等級制度とは?|知っておきたい等級制度の種類とその内容

等級制度とは?|知っておきたい3つの等級制度とその内容

たいていの会社には等級制度がありますが、等級制度の種類や自分の会社はどの等級制度なのか知っている人は多くありません。
しかし、等級制度は評価に直結するものであり、等級制度について知ることで、会社の考えや方向性をより深く理解できるようになります。
今回は、人事や管理職であれば知っておくべき主な等級制度3つの特徴と、制度ごとのメリット・デメリットについてご紹介します。

等級制度とは

等級制度

等級制度とは、従業員の能力や職務、役割などをもとに分類し、序列化する制度です。
人材育成や人材配置、評価や給与など、人事制度の基礎となります。

等級制度を整備することで公平性が保たれ、また「会社がどのような人材を必要としているのか」を示すことができ、従業員は会社が必要としている社員像を理解することが可能となります。

等級制度の分類基準

等級制度は大きく分けて以下の3つに大別されます。

等級制度の分類
  • 職能資格制度 = 能力(人が基準)
  • 職務等級制度 = 職務(職務内容が基準)
  • 役割等級制度 = 役割(役割が基準)

分かりやすいところでいうと、年功賃金や終身雇用に代表される日本型雇用は人に付随する能力で等級を分ける職能資格制度です。
昨今話題のジョブ型は職務の内容で等級を分ける職務等級制度です。
これらは、単独または組み合わせて導入されます。

等級制度の効果

等級制度は、人事管理や労務管理の基準になるもので、主に下記のような効果を期待できます。

・適材適所の人材配置が可能になる

人事管理や労務管理の基準である等級制度により従業員の分類基準が明確になり、適切な人材配置が可能になります。

・ 人事育成の指針になる

会社が求める人物像が明確になることで、どのように人材育成を行っていけばいいか考える上での指針になります。

・ 従業員のモチベーションにつながる

等級制度を整備することで会社がどのような人材を必要としているのかが分かるため、従業員はそれを目標とすることができ、目標の明確化によりモチベーションに繋がります。

・ 従業員の賃金の決定がしやすくなる

等級制度により賃金の基準が明確になることで、従業員の能力や役割に応じて決定でき、従業員の賃金の決定がしやすくなります。

・ 評価に公平性、客観性が生まれる

等級制度による明確な基準があることで、基準に即して公平に評価することができ、主観によらない客観的な判断が可能になります。

職能資格制度

✅ 特徴

・人の持つ能力に付随するため、組織上の役職や職務と一致するとは限らない
・ここでいう能力は、特定の職務に関するものではなく、すべての職務に共通するものとして設定される。故に能力の基準は非常に抽象的な表現となる。
・すべての職務に通ずる能力基準は抽象的で評価しにくいため、等級が実質的には年功序列になりやすい。
・人の能力は急に下がるものではないので、職務や役職が変わろうと基本的に降格はない。
・日本固有の制度といわれている。

✅ メリット

ゼネラリスト育成に向いている
 従業員が様々な経験を積むことで能力が高まったと評価に繋がる職能資格制度では、複数の部署でキャリアを積ませることが合理的なため、ゼネラリストの育成がしやすい。
 

従業員が希望する職種転換を行いやすい
 職種が変わっても等級は下がらない(≒給料が下がらない)ため、 従業員は新しい職種にチャレンジすることができる。
 

柔軟性のある組織づくりに役立つ
 幅広い仕事に対応できる人材が育つことで、人事異動や配置転換などの組織改編をスムーズに行え、柔軟性のある組織づくりに役立つことができる。
 

従業員は安心感を得やすい
 仕事をしていれば着実に等級(≒給与)が上がっていくため、従業員にとって働く安心感がある。

✅ デメリット

・能力考課が難しい
 あらゆる職務に共通する能力となると定められる能力は抽象的にならざるを得ず、それに基づくきちんとした評価は難しい。そのため、経験により能力が高まったと見なした年功序列の運用になってしまう。
 

・人件費の負担が大きくなる
 職能資格制度では年功序列で勤続年数により能力が高まったとされ等級がアップする。それに伴い給与がアップするため、勤続年数の長い従業員が増えるほど、総人件費が高くなる。
 

