リーダーシップの経営心理学(前編)|良きリーダーに必要な能力とは?

INSEAD(インシアード)は、フランス、シンガポールにあるビジネススクールで、そのMBAプログラムは、最新のFinancial Times「Global MBA ranking 2020」で世界第4位にランキングされている名門ビジネススクールです。

今回は、INSEADにおいて企業幹部向けリーダー育成プログラムを統括したナラヤン・パント教授によるリーダーシップ研究から、全2回に分けて、マネジメントに必要なリーダーシップを紐解きます。


▶ リーダーシップとは?|マネジャーに必要なスキルとしてのリーダーシップ

良きリーダーになるために必要な能力

ナラヤン・パント教授は、良きリーダーに必要な能力として3つ挙げています。

具体的には、下記3つが理論の核となっています。

良きリーダーに必要な能力
  1. 自己管理能力
  2. チームの人々をまとめる能力
  3. 組織をうまく回す能力

また、パント教授は、上記に加えて、優れたリーダーの共通点は学び続ける姿勢であり、学ぶのをやめた瞬間にその人はリーダーではなくなるとも述べています。


人は今、どんなに優れていても、あるいは今どんなにダメでも、いつだって今より優れた人間になることはできます。数多くのリーダーに会ってきた経験からすると、優れたリーダーの共通点として、常に学ぼうという姿勢を持っていたことが挙げられます。逆に学ぶことをやめた途端、もう良いリーダーではなくなります。リーダーの生来の正確がどうであれ、訓練で克服することができます。その意味で、素質は大した問題ではありません。そんなことより、その人の能力がどれほど高かろうと、包容力があろうと、常に新しいことを学ぼうとしているかの方がリーダーとしてはるかに重要です。

引用:『世界最高峰の経営教室』広野彩子著

1.自己管理能力

結果を出すリーダーになるには、まず自分と向き合って自分の考えや感情を知り、そこから表出してくる行動をうまくコントロールする必要があります。

部下を怒鳴り散らすリーダーがいたとしたら、その人はコントロールが出来ていません。怒りを顔に出さずとも本当は起こっている場合もあります。

しかし、それもコントロール不能状態です。

感情にあらわにするか否かだけが問題ではありません。極端な考え方や感情、行動を抑える能力が必要です。

2.チームの人々をまとめる能力

限られた時間で最大の成果を出すには、チームをまとめることが欠かせません。チームをまとめるためにリーダーがすべきことは複雑ではありません。

世の中には「チームのベストの結果を出すためには、チームメンバーの話をよく聞き、理解し、心配事について心配せよ」と指南している本が数多くあります。それほど当たり前のことです。

しかし、実践できているマネジメントは多くありません。


あなたが会議に出席しているとしましょう。 部下が議論しているのと少し違うアイデアを話したりする。あなたは「なんでこんなトンチンカンなアイデアを言い出すんだ」「今言ったらダメだろう」などと、心の中で思ってしまう。

