ミドルマネジャーの負担はなぜ増えているのか?

ミドルマネジャーの負担はなぜ増えているのか?

マネジャーの負担が増している。ミドルマネジャーが疲弊している。管理職のうつが問題になっている。
こんな悩みを経営者や人事からよく聞くようになりました。
コロナによるリモートワークでのマネジメントの難しさもありますが、ミドルマネジャー(中間管理職)の負荷増加の流れはコロナ以前からのものです。
なぜミドルマネジャーの負担が増えているのでしょうか?
今回は、現在の管理職が昔より難しい環境下でマネジメントをせざるを得ない理由について解説します。

ミドルマネジャーの負荷に課題を持つ企業は半数以上

「昔から中間管理職は大変だったよ」と年配の方は思うかもしれません。しかし、各種調査の結果でも、ミドルマネジャーの負荷増加を企業は危惧しているという事実があります。
例えば、リクルートマネジメントソリューションズが先日発表した企業人事の管理職491人に対して行われた「人材マネジメント実態調査2021」によると、組織課題において最も課題認識が大きいものは「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」でした。
調査対象の55.2%と実に半数以上で課題があると回答しています。
これは、2位の「職場の一体感が損なわれている」の1.5倍の数字です。

客観的なデータとしても、現場の肌感としても、ミドルマネジャーの負担は確実に増えており、マネジメントは昔に比べてはるかに難しくなっているのです。

参照:https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000354/?adid=210802list16&cp1=210802list16

なぜマネジメントは難しくなっているのか?

同質性が高い組織は、マネジメントが容易です。なぜなら、価値観や基準、文化、空気を共有し、理解できるからです。コミュニケーションが少なくてもマネジメントができ、1言って2伝えることが可能でした。同質性の高い組織の構成員は、程度の差はあれど行間を読んで理解してくれます。
日本型雇用と言われる、終身雇用と年功序列は、極めて同質性の高い仕組みでした。
社員が辞めるインセンティブがなく、制度として会社への求心力が担保されており、なおかつ同質性が高くコミュニケーションは伝わりやすい。つまり、マネジメントはしやすかったのです。
新卒比率が高い会社ほど、その会社のマネジメントは似通っている傾向があります。会社外の人間から見ると、ほとんど同じに見えるほどです。

ところが、転職は一般的になり、今では大企業からスタートアップ企業に転職する例も珍しくなくなりました。
日本型雇用は多くの企業でもはや信じられるものではなくなりました。企業はグローバル化とIT化によるビジネス環境の早い変化についていくために、即戦力人材を中途採用という形で積極的に採用するようになり、人材の流動化も進みました。
結果として、もともとあった同質性は薄れ、コミュニケーションコストは増大しています。
1言って2伝わったものが、5言って1伝わるような環境に変化しているのです。これがマネジメントが難しくなっている背景です。
「それくらい分かれよ」「察しろよ」といったコミュニケーションを取る管理職もいますが、それは今の時代は通用しません。悪気があるわけではなく、管理職自身が過去そのような指摘を受けてきたので、同じように振る舞っているだけなのですが、もはや行間を読んでくれというコミュニケーションは通用しないのです。
察することのできないメンバーに問題があるのではなく、「伝える力」を管理職は磨く必要があるのです。

(参考) ▶部下の不満が蓄積する管理職に共通する残念な行動とは?|伝える力の大切さ

多様性は組織において遠心力

職場の多様化(ダイバーシティの高まり)により、マネジメントは難しくなっています。
多様性が高まり、さまざまな考え方の人が増えるほど新しいアイデアが生まれたりイノベーションは起きやすくなりますが、異なる考えの人をまとめなければならないためマネジメントの難度は上がります。
つまり、多様性は組織にとって遠心力になるのです。

例えば、女性の労働参加、女性管理職の増加、共働きが当たり前、働く時間や場所の自由、正社員や契約社員、地域限定社員等の多様な雇用形態、年代による労働観の違い、LGBTQといったセクシャリティ等、職場のあらゆることが多様化しています。

また、テクノロジーの進化の影響もあり、年代によって重視する価値観や労働観は大きく異なります。
20代と30代でも異なりますし、20代と40代ともなると、もはや同じモノサシや価値基準を持っていません。
普段情報を得ているメディアや利用するサービスも大きく異なります。20代、30代は新聞やTVニュースではなく、ニュースアプリやSNS、You Tubeで情報を得ています。