・実績と評価にギャップが生じる
 職能資格制度は総合的に従業員を評価するもので、特定の業務への実績で判断するものではないため、実績と評価にギャップが生じる可能性がある。
 

・等級と職務、役職にギャップが生じる
 年功序列で等級が上がってもポジションが増えるとは限らないため、等級に見合った役職が不足する。等級と役職、職務とのギャップが発生し、名ばかり管理職や不要な役職が増える傾向がある。
また、仕事内容は若手と変わらないのに、勤続年数が長いので等級は高い(≒報酬は高い)といったことが発生し、若手・中堅社員の不満に繋がる。

職務等級制度

✅ 特徴

・仕事(職務)を基準とした等級である。職務の内容で等級が割り振られる。
・あらゆる職務について職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)が作成され、従業員と合意される。
・評価対象は職務のみで、雇用形態や勤務年数、年齢などと等級は関係がない。
・職務価値により賃金が決定される。そのため、同じ職務であれば、誰でも等級(≒賃金)は同じとなる。
・レベルの高い仕事(職務)ができる従業員が評価されるため、技術職や専門職と相性が良い。
・アメリカを中心とする欧米企業で一般的な制度で、日本では主に外資系企業で導入されている。

✅ メリット

・採用時のミスマッチを防ぐことができる
 仕事内容を明確化され自社に必要な能力がランクによって示されているため、応募者に求めるスキルがはっきりし、採用時のミスマッチを防ぐことができる。
 

・給与と労働の関係が明確
 ジョブ・ディスクリプションに明記された内容に沿って給与や賞与が決まり、職務の成果により評価が行われるため、客観性の高い評価が可能となる。

 
・人件費の変動が少ない
 従業員の待遇が仕事の内容でランク付けされているため、仕事内容に変更がない間は給与や賞与などの賃金が増加することはなく、人件費の変動が少ない。

 
・総人件費のコントロールがしやすい
 職務によって賃金が決定するため、事業が拡大してポジションが増えなければ人件費は増えることが無い。そのため、先にあげた職能資格制度のように、翌年になれば継続雇用されている従業員の等級が上がり、何もしなくても総人件費は年々上昇するといったことは発生しない。
 

・スペシャリストの育成
 ジョブ・ディスクリプションに明記された職務に専念することで従業員の業務の範囲が他の制度と比べて狭く、特定の分野における専門性を高めることができスペシャリストの育成につながる。

 
・公平な評価が可能(差別を防ぐことができる)
 仕事のみで評価されるため、人種や性別の差別などが発生しにくい。欧米では企業側が差別で訴えられるリスクを減らす目的もあり広く導入されている。

✅ デメリット

・人事業務の負担が増える
 ジョブ・ディスクリプションで職務の内容を詳細に明記する必要があるため、ジョブ・ディスクリプションの作成や管理により人事業務の負担が増える。
 

・成果以外での評価が難しい
 事前にジョブ・ディスクリプションで明記した仕事の成果のみで評価される制度のため、仕事の内容とは直接の関係がないプロセス面や貢献への評価が難しい。
 

・従業員に継続して勤めるインセンティブを与えにくい
 職務が変わらない限り給与の上限が限られるため、今より上のポジションが空かなければ向上心やモチベーションが維持しにくい。そのため、スキルや給与を高めるために、他社の空きがある高度なポジションに転職するモチベーションが起こりやすい。
 

・配置転換、組織の柔軟性確保が難しい
 職務のレベルが下がれば給与も下がるため、従業員は専門性を持った職務以外の配置は望まない。また、職務記述書で合意した職務しか担わせることは出来ないため、企業側が勝手に従業員を異動させることはできない。

役割等級制度

✅ 特徴

・従業員に役割(職務ほど細かくなく、職責を果たすために必要な役割・行動を大まかに記述したもの)を設定し、その成果に応じて等級が決まるもので、ミッショングレード制とも呼ばれている。
・役割は、各々の職種×等級ごとに設定され、職務だけでなくポジションに応じた非定形の業務も含む。それぞれに役割定義書が作成される。
・役割は、勤続年数や役職に関係なく設定される。
・評価においては、職務の難易度と、人の能力のどちらも評価される。例えば、能力があってもその役割を果たしていなければ、その等級の評価は受けられない。(先に挙げた職能資格制度では能力があれば役割を果たしていなくてもその等級の評価が受けられる)