それこそがリーダーとして自分自身を管理できていない証拠です。不規則な発言にただ刺激され、考えることなしに怒っているだけです。

あなたは、もしかしたら、発言した部下が実は何か深刻に悩んでいて、助けを求めるために発言している可能性を考えていません。

また、その部下の迷いには、チームをまとめるうえで重要なヒントが隠されていることも多いはずなのです。

3.組織をうまく回す能力

自分とチームのコントロールが前提になります。

組織を動かす上でリーダーに重要なのは、実はしっかり周囲に頼る力です。

どんな立派な戦略が出来ても、リーダー一人で実現することはできず、他の人達に働いてもらわなければなりません。

明確な指示を与えることが出来ても、リーダーがチームを信頼し、チームが働ける環境を整えなければ組織は動きません。

リーダーは自分を管理しなければなりません。弱いリーダーはまず他人をコントロールしようとし、部下がしていることを全部報告させます。

しかし、そんなことは不可能です。

多くの権限を委譲し、仲間たちのしていることを信じつつ、組織の利益に沿って行動してもらうように促すのがリーダーの仕事です。

知識があることと、実践することは異なる

いかがでしたでしょうか?今回は、パント教授によるマネジメントに必要なリーダーシップについて解説しました。

とても基本的なこと、大半の人にとって似たようなことをどこかで聞いたことがあると思います。

しかし、実践できているマネジメントはごく少数です。

実行するのに特殊な能力が必要だったり、習得が難しく誰しもが実践できないといったことではありません。ぜひ明日から実践してみてください。


次回は、パント教授の後編として、なぜ知識があっても、マネジメントはリーダーシップを実践できないのか。マネジャー育成の心理的な壁の乗り越え方について解説します。


参考:『世界最高峰の経営教室』第4章リーダーシップの経営心理学 広野彩子著

▶ リーダーシップの経営心理学(後編)|マネジャーの行動変容を妨げる心理的壁の乗り越え方

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ノーレイティングとは?|相対評価をしない新しい評価手法

ノーレイティング

レイティング(rating)とは評価という言葉です。
ノーレイティングとは、評価を行わないことではなく、従来の人事評価制度とは異なり、年次評価で社員のランク付け行わないという、比較的新しい人事評価手法です。
リアルタイムの目標設定とフィードバックを実施する中で、その都度評価を行います。

ギャップ、マイクロソフト、GE、アドビシステムズ、アクセンチュア、IBMといったグローバルカンパニーが「ノーレイティング」を導入しています。


これまで、企業の評価制度の多くは、毎年年度末に1年間の働きを評価し、A、B、Cなどのランク付けを行い、それに伴って給与や賞与、役職などが決まる形式になっていました。

社員の目標達成率や成績をもとに、相対評価をしてランク付けをする制度の為、成績や評価項目と照らし合わせ「平均以上かどうか」という尺度で判断すればいいので、評価する側が一定の評価を割り振りやすくなっていました。


これに対し、ノーレイティングでは、年度単位での評価はせず、ランクも付けません。リアルタイムで目標設定を行い、その目標に対して上司と対話します。上司からフィードバックをもらうことにより、その都度評価が下される仕組みです。

双方が合意した目標に対し頻度高くフィードバックし評価をするため、他の人と比較した結果あなたはこの評価、といった従来の評価の形とは大きく異なります。

ノーレイティングが生まれた背景|レイティングによる悪影響

・大多数の従業員のモチベーションが上がりにくい

従来のレイティングでは、「どのランクに何人の従業員」「それぞれのランクに何人の従業員」といった前提で評価をします。仮に5段階のレイティングを行った場合、そうした大多数の従業員の評価は「B評価」や「C評価」といった中間的なものに集中します。中間的な評価では、企業から自分への期待などを実感するのが難しいため、なかなかモチベーションは上がりません。

・従業員のチャレンジ、成長が阻害される可能性がある

他社と相対評価されるため、上司や周囲からの評価を必要以上に気にしたり、失敗してランクが下がることを恐れて、挑戦心を削ぐ可能性があります。評価を考えると、難しいことにトライするより無難に過ごした方がいい、と思う従業員が増える傾向があります。

・評価のタイミングが遅くなる

レイティングは通常、期末や年度末といったタイミングで、過去の出来事を振り返りながら行われます。そのため、評価結果は「今の自分」への評価ではなくだ、いぶ「過去の自分」への評価となります。年1回の評価などで、だいぶ昔が評価されることで、「現在の自分」を見てもらえず、現実との間に乖離が生じ納得感を醸成できない可能性が高まります。

ノーレイティングのメリット・デメリット

<メリット>

・目標設定や評価への納得感が高まる

従来のレイティングでは、半期・年度単位で個人目標を設定し、期末・年度末に評価を受けていたため、評価のタイミングで「過去に立てた目標が現在の状況に即していない」「なんで今になって過去のことに対して指摘するの?」といったズレが生じ、不満を生んでいました。

ノーレイティングでは、上司と部下の1on1での対話の中でリアルタイムに目標設定・修正をし、評価を受けることができます。それにより「今の自分の状況に合った目標を上司と相談しながら設定できる」「今の行動や頑張りが評価され、タイムリーに指摘をもらえて軌道修正ができる」と従業員が感じ、目標設定や評価への納得感が高まります。

