のうち261名を対象に、ベテラン管理職と新任管理職に分けて一風変わった調査を行いました。

ベテラン管理職と新任管理職のマネジメント力に差はあるのか?

マネジメント育成クラウド「マネトレ」では、マネジャーは四半期毎にコーチのサポートを受けながら、マネジメントや組織の改善計画を策定します。
下記は、その計画を実行したと回答した、マネジメント経験のあるベテラン管理職と、初めてマネジメントを行う新任管理職とで比較したデータです。

■マネジメント・組織の改善計画を作成したベテラン管理職組織のエンゲージメントスコアの変化

マネジメント・組織の改善計画を作成したベテラン管理職組織のエンゲージメントスコアの変化

■マネジメント・組織の改善計画を作成した新任管理職組織のエンゲージメントスコアの変化

マネジメント・組織の改善計画を作成した新任管理職組織のエンゲージメントスコアの変化

マネジメント経験のあるベテラン管理職は、改善計画の策定・実行による組織改善効果が高く、7割もの組織でエンゲージメントスコアが向上しました。

一方で、初めてマネジメントを行う新任管理職では、約5割の組織のエンゲージメントスコアの向上に留まりました。
これはベテラン管理職に比べて、23%組織改善の効果が低いことになります。
マネジメントは「経験」によって能力が高まるのは確かなようです。

これらのことから、マネジメントは「経験」によって能力が高まると言えそうです。

新任管理職がベテラン管理職より悪い結果であった原因は、下記のようなことが想定されます。

・マネジメント経験がないので、課題把握が適切に行えていない。
・マネジメントの引き出しが少なく、改善のたまの計画立案能力が低い。
・計画を柔軟に変更することが難しく、現場での計画実行力が低かった。

反対に、ベテラン管理職は経験があるからこそ、原因把握の精度が高かったり、実際に起こるさまざまな変化に対応することができ、計画を実行する能力が高かったと推察されます。

マネジメント経験の有無は、組織の悪化を防ぐ方向で力を発揮する

エンゲージメントスコアの悪化度合いを比べると、ベテラン管理職は20%の組織が悪化したのに対し、新任管理職は30%の組織が悪化と1.5倍悪くなっています。

ベテラン管理職と新任管理職の差は、組織の良化の方向では1.23倍、悪化の方向では1.5倍の差となり、組織の悪化を防ぐ方向でより顕著な差がみられました。

何らかの問題が起きればマネジャーは対処せざるを得ないため、組織の悪化を防ぐことは受動的な対応です。誰でも経験によってスキルが蓄積されやすいといえます。

一方で、より良い組織を作るという行動は、自らが取り組もうとしなければ発生しない能動的な活動です。
ただ経験を積むだけでは、組織を良くするというポジティブな方向へのマネジメント能力はあまり高まらないでしょう。

ネガティブな変化に対しては、ベテラン管理職は新任管理職の1.5倍も優れた結果を出したのに対し、ポジティブな変化に対しては新任管理職との差が1.2倍にとどまったのは、そうした背景があると考えられます。
企業は、管理職の「組織に対するポジティブなマネジメント能力」を向上させるための支援を考えていく必要がありそうです。

人や組織は簡単には変わらない|変化を起こせるマネジャーに必要な中長期視点

人と組織は簡単には変わらない|すぐの結果を求める人ほどマネジメントは失敗する

組織やマネジメントの改善に取り組むと、すぐの成果を期待する管理職がいらっしゃいます。
そうした方々は、3ヶ月や半年で成果が出ないと、「大きく変えないと何も変わらないのでは」「新しい仕事に取り組むチームにしたいけどメンバーが動かない。手詰まりだ。」「部下のエンゲージメントスコアに変化が見られない、意味がないのでは」といった感想を持ち、改善への意欲を失ってしまいます。

一方で、下記のように中長期を見据えて、年単位で計画を立て、取り組まれる方もいます。
「管掌事業は業績が伸び組織の拡大が見込まれているため、リーダーの数を増やしていかなければならない。そのためには、権限委譲を進める必要がある。今年はそうした人材の発掘とマネジメントへの興味喚起やキャリアイメージの形成。来年はリーダーとして任命して、マネジメントに関する教育研修を行いつつ、まずは少数チームでマネジメントをさせてみよう。上手くワークするようであれば管理職として登用しより大きいチームを持たせよう。そのために今年は・・・」

たいてい、後者の方が組織運営やマネジメントとして大きな成果を出されます。
人や組織の変化を起こす上で、なぜ短期での計画や期待は失敗しやすいのでしょうか?
今回は、マネジメントが短期で成果が出しにくい理由や、短期視点の乗り越え方について解説します。

チームの歴史は、チームのカルチャー(文化)となり変化を阻む

新規事業でまったくの新造チームでもなければ、企業における組織はすべからくチームの歴史を背負っています。
例えば、次のようなものがチームの歴史により生まれた、そのチームにおける関係性やカルチャーにあたります。

・メンバー同士の興味関心、チームワーク
・失敗の捉え方、挑戦を称賛する空気
・コンプライアンスへの認識
・チーム内で話される言葉(ワード)のチョイス
・顧客に対する考え方
・上司部下の関係性
・毎朝の挨拶があるかないか
・業績へのこだわり、目標達成に対する意識


