NETFLIXに学ぶ、事業を社員が理解する重要性|社員のパワーを生む方法

社員は自社の事業について理解する必要はない?

社員に事業を理解してもらうことの大切さは、あまり理解されていない概念です。

多くの企業では、会社の戦略や事業運営、業績に関する情報のほとんどが社内で共有されていません。

例えば、上場企業は社外の投資家向けに詳細な情報を公開しているにも関わらず、たいてい自社の社員に対しては説明を行っていません。

そのため、自社の業績や経営方針について社員はあまり把握しておらず、投資家の方が詳細に把握しています。

はたして、社員は自社の事業について理解する必要はないのでしょうか?


権限委譲や承認プロセスの効率化には社員の事業理解がかかせない

全世界で1億8000万人を超える会員数を誇る動画配信サービスのネットフリックス。

その成長性もさることながら、特徴的な人材管理方法はシリコンバレーでも注目されています。

同社は元々DVDの郵送サービスで成功しましたが、時代の変化がくると見るや、その成功を捨てて動画配信に転換し今に至ります。イノベーションのジレンマを乗り越えた稀有な企業です。

なぜそんなことが可能だったのか? NETFLIXの人事制度や文化についてNETFLIXの元最高人事責任者であるパティ・マッコードがまとめた『NETFLIXの最強人事戦略』の中では、丸々1章使って「従業員ひとりひとりが事業を理解する」ことの重要性が語られています。

社内のどの部署、どのチームの問題であっても、従業員がそれを自分のものとして解決するには、経営幹部と同じ視点が欠かせない。

それによって、手続きや承認の効率化。事業目標の柔軟な調整。製品や顧客サービス、事業そのものの改善方法の発見等が可能になると、この本の中で述べられています。


社員が事業を理解することは大きなパワーを生む

前述のパティ・マッコードは、例えたとえカスタマーサービス部門であっても、損益計算書が読めるように教えるべきであり、自らの顧客サービスが損益に直結することを自覚してもらう必要がある。

事業をすべてのレベルの社員が理解していることで、高いパフォーマンスが発揮されると述べています。

例えば、カスタマーサービス部門の活動により、口コミで新たに顧客を獲得できる度に、顧客獲得コストの削減といった形で会社の損益に直結していることを本人たちが理解していれば、より熱心に仕事に取り組んでくれるというのです。


社員が事業を理解することのパワーを示すこんな事例があります。

昨年春に、ある大手人材会社で営業部のマネジャーに昇格したAさんは、昇格からたった半年で百を超える営業チームの中でTOPの成績をあげるチームを作りました。

Aさんはいったいどんな魔法を使ったのか?ヒアリングの結果、Aさんだけが行っていたある行動が見えてきました。


Aさんだけが行っていた活動は、下記のようなメンバーへの説明でした。

・自社の決算説明資料を使って、会社全体の戦略について説明する

・自社と競合を比較検討し、マーケットの状況や業界の先行きについて説明する

・自部門だけでなく他部門の方針説明資料にも全て目を通し、各組織の方針を説明する

・他部門の方針から、連携できそうなものがあれば協業を働きかける

・PLやBSの基本的な読み方を教える


一見すると、これらを説明するミーティングに何時間もかけることは、無駄なことのように感じます。

そんなことをしていては仕事が回らない、どうせ理解できないし無駄、と思われるかもしれません。

しかし、Aさんの他のマネジャーと異なる特筆すべき行動は「メンバーに事業を理解させる活動」のみでした。

このことから、事業全体、各事業の状況をメンバーが理解する事によって、自身がやらなければならないことを深く理解し、メンバーが自分の頭で工夫するようになり、一人ひとりに主体性が生まれた事実が浮かび上がりました。


どんなレベルの社員も事業を理解することはできる

経営状況といった小難しい話は一部の社員以外は理解するのは難しいとの意見もあると思います。

メンバーには知識がないから説明したことを理解できない、というマネジャーの声もあるでしょう。

しかし、理解してもらう努力自体を、そもそもしたことがないのではないでしょうか?

事業のあらゆる面について、簡潔にしっかりと説明するのは簡単なことではありません。

それでも、社員の力を最大限引き出すためには、経営やマネジャーは、説明する努力をする必要があるのです。

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テレワークに対する管理職と一般社員の認識ギャップ|立場による違いをいかに埋めるか

