ダニングクルーガー効果|学ばない管理職が生まれる原因とその対処法

ダニングクルーガー効果とは|できない人ほど自分を過大評価する

ダニングクルーガー効果

認知バイアスの一種で、能力の低い人が実際よりも自分を高く評価してしまう現象を指します。
端的にいうと「できないのに、できると思う」ことです。

この理論は、米コーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーという2人の心理学者によって1999年に提唱されました。

彼らが大学で行った実験では、読解や診療、自動車の運転、チェスやテニスの試合など様々な場面で、成績の悪い学生ほど自分の順位を過大評価し、優秀な学生ほど自己評価を正しく、もしくはわずかに低く見積もりました。


ダニングとクルーガーは、能力の低い人は次のような特徴があると述べています。

・自身の能力が不足していることを認識できない

・自身の能力の不十分さの程度を認識できない

・他者の能力を正確に推定できない


これらのことから、能力の低い人ほど、自分を過大評価してしまい、実力を伴わない自信を持つのです。

一方、外部からの気づきがあれば、自身の能力不足を認知できるようになるとも述べています。

「その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる」


この認知バイアスは、年功序列、終身雇用、めったなことでは降格がない、転職が多くない、といった特徴がある日本企業において、ベテラン管理職によく見られる傾向です。

外部からの厳しい指摘に向き合う必要性や、客観的な市場価値を認識する機会がないため、実際はマネジメントとして不足しているにも関わらず、自分はできると思っており、自らを振り返ることをしない管理職が発生します。

ダニングクルーガー効果の悪影響|能力の低い人はさらに能力が低くなるスパイラル

自分自身を客観的に認知する能力を「メタ認知(英:Metacognition)」といいます。メタとは「高次の」という意味で「自分が物事を認知している状態を、客観的に認知している状態」を意味します。

メタの起源は、古代ギリシャの哲学者・ソクラテスが提唱した「無知の知(自分に知恵があると思い込んでいる人よりも、自分が知らないことを自覚している人のほうに知恵がある)」という歴史の教科書にも出てくる有名な概念です。

この「自分は知らないことを認知している」という考えが、メタ認知につながっています。


ダニングクルーガー効果によると、能力がない人ほど正しく自分の能力や立ち位置、得意不得意を認識することができず、主観的に自己評価を高くすることになります。

そして、それ故に自信過剰を引き起こし、学ぶ姿勢が失われます。

自分を振り返ったり、自ら学んだりすることがなくなり、周囲からのアドバイスにも耳をかさなくなリます。

その結果、成長する努力を怠ることになり、能力不足に一層拍車がかかることになるのです。

日本企業ではめったなことでは降格がなく、転職市場での客観的な評価を受けたことがない管理職が多いため、ダニングクルーガー効果に抗う方法である「自身の能力の欠如を認識する機会」が構造的に少なく、このような事象が発生しやすくなっています。

ダニングクルーガー効果にならないために

<管理職向け>
■ フィードバックを受けられる環境をつくる

常に学ぶ姿勢を持ち、周りからの否定的なフィードバックも受け入れるようにしましょう。耳の痛い指摘は聞きたくないものですが、自分を知り、自分を成長させるために向き合うことが必要です。

どんな人でも自分自身を正しく評価するのは難しいものです。だからこそ、上司部下関わらず、他者からの意見に向き合いましょう。

また、サーベイや360度評価のような数字化された客観的なモノサシを利用するのも有効です。自分の立ち位置を正しく把握し、改善するための助けになります。

■ 自分の中に原因を求める習慣をつける

何かがうまくいかない場合、まず自分に原因はないかと考えてみることです。能力の低い人は、自分の能力不足やレベルを正しく認識できないため、外部要因に目を向ける(他責思考)傾向があります。

しかし、それでは成長は望めず能力不足は解消しません。

部下からの不満、失敗やトラブル等に直面した際は、自分に何か原因はないか、まず考える意識を持ちましょう。


<人事向け>
■ 能力不足に気づける機会をつくる

ダニングクルーガー効果を回避する方法として、先に挙げた通り「その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる」というものがあります。

研修やコーチ、従業員サーベイ、360度評価といった、日々の業務外とは別に、意図的にフィードバックされる機会によって、普段は気づけなかった「自身のできなさ」に気づくきっかけを作ることができます。

管理職に成長を促したい場合は、簡単なものからで構いませんので、ぜひ何らかの第3者の客観的な指摘を得ることができる機会を設計してみてください。

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組織改善のステップ|チーム作りは何から着手するべきか?

組織診断や従業員満足度調査など「サーベイ」は多くの会社で活用され、大半の方が一度は組織状態を把握するためのアンケートを実施したことがあると思います。

一方、せっかくメンバーに回答してもらっているのに活用されず、「やりっぱなし」になっているという企業・組織が少なくありません。

サーベイは現状を把握するものであり、サーベイをとっただけでは組織は良くなりません。結果をもとに、改善を行っていく必要があります。


今回は、改善を進めるマネジャーからの相談が多い「何から着手すべきか」について解説します。組織改善のステップとして参考にしてみてください。

組織改善の考え方|改善PDCを回し続ける

大前提として、日々メンバーと接しているマネジャーが、課題に感じたことをメンバーのために改善しようとして、逆効果になることはほとんどありません。

気づいた課題を1つ1つ解決していけば、組織は徐々によくなっていきますので、改善PDCを回すことが何より大事です。


一方、課題には様々な特徴があります。

例えば、メンバーの満足度への影響では「ないと不満を抱く項目(衛生要因)」「あると満足に思う項目(動機づけ要因)」という分類ができます。

これを理解しておくと、メンバーの仕事へのモチベーションを高めたいと思うなら、達成や承認など動機づけ要因に取り組むべきなど、より効果的な改善に取り組めるようになります。