日々の一つひとつの出来事や、上司部下含めたチームメンバーの言動や態度、なんらかの大きなトラブルまたは成功体験など、そうしたものが積み重なっているのがチームの歴史です。
チームの歴史によって、チームメンバーの関係性やカルチャーが形成されます。
そして、積み重なった歴史は期間が長ければ長いほど、カルチャーや関係性は固定化され強固となり、そう簡単には変わりません。
これは経営学で「現状維持バイアス」とも呼ばれます。たとえ良い変化であっても、組織には慣性が働き、変化への抵抗が起こります。

(参考)現状維持バイアスの乗り越え方

現状維持バイアスはとても強固なため、一気に大きな変化を起こそうとしても大概うまくいきません。
小さな行動や言葉の一つひとつを着実に変えていくことで、大きな変化に繋げることができるようになります。
人や組織は、上司が変えたいと思っても短期間でそう簡単には変わらない。
このことを覚悟して、マネジャーは組織やマネジメントの改善に取り組む必要があります。

短期での上司の変化は、メンバーから見ると本当の変化か疑わしい

上司からすると、自分は変わろうと努力しているけれど、メンバーが応えてくれない、チームに変化は見られないというケースもあるでしょう。
やり方が間違っている場合もありますが、大抵は短期での変化を期待しすぎていることから生じています。

先に述べたように、3ヶ月や半年程度で、マネジャーが実感を得れるほどの大きな変化を望むのは難しいことが多いです。
また、部下からすると、短期間の上司の言動の変化は、単なる上司の思いつきの域を出ません。
「ああは言っているけれど、本当に実行したらまた叱責されるのでは?」
「その通りにしたら結局評価されないのでは?」
と疑わしく、すんなりと受け入れるのは難しいのです。

短い間だけ頑張るなら誰でもできます。継続してはじめて、メンバーは上司の変化を「本当の変化」だと捉えはじめます。
上司が本当に組織を良くしようとしている、マネジメントスタイルを変えようとしている、そうメンバーが感じて初めて、うまく改善の歯車が回るようになるのです。

上司にも背負った歴史がある|変わったと思ってもらうためには時間がかかる

上司としてのあなたの歴史(部下に対する言動、周囲からの見られ方)によって、上司の変化に対する部下の受け入れ方や認識は大きく異なります。

失敗への過度な叱責やパワハラまがいの言動。思いやりのない姿勢や、部下の意見に聞く耳を持たない姿勢。上司の役割責任を勘違いした部下への横柄な態度など、こうした負の歴史を背負っていれば、部下にあなたの良い変化を素直に受け入れろというは無理があります。

上司の背負った歴史が悪いものであればあるほど、メンバーに変化を受け入れてもらう、協力してもらうには多くの時間が必要です。
逆に良い歴史を背負った上司に対しては、メンバーは短い期間であっても変化への協力をしてくれやすいです。

例えば、これまで部下の発言を制していた、自分と異なればすぐ否定していたリーダーがいたとして、「今後は意見を積極的に言ってくれ。より発言が活発に行われるチームにしたい」と言ったとします。
しかし、上司のこれまでの歴史により生まれた、メンバーの中にある「何か思いついても発言しない方がよい」という暗黙のルールをすぐに変えることはできないでしょう。
この認識は徐々にしか変えることはできず、上司の継続した努力が必要になります。

チームの関係性、カルチャーを変えるには継続的なリーダーシップの発揮が必要

マネジメントを改善する上で、マネジャーが短期でなんらかの成果が欲しくなるのは仕方ないことです。しかし、たいていそう上手くはいきません。
組織やマネジメントを改善するには、上司の継続した努力、リーダーシップの発揮が欠かせません。

会社にも、組織にも、上司にも歴史があり、それが関係性やカルチャーとなりチームに根付いています。
社内の会話で顧客に「様」や「さん」を付けずにで呼んでいた組織で、メンバーに高い顧客志向を持たせるには相当な時間がかかるでしょう。
パワハラやセクハラがあっても口頭注意で処分されない、コンプライアンス通報したら通報した人が不利益を被る会社で、コンプライアンスを遵守する会社に変えようと思えば抜本的な改革が必要です。
心理的安全性が低い組織を変えたければ、まず上司の意識や姿勢が変わったことをメンバー全員に納得してもらう必要があります。
メンバー同士が関心を持たないチームで関係性を改善しようと思えば、まず気持ちの良い毎朝の挨拶から始める必要があるでしょう。

人や組織の変化には時間がかかります。小さな変化を積み重ねていくことが必要です。
マネジャーはそのことを念頭に、すぐに諦めることをやめなければいけません。
より良い組織をつくるためには、上司は変化を率先する継続したリーダーシップを発揮し、粘り強く変革に取り組むことが求められるのです。

▶ マネトレは、ミドルマネジャーを起点により良い組織を実現します。「コーチ」と「マネジメントナレッジ」を提供する新しいマネジャー育成・組織改善サービスです。

ESGとSDGsとは|それぞれの違いと具体的な取り組み内容について

ESGとSDGsとは|それぞれの違いと具体的な取り組み内容について

ESGとSDGsの違い|「ESG=プロセス、SDGs=ゴール」

ESGとSDGsは、世界の諸問題の改善・解決のために国連から生まれた言葉です。
どちらも環境や社会などへの配慮が関係しているため、同じような意味合いとして捉えている人も多いと思いますが、根本的な目的に大きな違いがあります。

SDGsは国連や各国政府が主体となっており、世界が共通して取り組むべき目標を指しています。
対して、ESGは民間の企業や投資家が中心であり、企業経営において取り組む課題を意味します。