・従業員のモチベーションが向上する

従業員が成長していくためには、モチベーションを保ちながら仕事に臨むことが重要です。ノーレイティングの場合、リアルタイムに目標設定と評価を行うことで従業員の納得感が高まり、「もっと能力を高めたい」「もっと貢献したい」という気持ちが生まれ、モチベーションの向上が期待できます。従業員のモチベーションが向上することにより、生産性の向上も期待できます。

・働き方の多様化に対応しやすい

近年、裁量労働制や短時間勤務、在宅勤務など、従業員の働き方が多様化する中で、一人一人に合った評価がしやすいという点が挙げられます。ノーレイティングでは上司と部下との定期的に行われる1on1の中で、個人の状況に合わせた目標設定と、それに対する評価ができるため、在宅ワークや時短勤務といった多様な社員を、他人とではなく、設定した目標に対してどうだったか評価することができます。従来のレイティングの場合は、相対比較するために、働き方が異なる社員を同一の尺度で評価しなければならず、多様な働き方の社員を認め公平に評価するには、評価基準を適正に設定することが困難でした。

<デメリット>

・管理職の負担増加

裁量と共に、ノーレイティングを運用するにあたっては、管理職の負担が増大します。

評価をする立場にある上司は部下との密接なコミュニケーションを何度も繰り返しながら、状況に応じた目標設定やフィードバック、アドバイスを行う必要があるためです。また、時間や手間はもちろんのこと、柔軟に対応できる目標設定と評価の高いスキルが求められるため、スキル習得のためにも一定の時間を要します。

・管理職に高いマネジメント能力が求められる

従来のレイティングであれば、統一された評価項目・基準に応じて相対的なランク付けを行うため、上司が部下を評価することは比較的容易でした。

しかしノーレイティングでは評価のための判断がすべて上司に委ねられており、上司のマネジメント力が低い状態では、上手く運用が回りません。

・賞与のコントロールが難しい

従来の相対評価によるレイティングの場合、合計額を相対評価に対し割当て行くだけなので、賞与全体のコントロールは比較的簡単でした。

一方で、ノーレイティングの場合、各組織の管理職によって相対比較でなく個別に評価がなされるため、賞与全体額や配分のコントロールが難しくなります。

実際の報酬決定は、管理職に人件費予算を与え、給与決定を一任する。実際の報酬決定の際は、他のマネジャーも含めた調整プロセスであるキャリブレーションを実施する。とパターンはいくつかありますが、基本的に上司が部下の給与を決定することになるため、管理職の裁量は従来より大きくなります。

ノーレイティングの運用実態|テレワークが導入の追い風に

・ノーレイティング導入のパターン

導入する企業の運用方法は「人事部門がサポートに回る」、または「完全に現場のマネージャーに任せてしまう」の2つに大別されます。 前者は、現場のマネジャーに任せっきりではなく、ノーレイティングは現場マネージャーの負担を増大させるため、軽減する仕組みを、会社がきちんと構築してサポートを行っています。

後者は日本的な人事制度や文化との親和性がたかくないため、日本企業での運用実態は人事部がサポートに回る形が大半です。

ノーレイティング最大の課題は、マネージャーの負荷の増加です。きちんと運用していくためには、導入に際し、マネジメントの業務設計の見直しや、ITツール(HRテックサービス等)を活用して、業務やマネジメントを効率化するなど、マネージャーの負担を軽減する仕組みづくりが人事には求められます。

テレワークにも対応できる評価制度で注目が集まる

新型コロナウイルスの影響で、テレワークやサテライトオフィスの活用、あるいは短時間勤務など様々な取り組みが加速しています。相手の働きぶりが見えにくくなる状況では「1on1ミーティング」など、上司と部下のコミュニケーションをきちんと機能させなければ、コミュニケーションが不足し組織が機能不全を起こしてしまいます。