改善するマネジャーの視点では、先に別の課題をクリアすることで改善しやすくなる項目、直接高めることが難しく複合的なアプローチが必要な項目など、課題毎に特徴があります。


以下では、サーベイなどで組織状態が分かったタイミングを想定して、実際にマネトレのコーチがアドバイスに活用している改善ステップをご紹介します。

組織改善の5ステップ

STEP1 : メンバーとの信頼関係構築

STEP2 : 環境・人間関係の不満把握

STEP3 : 目標管理・業務管理の改善

STEP4 : メンバーの動機づけ・成長支援

STEP5 : チームの生産性向上・イノベーション

STEP1:メンバーとの信頼関係を構築する

まず、第一に考えるべきは、マネジャーとメンバーとの信頼関係構築です。

メンバーから信頼されていなければ、改善どころか業務の依頼もままなりません。

信頼がない中で無理にメンバーを動かそうとすると、役職のパワーを使った動かし方になり、パワハラと感じられてしまうリスクもあります。


信頼関係は、マネジメントの土台であり、まず最初に取り組むべき課題です。

サーベイで上司に対する項目が高くない場合や、メンバーが思うように動いてくれないと感じる場合は、信頼関係がきちんと築けているか内省してみてください。

▶ 信頼とは?|マネジメントのベースとなる信頼の築き方


コミュニケーションなしに信頼関係は築けません。たとえテレワークだとしても、テレビ会議などで話す機会が必須です。

メンバーとの信頼関係を築くには、いくつかのポイントがあります。


・ マネジャー自身が自己開示する

・ メンバーを理解しようと努める姿勢

・ 感情のコントロールとブレない判断軸

・ メンバーの意見を汲み、変化を作り出す影響力 など


メンバーと定期的にコミュニケーションをとる機会を設定し、最初はコミュニケーション量を意識してみてください。

何を話せば良いか悩む場合は、1on1の質問集を参考にしてみてください。

▶ 1on1ミーティングのやり方|質問集と継続のポイント

STEP2:環境・人間関係の不満を把握する

互いの理解を深め、信頼関係の土台ができたら、次は、働く環境や人間関係に関する不満を把握します。

マネジメントでは、マネジャーからメンバーに依頼・指示をする場面が多く、コミュニケーションが一方向に偏りがちなので、この「不満の声を聞く」というプロセスはとても大事です。

人それぞれ価値観が異なるため、人間関係が悪い、残業が多い、休みが取りづらい、フレックス制度がない、テレワークできないなど、メンバーは実に様々な不満を持っています。

解決できそう、できそうにないというのはひとまず考えずに、メンバーの不満の声を聞いてみてください。


把握した不安は、「マネジャーで解決できるもの」「マネジャーだけでは解決が難しいもの」に分類します。

そして、まずはマネジャーで解決できるものの中から1,2個解決しやすい課題を早期に解決してみてください。

早い段階で小さな成功を積み重ねること(アーリースモールサクセス)で、メンバーからの信頼を高めることにつながります。


マネジャーだけでは解決が難しい課題も、そのまま放置していてはいけません。

短期での解決は難しいとしても、上司や人事などに掛け合うなど、きちんと改善しようとする姿勢を伝え、中長期で改善に取り組んでみてください。

結果として改善されればベストですが、仮に改善が難しかったとしても、叶えようと動いてくれたことにメンバーは好感を持ちます。

実際に改善に動いていることは、メンバーから見えていないことが多いので、「人事と話す機会があったから伝えてみたよ」など、経過を伝えるのも効果的です。

▶ 働きやすさとは|チームの働きやすさを高めるマネジメントの手法

STEP3:目標管理・業務管理の改善

メンバーの不満を把握し、大きな不満に対処できたら、次は目標管理・業務管理の改善です。

会社のミッションや戦略から落とし込んだ自組織の役割・目標を明示し、メンバー1人1人の目標設定を行う。設定した目標を日々の業務でも意識させ、評価のタイミングではきちんと評価を伝える。

このサイクルがきちんと回せるかどうかが、マネジャーの腕の見せどころです。


・ 目標設定をしていない(形骸化している)

・ メンバーが考えた目標設定が、会社や組織の方向性とズレている

・ 目標設定のすり合わせをしたが、メンバーが納得していない

・ 設定した目標を日々意識させることができてない

・ 会社からの評価に納得していない


上記で当てはまるものがある場合は、「組織の役割や目標を明示する」「目標設定と評価を連動させる」「目標設定や評価に対してきちんとフィードバックする」などの改善アクションを実行してみてください。

▶ 役割や目標を明示することの重要性

▶ 目標設定のやり方|気をつけたいポイント

▶ 評価のマネジメント|評価への納得感を高める方法

STEP4:メンバーの動機づけ・成長支援

目標設定や評価も、メンバーの動機づけや成長支援に必要な要素ですが、多くの会社で半期や四半期に1回の実施のため、動機づけや成長支援の機会としてこれだけでは不十分です。