名称意味対象
SDGs国連の持続的な開発目標各国政府、企業、個人
ESG企業が取り組むべき課題企業、投資家

企業がESG(=プロセス)に取り組むことにより、結果的にSDGs(=ゴール)の実現につながっていくといえるでしょう。

SDGsとは

SDGs

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、2015年9月の国連サミットにおいて採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
環境・社会・経済の3方面から17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

<17の国際目標>

1. [貧困]貧困をなくそう
あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる

2. [飢餓]飢餓をゼロに
飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する

3. [保険]すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

4. [教育]質の高い教育をみんなに
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する

5. [ジェンダー]ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う

6. [水・衛生]安全な水とトイレを世界中に
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

7. [エネルギー]エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

8. [経済成長と雇用]働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

9. [インフラ・産業化・イノベーション]産業と技術革新の基盤をつくろう
強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

10.[不平等]人や国の不平等をなくそう
国内及び各国家間の不平等を是正する

11.[持続可能な都市]住み続けられるまちづくりを
包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で 持続可能な都市及び人間居住を実現する

12.[持続可能な消費と生産]つくる責任 つかう責任
持続可能な消費生産形態を確保する

13.[気候変動]気候変動に具体的な対策を
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

14.[海洋資源]海の豊かさを守ろう
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

15.[陸上資源]陸の豊かさも守ろう
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

16.[平和]平和と公正をすべての人に
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

17.[実施手段]パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

引用:外務省:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202108.pdf

<SDGs 国別の達成状況>

『持続可能な開発目標(SDGs)報告2021』(Sustainable Development Report 2021)による2021年6月のレポートでは、SDGsに対しての達成率をスコア化し、193の国連加盟国中165国をランキングにしています。
日本は165国中18位、1位はフィンランドとなっております。

・日本  Score : 79.85 / 100 / Rank : 18 / 165

ランキングTOP3
・フィンランド Score : 85.90 / 100 / Rank : 1 / 165
・スウェーデン Score : 85.61 / 100 / Rank : 2 / 165
・デンマーク  Score : 84.86 / 100 / Rank : 3 / 165

※Sustainable Development Report 2021は、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN:Sustainable Development Solutions Network)とベルステルマン財団(Bertelsmann Stiftung)によって作成されたレポートで、SDGsに対しての達成率(全て達成100%とし)をスコア化し、193の国連加盟国中165国をランキングにしています。Sustainable Development Report 2021 https://dashboards.sdgindex.org/rankings

1位のフィンランドは、公的福祉制度が充実しており、国民が暮らしやすい環境が整っています。また、教育現場でLGBTについて学ぶ機会を作ったり、女性を積極的に管理職へ雇用したりと、ジェンダー平等への取り組みも進んでいます。
2位のスウェーデンでは、政府が国民とともに積極的にSDGsに取り組んでおり、例えばゴミの分別は100種類に分け、家庭ごみの99%をリサイクルや電力エネルギー源としています。また、大臣の半数が女性で男性の育児休暇取得も当たり前になっています。
3位のデンマークでは、食品ロスへの取り組みや、オーガニック食材の利用率が高いことがSDGsへつながっています。

ESGとは

ESG

ESG(イーエスジー)とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉で、企業経営において取り組む課題を意味します。
この3つを企業が積極的に取り組むことにより、企業を中長期的に成長させていくことを目的としています。
企業の財務状況だけではなく、株主や投資家の立場からもESGの観点を重視する傾向が広まっています。

ESGの具体的な取り組み内容

● 環境(Environment)

・再生可能なエネルギーの使用
・CO2や温室効果ガスの排出量削減
・製造工程での廃棄物低減
・分別やリサイクルによる廃棄物の削減

● 社会(Social)

・地域社会への貢献
・ダイバーシティ(人材の多様化・女性活躍)
・ワーク・ライフ・バランス
・男女平等な採用形態・待遇

● ガバナンス(Governance)

・企業情報の開示
・取締役会の多様性
・リスク管理体制の構築
・資本効率への高い意識

世界で増加しているESG投資

ESG投資とは、ESGの環境・社会・ガバナンスという3つの観点に配慮した企業に対して投資を行うことをいいます。
従来の投資は、売上高や利益といった過去の実績を重視しますが、ESG投資では非財務情報の観点を重視します。

<ESG投資の種類>

ESG投資は、以下の7種類に分けられます。

ESG投資の種類
  1. ネガティブ・スクリーニング(Negative/exclusionary screening)
  2. ポジティブ・スクリーニング(Positive/best screening)
  3. 規範に基づくスクリーニング(Norms-based screening)
  4. ESGインテグレーション型(ESG integration)
  5. サステナビリティ・テーマ投資型(Sustainability-themed investing)
  6. インパクト投資型(Impact/community investing)
  7. エンゲージメント・議決権行使型(Corporate engagement and shareholder action)

① ネガティブ・スクリーニング(Negative/exclusionary screening)
ネガティブ・スクリーニングとは、ESGの観点で問題がある業種や企業を投資対象から外す方法です。
武器・たばこ・ポルノ・ギャンブル・アルコール・原子力発電・動物実験・化石燃料・温室効果ガス排出などが該当します。

② ポジティブ・スクリーニング(Positive/best screening)
ポジティブ・スクリーニングとは、ネガティブ・スクリーニングと対照的に、ESGの観点から評価の高い業種や企業に投資する方法です。
環境問題・人権問題・従業員対応・ダイバーシティなどに積極的に取り組んでいるかが判断材料となります。

