キャリアとは|部下のキャリアを理解し信頼関係を築く方法

キャリアとは、狭義では「職務経歴」を指しますが、広義では「働くことに関わる様々な行動、経験、機会、能力、成果、役割、意志、判断などの連鎖、蓄積」を意味します。

文部科学省は、「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」と定義しており、過去だけでなくこれから先の未来も包含し、人生という長いスパンで連続するプロセスをキャリアとしています。


定年まで勤め上げる価値観は薄れ、転職が一般化してきたこともあり、キャリアについて考える機会が増えました。誰でも一度は、自身のキャリアについて考えたことがあるのではないでしょうか。


あなたが自身のキャリアを考えるのと同様に、部下もキャリアを考えています。

しかし、マネジメントをする中で、部下の希望するキャリアを知らない管理職も多いのが実状です。

今回は、部下のキャリアを理解する必要性や、マネジメントにどのようなプラスがあるのか具体的に解説していきます。

互いを理解し合うことは、信頼関係構築の第一歩

マネジメントを行うには、部下との信頼関係が前提となります。

信頼していない上司の言うことを、部下は心から同意して行動することはできません。

信頼なしで部下を動かそうとすると、役職のパワーを利用した命令になることが多く、与えられた仕事を仕方なくこなす状態に陥りやすくなります。

マネジメントは人と人との関わりなので、あなたの言うことなら信じて行動できる、このチームのために頑張りたいと思えるような信頼関係を築くことが重要です。


信頼関係を築くには、まずはお互いを理解し合うことです。

かといって、いきなりプライベートな話題は警戒されます。飲みニケーションやタバコミュニケーションは疎まれるようになってきました。

その中で、キャリアは働くことに関する話題であるため、取っ掛かりとして話しやすい利点があります。


「これまでどんな経験をしてきたの?」「今後どんな仕事をやってみたい?」

キャリアについて聞くことで、部下に対して関心を持っていることが伝わります。

入社の動機、やりがいに感じるタイミングなどに話を広げていけば、価値観の理解にも繋がります。


信頼の反対は無関心。部下に無関心では、信頼関係は築けず、組織のマネジメントはできません。

部下のキャリアを知らない場合は、まずこれまでの経験や成果についてメンバーに聞いてみましょう。

Will Can Must|部下が「やりたいこと」を理解する

キャリアを理解しようとする時、自己分析のフレームワークとして使われるWill Can Mustが参考になります。

部下の理解が浅い場合、マネジャーは組織としてやるべき業務を、できる人に任せるという考えになりがちです。

部下は責任感から仕事をこなしてくれると思いますが、やりたいと思えていない仕事だとモチベーションが長続きしません。

部下がやりたいこと(Will)についても、今後のキャリアの考えとして把握しておきましょう。

部下がやりたいことを聞いた上で、希望に合う仕事をアサインできないこともあります。

その時は、今、その仕事をアサインできない理由をきちんと説明しましょう。

スキルや知識が足りない場合は、具体的な課題として伝えれば、部下の行動変化につなげることもできます。


部下がやりたいことを知っておけば、今後仕事を任せる際に、「やりたい」と「できる」を加味してアサインできるようになり、期待の伝達がスムーズになったり、仕事に対するやる気を引き出すことができます。

また、自身のやりたいことを聞いてくれる上司であれば、信頼が生まれるだけでなく、いつか実現してくれそうという期待が持てます。

社員の定着や離職防止の観点でも効果的です。

1on1でのキャリア理解の方法(質問例)

キャリアの話は個別性の高い内容なので、安心して話せる1対1の場で話しましょう。

人は、過去の事実は答えやすいですが、未来の話や自分の考えなどは答えにくいと感じますので、最初は過去の仕事や経験について話を聞き、そこから話題を広げていくと部下が話してくれやすくなります。


以下は、具体的な質問例です。

一問一答のようになってしまうと、関心をもって理解しようとしている印象が薄れてしまうため、その人の価値観や考え方を理解するような質問へと会話の中で広げていく意識で進めてみてください。

質問例
  • 前の部署(会社)ではどんな仕事をしてた?
  • どんな仕事が得意だった?
  • 成果を出すためにどんな工夫をしてた?
  • なんでその仕事をやりたいと思ったの?
  • 就職(転職)活動の時は、どんな軸を重視してた?
  • 今の仕事でやりがいを感じるのはどんな時?
  • 今の仕事では、自分のどんな能力が活かせてると感じる?
  • 今の仕事でやり切れてないと感じることは?
  • 今後どんな仕事をしていきたい?
  • 今後のキャリアはどう考えてる?
  • 3~5年後にこれだけは成し遂げたいと思うことは?
  • マネジメント志向?スペシャリスト志向?
  • これからどんな能力を伸ばしていきたい?