割れるテレワークの評価

新型コロナウイルスの影響で、広まったテレワーク(在宅勤務)。

緊急事態により急遽進めた企業では、業務フローやコミュニケーションの課題が発生し、管理職にとってもマネジメントの難しさを体感する機会になったようです。


緊急事態宣言の解除後はどうなるのか。

経営者や人事担当に伺うと「通常のオフィスワークに戻る」という声が多いようですが、一般社員は「テレワークを継続したい」という考えの方が多いようです。

このギャップを放置しておくと、社員の不満につながってしまうため、きちんと対処しておくのが賢明でしょう。

今回は、このギャップを埋める方法について考えていきます。


ギャップは立場による認識の違いから生まれる

4月から新任管理職となったAさんは、「メンバーの時はテレワーク推進派で、会社に対して要望を出したりしていたが、管理職になった今はオフィスワークに戻してほしいと考えている」と、自身の考えが180度変わったことを話されていました。

理由を伺うと、「チームの業績に責任を持つようになったことで、チームメンバーの仕事ぶりが見えないことへの不安が大きい」「テレワークの経験やノウハウがなく、マネジメントが難しい」とのことでした。


Aさんは自身の業績目標は常に達成し、チームが不調な時は自分が頑張ってチーム達成に導くような中核人材で、その結果、管理職に昇格した優秀なメンバーでした。

そんな優秀なAさんでも、いざ管理職となりチーム業績に責任を持つようになるまでは、マネジメント難易度が上がることなどのデメリットは思い浮かばず、働きやすくなるメリットだけ考えて意見をあげていました。


このように、立場(責任範囲)により認識する目標や課題が異なるため、テレワークの継続についても意見にギャップが生まれてしまうのです。


テレワークに対する「振り返り」と「結果の共有」を実行

テレワークに対する評価も、立場の違いによって発生するギャップのため、時間が解決する問題ではありません。きちんと相手の立場での意見も踏まえつつ、コミュニケーションで折り合いをつける必要があります。

経営や人事から社員に対してコミュニケーションを取ることはもちろんのこと、管理職もそれがきちんと伝わるようフォローすることが重要です。


テレワークの出口戦略として行っておくべきなのが、きちんとした「振り返り」です。 あまり深く考えずに「テレワークどうだった?」と質問を投げかけると、それぞれメンバーの立場で意見をするため、

 「通勤時間がないのはいいよね」

 「満員電車から解放されていい」

 「家から出なくなるから健康に気をつけなきゃ」

といった振り返りで終わってしまいます。

これでは、メンバーは会社や管理職の立場でのデメリットを認識できません。


会社や管理職と、メンバーの立場の差によるギャップを埋めることが目的なので、広い視野で問題点や課題を事前に洗い出し、伝え方を考えましょう。


様々な立場から見てみると、テレワークの問題点は以下のようなものがあります。

 「行動が見えない分、ちゃんと働いているのか?という不安がある」

 「タイムリーな進捗把握が難しくフォローが遅れてしまう」

 「OJTによるメンバーの育成・指導は、テレワークだとうまく機能しない」

 「労働時間管理が難しく、働きすぎの問題など社員の健康へ不安がある」

 「用件以外の会話が発生しづらく、ちょっとしたことの相談が難しい」

 「個人個人で仕事を進める状態になり、チームの一体感を感じづらくなる」

 「在宅だと子供やスペースの問題で仕事がしにくい」


人事や管理者サイドが感じる課題は、多くのメンバーは課題と感じていません。

振り返りを行う際は、きちんとメンバーが気づいていない課題についても共有し、オフィスワークに戻す判断の理由について伝えるようにしましょう。

そうすると、テレワークを続けるために解決すべき課題が管理職とメンバーで共有認識となります。中には解決策を提案してくれるメンバーも出てくるかもしれません。


新しい働き方には社員とのコミュニケーションが欠かせない

今回テレワークに移行したことで、テレワークができたという「事実」が作られました。そのため、これまで以上にメンバーからのテレワークの希望が強くなることが想定されます。

メンバーに不満を感じさせないためにも、オフィスワークに戻る場合は、テレワークの振り返りをきちんと行いましょう。

テレワークによる会社全体でのプラス面、マイナス面をきちんと共有し、なぜオフィスワークに戻すのか(何を解消できればテレワークにできるのか)をメンバーに理解して貰えば、立場の違いによるギャップが解消でき、メンバーが大きな不満を持つ事なくオフィスワークに戻れるはずです。

経営や人事、管理職が協力し、社員とのコミュニケーションがおざなりにならないよう心がけてください。

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【Googleに学ぶ】マネジャーに必要なピープルマネジメントとは?

マネジャーは本当に組織に必要か?

昨今、マネジメントを廃したフラットな組織運営をするスタートアップが登場したり、ティール組織、ホラクラシー組織、といった新しい組織体への注目が高まっています。

『ティール組織』という分厚い本が、昨年人事界隈では大きな話題になりました。

これからの変化が激しい時代、一人ひとりがリーダーシップを発揮し、さらにフォロワーシップを持ってサポートし合う組織を目指したい、といった考えは多くの企業が思うところです。

それ故に、従来のヒエラルキー型組織ではなく、上下関係がないフラットな組織への注目が集るのは当然とも言えます。

ではこれからの時代、マネジャーは組織に必要のない存在になってしまうのでしょうか?