日々の業務の中で、メンバーを動機づけし、成長を促していきましょう。


大きく分けると、①仕事を任せるタイミング、②業務進捗を確認するタイミングの2つのタイミングがあります。


① 仕事を任せるタイミング

新しい業務や役割をメンバーに任せる際、その伝え方ひとつでメンバーのやる気や業務効率に大きく差が出ます。

「いつまでにこれお願い!」と納期だけ伝えるのではなく、「あなたに依頼したい理由」「期待」「背景や目的」をきちんと伝えるようにしてみてください。

▶ 業績達成と育成を両立させるジョブ・アサインメントの方法


② 業務進捗を確認するタイミング

業務の進捗確認は、週次の1on1で確認、メンバーから報連相させて把握、仕事ぶりを隣で見て把握など、マネジャーそれぞれのやり方があると思います。

方法は組織やメンバーにあった方法で構いませんが、意識すべきは「フィードバックの頻度」と「指摘だけでなく承認・称賛もできているか」です。

業務の改善点の指摘はもちろん必要なのですが、悪い点の指摘ばかりされるとうんざりします。

フィードバックでは、間違った進め方や改善点に意識が向きがちですが、動機づけのためには「良い点を見つけて承認・称賛する」ことが大事です。


承認・称賛はメンバーの成長実感にも影響します。

成長を感じるタイミングは人それそれですが、成果が出たタイミングだけでなく、承認・称賛により「できるようになった」と実感したり、「次もうまくできそう」というポジティブな感情(自信を持つ)ことで成長を実感するメンバーもいます。

成果が出たときに褒めるだけでは頻度が少なくなってしまうため、以下で解説している「5つの承認ポイント(結果・プロセス・行動・意識・存在)」を活用してみてください。

▶ 承認・称賛とは?|1on1でも重要な承認と称賛の使い方

STEP5:チームの生産性向上・イノベーション

STEP1~4の改善を進めると、メンバーとの信頼関係を土台にして大きな不満に対処し、役割や目標を意識して仕事に動機づけされた組織になってきます。

この状態を作れた時が、組織としてさらに高い成果を追求したり、イノベーションを起こすことにチャレンジしたりと、組織を進化させるタイミングです。


メンバーが経験を積み、業務スキルが習熟してくると、個人レベルの工夫や改善では成果が大きく変わらなくなってきます。

高い成果を出し続けていくには、現状に満足せず、既存のやり方を一度壊して再構築したり、全く新しいやり方を試したりと、挑戦を続けなければなりません。


ここで重要なのが「心理的安全性」です。

Googleも、効果的なチームの特徴を明らかにするための大規模なリサーチプロジェクトにて「心理的安全性がチームの効果性を高める重要な要素」と結論づけています。

単に人間関係が良く安心できる状態ではなく、「チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」を指します。


新しいことへのチャレンジには失敗がつきものです。

新しい意見を出し合う際に、検討外れな意見を出してしまうこともあるでしょう。

そんな場面で、誰かから否定されたり、非難されたりすると、新しいことにチャレンジしようとする気持ちが削がれます。

逆に、馴れ合いで誰も指摘をしない状況では、議論は前進せず、良いアイデアは生まれません。

目的に従って互いに要求し合い、新しいチャレンジを歓迎する組織風土を作ってみてください。

▶ 心理的安全性を高める前に必要な3つの前提|強いチームづくり



今回は、マネトレのコーチがアドバイス時に意識している組織改善のステップについてご紹介しました。

サーベイを実施した後や、組織をより良くしたいと思った際に、参考にしてみてください。


実際にマネトレを利用いただいている場合は、メンバーへのアンケートで組織状態を把握しているため、データに基づきステップ判断してより詳しいアドバイスをしています。

「〜を課題に感じている」「もっと〜〜したい」など思っていることをコーチに相談いただければ、それを踏まえてご回答しますので、お気軽にご連絡ください。

▶ マネトレは、リーダーやマネジャーのマネジメント活動をサポートし、成長を支援します。「コーチ」と「マネジメントナレッジ」を提供する新しいサービスです。

メンバーシップ型(日本)とジョブ型(欧米)とは?|メリット・デメリット

これまで日本企業の多くは終身雇用・年功序列と共に、メンバーシップ型雇用を採用してきました。

新型コロナウイルスを契機に、従来の雇用形態を変える動きが広がっています。

最近では、日立製作所、KDDI、日本電産、富士通、資生堂といった大手企業が「ジョブ型雇用」の導入を発表しています。

日本のこれまでの雇用形態で主流だったのは「メンバーシップ型」でした。それに対し欧米は基本的に「ジョブ型」です。日本企業においても、海外の現地法人はジョブ型を採用しているケースが多いです。

大手企業のグローバルでの人事制度の統一や、新型コロナウイルスの影響でテレワークが増える中、従来のメンバーシップ型ではマネジメントや業務遂行がしにくいことから、2020年はジョブ型雇用への注目が急速に高まりました。