ノーレイティングでは、従業員ごとの目標管理に合わせて、業務のPDCAサイクル、評価、フィードバックのサイクルを短いスパンで回すことをルールとするため、テレワークのような意思疎通が不足しがちな環境下でも、上司部下のコミュニケーションをきちんと機能させることに寄与します。

テレワーク下でも、従来のレイティングという評価制度より、目標設定や評価への納得度、社員のモチベーションを維持しやすい評価制度です。

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マイクロラーニングとは?|すきま時間を活用した新しい学習法

マイクロラーニングとは、1~5分程度の短時間で学習を行うスタイルです。

スマートフォンなどのモバイル機器で、好きな時に好きな場所で学習できる為、すき間時間を有効活用することができます。

最近では、新型コロナウィルスの影響で集合研修を行うことが困難となり、オンラインでの学習機会を模索する企業が増え、よりマイクロラーニングの効果が期待されています。

マイクロラーニングとは

マイクロラーニング

1回5分程の動画や、細分化されたWebコンテンツなどの教材を使って学ぶ方法です。
スマートフォンなどのモバイル機器で、好きな時に好きな場所で学習でき、短時間で1回のレッスンが完結するので、仕事の合間や移動中などのすき間時間を利用して気軽に学習することが可能です。
また、学習やクイズ形式の勉強など、その形態は多種多様です。

マイクロラーニングが登場した背景

■ eラーニングにおける学習頻度・効果の低下

従来のeラーニングの学習スタイルは、長時間の学習コンテンツを、オフィスのパソコンを使って視聴する形式が一般的でした。(最近はスマートフォン等のモバイル機器でも視聴が可能となりました)

しかしこのような学習スタイルには、まとまった時間の確保が必要な上、長時間学習が非効率で学習定着率が低いという問題がありました。


・eラーニング:

 学習時間:1回60分程度

 特徴:会社が指定したコンテンツ、またはコンテンツの中から選択し受講


・マイクロラーニング:

 学習時間:1コンテンツ5分程度

 特徴:自分が学びたい内容を、好きな時間・場所で短時間に学べる


■ コンテンツ配信方法の多様化

情報技術の発達に伴い、従来eラーニングで使われていた、インターネット上にあるサーバー「学習管理システム(通称:LMS / Learning Management Systemの略)」を使うだけでなく、社内SNS、スマートフォン等のモバイル機器など、様々な経路・デバイスからコンテンツを視聴できるようになりました。

これにより、学習者がすきま時間にコンテンツを受け取れるようになり、企業としてマイクロラーニングが実施できる学習環境が整ってきました。

マイクロラーニングのメリット

・すき間時間を活用できる

1回のプログラムが短いため、通勤の間やちょっとした待ち時間等、日常のすき間時間で学習が可能です。長時間腰を据えて取り組まなくてよいので、忙しくてまとまった時間が取れない人にも日常生活に取り入れやすい学習方法です。


・講師の質に左右されず、良質なコンテンツを利用できる

対面型学習では、講師の質によりコンテンツの質が左右されてしまいます。

用意された質の高いコンテンツを、講師の当たり外れなく誰もが同じ内容で学ぶことができます。


・必要なときに、必要な部分を学習できる

それぞれの持っている知識や学びたい内容に応じて、適切なコンテンツを適切なタイミングで選択し、学習することができます。


・学習効果が高い

人間の脳は、1度に長い時間をかけて学習するより、短時間での復習を繰り返した方が、より学習効果が高いと言われています。


・習慣化しやすい

基本的に常に持ち歩いているモバイル端末を活用するため、「スマホで10分」など習慣化のハードルが低く、学習の継続が期待できます。

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中間管理職に変化を起こす方法|マイケル・ウェイド著『DX実行戦略』に学ぶ組織論

先日発表された2020年版のIMD(スイスにあるビジネススクール)の世界競争力ランキングで、日本は過去最低の34位となりました。

IMD「世界競争力年鑑」は、代表的な国際的ランキングで、63カ国・地域を対象に、国の競争力に関連する統計やアンケート調査などを幅広く収集し、これらを元に競争力総合指標を作成しています。