このように、現代はこれまで日本社会が経験していなかった多様な価値観の人材をマネジメントする必要が出てきています。このような多様性は、昔は企業内で認められていませんでした。

さらに、今後は外国人も含めたマネジメントが求められるようになり、より多様性が高まっていくはずです。
現在は多様性が増した結果、組織の遠心力が強くなった時代と言えるのです。

問題社員によるマネジャーの疲弊

また、個の権利意識が増大し、個を重んじる価値観が高まった事により、新たな問題も生まれました。自由を履き違えた問題社員の発生です。
上司の言うことを聞かない、周囲に悪影響を及ぼす部下に、ストレスを感じる上司も増えています。
実際にマネトレを利用する管理職でも、人間関係の問題での相談で最も多いのが、問題社員への対応です。注意はしても聞いてくれない、クビにできるわけではないしどうしたらいいのか?といった具合です。上司からも適切な助言やフォローがもらえず、自分で抱えこんで悩んでいる姿が見て取れます。
日本においては社員の雇用は守られているので、問題社員は自分勝手な言動をしても大丈夫だと思っている節があり、マネジャーが対応に苦慮してストレスを感じているのです。

また、厳しく言わなければならない場面でも、パワハラになるのでは?と指導の仕方に悩むマネジャーも多いです。
過去には問題にならずに見過ごされてきたり無視されてきた言動が、今の時代だと問題となることが多いことから、ハラスメントの基準の難しさも相まってストレスの原因となっています。
こうした部下からのプレッシャーや、部下への対応の難しさも、マネジャーの悩みの種になっています。

いかにして管理職をサポートしていくか

このような変化の中、管理職を教育し、サポートしていく仕組みは必須です。
なぜなら、彼らの過去に見てきたマネジメントでは、今の時代に対応できないからです。過去から学ぶではどうにもならないのです。
何もしなければ、センスで対応できる一部社員のみしか適切なマネジメントを行うことはできないでしょう。

また、管理職のうつも問題となっており、管理職への負荷増加も無視できません。良き相談相手となるコーチのような存在の必要性も増していくはずです。

これまでの管理職が経験したことのない状況の中でどうやってマネジメントしていくか。
管理職に学びの機会を提供し、新しい時代のマネジメントに対応できるようサポートしていく必要があるのではないでしょうか。

▶ マネトレは、リーダーやマネジャーのマネジメント活動をサポートし、成長を支援します。「コーチ」と「マネジメントナレッジ」を提供する新しいサービスです。

あなたは部下と双方向のコミュニケーションが取れていますか?

部下との対話は双方向になっていますか?
「1on1ミーティングをはじめてみたけれど、部下があまり話してくれない」
「研修で聞いた傾聴を実践してみたのだけれど、部下は言葉少なく沈黙してしまう」

管理職研修で学んだ内容を実践しようとした際に、このような問題は頻繁に発生します。マネジャーは予期せぬつまずきにどうしたらいいか分からず、そのうち変化の芽は枯れてしまい、学んだことはどこかへ忘れ去られてしまう。
せっかく変わろうと思っても元のマネジメントに戻ってしまい、現場のマネジャーも組織も一向に変わらない。
こうした、いざ実行に移そうと思った際に発生する問題は、研修では解決しづらいものです。

マネジャーが聞こうとする姿勢だけでは、部下とのコミュニケーションは双方向にはなりません。
今回は、マネジャーを悩ませる問題のひとつ「双方向のコミュニケーションを生む方法」について解説します。

もし部下が話してくれなかったら

「1on1ミーティングをはじめてみたけれど、部下があまり話してくれない」
「研修で聞いた傾聴を実践してみたのだけれど、部下の言葉は少なく沈黙してしまう」
「1on1をしてもいつのまにか自分ばかりが話してしまっている」
もし上記のような状態であれば、理由は簡単です。
あなたと部下は信頼関係が出来ていません。別の言い方をすると、あなたは部下から信頼されていません。
部下の意見は聞いてくれない、結局いつも自分の意見の押し付け、上司の満足する意見以外は自分が不利益を被る、話しても無駄だ、普段のあなたの言動から心理的に安心できない、パワハラ・セクハラといった行為が見られ人間的に信用できない。
部下から見たあなたを信頼できない要因はさまざまです。

聞き方がまずいとか、部下が内気だからといった要因もあるかもしれません。
しかし、さまざまな要因があれ、問題の本質は「あなたが部下から信頼されていない」という事実です。
あなたはある程度信頼関係ができていると思っていたとしても、そうではない。まずはその事実を認識しましょう。

双方向のコミュニケーションとは?