③ 規範に基づくスクリーニング(Norms-based screening)
規範に基づくスクリーニングとは、ESG分野での国際規範を基に、その基準をクリアしていない企業を投資先から除外する方法です。国際規範に満たないものを除外することで、ESGへの貢献度が高い投資先を選べるようになります。
国際規範には、国際労働機関(ILO)などの国際機関が定めるものが参照されます。

④ ESGインテグレーション型(ESG integration)
ESGインテグレーション型とは、投資先を選定する際に、財務情報だけでなく、ESGに関連する非財務情報も組み合わせて総合的に投資対象を判断する方法です。
ESGの観点だけではなく、しっかりと収益を上げているかという財務面も考慮します。

⑤ サステナビリティ・テーマ投資型(Sustainability-themed investing)
サステナビリティ・テーマ投資型とは、サステナビリティ(持続可能性)をテーマにした企業へ投資する方法です。
特に再生可能エネルギーや持続可能な農業等に関する投資が挙げられます。

⑥ インパクト投資型(Impact/community investing)
インパクト投資型とは、社会や環境に対する技術やサービスなどを提供する企業に対して行う投資方法です。
大きく分けて、財務状況よりも環境や社会へのインパクトを重視するタイプ、双方ともに追求するタイプの2つがあります。

⑦ エンゲージメント・議決権行使型(Corporate engagement and shareholder action)
エンゲージメント・議決権行使型とは、投資先との関わり方に関連した方法のことです。
エンゲージメントとは、株主の立場から企業に対してESGに関する案件に積極的に働きかける投資方法です。
議決権行使はエンゲージメントよりも強力な方法で、株主総会で議決権を行使し、株主が企業の意思決定に対して力を行使するものです。

企業の取り組み事例

SOMPOホールディングス株式会社

保険会社のSOMPOホールディングスは、グループのESG課題を把握した上で、2011年度から主要な国内外連結会社も含んだアンケートを実施し、主要ESGデータとして公開しています。
環境分野では、「CO2排出量」や「廃棄物のリサイクル量」、社会分野では「女性管理職比率」や「社会貢献活動への参加人数」などの情報を開示し、取り組み内容を公開しています。
また、東洋経済新報社が2021年に発表した「CSR企業白書2021年版」ESGランキングでは昨年に続き1位になっています。

参考:https://www.sompo-hd.com/csr/esg/data/

KDDI株式会社

電気通信事業のKDDIは、「ステークホルダーの評価や意思決定への影響」と「自社が社会・環境・経済に与えるインパクト」の2つの視点のもと取り組みの検証を行い、6つのマテリアリティを定めそれぞれ詳細な数値目標を設けています。

6つのマテリアリティ(重要課題)
・人権尊重と公正な事業活動の推進
・安全で強靭な情報通信社会の構築
・ICTを通じた心豊かな暮らしの実現
・情報セキュリティの確保とプライバシーの保護
・エネルギー効率の向上と資源循環の達成
・多様な人財の育成と働きがいのある労働環境の実現

参考:https://www.kddi.com/corporate/ir/ir-library/annual-report/2018-selected/esg/

花王株式会社

石鹸や洗剤などで有名な消費財メーカーの花王は、ESG戦略に「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)を掲げ、「快適な暮らしを自分らしく送るために」「思いやりのある選択を社会のために」「よりすこやかな地球のために」という3つの柱で取り組みを推進。
生活者の目線に立ったESG視点の「よきモノづくり」を通して社会のサステナビリティ実現と企業価値の向上につなげる活動をしています。
また、ESG推進体制を構築し、ESGの推進における組織や役割、開催頻度なども明確に提示され、社外の視点を反映させるため社外有識者で構成されるESG外部アドバイザリーボードなどの組織体制が築かれています。

参考:https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/klp-pr-2021-07.pdf

オムロン株式会社

大手電機機器メーカーのオムロンは、気候変動への取り組みとして、2018年7月に「オムロン カーボンゼロ」を設定し、2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指しています。
また、主要ESGデータとして、環境分野では「温室効果ガスの排出削減」「エネルギー使用量の削減」「使用化学物質の管理」「廃棄物削減」「商品リサイクル・リユース」などに取り組み、その実績を年度ごとに公開しています。
他、社会分野では「海外重要ポジションに占める現地化比率」や「管理職に占める女性比率」、ガバナンス分野では「内部通報・相談件数」などの件数も公開しています。

参考:https://www.omron.com/jp/ja/ir/irlib/pdfs/esg/20210301_esg_presentation_j.pdf

▶ マネトレは、ミドルマネジャーを起点により良い組織を実現します。「コーチ」と「マネジメントナレッジ」を提供する新しいマネジャー育成・組織改善サービスです。

株式会社旭プロダクション
事業の拡大で管理職の役割がより重要に ― 伴走型の管理職育成を実現

株式会社旭プロダクション_人事総務部長_福田豊さん

社名株式会社旭プロダクション
事業内容アニメーション制作
従業員数160名

  • 既存の管理職研修にプラスしてマネトレを導入
  • 学んだことの実践は過程を導いたり伴走したりしてくれる人がいた方が効果的
  • 一般論でなく各自の課題に正面から向き合うことに共感