今回は、メンバーシップ型、ジョブ型それぞれのメリット・デメリット、日本企業における運用の実態、ジョブ型導入による日本社会への影響について解説します。

ジョブ型雇用とは|欧米型の雇用の形

ジョブ型、メンバーシップ型の特徴

ジョブ型
メンバーシップ型
  • 職務給(職務価値の大きさによってポストを格付け)
  • 社外の視点(転職市場での価値)も考慮して給与を決める
  • 市場価値が高い職種ほど報酬が高い。社内の報酬の横並びはない
  • 解雇ルールあり/随時離職
  • 実力主義
  • 通年採用
  • 勝手な異動なし
  • スペシャリスト
  • 職務によって、等級が上がることも下がることもある
  • 職能給(職務遂行能力によって人を格付け)
  • 社内の論理で給与を決める
  • 同じ役職であれば職種による報酬面の違いはなく横並び
  • 終身雇用
  • 年功序列
  • 新卒一括採用
  • 異動は会社の自由
  • ジェネラリスト
  • 等級は上がることがあっても基本下がることはない

ジョブ型雇用とは欧米企業で利用されている「仕事に対して人が割り当てられる」という雇用の形です。

日本で昨今話題のジョブ型と、欧米型のジョブ型雇用は、異なる点が多々あるため、まずは本来の欧米型について解説します。

事前に勤務地、報酬、職務の内容などの労働条件を細かく定め、その内容を職務記述書(Job Description)にまとめ、企業が労働者と合意して雇用契約を締結します。

仕事の内容は限定的で、専門性が求められます。

採用においては「職務遂行に必要なスキルがあるか」が重視され、担当する職務の内容や専門性の高さにより報酬が決まる「職務給」となります。


職務給は、職務(仕事)の難易度や責任の度合いを評価する賃金制度で、「仕事の能力ではなく、仕事の内容を評価する」制度です。

そのため、年齢や勤続年数にかかわらず、責任や難易度が同じ仕事に取り組んでいれば、同一の賃金が支払われます。

また、職務を実行できる人材が社内にいなければ、外部から随時採用します。スキルのない新卒を採用し、育成するようなことはありません。

ずっとその会社にいる、勤続年数が長い社員が有利だということはなく、若くても中途採用者でも、能力があり担当する職務が高度であれば、地位も給与も高くなります。

担当職務や責任が明確化されているため、プロセスではなく結果で評価でき、最近増えているテレワークやリモートワークといったプロセスが見えにくい働き方に向いている雇用の形といわれます。

一方、ジョブ型といえど実際の欧米企業のJob Descriptionは、日本人がイメージするほど細かく厳密に職務を規定しているわけではなく、仕事を行う中で柔軟に対応できるよう、職務の大枠と責任範囲を規定したものが一般的です。


労働者は職務を自分の意志で選び会社と合意することができるため、自身が伸ばしたい専門性を磨くことができ、専門性を持ったプロフェッショナル人材が働くのに適しています。

反対に、会社は人事権を持たないため、好きに社員の配置転換を行うことは出来ません。合意したポスト(職務)と労働者が繋がっているのであり、会社と繋がっているわけではないからです。

会社に入るのではなく、職務で契約するため、ジョブ型雇用では、仮に仕事で高い成果を出していたとしても、会社や事業の状況でジョブ自体が無くなれば解雇が可能です。

会社都合で配置転換が出来ないため、勤務地の変更はもちろんのこと、職種・職務の変更もできません。マーケティングの人を広報に配置転換もNGですし、営業を営業企画に、採用担当を人事制度設計に、経理を財務に、といったことでも本人同意が必要です。


ジョブ型は、グローバル企業で主流の、プロジェクトに応じて、都度それぞれの専門性をもったプロフェッショナルが集まりチームをつくり仕事をする、といった仕事の進め方に非常に相性が良い制度です。

メンバーシップ型雇用とは|日本的な雇用の形

「先に人を採用し、人に仕事割り振る」という雇用の形です。

職務記述書(Job Description)の取り交わしは行わず、仕事内容や勤務地などを限定せず採用します。

採用する際には「潜在能力や人柄・コミュニケーション能力など」が重視されやすく、年齢や勤続年数等を基準とした「職能給」となります。

職能給は「仕事の内容ではなく、個人の仕事を進める能力を評価する」制度です。

能力評価における実態は、仕事に取り組んだ経験を評価することが多く、年齢や勤続年数が判断に影響を与えます。

なれる人はこれぐらいの年齢で課長、部長と、役職に対して年齢の話が出たり、中途採用者に対し、うちの会社でこの年齢だとこのグレードが適切だとオファーが決まるのはこの典型です。


日本の新卒採用においては、何をするかは入社してからでないと分からない、という状況で入社することが大半です。

エンジニア職を除けば、大学で学んだ専門と全く関係のない仕事に配属されることは普通ですが、これは日本特有の事象です。

また、中途採用においても、こうしたことを期待している、という話は面接等であったとしても、実際に書面で職務記述書(Job Description)レベルで取り交わすことはありません。営業職やエンジニア職といった、大枠の配属ポジションの明記のみが一般的です。

仕事内容や勤務地に関する明確な規定がないため、状況により会社が社員に対して、部署の異動や転勤、残業を命じることができます。

そのため、労働者は自分で職務を選ぶことができず、専門性を磨きにくくなります。会社の意思で職務が決まるため、人によっては複数職務を浅く広く経験することとなります。

一方、職務ではなく人で採用をしているため、仮に仕事が無くなったり、配属した仕事で成果が出なくても、会社は他の仕事をあてがう必要があり、仕事が無くなったことを理由に解雇が出来ません。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