✅ メリット

ポジションに応じた(役割の大きさに応じた)評価、給与が可能になる
 ポジション毎に求められる役割、業務の難易度、会社が期待している成果ごとにランク付けされているため、役職が上位の従業員に対して貢献度に応じた評価、給与が可能になる。
 

・モチベーションアップにつながる
 「会社が従業員に何を求めているか」を周知することができるため、やるべき仕事が明確になり、従業員が自ら目標を持ち仕事をするため、モチベーションにつながる。
 

・人件費を抑えることができる
 勤続年数に応じて従業員の賃金を増加させる必要がないため、人件費を抑えることが可能になる。
 

・職務や組織の変化に対応できる
 役割は職務等級制度のジョブ・ディスクリプションのように細かく決まっているものではないため、職務や組織の変化があっても柔軟に対応することができる。

✅ デメリット

・役割の設定が難しく、負担が大きい
 制度の導入にあたり、職務×等級ごとにどのような役割・行動が自社に必要なのかを検討し、評価基準などを整備しなくてはならないが、設定は容易ではなく負担は大きい。職務記述書ほどカッチリと内容を決めないが故に、内容の細かさのバランスが難しく、各職務の仕事を洗い出し標準化し、等級をリンクさせるといった作業は難度が高い。
きちんと運用できる役割設定には高度な知見やノウハウが必要となる。
 

・定期的なメンテナンスが必要
 役割は外部環境によって変わっていく可能性があり、一度決めた役割がビジネス状況にそぐわなくなる可能性がある。定期的に内容の見直しが必要。

・一部の従業員に対してモチベーションを下げる可能性がある
 配置転換や異動によって役割が変われば、等級が下がる可能性があり、対象となった従業員のモチベーションダウンになる可能性がある。また、長く勤めても役割が変わらなければ昇給しないため、ベテラン社員のモチベーション維持が難しい。

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上司と部下の間の認知の差はどの程度か?

【調査レポート】上司と部下の間の認知の差はどの程度か?

自己評価と他者からの評価(客観評価)の間には誰しも多かれ少なかれギャップがあります。
人事やマネジメントの世界でも、従業員サーベイを実施すると、自己認知とのギャップに驚かれる人事や管理職は少なくありません。
では、上司と部下との間には実際どの程度の認知の差があるのでしょうか?

今回は、そんな疑問についてマネトレが独自に調査した結果についてまとめます。

何らかの行動を起こした上司の87%が組織の変化を実感する(自己認知)

自身の行動変化により組織の良い変化を感じたか?

今回、従業員数100名以上の企業に所属する管理職及びマネジメントを行う役職についている方(リーダー、マネジャー、部長等)を対象に、アンケートで「直近3ヶ月で組織を良くしようと何らかの行動を起こした」と回答した方を調査しました。

「何らかの行動を起こした」と回答した124名に「自身の行動変化により組織の変化を感じたか?」と質問したところ、下記結果となりました。

<結果>
・とてもあった 13% (6名)
・あった 61% (76名)
・少しあった 21% (26名)
・全くなかった 13% (16名)

実に87%もの管理職が「自身の行動変化により組織になんらかの良い変化を実感している」という、非常にポジティブな回答をしました。

実際にエンゲージメントが向上している組織は70%(客観評価)

良い変化を実感した管理職組織における従業員エンゲージメントスコアの変化

一方で、前述の「自身の行動変化により組織になんらかの良い変化を実感している」と回答した管理職108名の組織に対してサーベイを行ったところ、下記結果となりました。

<結果>
・良化 70% (76名)
・変化なし 13% (14名)
・悪化 17% (8名)

実際に部下のエンゲージメントが良化した組織は70%で、組織の変化を感じていた管理職が87%もいたのに対して17%低い結果です。
管理職の自己認知より、実際メンバーが感じているエンゲージメントの良化率は低く、心理学でいう「平均以上効果」が見られます。