役職が役割として認識されない日本企業

日本企業の多くでは、課長、部長といった役職が、役割ではなく、その人の地位やスキルとして認識されています。

地位は人に付随するので、めったなことがない限り「剥がされる=降格」されることはありません。

役割であれば、変えることも出来ますが、地位である役職が外れることは、本人のモチベーションや周囲からの見られ方に大きくマイナスに働いてしまうからです。

降格が制度としてはあるものの、それを行使したところで負の側面が大きく出ることが予想されるので、運用はなされていないのが多くの企業の実態です。


転職において、私は部長ができます、と話される方がいるというネタのような話がありますが、まさしく役職が地位やスキルとして自分に付随しているもの、と勘違いしている顕著な例です。


こうした文化的背景があるため、スキルとしてのマネジメントについて、多くの企業、管理職がこれまであまり深く考えてきませんでした。

終身雇用や年功序列型制度の崩壊と併せて、役職やマネジメントについても変革の機運が高まっており、今後日本企業の管理職のあり方も大きく変わっていくはずです。

優れたマネジャーは組織のパフォーマンスを高める

この問に対する壮大な実験を行った企業がGoogleです。 エンジニアが伸び伸びと働くためには、管理する存在は邪魔なのではないかと考え、エンジニアの上司であるマネジャー職を廃止しました。

結果はどうだったのでしょうか?


2008年にProject Oxygenと名付けられた大規模調査が行われました。1万人以上の社員が参加し、データを分析したところ、当初想定していた逆の結果が出たのです。

「その人がいたほうが組織全体のパフォーマンスが高まる上司像」が明らかになり、マネジャー職は復活されました。

現在もProject Oxygenは優れたマネジャーの要因を特定するプロジェクトとして継続しています。

▶参考 re:Work

チームのパフォーマンスを上げるマネジャーに必要なのはピープルマネジメント

下記は現在GoogleがHPで公開している、最高のパフォーマンスを上げているマネジャーに共通する要素です。(適宜更新されています)

驚きですが、最高業績のマネジャーに共通する重要な要素は、技術的スキルではなく、ほぼ全て「ピープルマネジメント」となっています。スキルの項目は8番だけです。

「Googleの最高のマネジャーの10個の行動」

1 良いコーチである
2 チームを鼓舞し、マイクロマネジメントをしない
3 包括的なチーム環境を作り、部下の成功と幸せに関心を持っている
4 生産的で結果志向である
5 優れたコミュニケーターである(聞き手であり、情報をシェアする)
6 部下のキャリアについてサポートする
7 明確なチームのビジョンと戦略を持っている
8 チームにアドバイスができる主要な技術スキルを持っている
9 Googleを横断したコラボレーション
10 意思決定力が強い

世界中から優秀な人材を集め、一人ひとりがリーダーシップを発揮し、フォロワーシップを持ってサポートし合う組織の理想の一つとして上がるGoogleですが、それでもピープルマネジメントはチームのパフォーマンスにとって重要であることを示しています。

同社はこの10項目についてマネジャーをトレーニングしています。

役割としてのマネジャーは「これからの時代にこそ」必要なのかもしれません。

ピープルマネジメントを疎かにしてはいけない

あなたの会社の管理職育成はどうでしょうか?

日本企業の多くは、これまでの時代背景もあり、ピープルマネジメントに関する十分なトレーニングやサポートを管理職に対して提供できていません。

現場の管理職も、ジョブマネジメントばかりに気がいってしまい、ピープルマネジメントは我流でなんとなくこなしているのが実情です。


メンバーが当事者意識を持ち、高いパフォーマンスを発揮する組織を作るには、管理職のピープルマネジメントは不可欠です。

組織のパフォーマンスやミドルマネジメントに課題を感じているようであれば、この機会に「ピープルマネジメント」の強化について検討してみてはいかがでしょうか?

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テレワークのマネジメントに役立つ資料を公開しました!

テレワークマネジメントのお役立ち資料を公開します

新型コロナウィルスの感染拡大により、多くの企業で急遽テレワークを進めています。

通勤の時間がなくなって快適といった良い声が聞かれる一方で、テレワークでのマネジメントの方法が分からない、上手くいかない、ストレスだという管理職からのご相談が増えています。


部下の方々も、監視されているようで疲れる、信用されていないようで気分が悪い、相談がしづらい、コミュニケーションが取りづらい、と不満を持っている人が増えているようです。


どうすれば、テレワーク下でも気持ちよく働けるのか?マネジメントが機能するのか?そんな悩みに役立つ資料を公開いたしました。

ぜひご活用ください!