■メリット

・雇用のミスマッチを防げる

 職務記述書により、職務や勤務地、勤務時間、報酬などを明確に定めます。お互いが入社後の職務に合意した上で採用できるので、雇用のミスマッチを防ぐことができます。


・求める人材を効率良く確保できる

 ある仕事に必要な専門性を持った人材を、必要なタイミングで募集することができるので、即戦力を採用でき教育コストやキャッチアップの時間が必要ありません。


・成果で評価をしやすくなる

 職務記述書に記載されている職務を遂行できたかどうかによって評価が決まるため、曖昧な評価ではなく、成果で評価をしやすくなり客観的な判断ができます。


・事業の状況に応じた雇用の調整が可能※日本では解雇規制があるため不可

 ある職務が無くなった、本人が今の仕事は辞めて別の職務をしたいと希望する、といった場合に、会社に入るという契約ではないため、解雇が可能です。

そのため、不要な労働力を抱え続ける必要がなく、事業の状況に合わせて柔軟に雇用の調整が可能です。

■デメリット

・会社側の都合で転勤や異動が難しい

 職務記述書に記載されている契約によって職務内容が明確に規定されているため、会社都合の転勤や異動ができずません。

これまで欠員や新たなポストが出ると、社内の人材を玉突きで異動させて対応してきましたが、それはできなくなります。また、新卒を総合職として採用し、会社にとって都合の良いポストに配置していくこともできません。


・優秀な人材の引き抜き、離職が増える

勤続年数に関わらず、能力があれば他の会社でより良いポジションで転職が可能になることで、優秀な人材であるほど引き抜かれる可能性が高くなります。

また、同業他社との人材の引き抜き合いも頻繁に発生することになります。

メンバーシップ型雇用のメリット・デメリット

■メリット

・状況に合わせて仕事内容の変更や、柔軟な人事異動・配置ができる

 採用の際に職務や条件などを限定していないため、会社の都合で社員の仕事内容や人事異動・配置変更をすることが可能です。仕事内容については、多岐にわたって依頼することができます。


・長期的な人材育成が可能

 長く勤めていることのメリットを感じやすい環境を整えることで、人材が定着しやすく、長期的な視野で育成ができます。

■デメリット

・専門職の人材が不足しやすい

現状の社員を基本に仕事を進めなければならず、自社で保有していない専門分野の人材が不足しやすくなります。


・教育コストがかかる

社員に育成する環境を整える必要があり、経験がない仕事をやらせる際に、社員を教育する時間、金銭的コストが大きくなります。また、結果的にプロフェッショナルが集まった場合よりも事業のスピードが遅くなり、変化が激しくグローバルで競争しなければならない現在ではマイナスになります。


・成果を出さない社員にも高い給与を払う必要がある

 能力がなく、会社への貢献が見込めない社員であっても、年齢や勤続年数によって見合わない給与を払う必要があります。

日本におけるジョブ型雇用の特徴|現状は欧米型と大きく異なる

日本版ジョブ型の主な特徴
  • Job Descriptionの作成
  • Job Descriptionの内容で評価
  • 職務給ではなく職能給(ポストではなく人にグレードが紐づく)
  • 企業に人事権がある(企業都合の転勤異動が可能)
  • 終身雇用(解雇はなし)

■職務記述書(JD)を作成するも「職務給」に変更はせず「職能給」のまま

ジョブ型は本来「職務」によって給与が決まりますが、日本においては、職務記述書(Job Description)は作成するものの、ポストや職責が「人」に属する「職能給」のまま運用されています。

実態としては、元々ある職責(ミッション)、役割等級(グレード)の見直し、それに伴う名ばかり管理職の廃止、能力を年齢に関わらず適切にグレードに反映する運用、新卒での一律給与の見直しなどの変更に留まっています。

ポストにグレードが紐づく欧米とは違い、人にグレードが紐づく「職能給」は変わらず、本来のジョブ型とは大きく異る状況があります。

職務は同じでもグレードが違えば給与が異なるという旧来の状態はそのままです。

■職種別コースの見直し

日本企業においては、エンジニアを抱えるメーカー等で、古くからスペシャリストコース、マネジメントコースのような職種別のミッション、グレード制度がありました。

マネジメントになった人、それ以外、のような分け方や、スペシャリストコースの昇給やグレード上限や、上位グレードの対象となる人数がマネジメントコースより低い、といった形での運用が主流でしたが、グローバルでの潮流に合わせてスペシャリストコースをより整備し、再設定した内容で改めて厳密にグレード適用を見直す、といった変化が起きています。

しかし、ここでも職務給ではなく、グレードは人に属する職能給であり、ポストで処遇を設定する欧米のジョブ型とは異なります。

日本におけるジョブ型雇用の影響|影響は限定的

■日本には解雇規制があり社員を解雇できない

ジョブ型雇用の場合、業績の悪化や、サービスや事業の停止といった会社の都合により、担当するジョブ(職務)が無くなった際に「社員を解雇」することができます(米国と欧州では中身はかなり異なります。通常解雇にあたっては金銭解決ルールが各国で定められています)。