双方向のコミュニケーションとは、「一方が質問し、一方が答える」ではなく、役割が交代する。話すだけでなく聞き役にもなるような状態です。
組織活動のほとんどは、コミュニケーションによって成り立っています。
「双方向のコミュニケーション」によってはじめて、上司と部下はお互いを理解することができるようになります。

双方向のコミュニケーションは、組織のメンバーが活き活きと働き、最大の成果を発揮するために必要不可欠なものです。こうした対話により、組織のパフォーマンスは向上します。

さて、傾聴やコーチングの話を研修等で学ぶと、それを試してみようという方も多いようです。
しかし、そこで問題が発生します。
「こちらは聞くつもりでも、相手が話してくれない」

聞くだけでは対話は双方向にならない

傾聴は大切ですが、傾聴だけではコミュニケーションの問題は解決しません。
自分が聞き役になれば、部下は話す。そうすれば自然に双方向のコミュニケーションになると思っている方が非常に多いのですが、やってみるとそうはならないケースに沢山出くわします。

対話に参加してもらうためには、聞くだけではなく、相手を対話に招き入れる。
対話に参加してほしい意図やその目的まで、伝えることが必要です。

お互いが意識しないと会話は双方向にならない

双方向のコミュニケーションは、自然に起こるわけではありません。また、自分ひとりで双方向のコミュニケーションを作れるわけでもありません。

まず、自分が双方向のコミュニケーションをつくるという意図を持つ。
そして、相手にも双方向のコミュニケーションをとろうとする意図を持ってもらう必要があります。
つまり、双方向のコミュニケーションとは、部下にもコミュニケーションに参加してもらわなければなりません。

ほとんどの方は、部下とコミュニケーションをとる際に、明確な目的を設定していません。なんとなくがほとんどだと思います。
しかし、それでは、部下との関係性や相性で、コミュニケーションの質に大きなばらつきが生まれてしまいます。
多様なメンバーをマネジメントするためには、コミュニケーションそのものを理解し、コミュニケーションの目的を自身がしっかりと持つことから始める必要があります。

どういった目的で対話するのか?相手にどうしてほしいのか?
マネジャーは、目的を設定するだけでなく、相手にもコミュニケーションに参加してほしい意図をきちんと伝え、コミュニケーションに招き入れなければなりません。
何もしないと、部下はコミュニケーションに参加することに通常及び腰です。そこには心理的な障壁がある程度あることの方が普通です。
そのため、上司はただ質問をするだけでなく、その心理的な障壁を取り除くことを意識しなければなりません。そうしたスタンスや気持ちを示さなければ、部下はそれらを敏感に感じ取り、安全地帯から出ようとしなくなり何も語らなくなります。

今日はこうした目的で、〇〇さんの意見を聞きたいと思っている。
今の話を聞いて、〇〇さんはどう思う?
気が付いたことがあったら都度意見を言ってほしい。
わからないことがあったら随時質問してほしい。

etc.

双方向コミュニケーションの実現には時間がかかるケースもある

皆さんご存知の通り、知っていることと、できることには大きな違いがあります。
多くの難しい問題は、実行する際に生まれます。先に挙げたような方法も、スムーズに実践できるようになるためには多少時間はかかるでしょう。
また、すぐに相手が変わってくれるとも限らない難しさがあります。

先に述べたように、相手に対話へ参加してもらうことが必要です。
相手がすぐに参加してくれるかは、あなたと相手との関係性次第です。
信頼関係がすでにできている場合は、今回の内容もすぐに手応えを感じることができるでしょう。
一方で、今関係性が出来ていないのであれば、警戒した相手がコミュニケーションに参加してくれるまでには時間がかかると思います。それは仕方がありません。双方向コミュニケーションは、これまでの関係性の結果でもあるのです。
人はすぐに変わるものではありません。ですが、根気強くコミュニケーションを取り続けていけば、相手も理解してくれるようになります。
相手に変わってもらうためには、まずあなたが変わる必要がある。
あなたのコミュニケーションは双方向になっていますか?