平均以上効果とは? | 自己評価は甘くなる

平均以上効果とは、自己評価をする際に、ほとんどの人(米国の研究では9割以上)が自分は平均よりも上と判断する事象のことです。
言い換えると、客観的な評価よりも自己評価の方が高くなる人間心理を指します。
今回の調査でもそのような傾向が見られ、組織の良い変化を実感する管理職は87%と高かったのですが、部下に対するサーベイによる客観的な評価での良化率は70%と、管理職の自己評価と客観評価の間には2割近い認知のギャップがありました。

上司と部下の間には認知の差が存在することを理解しよう

いかがでしたでしょうか?
今回の調査では、上司の自己評価は、部下の実態(客観評価)とズレが生じていることが明らかになりました。
しかし、このズレが起こる事自体は決して問題では有りません。健康な精神状態にある人ほど、少し自分を良く見る傾向を持つため、健全な反応とも言えます。

正しい自己評価は、常に良い効果をもたらすわけでは有りません。うつ等の精神状態が不健康な場合には、平均以上効果があまり見られないことが分かっています。

そのため、ギャップ自体に問題があると捉える必要はありませんが、「上司と部下では認知の差がある(上司が考えるより部下の評価は少し悪い)」ということを理解し、上司はマネジメントをしていく必要があるでしょう。

同一労働同一賃金とは?|法制度の整備状況と海外との比較

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃

同一労働同一賃金とは、正式な法律名を「パートタイム・有期雇用労働法(現在のパートタイム労働法)」といい、同じ職場で職務内容が同じ場合、雇用形態に関わらず賃金や福利厚生等の待遇に不合理な差をつけることを禁止するものです。

雇用形態に関わらずとは、非正規労働者(パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員等)と通常の労働者(無期雇用・フルタイム社員)、全ての雇用形態を指します。
そして、この雇用形態の違いによって待遇差を設けるのではなく、職務内容や配置変更の違いによって、労働者を適正に処遇する制度です。

【待遇の差が禁止される項目】
基本給、賞与、手当(役職手当、業務手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、食事手当など)、福利厚生・教育訓練(福利厚生施設、慶弔休暇、病気休職など)

概要・ポイント

厚生労働省の同一労働同一賃金特集ページでは、 同一労働同一賃金について下記のように説明しています。

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

引用:同一労働同一賃金特集ページ|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)の内容

非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)について、以下の①~③を統一的に整備します。
施行:2020年4月から ※中小企業の適用は、2021年4月1日から

① 不合理な待遇差をなくすための規定の整備

同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらやる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。ガイドラインを策定し、どのような待遇差が不合理に当たるか否かを例示します。

均衡 待遇規定 不合理な待遇差の禁止

(1)職務内容
(2)職務内容・配置の変更の範囲
(3)その他の事情
の違いに応じた範囲内で、待遇を決定する必要があります。

均等 待遇規定 差別的取扱いの禁止

(1)職務内容
(2)職務内容・配置の変更の範囲
が同じ場合、待遇について同じ取扱いをする必要があります。

派遣労働者については、次のいずれかを確保することを義務化します。
(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇
(2)一定の要件※ を満たす労使協定による待遇
※同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金と比べ、派遣労働者の賃金が同等以上であることなど。

② 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について事業主に説明を求めることができるようになります。事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。

③ 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR※)の規定の整備

都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行います。「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても、行政ADRの対象となります。
※行政ADR:事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことをいいます。

出典:厚生労働省 同一労働同一賃金 https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/same.html

同一労働同一賃金が求められる背景

日本の雇用の現状

現状の日本の雇用は、非正規雇用労働者に不利な労働条件です。
同じ仕事をしても非正規雇用労働者は正社員より低賃金で働いているというケースがあったり、給与格差が非常に大きなものとなっています。
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」によると、平均給与は正社員504万円、非正規社員179万円と、正規と非正規の差は325万円、約2.8倍と大きな開きがあります。

また、非正規社員には、正規社員と比べ能力アップの機会が少なくキャリア形成が困難であるといわれています。
非正規雇用は同じ会社での長期的な就業が不透明であり、非正規に対する教育・育成制度が整備されていないことが多いため、次のステップに挑戦しにくい、企業からも期待されていない環境にあるといえます。