株式会社旭プロダクションは1973年に設立、「世界中の人々に感動を与えるアニメーションを提供し、愛される企業になる」をミッションとしたアニメーション制作会社です。
制作工程の一部である撮影業務を中心に、作画やCG制作のほか、元請制作も行っています。
東京に本社のほか1拠点、宮城県に1拠点を持ち、社員数は160名程度です。
そんな同社では、管理職の育成・強化にどのように取り組まれているのか?
今回は、株式会社旭プロダクション 人事総務部長の福田豊さんに、お話をお聞きしました。

事業の拡大と共に、人材育成が経営テーマに

人事としてのこれまでの取り組みを教えて下さい。

10年ほど前から事業拡大と共に社員数も急増してきましたが、組織体制や社内制度が追い付いていませんでした。
そこで、ここ数年は、組織やマネジメント体制の整備、人事評価制度やその他の社内制度の整備などに注力してきました。

そして、現在は、「人材育成」が経営テーマのひとつとなっています。
3~4年前から行っている取り組みとして、人材育成に関する社内プロジェクトを立ち上げ、「管理職の育成・強化」「従業員の計画的育成」を目的とした様々な施策を実施しています。
従業員の育成に関するものでは、ビジネススキルに関するWeb研修を導入したり、OJTの方法論を研究して社内への定着を図ったりしています。

管理職向けでは、人事評価研修や会計基礎研修などの社内研修を実施したり、外部の研修プログラムに受講者を選抜して参加させたりしています。

研修で学んだことを実際のマネジメント業務に活かすのは本人任せでは難しい

なぜマネトレに興味を持ち、検討されたのか教えてください。

以前に知ったときから興味深いサービスだなと思い気になっていました。
管理職の育成・強化策というと、どうしても研修のような単発の取り組みになってしまい、継続性を持たせることが難しいと感じています。
マネトレは、組織改善のPDCAを繰り返していくサービスなので、継続して実施できるところがいいなと思いました。

また、研修などで学んだことを実際のマネジメント業務に活かすのも簡単ではなく、本人任せでは苦しいと感じていました。
研修などで学んだことは、仮説として実際の業務で試し、少しずつ修正していく中で本当に身につくものだと思いますが、その過程を導いたり伴走したりしてくれる人がいた方が効果的だと。
一般社員であれば、上司であったり先輩であったりがその役目を果たしてくれることも多いですが、管理職の場合、さらに上の上司がその役目を果たせるかというと現実的ではないと思います。

マネトレは、システムとコーチがそうしたサポートを継続して行ってくれるので、管理職の成長スピードを上げることができるのではないか、と思いました。
これらの理由で導入を決断しました。

他にどのようなサービスを検討されましたか?

単発の研修以外ですと、マネジメント力診断テストのようなものを検討していました。各管理職に、その診断結果を見てもう一度自分を見つめ直してもらおう、という意図です。
ただ、自分を客観的に見つめ直すことができたとしても、その後に続く施策がないと効果が出にくいと思い、保留にしてあります。

株式会社旭プロダクション_人事総務部長_福田豊さん

研修にある一般論ではなく、各自の課題に正面から向き合うことが重要だと考えた

マネトレのどんな点をポジティブに思い導入を決められたのでしょうか?

管理職向け研修は何度か実施していますが、どうしても一般論がベースとなってしまい、個々の管理職の課題や悩みに正面から応えることはできません。
一方、マネトレでは、自分が管理する組織の課題についてPDCAを回すので、各自の課題に正面から向き合うことになります。
その過程で個々の管理職が知識やスキルの不足を感じた場合には、一般論を学ぶモチベーションも変わってくると思います。

また、各管理職のPDCAについてのサマリーレポートにも期待しています。
弊社の管理職がどのようなことを課題と感じ、どのような取り組みをしているか、という客観的データが手に入るので、そのデータを活用して、我々も他の管理職向け施策を検討したいと考えています。

価格や導入までのサポートはどうですか?

サービス内容から考えると、かなり安く挑戦的な価格設定だと感じています。担当営業の方には、本当にこの価格でやっていけるのかと聞いてしまいました。
おそらくシステムの活用により効率化と省力化を図っているのだと思いますが、その割には導入にあたってこちらのワガママなお願いにも柔軟に対応していただけたので、その点も驚きました。

マネジメント力が向上したと実感する管理職をひとりでも多くつくりたい

マネトレをきっかけにマネジメントに対しどのような期待を持たれていますか?

求めているゴールは、管理職のマネジメント力の向上です。
組織改善のPDCAを回すことで各組織が改善されていくことも望んでいますが、一番はマネジメント力向上を求めています。

マネトレを通じて、現状を分析し、改善計画を立案し、実行して振り返るという取り組みを継続することで、各管理職がマネジメント力を向上させてくれることを期待しています。
マネトレの説明を聞いてやる気になっている管理職もいるので、目に見える成果が出てくれると嬉しいですね。

また、最前線で現場を管理している管理職にとって、実際に向き合っている課題とマネジメントに関する一般論の知識や方法論を繋げることが難しいようなので、マネトレがそこをうまく繋げてくれるといいなと思っています。
その結果として、実際に組織や自分の課題が解決した、マネジメント力が向上した、そのような実感をもつ管理職が一人でも多く出てほしいと願っています。

福田さん、本日はありがとうございました!