日本の総合順位の変遷を見ると、1989年からバブル後の1992年まで1位を維持し、1996年までは5位以内の高い順位でした。

しかし、山一證券の破綻を始めとした金融危機が勃発した1997年に17位に急落。その後は基本的には20位台の中盤前後で推移し、2019年には30位となり、最新版の2020年では過去最低の34位まで落ち込んでいます。

今回は、DX分野の第一人者と呼ばれ、IMDで今最も多忙と言われるマイケル・ウェイド教授の著書『DX実行戦略〜デジタルで稼ぐ組織をつくる』から、日本企業が抱える課題と「中間管理職」について紐解きます。

出典:IMD「世界競争力年鑑2020」より三菱総合研究所作成

変化に対する順応性、そのスピードが最下位の日本企業

日本は世界競争力ランキングの全体順位は34位でしたが、「起業家精神:マネジャーの起業家精神がビジネスに広がっている」、「企業の俊敏性:企業は俊敏である」という項目が最下位と、日本はアフリカ諸国や南米の国々より下という結果でした。

日本は、ロボティクスや通信技術、AI(人工知能)といったデジタル技術では、世界で上位の競争力を持っていますが、一方で、変化に対する順応性、組織文化の変えやすさや、そのスピードに問題がある状況が浮かび上がります。

変化が必要なことに危機感を持てない中間管理職

実際、社長やリーダー層が、変わらなければならないと分かっていても、2〜3階層下の中間管理職層は、危機感を持てていません。

日本の中間管理職には、先に上げた「起業家精神」や「俊敏性」だけでなく、外国人や女性の比率は国際比較で極端に少なく「多様性」が欠けています。同調査では「多様性」についても日本は最下位です。

多様性という点では、人種や性別だけでなく、そもそも企業外で育った人材が社内で少なく、同じ組織で育った人間が大半であるという状況があります。

総務省統計局のデータでは、男性の2割が50歳まで転職経験が0、転職回数が2回までで75%を占めます。それに対し、米国では平均転職回数が10回です。

企業は、早期退職の募集やシニア層の人員を減らしたいと考えていながら、転職回数が3回を超えてくる人材には、長く働いてくれない可能性があると、能力関係なく応募の際に足切りする慣習が未だに多くの大企業で残っています。

終身雇用文化が長らく続いたため転職が当たり前でなく、人材の流動性が国際比較で著しく低い日本では、新しい人や考えを取り入れる機会が少ないため、変革を起こすのがそもそも難しい風土があるのです。

その結果、企業に対する忠誠心は高くハードワーカーではあるが、新しいことに興味を持たず、俊敏に動く必要を感じない中間管理職が、企業の変革を止めてしまう構造となっています。

いかにして中間管理職に変化を促すのか?

トップが中間管理職に対してよく漏らす不満は、中間管理職は動きが遅い、何も新しいことに動かないということです。

しかし、それはそのような組織に責任があります。そう行動するほうが良い仕組みがあることが問題なのです。

では、いかにして中間管理職に変化を促せばよいのでしょうか?

既存のシステムの中で忠実に働いている中間管理職を責めても、問題は解決しません。

そして、組織で長く働いている中間管理職は、皆社内でのゲームの仕方は心得ており、システムに合うように動いています。


中間管理職は、決まったルールに合わせて動くことが得意です。

そのため、既存のシステムをトップが実現したい目的に相応しいものに変えてしまい、中間管理職に「変えた方がよい」と思わせるインセンティブを与える。ゲームのルールを変えることが必要です。

具体的には、組織構造や人事制度、評価制度、文化、従業員や顧客との関わり等の複数の要素がこれに該当します。年功序列型賃金やヒエラルキー型組織は、変化を拒む最たるシステムです。

ルールを変えずに、変化を声高に叫んでも実現は難しいのです。中間管理職が自発的に変化していくことはまず期待できません。

新規事業部門を創設したものの人材が流出してしまった事例

ある大手企業では、社内から新しいビジネスが生まれない現状に危機感を抱き、イノベーションを促進しようと新規事業部門を立ち上げました。社内で優秀な管理職やメンバーが手を上げ、会社のエースが集まりした。

しかし、その組織は大した成果も上げられないまま、時間が経つにつれ、人材がどんどん社外に流出してしまいました。

どうしてそのようなことになってしまったのでしょうか?