参考:国税庁平成30年分民間給与実態統計調査結果について https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/minkan/index.htm

海外との比較

・EU諸国
EU諸国では、「EU指令」によりフルタイム社員とパートタイム社員が同じ仕事をしている場合、同じ賃金を支払う「均等待遇」が義務付けられています。 また、産業別労使関係が基本となり、産業別労働協約で職種・技術グレードに応じた賃金率が決定され、正規労働者・非正規労働者を問わず適用されています。

・欧米
欧米では、主に職務ごとに賃金が定められた「職種別労働市場」であり、同一の職種に対する賃金相場が企業の枠は関係なく形成されています。 また、近年マサチューセッツ州で施行された『平等賃金制定法』では、マサチューセッツ州の雇用主に対して、性別に関係なく「同等の仕事」には同一賃金を支払う義務を課しています。さらに雇用主が採用候補者の賃金について質問することを禁じています。

日本の法制度の整備状況

日本の労働市場は、「企業別労働市場」です。
労働組合も企業ごとに存在する「企業別労働組合」のため、類似の職務であっても企業内部の正規労働者と外部の非正規労働者、あるいは大企業・中小企業の正規労働者間などで、賃金格差が生じやすいのが現状です。
欧州や欧米で主流となっている企業の垣根を超え、職種ごとに賃金が決定されている「職種別労働市場」と日本の「企業別労働市場」、この点が海外と日本の一番の違いといえるでしょう。
また、日本の正規労働者は、職務内容や責任の範囲が曖昧な場合が多く会社都合による異動も多いため、会社の都合により幅広い部署や仕事内容に対応できる働き方が求められます。
賃金も職務遂行能力や勤続年数を基準とした職能給が多く適用されています。

事業主に必要な対応

実際の対応事例

1) 労働者の雇用形態を確認
法の対象となる労働者がいるのかを確認する為に、全労働者の雇用形態を確認します。

2) 待遇状況を確認
対象となる労働者の賃金(賞与・手当を含む)や福利厚生などの待遇について、差が無いかを確認します。

3) 待遇差がある場合は理由の確認と説明
確認した結果、労働者の間に不合理な待遇差があった場合は、なぜ待遇に差が設けられているのか理由を確認し、対象者に説明をします。
事業主は、労働者の待遇の内容や待遇の決定に際して考慮した事項、正社員との待遇差の内容やその理由について、労働者から説明を求められた場合には労働者に説明をすることが義務付けられます。

4) 改善計画を立て、早期改善を目指して取り組む
労働者の間に不合理な待遇差があった場合、正規労働者と非正規労働者双方の意見も聞きながら、就業規則や賃金規定を見直し、早期改善を目指して取り組む必要があります。

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同僚に不満を持つメンバーに対してどのように対処すればよい?

【お悩み相談】同僚に不満を持つメンバーにどのように対処すればよい?

メンバー間の人間関係の悪さに頭を悩ませるマネジャー。研修で学んだ傾聴を使って色々と当該メンバーに話を聞くものの、発言にイマイチ納得がいかず、結局何が原因なのか分からない。こうした場面はさまざまな企業で起こっています。
今回は、実際にマネジャーからコーチに相談いただいた内容をご紹介します。

管理職からの相談

同じ課の隣のグループへの不満が大きいメンバーが散見されます。正直修復が困難なくらいに溝が広がってしまっているように感じています。
個別に面談で話を聞いてみたのですが、理由が合理的では無いものがほとんどです。理不尽にも感じており、私自身イマイチ理由に腹落ちできていません。
不満を持っているメンバーがいるグループは旧来からの既存ビジネス(成長期待薄)を担当しており、不満の対象となっている隣のグループは成長が期待されている新しい事業です。
そのため、仕事のルールや進め方がかっちりと定まっていなかったり、忙しさやビジネスの状況に大きな違いがあります。
典型的な新旧事業の対立のように感じますが、メンバー間の融和を少しでも促進するアプローチはないでしょうか?