キャリアの理解は、互いを知るための話題としてとっつきやすく、部下と信頼関係を築く段階でとても効果的です。

関係構築できた後も、部下の希望するキャリアを理解しておくと、仕事の任せ方を変えたり、足りない知識やスキルが部下の目標になったりと、マネジメントにおいてもプラスの効果があります。

ぜひ質問例も参考に、部下のキャリアを理解し、マネジメントに活かしてみてください。

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成長したくないメンバーとどう向き合うか|仕事を頑張るのが当たり前ではない時代のマネジメント

部下の叱り方_マネジメント

企業の経営者や人事とお話しして良く出てくる話題のひとつに、「うちの管理職はプレイヤーとしては優秀なんだけど、マネジメントができない」というものがあります。

大半の企業では、プレイヤーとして優秀だった人が、マネジャーに上がり、マネジャーになって初めてマネジメントを行うことになります。

しかし、プレイヤーとして業績を上げることと、マネジメントスキルは関係がないため、優秀だったはずのプレイヤーが、マネジャーとしてうまく機能できないということが起こります。

実に多くの企業で、発生している事象です。

今回は、優秀なプレイヤーがマネジャーになった際に陥りがちな落とし穴と、その対処法について考えます。

マネジャーの現状|部下の育成・マネジメントを期待されている

日本の人事部が発行する人事白書調査レポートによると、ミドルマネジャーに期待する役割1位も、果たせていない役割1位も「部下の育成・マネジメント」となっています。

マネジャーに期待する役割は「部下の育成・マネジメント」「組織の活性化・モチベーションの維持向上」が上位にあり、マネジメントへの期待が最も大きいことが分かります。

一方で、マネジャーが果たせていない役割の1位、2位は「部下の育成・マネジメント」「組織の活性化・モチベーションの維持向上」であり、全体の6割以上を占めています。

マネジャーはマネジメントを期待されているのに、マネジメントができていない現状が見てとれます。

プレイヤーとして優秀だからこそ生じる認識ギャップ|仕事の前提が異なるメンバーもいる

プレイヤーとして活躍していたマネジャーは、「仕事は頑張るのが当たり前」「仕事を通じて成長したい」と多かれ少なかれ誰もが思っていると考えがちです。

自分がそういった考えで結果を出し成功してきたからこそ、それが正しいと思っています。

しかし、現実には「出世したくない」「成長したいなんて考えていない」「仕事はそこそこにしたい」「既に出世コースから外れているので頑張っても仕方がない」と考える部下もいます。

特に、多くの若者にとって、仕事中心に頑張ることは当たり前ではなくなっています。

そんな時、プレイヤーとして優秀だったマネジャーは、こうした考えを否定し、メンバーに対して自分の考えをつい語ってしまいます。

ですが、多様な考え方を持ったメンバーをマネジメントしなければならない令和の時代において、それではマネジャーは務まりません。

相手を理解するコミュニケーションを飛ばしてしまったその訴えは、メンバーには響きません。

そこで重要になるのが、相手の意見をいったん受け入れる、考えている背景を理解する姿勢です。


趣味や好きなことに時間を使うことを良しとする人や、仕事以外で収入を得ている人も増えています。副業の方が本業より稼いでいるサラリーマンも珍しくなくなりました。

多様な考え方のメンバーがいて当たり前の中で、マネジメントしていくことを前提にしなければいけない時代になっているのです。

マネジャーが陥りがちな失敗|誰もが成果を出したいと思っているという思い込み

マネジャーを目指そう、トップセールスを目指そう、これができたらどこでも通用するようになる、そんな語り口でモチベートしようとした経験はないでしょうか?

そして、それが響いていないメンバーが少なからずいる。


そんな時、メンバーはこう考えています。

「成長とか、上を目指すとか興味ないです」「与えられた責任は果たしますけど」

中には直接マネジャーに本心を言ってくれるメンバーもいるでしょう。

それに対してマネジャーは、良かれと思って「もったいない」「それじゃダメだよ」と否定したり、仕事のやりがいや、メンバーにとってもメリットがあるといった形で、自分の考えを力説し、なんとか興味を持たせようとします。


しかし、人の価値観は簡単に変わりません。人は自ら変わろうとしない限り変わらない。

そこで無理に変えようとしても、それは徒労に終わりますし、関係性を損なってしまいます。

否定ではなく受け止めるところからはじめる|同意しなくていい

実際、上で挙げたようなメンバーの考えを歓迎できるマネジャーはいないと思います。

それは決して間違っていません。

しかし、受け止める姿勢がないマネジャーにメンバーは心を開きません。同意できなくても受け止めるしかないのです。

まずは、自分の考えを伝える前に、メンバーはどう考えているのか聞いてみる。

相手の価値観を理解する、受け止める。賛同しなくていい。

そんな人として関係性を築くことを疎かにせずに、取り組んでみてください。


そして、背景を知った上で、責任を果たすことを求めていく。受け止めた上で、義務として責任を果たすことはしっかり求めていきます。

中長期的には、会話を重ねていく中で他の視点を伝えていったり、仕事で結果を重ねていく中でその人なりのやりがいを感じてもらう等で少しずつ考え方の変化を促していきましょう。

それが、ひとりの大人に対してマネジャーができる精一杯だと思います。


いかがでしたでしょうか?