その企業では、新規事業部門も、人事制度や評価制度を既存の事業と同じまま運用しました。

その結果、しばらくすると既存事業の管理職が、新規事業の管理職よりどんどん早く出世するという現象が頻発しました。

また、チャレンジをした新規事業の優秀な人材は賞与も低く、既存事業に留まった方がはるかに良い金銭的リターンを得ることができたという状況でした。

そのようなことが不満となり、優秀な人材が社外に流失してしまったのです。

これは、実現したい目的に合わせたシステムやルールを作ることなく、社員にチャレンジを求めたため、インセンティブが設計されていないことで起こっています。

また、新規事業にチャレンジしている管理職を見て、他の既存組織の管理職にも変化が起こるというようなことも一切ありませんでした。

ルールを変えていないのに、ただ変化を声高に叫んでも、組織において変化を実現することは不可能です。

システムやルールをどのように変化させるかを考えることが重要

変化が起こらない組織においては、ほとんどの場合、中間管理職は変化するインセンティブを持っていません。システムやルールの最適解として、何もしないことが動機づけられています。

そのため、経営・人事レベルから、「自らを変えることが組織においてプラスとなる」インセンティブを作り出すことが必要になります。

中間管理職に変化を促すには、直接的に管理職にアプローチして変化を促すのではなく、今の会社のシステム、ルールはどういったものが存在しているのかを把握し、目的を実現するにはどういったシステムを作らねばならないのか? そのための制度や仕組みはどうしていくべきか?を考え、変えていくことが必要です。

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ピアボーナスとは?|従業員のモチベーションを高める仕組み

ピアボーナスは、従業員同士が賞賛や承認とともに少額の報酬を互いに送り合う仕組みです。

今までの給与制度にはなかった新しい仕組みで、業績に直結しないような日々の行動も評価されるため、従業員のモチベーションの向上などにも繋がり、近年注目を集めています。

ピアボーナスとは

ピアボーナス

ピアボーナスは、仲間や同僚を意味するPeer(ピア)と、報酬を意味するBonus(ボーナス)を組み合わせてできた言葉で、従業員同士が日常の行動や貢献に対して報酬を与え合う仕組みのことです。

報酬の種類はさまざまで、金銭に限らず、ポイント、社内通貨などがあり、「第3の給与」とも呼ばれます。

協力してもらったときの感謝の気持ちや、成果に対しての賞賛などを、報酬として従業員が自分の意思で付与できるものです。業績や数値に反映されないものにも適用でき、管理職や人事では認識しにくい現場の細かい貢献を評価できるのが特長です。

米Google社が従業員の評価指標として導入していることで話題を集め、国内でもスタートアップ企業を中心に導入企業が増えています。

ピアボーナス導入の効果

<メリット>

■ 業績に直結しない良い行動の称賛と可視化

従来の評価制度では、金額や達成率などの定量的な成果や、上司が実際に目で見た仕事ぶりのみで評価が下されることが多く、数字で表すことができない成果や、直接的に業績には直結しない良い取り組みなどは評価が難しい傾向がありました。

ピアボーナスを導入することで、仕事を円滑に進めるための取り組みや、顧客のための行動というような、普段なかなか評価しにくい定性的な成果も、従業員同士で評価されやすくなり、誰がどういった貢献をしているか可視化されます。

■ モチベーション向上

金銭やポイントという金銭的な報酬と、賞賛や承認という非金銭的な報酬を同時に与えることができます。

金銭による報酬という外発的動機付けは、即効性がありますが、維持されず一時的な効果であることが分かっています。

職場の仲間や同僚から自分の仕事ぶりを評価される、賞賛や感謝が可視化されることは内発的動機づけになり、社員の仕事に対する自信や、やりがいを高めます。

外発的動機付けと内発的動機付けが同時に実現されることで相乗効果が生まれ、持続的なモチベーション向上につながります。

■ 社内のコミュニケーション活性化

感謝や賞賛を気軽に相手に伝えるようになると、自身の所属する部署だけでなく、今まであまり交流がなかった他部署とのコミュニケーションが図りやすくなります。

ピアボーナスを通してお互いの部署が果たす役割や仕事内容に関心が高まることで、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。