(不満の例)
・需要変動が大きく手続きの変更や急な依頼が多い
・従来のやり方が新しいビジネスに合わない事で色々改善をしている事がうざい
・単純にいつもバタバタしていてうるさい等

コーチからの回答

メンバー間の対立は悩ましい問題ですね。特に新旧事業の対立となると、なおさら難しい問題と思います。

軋轢に対しては、2つのアプローチがあります。
①組織そのものを分けてしまう
②融和を図る
どちらを選択するかは、問題の原因が何からきているのかによります。

①組織そのものを分けてしまう

新旧事業の軋轢はどの企業でも発生します。
これは、単純な人間関係の問題ではなく、顧客を奪い合いビジネスが競合してしまう、双方にとっての良いことが根本的に異なる、メンバーレベルの視座では新事業の重要性が理解できない(まだ売上が小さいため軽視している等)、といった構造的な問題をはらんでいます。
事業の伸びが単純に面白くなかったり、期待の有り無しによる嫉妬といった感情的なハレーションもありますが、根本は事業の構造的な違いから生まれています。
※企業内における新旧事業の対立の構造は、ハーバード大教授の経営学者クレイトンクリステンセンの『イノベーションのジレンマ』が詳しいです。

そのため、融和を図る難度の高さや、融和が成長事業にとってマイナスになることを鑑みて、組織体として別にしてしまうことを選択する企業も多いです。
新規事業について、オフィスの場所を別にしたり、別会社化するのは、その最たる例です。
対立してしまう、一緒にやることが難しい理由が合理的であるならば、組織を分けることは必ずしも悪いことではなく、双方にとってその方が良いこともあります。

② 融和を図る|問題の原因が相手にあるか本人にあるかで対応は変わる

もう一つは、融和を図るという方法です。
理由によっては、問題の原因が相手方ではなく当人にある場合があり、相手方との話し合いで解決しない場合があります。

  • 理由が合理的な場合は、双方の歩みよりで解決策を導きだします。
  • 理由が合理的でない、理不尽な場合、問題の本質は怒りや不満を抱く当人にあります。

問題が当人にある場合は、イメージがしにくいと思いますので以下で説明します。

怒りの感情は2次感情であり、怒りよりも先に生じている1次感情がある

心理学では、怒りは2次感情と呼ばれ、怒りが湧いた場合、その怒りよりも先に原因となる何らかの感情(1次感情)があるとされます。

例えば、締切に遅れた部下を上司が叱りつけたとします。この時、いきなり怒りが生まれるのではなく、「納期に遅れて困る」「約束したことを守ってくれなくて悲しい」といった感情が、「怒り」に変換されて発露しているのです。

上記は合理的な理由での怒りの発露です。これはイメージしやすいと思います。
今回ご相談いただいた同僚との不和のケースでは、合理的でない、理不尽と感じる理由をメンバーが発言しているとのことで、問題は少し複雑になります。

合理的でない理由の怒りや不満の裏には、本当の理由が隠れている

怒りや不満の原因が、不合理や理不尽な場合は、人の心の防御反応が絡み、少し複雑になります。

例えば「隣のチームだけ景気が良くてチームの雰囲気も良くてずるい。私は成長事業に配属されていなくてくやしい。むかつく」というのが怒りや不満を持つ人の本心なのですが、本人もそうした感情は「正しくない感情」と思っており、それを認めると自分が辛くなってしまいます。(=自分への裏切り)

そこで、意識的、無意識的に関わらず、心の防御反応として自分を守るために、「何らかの正しそうな理由をでっちあげて、自分を正当化しようとする」という反応をします。
ここでいえば、本当は嫉妬や不安や悔しさなのに、急な変更やバタバタしていること、みたいな一見正しそうな理由をつくり、自分を正当化して守ろうとするわけです。

いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点からみるようになります。
それは、他人の欠点を大げさにあげつらう。自分の長所を過大に評価する。自己欺瞞を正当化する。相手に非があると考える。といった形で表れます。

また、組織において同じような正しくない感情を持ってしまう人が複数いる場合、互いに口実を与え合い、互いに自分への裏切りを正当化しあい強固になってしまうことがあります。
※この人の心の動きに関しては、米国の研究所アービンジャー インスティチュート著『自分の小さな「箱」から脱出する方法』が詳しいです。