自分と異なる考え方のメンバーがいた際に、理解できないがために否定してしまったり、無理やり変えようとしたりして、関係性を悪化させてしまい困っているマネジャーは多いのではないでしょうか。

マネジャーは万能ではありませんし、ひとりの大人であるメンバーの考えはそう簡単には変わりません。

仕事に前向きでないメンバーがいた際には、信頼関係を構築し、ゆっくりで構わないので、メンバーが仕事を通じて成長を感じている、やりがいを感じている状態を目指していきましょう。

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仕事の任せ方|業績達成と育成を両立させるジョブ・アサインメントの方法

部下に仕事をアサインするとき、何を意識して、どのように任せていますか?

仕事の任せ方は、マネジャーの役割である「業績目標の達成」、「部下の育成」の双方に影響する重要な論点です。

マネジャーにとって、部下のコミットメントを引き出すために欠かせないスキルの1つと言えるでしょう。


今回は、悪い仕事の任せ方の例を紹介しながら、部下を成長させるアサインメントをするにはどうしたらよいか?そのポイントについて解説します。

仕事を任せる重要性|仕事の任せ方で、部下や組織の成長が変わる

組織として働くのは、個人では為し得ない仕事を可能にするためです。

いくらプレイヤーとして優秀なマネジャーでも、組織の目標を1人で達成させる事は不可能です。

部下に仕事を任せ、仕事を通じて部下を成長させることが、組織として高い成果を実現するカギとなります。


しかし、実際の現場では、マネジャーが仕事を抱え込んでしまったり、部下の成長が期待できない仕事の任せ方になってしまっていたりと、仕事の任せ方が悪いケースが多々見受けられます。

原因は様々ですが、1つには、短期の業績目標に対する責任感が強すぎ、部下の育成視点が蔑ろにされていることがあります。


たとえば、組織の成果を最大化することだけ考える場合、頭を使う仕事は上司が担い、部下は考えずにひたすら行動するという仕事の任せ方も効率的に見えます。

しかし、これでは考えて行動できる部下は育たず、生産性向上にも限界があります。

代わり映えのない仕事に面白みを感じることができなくなるでしょう。


また、マネジメント人数が少ない場合は、マネジャー自身がプレイヤーとして成果を出す方法でもチームを達成させることはできますが、この方法はマネジメント人数が増えると不可能です。


部下の成長がなければ、マネジャーの業務が減ることはなく、忙しさから永遠に解放されません。

その上、会社は持続的な成長を求められるため、組織も中長期で成長し続けられる状態(中長期の視点)を目指さなければなりません。

マネージャーも、短期の目標達成の視点だけでなく、育成の視点、中長期の視点を持つ必要があります。


部下は仕事を通じて成長します。どんな仕事を任せるか、どのように任せるかで部下の成長の度合いが変わり、組織の成長が変わります。

「仕事の任せ方」は、組織として成果を出し続けるために欠かせないマネジメントスキルなのです。

悪い仕事の任せ方|代表的な3パターン

仕事の任せ方が悪い例として、大きく3つのパターンについて説明します。

① 任せられない(抱え込み)

「部下のレベルが低く任せられない」「自分でやった方が早い」「失敗して業績が下がってしまうのが怖い」というのが、よくある理由です。

任せられない背景には、部下を信頼していない、部下の成長を考えていない、失敗が怖いといった原因があります。


仕事を任せられないマネジャーには、育成の視点や中長期の視点が必要です。

マネジャーの方が部下より能力が高く、自分でやった方が確実なのは事実でしょう。

しかし、この考えでは、部下は「こなせる仕事」しかアサインされず、成長が期待できません。

失敗が怖いという感情は、マネジャーなら誰もが常に感じていることです。

怖いと感じながらも、部下に仕事を任せて成長させることを考えていかないとなりません。


これらを克服していくには、まず、部下の強みやキャリアの考えを知ることが必要です。

その土台があって初めて、どんな仕事を任せたら成長につながるかと考えられるようになります。

まずは、部下の成長に興味を持ち、1on1の場で部下の理解を深めてみてください。部下の考えや想いを知れば、任せ方も変わってきます。


② 任せきれない(細かい確認・指示)

「仕事の進捗状況が気になる」「進め方の要領が悪くイライラする」「意図していた進め方と異なる」などの理由で逐一状況確認をしたり、進め方まで自分と同じやり方を求めてしまっているパターンです。

これは本当の意味で仕事を任せている状態とは言えません。部下も「自分に任されている」と実感できないはずです。


任せきれないマネジャーに必要なのは、仕組みづくりと忍耐です。

失敗や試行錯誤する時間は、マネジャーにとっては非効率で工数が増えてしまうものですが、部下の成長のためには必要な時間です。部下の成長への投資として、時には失敗させたり、試行錯誤して学ぶ時間をぐっと我慢することも必要です。

とは言っても、マネジャーでフォローしきれない大きな失敗は事前に食い止めなければなりません。

そのためにも、任せるのが苦手な場合は、仕事を任せる際に中間報告を求めることから始めるのが効果的です。自身がフォロー可能なタイミングで報告を依頼しておくことで、そこまでの期間は部下に仕事を任せることができます。

また、部下から報告や相談をしてくるようになるので、フィードバックすることで成長機会にもなります。


③ 任せきり(丸投げ)