仕事の内容・範囲と勤務地が限定され、その条件に合意して契約を結んでいるため、従業員に新しい仕事を用意する義務はありません。

、職務に合わせて人を採用しているため、職務がない人材に給与を払い続け組織運営していくことは不可能です。

日本においては、解雇の4要件という厳格な解雇規制があり、整理解雇のハードルは極めて高く実質的に正社員は終身雇用です。

赤字で企業の存続が危ぶまれる状態の企業でさえ、希望退職を募った後でなければ、整理解雇を行うことができない程厳しいものです。

そのため、日本におけるジョブ型雇用の運用においては、職能給により保護されていた名ばかり管理職や、ぶら下がり社員の報酬引き下げ、高度人材への高給提示による採用競争力の向上、目標管理・評価制度としてジョブ型(JDの作成)を利用する、といった部分に留まると予想されます。

■失業率の上昇が予見できる解雇規制の改革は政治的ハードルが高い

仮にジョブ型雇用に限って解雇規制が緩和された場合、専門性を持たず、ポテンシャルもない中高年社員の大量解雇が予想されます。

これまで解雇されることは頭に無く、市場価値を意識せず仕事をしてきたこれらの人材の行き先はなく、失業率の大幅な上昇が予想されます。

また、何のスキルも持たない若者をポテンシャルで採用するケースが減る可能性があります。若年人口が極端に減少している日本においてはあまり影響は出ないかもしれませんが、欧米のように若者の失業率が高くなる可能性があります。

ジョブ型雇用は、企業の競争力や生産性の向上に寄与する制度ではありますが、急な欧米型ジョブ型雇用へのシフトは社会不安を招く可能性が極めて高く、政治的なハードルはかなり高いと言えるでしょう。

リーダーシップの経営心理学(後編)|マネジャーの行動変容を妨げる心理的壁の乗り越え方

INSEAD(インシアード)は、フランス、シンガポールにあるビジネススクールで、そのMBAプログラムは、最新のFinancial Times「Global MBA ranking 2020」で世界第4位にランキングされている名門ビジネススクールです。


本コラムでは、INSEADにおいて企業幹部向けリーダー育成プログラムを統括したナラヤン・パント教授によるリーダーシップ研究から、全2回に分けて、マネジャーに必要なリーダーシップを紐解きます。

後編の今回は、リーダーが持つべき必須の考え方と、なぜ知識があってもマネジャーはリーダーシップを実践できないのか?マネジャー育成の心理的な壁の乗り越え方について解説します。


※前編はこちら

▶リーダーシップの経営心理学(前編)|良きリーダーになるために必要な能力

リーダーが持つべき必須の考え方

マネジャーの行動変容を妨げる心理的な壁の乗り越え方の前に、まずはその基盤となる、パント教授が指摘するリーダーが持つべき必須の考え方について解説します。

リーダーが持つべき必須の考え方
  1. 集合知を活用する
  2. マイクロマネジメントをしない
  3. 決めつけない

謙虚に集合知を活用する

不確実な環境においては、専門知識やこれまでの経験は、どんどん価値が低下しています。先が見えない環境下では、謙虚に「集団の知恵」を活用することが重要です。

これは、「集合知」と呼ばれる概念で、

「集団はきわめて優れた知力を発揮し、それは往々にして集団の中でいちばん優秀な個人の知力よりも優れている。集団のメンバーの大半があまりものを知らなくても合理的でなくても、一人のプロが判断を下すより、集団の方が賢い判断を下せる」ということが、科学的研究で明らかになっています。


集合知が発揮されるためには、下記4つが必要です。

(1) 意見の多様性(各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている)

(2) 独立性(他者の意見に左右されない)

(3) 分散性(それぞれが得意な分野、身近な分野に特化し、判断する)

(4) 集約性(個々の意見をひとつに集約する仕組みの存在)


最終的な意見は、聞いた意見が個々に独立していればいるほど改善することが分かっています。つまり、上司が部下に意見を求めた際に、部下が上司に忖度するようでは集合知は発揮されません。

リーダーの役割とは、自分ひとりの考えで判断を行使することではなく、多様な意見を出しやすい環境を整えて、最終的に集団として良い判断に繋げることです。

リーダーは最後は一人で判断しなければなりませんが、一人で考えてはいけません。

そのために、誠実で分け隔てない態度が必要になります。

自分こそが全てを分かっていると認識しているようなマネジメントは正しい判断を下せるリーダーにはなれません。

マイクロマネジメントをしない

マイクロマネジメントは、先に述べた集合知を活用するリーダーの姿勢と対極にあるリーダーの姿勢です。

マイクロマネジメントなしで組織を管理できないと思うリーダーは、自分を律することが出来ていません。怒りの感情などを制御できずに、周囲を萎縮させてしまいます。その結果として、細かく管理し、叱咤激励しないと組織が動きません。

他人をコントロールすることはそもそも不可能です。そして、メンバーを細かく管理すればするほど彼らは指示待ち型の人材になります。自分自身で決めることを恐れ、上司に決めてもらうまで待つようになります。

これは、中長期的には、組織の弱さとして跳ね返ってくることになります。

決めつけない

多くの場合、他人の行動の理由は分からないのに、我々は相手が意に介さない行動をすると、勝手に理由を決めつける傾向があります。

アンガーマネジメントなどは、表層的なやり方にすぎません。湧き上がった怒りをコントロールするのではなく、怒りそのものの発生を抑えなければ優れたリーダーになれません。