問題解決のステップ(1)|理由が合理的な場合

理由が合理的であれば、対立相手と話し合い、お互いに歩み寄り解決すれば問題ありません。
建設的な議論になるように、アジェンダを用意し、事前に考えられる情報は共有した上で、ミーティングを実施すると良いでしょう。

お互いの正義のぶつかり合いを防ぐためにも、事前にその不満の原因に対して、恐らく相手はこのように考えてそうした行動を取っているんだろうな、というシミュレーションをメンバーにしてもらうと尚良いです。

あなたと同じように、相手には相手なりの考え(物語)があって、そうした行動をとっている。どうしてそうした行動を取っているのだろう?と、メンバーに事前に考えさせておくとより建設的な議論になリます。
本件と内容は異なりますが、ナラティブ・アプローチの考え方は頭に入れておくとファシリテーションがしやすいと思います。
(参考)▶職場でのナラティブ・アプローチ

問題解決のステップ(2)|理由が合理的でない場合

不合理、理不尽な理由である場合、問題は当人にあるので、相手方との話し合いでは解決しません。感情的な対立が深まるだけになってしまいます。
そうした場合の、問題解決のステップをご紹介します。

(1) チーム内で不満を明らかにし、客観視させる

まずは、相手方に要望するためといった体で、信頼できる仲間内のミーティングで不満を言語化させます。
この時、大抵の場合は感情のもつれが入ってくるため、本人は自覚がない理不尽な不満がいくつも上がってきます。
ところが、当の本人は自分への裏切りを正当化する状態に入っているため「自分が正しくて相手は間違っている」という考えで固まっています。
そのため、まずはホワイトボード等に不満を全て書き出して見える化します。
次に、心理的に安全性が確保された仲間内で、リーダーは合理的でない点を「問い」を使ってソフトに指摘し、不合理さを本人達に認知させます。

例えば、今回で言えば、「需要変動が大きく手続きの変更や急な依頼が多い」という不満は、相手の問題ではなく顧客や営業要因であり、相手が悪いわけじゃないのでは?といった問いかけです。
また、相手チームのやり方がダメだと言うなら、どうして欲しい、自分だったらこうする、がないと適切な指摘じゃなくてただのクレーマーになってしまうね。どうしたら良いと思う?といった形で問いかけます。

仲間内であれば、こうした指摘が攻撃ではなく、純粋な疑問として問いかけることが出来るので、本人も反発せず考えることができ、自分の不満の不合理さを自覚しやすくなります。
答えやすい雰囲気で議論を進めること、あなたの味方だよというリーダーの姿勢が重要になります。

(2) 怒りや不満の裏に隠れた本音を自覚させる

(1)のステップを行うと、合理的に他者に説明できないため議論が停滞します。
しかし、本人たちにとっては、相手が間違っていなくてはなりません。
自分を正当化するには、相手が責めるにたる人間でなくてはならないからです。相手が問題を起こす必要が出てきます。
必死に理由を探し、自分を棚に上げ、「でも●●だから」と、これまでとは違った不満を口にするといったことがみられます。
その場合でも冷静に(1)と同じステップを踏みます。

合理的でない、理不尽な不満や怒りが出揃い、皆がその不満や怒りの不合理さ、理不尽さをなんとなく感じ始めたら、本人が口にしたくない本音の負の感情(停滞事業への不安、成長事業への嫉妬、会社から評価されていないのではといった不満等)について触れていきます。

「相手が悪いのではなくて、今自分が置かれている状況について、会社の判断に対して不満があるのではないか?相手への嫉妬があるのではないか?」といったことです。
信頼している仲間内であれば、本音を自覚、吐露しやすいです。

この本音の原因を、上司としてそんなことはないよと否定してやる、本人の不満にならないよう解消するコミュニケーションを取ることが、問題解決に繋がります。
その上で、合理的な不満が残り、建設的な議論ができそうであれば、「理由が合理的な場合」と同じステップに移りましょう。

このステップは上司自身がメンバーと信頼関係を築けていないと、本音の吐露に至らず、怒りの矛先が上司自身に向きかねないので、実行する際は注意しましょう。
もしミーティングをファシリテーションすることに不安があれば、日々の1on1などでのメンバーとの対話を通じて、上記のステップを緩やかに行い、徐々に変化を促していくやり方でも問題ありません。

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