仕事を任せてはいるものの、任せ方が悪く丸投げされていると感じさせてしまっているケースもあります。

例えば「目的や背景の共有なしに仕事だけ振られる」「マネジャーが作るべき報告資料までやらされる」などの不満の声が聞こえてきます。


仕事を任せる際には、その仕事の目的や背景、制約条件などきちんと説明することが必要です。

これらは仕事を進める上での判断軸になります。判断軸が共有されていなければ、部下は誤った解釈で仕事を進めてしまう可能性が高まり、手戻りが大きくなってしまいます。


マネジャーがやるべき仕事まで部下に任せている場合、部下にその仕事を任せる目的を説明できないはずです。

部下はマネジャーが楽をするための人材ではありません。ここはきちんと切り分けましょう。



3つのパターンを紹介しましたが、このような仕事の任せ方をしていると、部下は成長せず、仕事にやりがいを感じることができません。

不満が大きくなると退職のリスクも高まってしまいます。

良い仕事の任せ方とは|アサインメントのポイント

では、部下を育成する仕事の任せ方をするにはどうしたら良いのでしょうか。

以下で、アサインメントのポイントについて解説します。

意 識
  • 目標達成の視点だけでなく、育成の視点、中長期の視点を持つ
  • 自分と全く同じ進め方を期待しない(部下の工夫を受け入れる)
行 動
  • 部下の強みやキャリアの考え方を知る(部下を理解する)
  • アサイン時、目的や制約条件を部下にしっかりと説明する
  • 中間報告を求め、そこまでは部下に任せる
  • 理由や期待を添えて仕事を任せる

優秀なマネジャーは、仕事を任せると同時に部下の動機づけをしています。

なぜあなたに任せたいのか、理由や期待を添えて仕事を任せる手法です。


「自社サービスを組み合わせた総合的な提案ができるようになりたいと言っていたよね。今回の顧客はそのチャンスがありそうだから、○○さんに任せたい」


「このプロジェクトは、当社のサービスの新しい柱になる可能性がある重要なプロジェクト。○○さんには少しレベルが高いかもしれないけど、フォローするのでやってみない?」


心理学でも、人は期待によってパフォーマンスが変わることが実証されています。(ピグマリオン効果/ゴーレム効果など)


なぜ任せたいのかを効果的に伝えるためには、経験、スキル、強み、目標、キャリアの考え方など部下の理解が欠かせません。

1on1などの場で部下の考えを理解していれば、仕事を任せる際に活かせるはずです。


いかがでしたでしょうか。

マネジャーの仕事の任せ方で、部下の成長、組織の成長の度合いが大きく変わります。

短期の目標達成はもちろん重要なのですが、部下の育成視点、中長期の視点も欠かせない視点です。

任せられない、任せきれない、任せきりという悪い仕事の任せ方になってしまっている場合は、ぜひ仕事の任せ方のポイントを意識してみてください。

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信頼とは?|マネジメントのベースとなるメンバーとの信頼の築き方

マネジャーが何より持っていなければならない「信頼」

さまざまなマネジメント手法や、コーチングといったスキルに注目が集まりがちですが、マネジャーにとって何よりも重要な要素・土台は、信頼です。

メンバーからの信頼がなければ、マネジメントテクニックは有効に機能しませんし、リーダーシップも発揮できません。

では、組織における信頼とはどのように発生し、どうやって高めていけばいいのでしょうか?

信頼とは?|マネジャーに必要な信頼関係

辞書によると、信頼とは「信じて頼りにすること。頼りになると信じること」と記載があります。心理学的に言えば、上記のような心理的状態がそれに当たります。

マネジャーは、自らの存在を通じて、メンバーをエンパワーメントし、自身がいなくとも周囲に影響を与え、組織をより良いものとし、目標達成に導くことが求めれます。

メンバーがそれぞれの素質や能力を発揮できるように体制を整える。

そのための、土台が信頼です。

昔から不在時にこそリーダーとしての真価が問われると言われますが、昨今のコロナウィルスにより物理的な不在が生じ、組織における信頼レベルが浮き彫りになりました。

サーベイ結果とマネジャーの自己認知との差として、職場の人間関係や、メンバー間の信頼関係の低下を挙げる組織が増えたように感じます。

信頼を構築するにはどうしたらよいか?|信頼を構成する要素

信頼には「オーセンティシティ」「ロジック」「共感」という3つのドライバーがあります。

人が相手を信頼するのは、相手が嘘偽りのない本心で接してくれている(オーセンティシティ)と考え、相手の判断や能力(ロジック)を信じ、相手が自分のことを気遣ってくれている(共感)と思った時です。

マネジャーは意識して、このトライアングルを保つ、メンテナンスすることが求められます。

逆に、信頼が損なわれた時は、この3つのどれかがぐらついていると言えます。

チームのメンバー間で信頼が築けていない、自身がメンバーと信頼関係が築けていないという場合は、信頼を揺るがしている部分はどこなのかを突き止め、改善のための行動を起こすことが重要です。

誰しもが得意、不得意な部分があると言われており、たいてい同じドライバーが信頼を揺るがす原因となります。自分自身が弱い部分を認識しておくと良いでしょう。

マネジャーが陥りがちなパターン|誰しもが弱い部分を持っている

高業績のマネジャーは、共感のドライバーが低い傾向があります。共感が揺らぐのは、分析力に優れ、学びに対する意欲が強い人の共通の課題です。

そうした人たちは意欲を持っていない、理解するのに時間がかかる人にいらだつことが多いです。チームの中で自身がどのように振る舞っているのか、それを見たメンバーはどう感じるのか、自分の利益を優先していると思われていないか、考えてみましょう。