現状維持バイアスの乗り越え方|「節目」を活かしてチームに変化を生み出す

「節目」の活用|年始や年度始めなどの節目を使ってチームに変化を生み出す

より良い組織にしたいと思っているが、なかなか思うように変わらない。
変化に対して、頑なに拒むメンバーがいる。
マネトレコーチに、このような悩みを相談いただくことがよくあります。

こうした変化への抵抗は多くの組織で当たり前に起こる反応であり、マネジャーは当然に抵抗が発生すると認識して、あらかじめ計画に折り込む必要があります。
今回は、変化への抵抗が発生する要因を解説し、チームに変化を生み出す方法の1つとして、年始や年度始めといった「節目」の活用法をご紹介します。

職場には変化を妨げる力学がはたらいている

合理的に考えると変化した方がいいのに、なぜか組織は変わらない。
一度はこのように感じた経験があるのではないでしょうか。

経営学では、組織がなかなか変革できないことを、比喩的に「組織の慣性」(organizational inertia)といいます。
物理学の慣性(静止している物体は、外部から力を加えられない限り、静止状態を続ける)と同じように、人や組織にも慣性が働きます。
別のものに切り替える十分な理由がない限り、というより切り替える十分な理由があるにも関わらず、人はすでに在る状態や、持っているものに固執するのです。

組織の変化を妨げる要因について、過去には「人はたいして変われない」「30か35歳くらいには人は完成し成長が止まる」と思われている時代もありました。
しかし、今は数々の研究結果から、「人の脳には生涯を通じて適応を続ける能力が備わっている」ことが分かっています。
つまり、成長が止まり変化できなくなるという肉体的な理由ではなく、「変化したくない」という感情的な作用により、変化が妨げられているのです。

以下で、変化を妨げる力学として、合理的な理由である「移行コスト」と、人の感情に起因する非合理的な「現状維持バイアス」について解説します。

移行コスト|変化には時間や労力がかかる

移行コストとは、現状から新しいものに移行する際に発生するコスト(金銭、時間、労力)のことです。
変化により得られる利益より、移行コストが大きい場合は、合理的に考えても変化しない方が良いという判断になります。

移行コストを考慮していない/見積もりが甘いことが原因で変化が拒まれているケースも少なくありません。
簡単に移行できると思っていたが、実は影響範囲が大きく、業務システムや他部署にも影響が及ぶなど、マネジャーから見えていないコストがある場合もあります。
メンバーにヒアリングするなどして、きちんと移行コストを見積もった上で進めるのが賢明です。

また、変化させる理由や変化により見込まれる利益の説明が不十分な場合、変化させることのメリットが正しく伝わらず、メンバーが持つ情報で判断すると移行コストの方が高いとなる場合もあります。

メンバーとのコミュニケーションが少ない組織や、テレワークなどでコミュニケーションが減った際に起こりやすいので、注意しましょう。

現状維持バイアス|人は現状のままであることを好む

現状のままであることを好む傾向は、経済学者のウィリアム・サミュエルソンとリチャード・ゼックハウザーにより「現状維持バイアス」(status quo bias)として提唱され、広く知られています。

現状維持バイアス

たとえ有益であったとしても、知らないものや経験したことのないものを受け入れることに心理的な抵抗が生じ、現在の状況に固執してしまう心理傾向(バイアス)

同じ職場で長く仕事をしているメンバーには、「何かを変化させることによって得られるメリット」より、「現状維持することのメリット」を高く見積もってしまうというバイアスがかかります。
現状維持バイアスはあらゆる場面で作用しており、マネジャーが組織をより良くするために何か変化を生み出そうとする場合でも、抵抗や反発が生まれてしまいます。

現状維持バイアスに陥る背景としては、以下のような心理特性が影響していると言われています。

①損失回避|利益より損失の方が大きく感じる

不確実性下における意思決定モデルの1つである、プロスペクト理論が有名です。
人は、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向(損失回避性)があり、利益より損失の方が大きく感じるという理論です。
ここでの損失は、金銭だけではなく時間や労力を含み、また今後発生することが見込まれる潜在的な損失も含みます。

メンバーには、慣れ親しんだやり方が染み付いており、それを変化させることはメンバーにとって潜在的な損失となります。
また、損失を大きく感じる傾向があるため、マネジャーが工数以上にメリットが大きいと考えていたとしても、メンバーには工数の方が大きく感じられていることも多々あります。
マネジャーやリーダーへの昇格など強制的に視座を高めることを求められる場合を除いて、メンバーが俯瞰的な視野を持つようになることは稀です。
そのため、たとえ会社や組織のために必要な変化だとしても、変化には大きなエネルギーが必要なため、メンバーの視座ではできる限り現状を維持したいという思考になってしまうのです。

②埋没費用|かけた時間や労力がもったいないと感じる

埋没費用(サンクコスト)は、すでに発生したコスト(金銭、時間、労力)のうち、将来回収できる見込みのないコストのことです。
自分の時間や労力を注ぎ込んだという事実から「もったいない」「元を取らないと」「損したくない」という感情を持ち、意思決定の際に合理的な判断を歪める場合があります。
これから起こしたい変化により、メンバーが力を注いで作り上げたものが廃止となる場合や、十分な成果が出る前に中止や方向転換をする場合は、埋没費用をもったいないと感じるメンバーから反発が起きる可能性が高いです。

③単純接触効果|慣れ親しんだものを好む

人は、経験していない事・よく知らない事・不確実なことに不安を感じます。
そのため、前例があるものや慣れ親しんだものを好む傾向があります。
また、繰り返し接すると好意度や印象が高まるという心理的な傾向もあり、単純接触効果と言います。