▶ マネトレは、リーダーやマネジャーのマネジメント活動をサポートし、成長を支援します。「コーチ」と「マネジメントナレッジ」を提供する新しいサービスです。

ダイバーシティ・インクルージョン|導入が進む背景とそのメリットとは

ダイバーシティ・インクルージョンとは

ダイバーシティ・インクルージョン

ダイバーシティ・インクルージョン(Diversity&Inclusion)は、個々の違い(多様性)を受け入れ、互いに認め合い、個々を活かしていくことです。
「D&I」と表記されることもあります。

ダイバーシティ

ダイバーシティ(Diversity)とは、直訳すると多様性という意味で、黒人の人種差別や性別による雇用格差などから1960年代のアメリカで生まれた考え方です。
ビジネスにおいては、「多様な人材」「多様な働き方」を認め、組織にさまざまな人材が存在している状態を指します。

・多様な人材:性別、年齢、国籍、生活環境、バックグラウンド、宗教、障がいの有無、生き方や価値観、性格や嗜好など
・多様な働き方:雇用形態、働く時間、働く場所など

インクルージョン

インクルージョン(Inclusion)とは、直訳すると包括・包含といい、「包括」は一つにまとめること、「包含」は包み込む・中に含んでいることを意味します。1980年代に社会福祉のキーワードとしてヨーロッパで生まれた考え方です。
ビジネスにおいては、受け入れる・認める・活かすといった意味を持ち、「出身や性別の異なる人、外国人、LGBTQ、障がいのある人など、多様な人材の個々の価値観や考え方が認められ、組織において一人ひとりの能力やスキルが活かされている」状態をインクルージョンといいます。
 
多様な人材が組織で活躍するためには、「多様な人材を受け入れる」という意味のダイバーシティと、「多様な人材の個々の能力を活かしていくこと」という意味のインクルージョン、双方の考え方が必要です。

ダイバーシティ・インクルージョンが必要とされる背景

< 欧米 >

上記にも記載した通り、ダイバーシティの考え方はアメリカで生まれました。
奴隷制度が200年以上続いたアメリカでは、1865年のアメリカ合衆国憲法修正第13条による奴隷制度廃止後にも黒人差別が根強く残っており、白人が優位な社会でした。
また、女性や人種的マイノリティ(黒人やヒスパニック、アジア系人種など)は社会において雇用機会や昇進機会が制限され、差別の対象となっていました。

そんな事態を解消すべく、1964年の新公民権法が施行され、人種差別撤廃やマイノリティへの機会平等化が制度化され、雇用面でも機会均等、アファーマティブアクション(積極的差別是正措置)の義務付けが進みました。
しかし、法律上は企業が人種差別を禁止していましたが、実際には差別や理不尽な対応は続いていました。
この頃企業はダイバーシティに積極的に取り組んでいたわけではなく、人種差別の裁判での多額の損害賠償を防ぐため、訴訟に対する防御として取り入れた側面が強かったようです。まずは従来のマイノリティを組織に受け入れるという形で進みました。

その後、1980年代にはいると、人種や性別、価値観などの「違い」に価値を置くという考え方が生まれてきます。これが「ダイバーシティ」の始まりです。
マイノリティが一定の経済力を持つようになったため、マイノリティに対するマーケティング・コミュニケーションとしてダイバーシティを取り入れたり、CSR(企業の社会的責任)として取り組む企業が広がってきました。しかし、まだ企業経営に大きな影響を与えるものではありませんでした。

大きく流れが変わったのは、1987年にアメリカのハドソン・インスティチュート発表された「Workforce 2000」という21世紀のアメリカの労働力人口構成予測に関するレポートです。
「Workforce 2000」には、今後労働市場に新規参入する白人男性の割合が、47%から15%に急激に減少することや、労働力が急速に高齢化・女性化していくことが示されました。
これにより、企業が人事や組織戦略を大きく見直し、女性、有色人種、障がい者、高齢者などを積極的に活用する必要性が明らかになりました。ここから、具体的なダイバーシティの研究や導入が本格的に始まります。