論理が通っていなかったり、自分の考えの背景を説明できない、していないマネジャーは、ロジックのドライバーが低い傾向があります。

ロジックはあるのに、考えの背景を説明していないマネジャーが多いのが実情です。ロジックが揺らいでいる時の実態は、論理的思考力が欠けていることではなく、そういう風にメンバーからは見えてしまっている(ロジックが伝わっていない)ことが原因です。

判断力を信じられない、判断の背景が分からないのに、メンバーはマネジャーの判断を信頼して従いたいとは思いません。

ロジックの共有が疎かになっていないか、ただの指示命令だけになっていないか、振り返ってみましょう。


周囲にマネジャーの本当の人柄が分からない、本心が分からないと思われている場合は、オーセンティシティ(相手が嘘偽りのない本心で接してくれている)に問題があります。

仕事をしている時と飲み会での言動が異なる(部下は業務外でのあなたの行動も見ています)といった単純なことから、職場ではまったく別の人格として働いているため、本音が見えないといったケースもあります。

本来の自分を出すのは難しいという意見もあるでしょう。しかし、真実を隠している、演じていると思われると、リーダーとしての信頼や統率力を制限することになってしまいます。

また、オーセンティシティを発揮できる環境は、マネジャーだけでなく、メンバー誰もが活躍できる可能性が高くなります。


マネジメントの前提は信頼関係を築くことである

いかがでしたでしょうか?

信頼が重要と思っている人は多くても、信頼を漠然と捉えていて、信頼そのものや、信頼の築き方について感覚的な方がほとんどかと思います。

信頼関係はマネジメントの土台です。ここを飛び越えてマネジメントはできません。

ぜひ今回の内容を参考に、自分はどこが弱いタイプのマネジャーなのか、どういった点に気をつけて日々メンバーと接していけばいいのか、メンバーとの信頼関係を築いていくために考えてみてください。


参考:『Begin with Trust』HBR,May-Jun 2020 Frances Frei/Anne Morriss

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成長実感とは?|能力・スキルの向上を実感させるマネジメント方法

能力・スキルの向上は、マネジャーでは解決が難しい問題と思っていませんか?


たしかに、研修など会社側が準備するものには、マネジャーは影響ができないかもしれません。

人事主導の研修、現場主導のOJTのように育成責任の所在が分散しているため、人事の問題と思われていることもあります。

しかし、研修以外の部分では、マネジャーが影響を与えられることが意外とたくさんあります。


今回は、成長実感を高める方法として、成長させる方法、成長を実感させる方法に分けて解説します。

成長とは?|人それぞれに定義が違う

日常でもよく使う「成長」ですが、定義と言われると答えづらいと思います。

辞書を見ても「育って大きくなること」「一人前に成熟すること」と汎用的な表現に留まり、はっきりしません。

これは、人それぞれに価値観や目指す方向性が異なり、成長したと感じるポイントも個別性が高いため定義しきれないのです。


研修の一環として、成長を定義するというワークを行なったことはありませんか?

経験がなくとも想像がつくかもしれませんが、実際に十人十色の定義が生まれます。

成長とは
  • 今までできなかったことが、できるようになること
  • 今よりもっと上手くできるようになること
  • 自分の限界の幅が広がること
  • 自分で意思決定できる事柄が増えること
  • より大きな課題解決ができるようになること
  • 仕事に対して受動から能動になること
  • 能力やスキルが向上し、それが活かせること
  • 経験や知識、スキルに自信を持てるようになること
  • 他者から認められること

マネジメントする際に、メンバー1人ひとりにとっての成長を理解し切るのは至難の技です。ある程度大まかな分類で捉えるというのが現実的です。

成長のプロセス|技術的成長と精神的成長の相互作用

成長には、技術的成長と精神的成長という2つの側面があります。

技術的成長
能力・スキルの習得や向上により、巧みな仕事ができるようになること

精神的成長
自信がつく、忍耐力・持続力・逆境に立ち向かう力がつくなど内面的な変化

人はまず、「この仕事を1人でこなせるようになりたい」など、技術的に成長したいという欲求を持ちます。

経験を積んでいくと、遅かれ早かれ仕事ができるようになり、技術的成長を実感します。


成功体験が重なり、周りから承認・称賛されるようになると自信がつきます。これが最初の精神的成長です。

一度認められると同じ仕事の質ではなかなか褒められなくなります。承認欲求から「もっと上手くできるようになりたい」という意欲が湧き、さらなる技術的成長につながります。