また、従業員同士がお互いを褒め合い、尊重する文化が生まれることは、組織風土の改善にも繋がります。

■ 従業員エンゲージメントの向上

ピアボーナスを通じて、評価の権限の一部を従業員に任せることは、経営層への信頼や仕事に対する意欲向上に繋がります。

また、職場の仲間や同僚から自分の仕事ぶりを評価され、賞賛や感謝が可視化されることで、仕事に対するやりがいが高まり、結果、従業員エンゲージメントの向上に繋がることが期待できます。

日々のやりとりの小さなことでも「ちゃんと評価されている」と貢献を認識できることで、他者に対する興味・関心もわいてきます。上長からの評価だけでは決して得ることのできない効能です。

<デメリット>

■ 導入コストがかかる

ピアボーナスを導入するにあたり、専用のサービスを利用すれば当然のことながら初期費用やランニングコスト、そして運用体制の構築と人的コストなど様々な費用のコストが発生します。また、ピアボーナスの報酬を現金として支給する場合、報酬のための原資を確保する必要があります。

■ 運用工数がかかる

ピアボーナスは、サービスを導入して現場に任せるだけはうまく回りません。適切に運用するためには、導入理由や背景、運用方法などを適切に設計し、管理する必要があります。そのため、人事組織や担当部署で運用を根付かせるための工数が発生します。

■ 従業員が評価を意識し過ぎる

ピアボーナスは報酬に反映されることから、「社内で評価される事」に意識が向いてしまう従業員が出てくるリスクもあります。

例えば、本来やるべき業務がおろそかになり、評価されやすい業務ばかりを進めるなどの行動が目立つケースもでてきます。従業員同士の評価制度とは言え、過剰な評価を生まないよう、運用ルールにおける管理が必要です。

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管理職研修は「集合(集団)研修」が最適なのか?|令和時代の研修の選び方

育成施策といえば研修、研修といえば集合(集団)研修という固定観念はありませんか?


多くの企業で、新入社員研修を「研修+OJT」という枠組みで行っているため、第一に集合(集団)研修が想起されるのではないかと思います。

ただ、研修は、対象や目的により、必ずしも集合(集団)研修が最適とは限りません。


身近な事例から目的に合う研修の選び方について考えていきます。

集団と個別の違いとは?|身近な例から学び方を考える

「学ぶ」という行為では、学習塾や自動車免許が馴染み深いのではないでしょうか。

学習塾は「集団」と「個別」がどちらも存在し、利用者が選んでいます。

自動車免許は、学ぶ内容により「集団」と「個別」を使い分けています。

まずは、これら2つの学ぶ場面から、集団と個別の違いを整理します。

学習塾
  • 目的: 受験やテストで良い成績を取るために、知識として覚えさせる
  • 学び方による違い
    ・ 集団指導 → 周囲の刺激(競い合う)、比較的安価
    ・ 個別指導 → 個人の課題に合わせてカスタマイズ、質問しやすい
自動車免許
  • 目的 : 交通ルール(知識)を覚えさせ、実際に運転してスキルを習得
  • 学び方による違い
    ・ 集団(座学)→ 交通ルールを全員一律に知識として覚えさせる
    ・ 個別(実車)→ それぞれの課題に合わせて運転スキルを習得させる

2つの事例からまとめると、集団と個別の学び方の違いは以下のようになります。


以上を踏まえて、ここから企業研修について考えていきます。

新人研修には「集団研修」がマッチする

新入社員の育成は、「研修+OJT」で行う会社が多く、研修は「全員一律に一定水準以上の知識習得」を目的としている場合が多いです。それ以降は、良くも悪くも現場でのOJTに任せる格好です。

それを踏まえて、新人研修の特徴を洗い出すと以下のようになります。


学ぶ内容 : 基礎的なビジネススキルの習得(全員一律に一定水準以上を目指す)

特徴 : 配属への影響もあり、周囲の刺激がモチベーションにつながる

特徴 : 同期のつながりを作る意図や、互いのフォローアップを期待する側面もある

価格 : 個別に実施するほど研修コストをかけられない


このように考えると、新人研修は「集団研修」の方が適していることがわかります。



では、管理職研修はどうでしょうか?