現状維持バイアスを乗り越える方法

現状維持バイアスは、人が元来持つ心理傾向であり、取り除くことはできません。
そのため、マネジャーは、現状維持バイアスの存在を理解し、存在する前提であらかじめ対処法を計画に盛り込むことが必要です。

現状維持バイアスを乗り越えるために不可欠なのは、なぜ変化させるのか、その変化で何が得られる(回避できる)のかをメンバーにきちんと伝えることです。
この説明を怠ると、変化により得られる効果が理解できず、「マネジャーが楽をするための変化では?」「無駄な工数が増えるだけ」「忙しいのにまた仕事が増えた」といったマイナスの印象だけ与え、逆効果になってしまうことが少なくありません。

  • 何のために変化させるのか、目的や意図をきちんと説明する
  • 変化させることで、メンバーが得られる利益、将来回避できる損失を伝える
  • 変化に伴う、メンバーの負担増が少ない/一時的に負荷が増えるが中長期で楽になることを伝える
  • バイアスで歪んで捉えられないよう、数字やデータを用い、客観的に課題やメリットを提示する
  • 小さなことから取り組む/簡単にできそうなことから徐々に大きな変化に繋げる
  • 変化を起こした場合に感じるリスクを洗い出し、リスクを回避する方法を考え共有する(必要以上に感じてしまう漠然とした不安を解消する)
  • 変化に頑なに抵抗するメンバーがいれば個別対話する/相手の反発する理由(メンバーが持つ物語)を聴く

会社や組織の都合だけでなく、メンバー視点で、客観的に分かりやすくメンバーに理解される説明を心がけましょう。
「メンバーにとってこんなメリットがある」、「こういう理由で会社や組織にとって必要不可欠。メンバーにとってもそこまで負担が大きくない」など、メンバーの視点からでも納得できる伝え方ができれば、現状維持バイアスを緩和することが可能です。

また、変化を起こす上で不安に感じる点を事前に洗い出し、対策を講じることも有効です。人は未知のものに漠然とした大きな不安を抱くので、メンバーに起こりうるリスクを明示し、そのリスクに対処する方法も考えてあることを共有すれば、不安を限定することができます。

小さなことから徐々に変化を起こしていくステップを考えることも有効です。現状維持バイアスはとても強固なため、一気に大きな変化を起こそうとしても大概うまくいきません。
抵抗の少ない小さな行動や言動の一つひとつから変えていくことで、中長期で大きな変革に繋げていくことが可能になります。

節目の効果|心機一転がんばろうと思えるタイミング

新しいことを始めてみよう!と思うタイミングといえば、いつでしょうか?
まず年始や年度の変わり目を思い浮かべ、次いで四半期の始まりや、組織変更や異動の直後などをイメージされる方が多いかと思います。
明確な論拠はないのですが、正月の書き初めや、4月の入学式やクラス替えなど、様々な「節目」を意識させる行事があり、そのタイミングで目標を立てる経験をしてきたことから、節目を迎えると心機一転頑張ろうと思う人が多いのではないかと思います。

現状維持バイアスにより変化を拒むメンバーが多くなる傾向がある中で、「節目」は唯一といって良いほど希少な、メンバーを「変化してみよう」というポジティブな心持ちにさせることができる機会です。
とはいえ、何も働きかけずに、メンバーの意識が勝手に変わってくれるわけではありません。マネジャー自身がチームの目標を掲げてメンバーに伝えたり、メンバーにも同様に次の節目までの目標を立ててもらうことで、節目を意識させ、節目ごとに変化を促す土台を作ることができます。

変化を生み出せるマネジャーは、会社の目標設定や評価が年に1回だとしても、四半期の区切りやプロジェクトの切れ目など、自ら「節目」を増やしてそのタイミングで変化を作り出しています。
人は感情の生き物なので、こうした人の心理をある程度理解しておくとマネジメントにも活かせるのです。

節目のようにポジティブに心理が働く場合は、ぜひそのタイミングを逃さず活用しましょう。追い風となり、変化を起こしやすくしてくれます。
逆に、現状維持バイアスのようにマイナスに心理が働く場合は、逆風の中で変化を起こそうとしているような状態です。同じ変化を起こすのにも大きなパワーを必要とします。

マネジメントでは、強い逆風の中でも走らないといけない場面も多々あります。その際は、ポジティブな心理で逆風を弱めて進めることで、変化を生み出しやすくできます。
節目を活用したマネジメントをスタートさせてみてはいかがでしょうか。

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【利用マネジャーへのインタビュー】
日々のマネジメントにコーチを活用(住友電工グループ)

住友電工電子ワイヤー

社名住友電工電子ワイヤー株式会社
事業内容電子機器、情報機器用電線及びその加工品の開発・製造
従業員数グループ連結 286,784名

  • 海外、国内でマネジメントを経験
  • 日々のマネジメントに関する相談をコーチに
  • 親身に向き合っていただき満足

マネトレを活用されている現場マネジャーへのインタビュー内容をご紹介します。
今回は、住友電工電子ワイヤー株式会社にて、生産管理のリーダーを務める羽田野さんにお話を伺いました。

最初に、担当組織やマネジメントの状況を教えてください。

現在はリーダーとして、工場の生産管理チームのマネジメントを行なっています。
マネジメント経験としては、海外赴任をしていた際に中国の会社で2年程度、今のチームは1年くらいで合わせて3年程度の経験です。