このように、技術的成長と精神的成長を繰り返して、人は成長していきます。


しかし、仕事に慣れてくると技術的成長は緩やかになり、惰性が生じます。モチベーションの低下やキャリアの停滞感を感じるようになります。

3~5年目で転職したい人、異動したい人が増えるのも、この停滞感が1つの理由です。

全く新しいことにチャレンジする方が、簡単に技術的成長でき、成長実感を得やすいからです。


会社や組織にとっては、仕事が一人前にできるようになった途端に退職されるとかなりの痛手です。

仕事に慣れてきたタイミングでは、新しいミッションや役割を与えて、惰性でこなせる状態を作らないことが重要です。


守・破・離|仕事をこなせるようになったら、ミッションや役割を与える

成長には、縦軸(高さ、深さ)と横軸(広さ)の2軸があります。

転職や異動をして全く新しいことにチャレンジするのは、能力やスキルの幅を広げる横軸の成長です。

同じ仕事の中で更なる成長を目指すのは、能力やスキルを高める(深める)縦軸の成長です。


茶道や武道の言葉で「守・破・離」と言いますが、縦軸の成長にはこの考えが必要です。

守・破・離 / 縦軸の成長に必要な考え
  • : 基本・基礎を守り、仕事をこなせる状態
  • : 仕事の基礎を破り、試行錯誤をしながら自分流のスタイルに挑戦
  • : 基礎から離れ、新たな知識やノウハウを創造

守の状態が続くと、メンバーは停滞感を感じ、新しいチャレンジを考えます。

その前に、破を思考させるようなミッションや役割を与え、仕事のレベルを高めましょう。


同じ組織内で真新しい仕事はそれほど発生しないことが多いですが、同じ仕事の中でも、責任範囲を広げ、部下自身が意思決定できることを増やすことで、業務のレベルを上げることができます。以下を参考にしてみてください。

・権限を一部委譲し、その権限の範囲での意思決定を任せる

・業務プロセスの見直しや標準化のミッションを与える

・メンターとして新人育成の役割を与える


成長を実感するタイミングとは?|承認・称賛の重要性

もう一つ押さえておきたいのが、メンバーが成長を実感するタイミングです。

仕事をする中で新しい知識や気づきを得たりと、日々少しずつ能力・スキルは向上しているはずですが、日々成長を実感しているという人は少ないと思います。

成長は実感するタイミングがあります。


成長を実感するのは、目標を達成した、プロジェクトをやり遂げた、評価された、承認された、褒められたなどのタイミングです。

目標達成やプロジェクトの完遂などは、成果が出るまでに時間かかることも多く、それだけだと成長を実感するタイミングが少なすぎます。

マネジャーからの承認・称賛を上手く活用することが重要です。


承認と称賛は別物で、成果を褒めることだけが承認・称賛ではありません。

結果承認、プロセス承認、行動承認、意識承認、存在承認という5つの承認レベルを理解すれば、承認・称賛する機会を増やせ、成長実感を高めることができます。

詳しくは、以下のコラムで解説しています。


※関連コラム: 承認・称賛とは?|1on1でも重要な承認と称賛の使い方



いかがでしたでしょうか?

マネジャーとしてメンバーの成長実感を高めるには、実際に成長させることだけでなく、成長を実感させるタイミングを作ることも重要と感じていただけたかと思います。

ぜひ承認・称賛を使いこなし、メンバーの成長実感を高めてください。

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ワークライフバランスを向上させるには?|生産性向上のためにマネジャーができること

ワークライフバランスがないと不満を抱かせる

ワークライフバランスはよく聞く言葉ですが、仕事とプライベートのバランスが取れているといった概念として認知されており、その言葉の意味の受け取り方は人それぞれです。

近年政府の取り組みとして、内閣府が「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を出し推進していることもあり、多くの企業で残業時間の削減や、子育てや介護と仕事の両立を支援する人事制度の導入が進んできました。


組織の状態が悪い原因でよくあるのが、働く前提としてワークライフバランスが取れていないケースです。

ワークライフバランスが取れていなくても、仕事のやりがいや成果が出ている、チームの雰囲気が良い、といった理由で組織状態の良いチームも実際にありますが、そういったケースは稀です。

ワークライフバランスは、仕事への充実度や満足度を高めるものではありませんが、ないと不満を抱かせる要因となります。

ワークライフバランス向上のためには、人事による制度面の整備はもちろん重要ですが、マネジャーは何もしなくても良いわけではありません。

では、ワークライフバランスが良くないとなった際に、マネジャーとしてどのような行動ができるでしょうか?

ワークライフバランスとは?|言葉の意味となぜ取り組むようになったのか

ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和、という意味です。

仕事と生活どちらを重視するか?といった二者択一ではありません。

生活と仕事はどちらも大切であり、仕事と生活の双方の調和の実現を目指す考え方です。


重視されるようになった背景としては、少子化や高齢化といった日本が抱える社会課題が根底にあるのですが、今回は企業の実務的な問題として取り上げたいと思います。

具体的には、ワークライフバランスを軽視すると、企業にとって下記のようなデメリットがあります。

ワークライフバランス軽視によるマイナス影響
  • 女性に選ばれない会社になる
  • 子育て世代の社員が辞めてしまう
  • 離職率が上がる
  • 採用市場における採用競争力の低下(就職、転職で選ばれなくなる)
  • 社員の心身の健康面に問題が発生する
  • 業務効率化がなされない
  • 残業代等によるコスト増
  • 企業イメージの悪化