例えば、会議に出席して自分が発表している時に、誰かがスマホを見ているとします。

ここで「なんで私の話を聞かないんだ」と怒りが沸き起こるようではいけません。彼は子供が急に熱が出て連絡が来たとか、突発的なトラブルの連絡が来たのかも知れません。

何か決めつけてしまうと、そこからは怒りの感情しか生まれてきません。

また、自分に否定的な意見を言う人への怒りを持つこともあるでしょう。

それは、そのリーダーが、自分に否定的な意見を言う人への怒りを制御できないからです。自分に問題があります。

リーダーは、自分自身を律して考えを切り替える事によって、否定的な意見への寛容さを持つことが必要です。

自虐に陥るのは特別なことではない

多くのリーダーは、実は自信過剰ではなく、インポスター症候群に苦しんでいると言われています。

インポスター症候群とは、自分の成功や今の地位は、自分の実力ではなく外的な理由で、周囲は自分を過大評価している、前任者と比べて自分は全く優秀ではない、などと考えてしまう傾向のことです。

これは決して恥ずかしいことではありません。優れたリーダーですらこのインポスター症候群にしばしば陥ることが分かっています。

自虐に陥ってしまうのはあなたが特別ではありません。周りもそうなのです。

マネジャーの行動変容を妨げる心理的壁の乗り越え方

管理職・マネジメント層において、マネジメントに関する知識がない人はまずいません。実務の中での学習や、研修や読書によって、多かれ少なかれ知識は持っています。

しかし「知識はあっても実践できない」人がとても多いのが実態です。

単に知識を提供するのでなく、分かっていてもやらないマネジャーにリーダーになってもらうには、どうすればよいか。

あらゆる変革と同じで、マネジャーの教育も変化への心理的な壁にぶち当たります。



マネジャーが心理的な壁を乗り越える最も重要なポイントは、「自覚」です。

考え方や感情、自分がやってしまっている振る舞い、思考を自覚する。そうすれば、どうしてこう考えたんだろう?これは正しい反応だろうか?と思えるようになります。

そして、自覚してはじめて、行動をどう変えたいか?どんな考えが邪魔になって変われないのか?を考えることができるようになるのです。

自覚するコツとしては、「観察するだけで判断をしない」ことです。これは良いとか悪いとか、そうした判断を下してはいけません。

そうではなく、頭の中や体、感情に起こっていることに注意を払います。まずはただ観察して、そこに在るものに「気づくこと」からはじめましょう。

簡単なことのように思えて、この「自覚」を自分ひとりで行うのは案外難しいことです。自分ひとりでは難しい場合は、コーチ等の、第三者からフィードバックをもらうことが助けになります。

そして、「気づき」➝「どのように修正したいか」の次のステップが「行動変容」です。いきなり大きく変えようとしなくて問題ありません。小さなことから、徐々に変えていけば、やがて大きな変化になります。


マネジャーが自分を管理できていないと、リーダーシップを発揮することはできません。

多くの権限を委譲し、仲間たちのしていることを信じつつ、組織の利益に沿って行動してもらうように促すのがリーダーの仕事です。

マネジャーの知的訓練だけでなく、マネジャーの心理にも働きかける必要がある

多くの研修プログラムが知識を教える講義型です。これらは、戦略、リーダーシップ、ファイナンスなどの理解を深める、20世紀型の問題解決プログラムです。

しかし、知識が普及した今ではその重要性は下がってきており、すでに知っていることも増えています。新しいカタチの課題解決が必要です。

人はどんなに優れていても、あるいは今どんなにダメでも、いつだって今より優れた人間になることができます。

マネジャーの知的訓練だけでなく、今後はマネジャーの心理にも働きかけていかなければなりません。

参考:『世界最高峰の経営教室』第4章リーダーシップの経営心理学 広野彩子著

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ハラスメントとは?|職場におけるハラスメントの実態

ハラスメントと主な法律

ハラスメント

ハラスメント(Harassment)とは、「嫌がらせ」という意味で、相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせることを指します。

ハラスメントを定義するにあたり重要なのが、「行為者がどう思っているのかは関係なく、相手が不快な感情を抱けばハラスメントになる」ということです。

※一般的と認められる指導等、第三者から見ても客観的に正当性が認められる場合は、ハラスメントには該当しません。

日本では、上意下達やパワーマネジメントに偏ったマネジメントが主流だった背景や、ハラスメントに関する教育の不足から、パワハラ上司やセクハラ上司を生みやすく、問題となるケースが多発しています。

また、日本を代表する複数の大企業で、パワハラによる社員の自殺が労災認定されるケースが相次ぎ、メディアで大々的に報道される等、社会問題となっています。

そのような社会的な背景があり、近年日本でもハラスメントに対する法整備が進められています。


<ハラスメントに関する主な法律>

・「男女雇用機会均等法」:セクハラ禁止

・「育児・介護休業法」:マタニティハラスメント禁止

・「ハラスメント対策関連法」:パワハラ・セクハラ・マタハラ・ケアハラ禁止

※ハラスメント対策関連法については、中小事業主は2022年3月31日までは努力義務


また、パワハラは、下記3つの要素で定義されています。不法行為に当たらなくとも、下記3つを全て満たしていればパワハラと認定されます。

また、3つの要素のうちどれかが欠ける(かもしれない)けれども、就業環境が害される場合も、上記で上げた法律の防止措置義務の対象となります。

パワハラを定義する3要素
  1. 優越的な関係を背景とした
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた
  3. 労働者の就業環境が害される