中国にいた際は、直接のマネジメントというよりは、現地の優秀なスタッフを通じて、多種多様な階層の人たちを間接的にマネジメントする形でした。
本来は、直接のマネジメントを経験した上で、管掌組織が増えるとともに間接的なマネジメントに移行するのだと思いますが、私の場合は先に間接的マネジメントからスタートだったので、多種多様な人たちを直接マネジメントする大変さ、難しさを今感じています。
マネジメント人数としては、現在7名です。中国の時の方が人数自体は多いですが、直接マネジメントする人数としては今の方が多いですね。あと、直接メンバーのマネジメントというのもあって、問題も生々しく、難しさを感じる場面は多いです。

マネトレコーチ活用前後の印象|期待通りかそれ以上のフィードバックをいただけている

活用前としては、マネトレの導入説明を聞く中で、コーチに相談するとマネジメントに関して第三者視点で客観的な意見をもらえるんだろうなという印象を持ちました。最初は、そうした期待をして相談のメッセージを送った覚えがあります。

これまでに5回以上相談させてもらいましたが、的外れやそうは言っても、、という回答はなく、相談の意図を汲み取って、期待通りかそれプラスαのフィードバックをいただけていると感じています。

コーチの活用場面|サーベイの解釈やナレッジシェア、日々のマネジメントに関する相談

コーチの活用場面としては、大きく2つですね。
1つ目は、マネトレのアンケート結果がスコアとして出てくるので、この項目が高く、この項目が低いといった千差万別の結果に対して、その結果の解釈や王道のアプローチ、他社事例を含めた成功事例の確認に使っています。

もう一つは、日々のマネジメントにおいて問題に直面した時に、その場面を抽象化した上で、抽象化した場面での世の中一般の王道のアプローチを知りたい時に活用します。
問題に直面した際は、もちろん上司に相談しながら進めていますが、上司も私もその人のことを知っているので、どうしても「その人の問題」と個別化して捉えがちになってしまってると感じます。
そのため、問題自体は解決できますが、世間一般でそれはよくある問題で、世間一般でそれは正しい解決法なのかという点では、冷静な意見をなかなか得にくいところもあるので、一般論として正論をもらえるというのは非常にありがたいですね。

体系的なマネジメントスキルを身につけるためには、こうした個別事象の本質を捉えて、他の場面でも適応できるようにしていく必要があると思っています。
マネジメントについては、各マネジャーがそれぞれ場当たり的にやっている感があり、体系的なマネジメントスキルを持ってる人は少ないと感じますし、人事総務もマネジメントの専門家というわけではない。
マネジメントという切り口で、客観的な意見をもらえる機会は他にないので、抽象化した場面でのマネジャーとしての立ち位置や考え方を確認したいときに相談することが多いですね。

コーチへの満足度|親身に向き合っていただき満足している

特に不満は抱いていなくて、総じて満足しています。
私も客観的に書こうと思いつつ、やや混乱してるような相談のメッセージもあるのですが、そう言ったものも噛み砕いて理解していただいて、1回で100%の回答ができない場合は確認や質問を返していただいたりと、ちゃんと向き合っていただいてるのが伝わります。
あと、問題解決とともに、私に対する同調というか、私のメンタルケアもしていただいているのかなと感じるような表現もあり、それは思わぬ副産物です。
自分なりに考えてマネジメントしているものの、一般的な対応なのだろうか、他に良い方法があったのではないかと相談した時などに、「羽田野さんのアプローチは間違っていません」といったコメントをいただくと安心しますね。

回答スピードについても、2日以内に回答というのはきちんと守っていただいていて、遅いと感じることはないですね。
メンバーへの対応として、緊急性が高いことがあった際に、すぐに相談できればそりゃ満足度は高まるでしょうが、現実的に無理なのは理解しているので。翌日に回答が届く今のスピードで、不便に感じることは全くないです。

今後に向けて|体系的なマネジメントスキルを身につけ、チームとしてもレベルアップ

今のチームとしては、この1年手探りでやって現状把握と問題点が見えてきたという状況です。これからきちんと問題に対処していき、個人としては体系的なマネジメントスキルを身につけ、チームとしてもレベルアップを実感したいです。

少し視野を広げると、直接的に顕在化しないメンバーの不和などの問題について、あまりタッチしない、先送りにするといった傾向があるように思っており、これは自分だけでなく他のマネジャーにも当てはまるマネジメントとしての課題なのかなと思っています。
例えば、「あの人とあの人はあまり会話しないので、連絡する時はそれぞれ個別に連絡しなきゃ」とか、「あの人は当日の依頼は対応してくれないから自分でやらなきゃ」といった形で顕在化すると、組織の生産性や働きやすさを押し下げていると思います。
ただ、実務でのやりづらさがあっても、工場のラインが止まるわけではないので、なかなか課題としての優先度が高まってこない。逆に、そのまま定着してしまって「そういうものなんだ」で落ち着いてしまうと、マネジメントで改善しようという発想にすら至らなくなってしまう。

こうした問題は、その時は逃げられるかもしれませんが、後々自分自身か後任者に顕在化して降りかかってくるため、本来は対処していかなければならないものです。
マネトレのアンケートでは、こうした組織の問題点がスコアとしても表れているので、各マネジャーがそういうものなんだで済まさず、きちんと課題として向き合っていくことが大事だと思います。
私自身がこうした問題の改善に取り組み、成功事例を作った上で、組織全体にも広げて行けたら良いと考えています。