実にたくさんのデメリットがありますね。

では、マネジメントはこの問題にどのように取り組んだら良いのでしょうか。

マネジャーがまずやるべきは仕事の再定義|生産性向上のためのマネジメント

ワークライフバランスのためには、生産性の向上が必要不可欠です。

生産性向上のために必要なのは、何か新しいことを始めたり、RPAやクラウドシステムを導入する前に、まず、やめることを決めることです。

生産性向上のためには「仕事の目的は何か」を設定することが重要です。

何が目的か、何を実現しようとしているのか、なぜそれを行うか、をはっきりさせることで、仕事を定義します。

それによってはじめて、行う必要のない仕事をやめることができるようになります。

マネジャーはもちろんのこと、メンバーもこの仕事の定義について認識してもらうことが、チームの生産性を高めるためには欠かせません。

同じ考えを持ち、同じ目的に向かって行動できる仕組み(仕事の定義)がなければ、無駄なものを同じ目線で選別することができないためです。

疎かにしがちな業務の標準化|効率化と継続する仕組みはセットで考える

標準化ができていない職場では、ある人は効率的で、別の人はその何倍も時間がかかっているということが起こります。

ある人ならできて、別の人では出来ないという業務もあるかもしれません。

このような職場では、知恵のシェアが必要です。

標準化のためには、効率的な方法を

具体的な行動でわかるように言語化し、チームでシェアする。

そして、改善のシェアを継続する仕組みを作る必要があります。


以前に標準化に取り組んだものの、その後標準化した内容が陳腐化してしまう多くのケースに共通するのは、継続する仕組みが出来ていないことです。

チームや社員が物事を続けられないのは、意志の弱さや精神的な問題とは全く関係がありません。続ける仕組みさえ作れば、誰でも継続することができます。

無駄な会議の削減、短縮|参加者、頻度、時間の見直しを

会社の中には、実に多くの無駄な会議があります。一日の大半が会議というミドルマネジャーも少なくありません。

コロナの影響でWEB会議になったことで、会議に参加しているけれど一言も話さない人もよく分かるようになりました。


会議が長くなる理由として大きなものに、説明に時間が割かれていることがあります。

そのまま資料を読み上げるような会議をしていませんか?

話すより読む時間のほうが圧倒的に早いため、多くの人は資料を早々に読んでしまい、別の作業をしたり、話し手が資料を読み終わる時間を待つ羽目になります。

読めば分かることを、わざわざ説明する必要はありません。

会議とは話し合い、意思決定をする場です。議論に時間を使いましょう。


IT大手の楽天では、8分の1プロジェクトといって、会議を効率的に行うために、ユニークな方法を取り入れています。

会議に来る人の数を半分に、会議の頻度と時間をそれぞれ半分にするというもの。1/2×1/2×1/2の積算で8分の1にできるというのです。

発言する人さえ出席していれば、内容を把握するだけの人まで出席する必要はありません。議事録を取っておいて、すぐに共有すればいいのです。

また、会議のアジェンダを作成するときに、各議題の横に、8分、5分というように、それにかける時間も記入しておきます。

会議の時間が1時間なら、その時間内で終わるように時間を振り分けます。発表の際には必ずタイマーを押して、真ん中に置いてから話し始めます。

時間が限られているので無駄な前置きはなくなり、頭の回転が速くなり、端的に話す訓練にもなります。


いかがでしたでしょうか?

ワークライフバランスは経営や人事の影響度が大きく、努力すべき事柄であることは事実ですが、現場のマネジャーが貢献できる部分もあります。

ぜひ、これを機会にワークライフバランス向上の具体的な行動を起こして行きましょう。

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承認・称賛とは?|部下のやる気を引き出す承認と称賛の使い方

承認・称賛は、部下の動機づけに効果的なマネジメントスキルの1つです。

重要だと考えている方は多いと思いますが、両者の違いを正確に理解していますか?

褒めるだけが承認・称賛ではありません。

この違いを正しく理解すれば、場面に合わせた方法で承認・称賛できるようになり、部下とのコミュニケーションの幅が広がります。


今回は、承認と称賛の違いについて、具体例を交えながら解説していきます。

部下を褒めるのは「称賛」|褒めるマネジメントは努力を継続させる


称賛とは、褒め称えることです。

「褒めて伸ばす」と言いますが、その効果は心理学や脳科学でも語られています。

人の心理には、好意を寄せてもらうと無意識レベルで相手に好意を返さないといけないと思ってしまう原理(好意の返報性)があります。

褒めるというのは好意を伝えることなので、相手も好意を返してくれる可能性が高まり、結果として人間関係を良化する効果があります。


また、脳科学では、他人に褒められたとき、脳内にドーパミンが分泌されていることがわかっています。

ドーパミンは快楽物質と呼ばれ、脳が快楽を感じる直接の源になっている物質です。

つまり、褒めることは、部下が頑張ったことへの報酬となり、「次も頑張ろう」と努力を継続させる効果が期待できます。


会社や部門単位で褒賞制度を設け、賞状やインセンティブを授与することもありますが、その場合でも、上司やチームメンバーから称賛されると嬉しいものです。

制度的な称賛の機会とは別に、直接本人へ称賛の言葉を伝えましょう。

称賛する際のポイント|褒めるマネジメントの使い方

① 他人と比較しない

他人と比較する意識があると、その人自身の成長を見落としがちになります。

特にマネジャーは、以前はできるプレイヤーだった方がほとんどのため、その基準でみると「そんなに褒めるようなことがない」という部下が多くなります。

しかし、その人自身の成長に注目すれば、たとえそれが小さな変化でも、頑張って成長した点は何か見つかるはずです。

② 具体的に褒める

例えば、部下からの資料チェック依頼に対して、「この資料いいね!」と称賛します。この時、部下は褒められて嬉しいのですが、何が良くて称賛されたのか本質的に理解できません。