職場におけるハラスメントの実態

日本労働組合総連合会が2019年5月に公開した『仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019』によると、職場でハラスメントを受けたことがある人は全体の38%でした。

約4割もの人がハラスメントを受けたことがあるというのは驚きです。

日本企業の多くで、マネジメントに大きな問題があることが伺えます。


<主な内容>

・上司からのハラスメントで多いのは、脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言などの精神的な攻撃

・ハラスメントを受けた20代の3割近くが離職を選択

・職場でハラスメントを受けた女性の38%がセクハラ被害者

・ハラスメントを受けた人の54%が「仕事のやる気喪失」、22%は「心身不調」、19%が「退職・転職」と回答

・ハラスメントを受けた人の44%が「誰にも相談しなかった」、その理由の多くは「相談しても無駄だと思ったから」

※社内のハラスメントの相談窓口から内容が上司に筒抜けだった、逆に相談者が非難された、上司ではなく相談者が意図しない異動で飛ばされた等の声も多く上がっています。


ハラスメント上司を放置することは、会社として大きなレピュテーションリスクとなるだけでなく、人材の流出、パフォーマンスの低下という具体的なデメリットを発生させます。放置しておいて良い問題ではありません。


参考:『仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019』 https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20190528.pdf?43

ハラスメントの種類

職場でおこる主なハラスメントをご説明します。

予防したり、社員より相談があった場合には、実際にハラスメントであるか否かにかかわらず、早期に対処することが事業主の義務とされています。

■ セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクハラとは、性的嫌がらせのことです。

不必要に性別・年齢・プライベート・容姿に関する発言をしたり、身体に触れたりする行為を指します。一般的に男性から女性に対してのイメージが強いかもしれません。しかし女性から男性、同性同士でも行われる場合もあります。

セクハラには大きく分けて「対価型セクハラ」「環境型セクハラ」の2つに分けられます。

「対価型セクハラ」は、「俺と付き合えば/性的な要求を受け入れれば良い評価をする」などと性的な言動を強要するものです。

もう1つ「環境型セクハラ」は、ヌード写真をデスクトップに設定したり、お酌を女性に強要したり、明確な不利益を伴わなくても職場環境を悪化させるものを指します。

■ パワー・ハラスメント(パワハラ)

パワハラとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や役職などの優位性を背景に適正な業務の範囲を超えて精神的、身体的苦痛を与えることです。

上司から部下、先輩から後輩に対して行われることが多いですが、人間関係上優位性を持った部下から上司に行われるケースもあります。

また、パワハラは「心理的な攻撃」「身体的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つの種類に分けられています。

叩く、殴る、蹴るなどの身体的な攻撃から、一人だけ別室に席を移される、通常業務でない草むしりばかりやらされる、同僚の目の前で執拗に叱責されるなどの行為があります。

たった1度の行為でもパワハラになる可能性もありますが、1度では問題にならなくても継続的に攻撃を行った場合や長時間にわたって攻撃を行った場合でもパワハラになる可能性があります。

■ ケア・ハラスメント(ケアハラ)

ケアハラとは、職場における育児・介護休業等 の制度利用に関する言動により、精神的苦痛を与えることです。

働きながら家族の介護を行う労働者に対して制度利用を妨害したり嫌がらせをしたりするハラスメント行為を指します。

家族の介護が理由で残業ができなかったり、休まなければならなかったりする従業員に対して、人事評価を下げる、介護休暇の取得を妨害する、尊厳を傷つける等の行為がケアハラにあたります。

■ マタニティ・ハラスメント(マタハラ)

マタハラとは、職場における妊娠、出産等に関 する言動により、精神的・肉体的苦痛を与えることです。不妊治療に対する否定的な言動も含むとされます。

例えば、妊娠中や産休明けなどに心ない言葉を言われた。妊娠・出産がきっかけで解雇や契約打ち切りをされた。自主退職への誘導をされ。妊娠中や産休明けなどに嫌がらせをされた等が、マタハラにあたります。

■ モラル・ハラスメント(モラハラ)

モラハラとは、肉体的ではなく、人として守るべきモラル(道徳)に反した言葉や態度によって巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力で、「大人のいじめ」とも言われています。

例えば、陰口を言われる、小さなミスにたいしても過剰に強い口調で叱責されるなどの場合はモラハラの可能性があります。モラハラは物的証拠が残りにくく、また加害者が正しいふるまいのように見せかけようとする傾向にあるため、周囲の人に気づかれにくい一面があります。

また、モラハラは部下・同僚・上司など立場を問わず行われることも特徴です。

権力の大きさは関係なく、女性から男性へ、同僚同士の間でモラハラが起きるなど、性別や立場を問わず発生する可能性もあります。

■ テレワーク・ハラスメント(テレハラ)、リモートワークハラスメント(リモハラ)

テレハラやリモハラとは、テレワークやリモートワークをしている従業員に対して、web会議などオンライン上でのやりとりで生じる嫌がらせのことです。

テキストコミュニケーションが増えたり、画面越しにプライベート空間が見えたりすることがきっかけで起こるハラスメントですが、オンライン上で起こるため、周囲が気付きにくい傾向があります。対面であれば圧迫感を感じることのない指示でも、テキストだと威圧的に感じることもあるため、指示をした本人がハラスメントを行っていることを自覚していないケースも少なくありません。

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