2000年代に入ると、IT化や新興国の経済成長などにより、経済や企業活動のグローバル化が急速に進みました。
グローバル化に成功するためには、異なる人種、文化、習慣、宗教、価値観を持つ人々や組織をまとめ上げ、個々の多様性を活かす経営が必要になります。
また、グローバル競争の中で、優秀な人材を引きつけ、働き続けてもらうことが企業にとって経営戦略上非常に重要になりました。優秀な人材にとって、ダイバーシティやインクルージョンは企業選択におけるひとつの重要な価値観であり、採用競争力の観点から無視できなくなりました。 
こうして、ダイバーシティは個を尊重する「ダイバーシティ」から、さらに良いところを認め合う「ダイバーシティ・インクルージョン」に変容し、グローバル企業を中心にして、多くの企業で積極的に導入されるようになりました。

< 日本 >

・少子高齢化による労働人口の減少・人材不足

日本では超少子高齢化による働き手不足により、企業は人材の確保が困難になってきました。そのため、従来の男性中心で新卒一括採用、年功序列、終身雇用を基本とするような雇用方針ではなく、女性や中途入社、シニア、外国人の活用などを積極的に行い、幅広く労働力を確保する必要がでてきました。
女性の労働参加を促すために、子供を持つ男性や女性自身にとって働きやすい職場環境を目指した取り組み、積極的なキャリア採用などが増えています。

・ビジネスのグローバル化

日本企業においてもグローバル化は同様に進んでいます。欧米の事例で述べたとおり、グローバルなビジネス環境(海外拠点の展開、海外とのビジネス)においては「ダイバーシティ・インクルージョン」の考え方が無ければ、現地でのマネジメント、人材の採用、ビジネスのローカライズ化等のさまざまな業務を行うことができません。

・優秀な人材の確保

優秀な人材ほど国際的に見ても多様性を重視する傾向があり(海外の調査レポート等でもその傾向は示されています)、日本においても同様です。
優秀な人材は画一的な価値観やマネジメントを嫌煙するため、「ダイバーシティ・インクルージョン」が文化として会社に存在していないと、人材から選んでもらえなくなっています。
そのため、採用においては、ダイバーシティ・インクルージョンを実現するための制度や文化の、対外的な発信が非常に重要になっています。

ダイバーシティ・インクルージョンのメリット

・社員の離職率低下

多様な働き方(雇用形態、働く時間、働く場所など)が可能な環境を整えておくことで、社員が働きやすい職場となり、離職を防ぐことができ離職率の低下につながります。

・社員のモチベーションアップ

個人の考え方や価値観が尊重され組織で受け入れられることで、自分は組織から必要とされていると感じられ仕事へのモチベーションがアップします。

・イノベーションの創出

同じ考え方を持つ人が多い組織では新しい考え方は生まれにくいですが、異なる価値観・経験・スキルを持った人が集まることにより、様々な視点から意見が交わされることで、組織全体でイノベーションを生む力が高まります。

・優秀な人材の確保

国籍や性別、年齢を問わず有望な人材を雇用し教育環境を整えることで、多様な人材にとって働きやすい職場環境となり、条件面で就業をあきらめていた優秀な人材の確保も可能になります。

ダイバーシティ・インクルージョンの具体例

・女性の活躍推進

・男性の産休・育休推進

・シニア層の活躍

・障がい者の雇用促進

・外国人の雇用促進

・LGBTQへの理解

・多様な働き方の推進
(時短勤務やフレックス制、テレワークや時間単位有休、副業・兼業の解禁など)

ダイバーシティ・インクルージョン導入のポイント

・職場環境の整備

多様な人材一人ひとりの能力が最大に発揮できる職場環境をつくることが大切です。個々の社員がよりパフォーマンスを発揮できる、働きやすい働き方を選択できるよう、リモートワークや時短勤務、フレックス制などを選べる環境が必要です。
また、法制度の整備が進んでいる育児休業制度を、女性のみならず男性も取得できるような環境、風土を作っていくことや、スキルアップを望む社員に学べる環境を提供するといったことが必要です。

・管理職の教育

多様な人材が存在する組織をマネジメントするためには、管理職への教育が欠かせません。
管理職がダイバーシティ・インクルージョンを理解・納得し、実践しなければ現場で浸透することはありません。
組織に浸透させていくために、管理職に対し必要な教育を行うことが必要になります。

・社員教育や丁寧なコミュニケーション

社員の意識改革が必要です。せっかく制度を作ったとしても、管理職やメンバーがダイバーシティ・インクルージョンを受け入れていなければ、行動は変わりません。
社員の意識を変えるための教育や、ダイバーシティ・インクルージョンのメリットや、導入する意義を理解してもらうための丁寧なコミュニケーションが必要となります。