管理職研修は、目的により「個別研修」が良い場合がある

管理職研修は、目的や学ぶ内容により、適する学び方が変わります。

管理職研修の目的
  1. マネジメント知識の習得(労務管理、コンプライアンス、制度など)
  2. マネジメントスキルの向上(現場課題の解決)
  3. 学べる環境の提供(福利厚生的な側面)
  4. マネジャー同士の親交(組織間の壁を壊すレクリエーション的な側面)

大手企業では、③学べる環境提供としてe-learningやMBA補助などを行っていたり、④マネジャー同士の親交目的でレクリエーション的に実施する例もあるようですが、主な目的は、①マネジメント知識の習得、②マネジメントスキルの向上の2つです。


それぞれ、集団と個別、どちらの学び方がマッチするでしょうか?


① マネジメント知識の習得は「集団研修」

労務管理やコンプライアンス、制度/ルールなどは、マネジャーに昇格したタイミングで、全員一律最低限の知識として身につけてもらいたいものです。

このように、最低限のマネジメント知識や社内ルールなど、全員が知っておくべきことは集団研修で低コストで伝えていくのが適切です。


注意点としては、労務管理やコンプライアンスの問題が発生した時、それは知識(知らなかった)が問題なのかどうかということです。

多くの場合、知識不足ではなく、知ってるが行動できないというスキルの問題です。

集団研修は、知識の習得には適しますが、スキルとして身に着けることができるかは、研修後の個人任せになってしまいます。

スキルの問題の場合は、個別に経験に即して学ぶ方が適するため、「問題は知識不足なのか?」と考えてみてください。


② マネジメントスキルの向上は「個別研修」

マネジャーは経験豊富な方が昇格することが多いため、知識不足が問題になることは少なく、実際のマネジメントで知識を活かせていない(行動に移せていない)というスキルの問題であることが多いです。

知識を学ぶ研修を提供しても「そんなの知ってる」となるだけで、解決しません。

スキルを磨くには、個別に、実際の課題解決のために学び、実行し、効果を実体験することが一番です。



では、なぜマネジメント研修も集団型でやってる企業が多いのでしょうか?

マネジメントの個別研修はこれまでなかった

研修会社は、多数に満足を感じてもらいやすい講座を作り、集団に提供することで利益を得ています。

20名に研修するとして、集団だと1時間の人件費が、個別だと20時間もかかります。

また、個別にカスタマイズするには、「講師の質」が問題になりスケールが難しい。

そのため、個別研修が適する場合も、集団で提供せざるを得ない状況でした。

結果、学び方が合わず、直後の満足度は高いものの現場で活かされないということが多く発生しているのです。


しかし、テクノロジーの進化やデータ活用が広まってきたことで、個別にカスタマイズした学びの提供が実現できるようになってきました。

これまで「個別研修」の選択肢がなく、仕方なく「集合研修」を実施していた場合は、ぜひ研修目的にあった学び方を再考してみてください。

マネトレは「マネジメントスキル向上のための個別研修」

マネトレは、実際の組織課題を題材に、学びながら組織改善のPDCを回していくという、全く新しいマネジメント育成手法です。


実際の組織課題を扱うため、学びが実行に直結し、実際に組織が改善されます。

単発の研修ではなく、365日マネジャーに伴走するため、フォローアップも充実。

オンラインコーチなので、24時間いつでもチャットで相談できます。

悩んだ時、課題に感じた時に、すぐ相談できるので、問題の放置が減ります。


上司や人事、同僚のマネジャーだと、プライドもあって相談しづらいことも、第三者なので相談しやすく、実際にコーチ利用率93%となっています。


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