資料自体が良いと勘違いして、ニーズの異なる顧客にも同じ資料で提案するかもしれません。

凝って作り込んだことが良いと勘違いして、さらに多くの時間を資料作成に使うかもしれません。

誤った方向に努力が向いてしまわないよう、具体的に褒めることが重要です。

「顧客ニーズに合わせたメリットが訴求できていていいね!」

「効果的に図解やグラフが使われていて伝わりやすい。」など。


何かを褒めた時は、次に意識して欲しいことを伝えるチャンスです。

「図と文字のバランスも良くて伝わりやすい資料だね!」と称賛した後に、「結構時間がかかったんじゃない?」と声をかけると、資料の品質を認めた上で、短い時間で作れるようにどう改善したら良いか話し合うことができます。

承認とは?|承認欲求は人間の根源的な欲求(マズローの5段階欲求説)

「上司の承認を得る」のように、決裁や許諾に近い意味でも使われますが、今回は部下のマネジメント手法としての承認について扱います。


承認とは、相手の存在や行動、結果などを認めることです。

「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という承認欲求は、人間の根源的な欲求の1つです。(マズローの5段階欲求説)

部下の承認欲求を満たすコミュニケーション、それが承認です。


承認には、部下の自己効力感を高め、内発的動機づけを高める効果があります。

自己効力感とは、自分がある状況において必要な行動をうまく実行できるという「自信」の一種です。

自分の行動が認められる機会が増えると、次も上手くできそうと感じてくるのです。


内発的動機づけは、人の内面に沸き起こる意欲による動機づけです。

評価や金銭、賞罰といった外発的動機づけと比べて、内発的動機づけは長続きすると言われています。

承認をうまく使いこなすことができれば、仕事への動機づけができ、パフォーマンスが上がり、組織を成功に導くことができます。

5段階の承認レベル|承認マネジメントの使い方

承認には、5段階のレベルがあります。何を承認するか(承認の対象)の違いです。

部下全員が成果を出せるとは限らないので、成果が出ない場合に承認する方法として活用できると思います。

① 結果承認

「目標達成できたね」「受注できたね」「プロジェクトやり遂げたね」「成長したね」といったように、部下の目標達成や、仕事の成果・結果に対する承認です。

成果や結果は誰が見ても分かりやすいタイミングなので、結果承認はできている方が多いと思います。

② プロセス承認

たとえ成果に繋がらなくても、まだ取り組んでいる途中でもできるのが、プロセス承認です。目標達成や成果に至るまでのプロセス(過程)に着目し、その進め方や工夫を承認します。

「今回は受注できなかったけど、顧客のニーズを捉えた良い提案内容だったよ」

「このプロジェクト、マイルストーン通り順調に進んでいるね」

③ 行動承認

結果やプロセスには関連しない事柄でも、行動したことに対する承認です。

「いつも積極的に意見を出してくれるね」

「報連相のタイミングが早いから安心して任せられる」

④ 意識承認

心がけや行動しようとしていることに対する承認です。

「チャレンジしようという姿勢はとてもいいよ。フォローするからやってみな」

「相手への気遣いがすばらしいね」

⑤ 存在承認

その人の存在自体を認めるのが存在承認です。一番イメージがわきづらいと思いますが、具体的な行動を見ると理解できると思います。

・初級 : 挨拶をする、名前を呼ぶ、声をかける、気遣う

・中級 : 意見を求める、相談する、提案を採用する、評判を伝える

・上級 : 仕事を任せる、役割を与える、育成を任せる


▶ メンバーを「褒める」スキル|マネジメントで使える褒め言葉集

部下のレベルや関係性に合わせて承認・称賛を使いこなす|成功に向かうグッドサイクル

結果が出たときの承認が一番イメージしやすいと思いますが、結果承認だけだとなかなか承認機会がありません。

プロセス承認は、成果が出る前でも承認することができ、部下もやり方は間違えてなかったんだと安心できます。

部下の自己効力感を高め、仕事に対する動機付けに効果的です。


若手社員の場合、成果が出ずプロセスも承認しづらいことがあります。その時は、行動承認、意識承認、存在承認まで広げて、承認ポイントを見つけ伝えてみてください。

存在承認は、部下との関係性を高めます。

意識承認は、行動に移す動機付けになります。

行動承認は、その行動を継続する動機付けになります。


承認・称賛を行うことで、組織が成功に向かうグッドサイクルにしていくことができます。

成果に対する承認・称賛しかできていなかった場合は、ぜひ部下のレベルや関係性に合わせて様々な承認・称賛を使い分けてみてください。

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