・コミュニケーション機会の創出

多様な人材が存在する組織では、相互理解のためのコミュニケーションが重要です。
多様性が高まれば高まるほど、社員同士で意思疎通がスムーズに行えるよう、コミュニケーション機会を計画的に設計する必要がでてきます。多様な人材がいる組織において、相互理解のコミュニケーション量を軽視すると、分裂や対立が起こりやすくなってしまいます。

・サーベイで浸透具合をチェックする

定期的にサーベイを実施することで、ダイバーシティ・インクルージョンが社員に受け入れられているのか観測することが重要です。
価値観の問題は本人が自己評価をすることは難しく、本人の認識と他者からの評価や実態とで乖離が発生しがちです。
一部良くない組織があったり、メンバーとマネジャーで認識の齟齬が大きい場合は、適切に人事や上司が課題解決のために介入していきましょう。

▶ マネトレは、リーダーやマネジャーのマネジメント活動をサポートし、成長を支援します。「コーチ」と「マネジメントナレッジ」を提供する新しいサービスです。

教え方のコツ|自立自走できるメンバーを育てるために

教え方

メンバー育成において、習得してもらいたい知識やスキルを「教える」という場面は多々あります。
メンバーの成長のために、勉強会を実施している方もいるかもしれません。

その中で、一度教えてもすぐに忘れてしまう、業務で活かされない、と感じることが多い場合、それはメンバーの能力の問題ではなく、「教え方」に問題がある可能性があります。
今回は、メンバーの成長、能力スキルの向上につながる、教え方のポイントについて解説します。

ポイント① 人は忘れる生き物。復習させることが大事

メンバー育成のために勉強会を実施することは、大変素晴らしい活動です。
しかし、張り切ってあれもこれも覚えてもらおうとすると、結果的にほとんど覚えてくれなかったという結果に終わりがちです。
これは、メンバーに問題があるのではなく、人の記憶力の限界を超えてしまっているためです。
 
記憶力に関しては、ドイツの心理学者エビングハウスの「忘却曲線」が有名です。
無意味な音節を記憶させ、時間の経過とともに、再学習(覚え直す)のにかかる時間がどの程度節約されるかという実験結果です。
復習して覚え直すと忘却曲線は徐々に緩やかになり、知識として定着していきます。

エビングハウスの忘却曲線


例えば、勉強会で60分かけていろいろ覚えたとしても、次の日に40分(66%)かけて復習しない限り、勉強会直後の状態に戻らないほど、人は忘れてしまいます。
これを理解せずに単発で勉強会だけ実施してしまうと、数日のうちにほとんど忘れてしまい、せっかくの勉強会も効果が薄いものになってしまいます。
メンバーに教える際は、その場で完璧に覚えてもらうのは無理と理解し、すぐに実際の業務で覚えたことを使う機会を作るなど、復習させることをセットで考えましょう。

ポイント② 魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ

「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」とは、飢えてる人に魚を与えると1日で食べてしまうが、魚の釣り方を教えると一生食べていけるという教えです。
魚を与えた相手は、与えてもらわないと生きていけない、また与えてもらえるのを待つということになります。今すぐにでも食べないと死んでしまうという状況では魚を与えるべきですが、そうでなければ自立してもらうためにも、魚の釣り方を教えるアプローチが適切です。
 
メンバーに教える場面を想定すると、以下のように考えると良いでしょう。

知識を与えるのではなく、知識の得方(調べ方)を教える。
答えを与えるのではなく、答えの得方(考え方)を教える。

一般知識であれば、インターネット検索で大抵のものは調べることができます。
分からないことは誰かに聞くではなく、まずは自分で調べてみることや、調べ方のコツなどを教えるべきです。
調べてたどり着けることであれば、全てを記憶にインプットしなくても、必要な時に調べれば良いのです。
 
業務支援の場面では、「そうじゃない、こうだろう!」と正しいやり方だけ教える指導の仕方ではなく、なぜそうすべきなのか、どのように考えれば正しいやり方にたどり着けるかなど、理由や考え方をきちんと伝えましょう。
答えを教えられた人は、全く同じ状況にしか対応できませんが、考え方を教えられた人は、問題解決の考え方を使って近しい問題に対処できるようになります。

ポイント③ 長期記憶の種類|知識の定着に効果的なこと

人の記憶は、感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに大別されます。

感覚記憶:感覚器官から無意識に脳に運ばれ、瞬間的に保持される記憶
短期記憶:短い時間、数個程度の情報を一時的に保持する記憶
長期記憶:長期的に大量の情報を保持する記憶


メンバーに教えたことは、忘れず覚えておいて欲しいため、長期記憶にしていく必要があります。
教えたことは、まず短期記憶に保持されます。短期記憶は、リハーサル(反復)により、長期記憶へと変えていくことができます。
 
また、以下のような記憶は、長期記憶となりやすいと言われています。

エピソード記憶:個人の経験に基づく記憶。
 時間や場所といった文脈、その時の感情などがともに記憶される。

意味記憶:言語とその意味(概念)が組織化された記憶。
 経験の繰り返し(リハーサル)により形成される。

手続き記憶:技能や手順など繰り返し経験することで形成される記憶。
 習熟すると意識せず自然とできる。


実際に体験・経験したこと、意味や概念を理解したこと、繰り返し経験したことは長期記憶になりやすいということです。

・一方的に教えるだけでなく、ワークなどで実際に経験させる
・断片的な知識ではなく、文脈や理屈など周辺情報とセットで体系的に理解させる
・勉強会では、最後にまとめを入れることで、勉強会内で反復する
・教えたことを実践できる仕事を依頼する/数日後に問いかけをする(反復させる)

といった工夫をすることで、知識として定着する可能性が高まります。

ポイント④ マジカルナンバー4±1|覚えさせることは一度に3個まで

マジカルナンバーとは、人が短期記憶できる容量のことです。
チャンクと呼ばれる意味のある情報のかたまりを、いくつ短期記憶できるかを示しています。
1950年代の研究ではマジカルナンバー7±2(つまり5~9個)、2000年代の研究ではマジカルナンバー4±1(つまり3~5個)と提唱されています。
個人差はありますが、短期記憶で一度の覚えることができるのは、3~5個程度と少ないのです。
 
職場で勉強会を開催したり、メンバーに都度教えたりする場面では、このマジックナンバーを理解し、多くのことを伝えすぎないことが大切です。
また、業務が繁忙な状態では、対応すべきタスクが3~5個のチャンクを埋め尽くしている可能性があり、なかなか記憶に残りません。タスクをメモに書き出す、予定表に入れるなど、短期記憶に頼らないで済む状態にすることで、それまでの記憶は忘却され、新たな情報を記憶できるようになります。
 
短期記憶の容量は3~5個程度というのを理解し、要点を3点以内にまとめて伝えるのが良いでしょう。

具体例:Excelの勉強会を実施する場合

ここまでのポイントを踏まえ、メンバーのExcelスキルを高めるために勉強会を行うケースを考えてみます。

まずは、メンバーに何をできるようになってもらいたいかから考えます。
・数式(sum、average、round、if、countif、sumif、vlookup)
・ショートカット(ctrl+↓、shift+↓、ctrl+D、ctrl+;、、、)
 
このように書き出していくと、すぐにチャンクが3個を超えてしまいますので、対策を考えます。
Excelの数式やショートカットは、ネット検索ですぐに調べることができるため、勉強会の場だけで完璧に覚えてもらおうとせず、調べてできる状態をゴールとすれば、「Excelはやりたいことを検索すれば答えにたどり着ける」という1チャンクのみで、ゴール状態を実現できます。
 
そして、以下のように長期記憶になりやすい方法を取り入れると、より効果的になるでしょう。

・体験・経験したことは記憶に残りやすいので、勉強会では例題を準備し実際に使って機能の存在を知る(エピソード記憶)
・数式は機能だけでなく、どんなことをしたい場面で使えるのか、活用イメージと一緒に理解させる(意味記憶)
・勉強会後にExcelを使う業務を依頼する(リハーサルによる記憶の固定化)


いかがでしたでしょうか。
人の記憶力には限界があり、一度にたくさんのことを覚えることができません。

このことを理解していると、何かを教える際に要点を3つ以下に絞り、反復の場を用意することで、効果的な育成を行うことができます。
メンバーの能力やスキルを向上させたい、成長を実感してもらいたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

▶ マネトレは、リーダーやマネジャーのマネジメント活動をサポートし、成長を支援します。「コーチ」と「マネジメントナレッジ」を提供する新しいサービスです。