メンバーの主体性を引き出す方法|部下に考えてもらうためにどうするか?

マネジメントで部下の主体性を引き出したい

「もっと自分で考えて仕事をしてくれないものか・・・」

 部下に対して、こう思うことはありませんか?


「1から10まで全て指示をしないとダメ。もっと主体的に行動してくれないものか…」「メンバー同士で相談し合って進めてくれればいいのに…」といった考えは、マネジャーなら誰しも持ったことがあると思います。

日本企業はプレイングマネジャーが多いため、部下のビハインドを自身が補うことを考えると、部下に対して「もう少しは…」と願いたくなる気持ちも理解できます。


ただ、いくら願ったからといって、いきなり部下が変化をすることはありません。

この問題に対する理解を深め、マネジメントで変化を促すにはどうしたらよいのでしょうか?


人は行動を変えたくない生き物|ホメオスタシス

行動を変化させることは、今やっている行動を続けることと比べて、はるかにエネルギーが必要なことです。

生物には、体外環境が変化しても体内の環境を一定に保とうとするしくみがあり、これを ホメオスタシス(恒常性)と呼びます。

例えば、体温や体内の水分量を一定に保つといった生物的機能です。


心理学においてもホメオスタシスは存在し、今の生活習慣や環境をなるべく維持し、心理的な安定性をもたらす機能として人に備わっています。

そのため、人は慣れ親しんだ状態や環境に身をおいていると安心します。

逆に、変化することはホメオスタシスに逆らうことになるので、人により違いはあるものの、多かれ少なかれストレスを感じることになるのです。


新しいことを始めたい時、変化したい時に、心理的ホメオスタシスは邪魔をします。

ダイエットのためにスポーツジム通いを始めたけれど、1ヶ月で行かなくなってしまったということが起きるのは、このホメオスタシスが邪魔をするからです。

スポーツジムは新規入会者の8割は1年後続けていないと言われ、新しいことを始めるのがいかに難しいかが分かります。

マネジャーは自身の考えをちゃんと伝えているか?

人は見ようとしているものしか見えません。

大勢の人がいる賑やかな場所でも、対面して話している相手の会話は容易に聞き取れると思います。

これはカクテルパーティー効果と呼ばれ、認知心理学でいう「選択的注意」の1つです。

多くの情報が溢れている時、人はその中から選択的に注意を向け情報を取捨選択しています。

いまいちピンとこない方は、「見えないゴリラ」という有名な実験がありますので、YouTubeで動画を見てみてください。 ⇒ 動画(selective attention test)


さて、職場に話を戻しましょう。

あなたが部下に「もっと考えてもらいたいと思っていること」は、部下の意識の中にあるでしょうか?


よくあるのは、マネジャーと部下の立場の差による認識の違いです。

例えば「もっと組織のことを考えてほしい」という内容。マネジャーは組織の成果に責任を持つため常に意識していると思いますが、部下は組織の成果に対する責任はなく、自身の成果や顧客のことを考えています。

あなたが役割として与えたり、考えることを求めたりしなければ、それは部下の意識下にないかもしれません。

意識にない場合、その行動がマネジャーの求めるものでないのはある意味当然です。

行動を指摘する前に、その前提についてすり合わせが必要です。

良いマネジャーは部下に考えるきっかけを与える

そもそも変化を好まない生き物で、なおかつ目の前の仕事に集中しているため、部下は放っておけばこれまでのやり方で仕事を続けます。

部下に考えて仕事をしてほしいと望むならば、マネジャーからきちんと考えるテーマを与え、考えるきっかけを作るようにしましょう。


例に出した「もっと組織のことを考えて」という内容なら、マネジャーから組織の現状と課題意識を伝え、チームでディスカッションする場を設けると良いでしょう。

特定メンバーに役割を与え、その活動や成果を定期的に評価するというのも1つです。


人は「行動を変えたくない」「見ようとしているものしか見えない」。

何もせず部下の行動変化を期待しているだけでは、部下は変わりません。


マネジャー自身にとっても、マネジメントの仕方、コミュニケーションを変えるのは変化であり、エネルギーが必要なことです。しかし、放置していてはいつまで経っても状況は変わりません。

メンバーに行動変化を促すために、早速コミュニケーションを取っていきましょう。

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自分を振り返ることが難しい管理職|どうやって内省の機会をつくるか?

管理職にとって自分を振り返るのは難しい

当社では、経営者や人事の方からサーベイを実施したが組織の変化に繋げられていないという相談をよくいただきます。

一方で、オンラインコーチを実施していると、人事以上に、現場の管理職がボトルネックになっているケースが多くみられます。


改善に向けて行動できたかは別にして、人事部門の方はサーベイ結果を受け止め、原因はなんだろう、改善するにはどうしたらいいか、という姿勢をお持ちのことが大半です。

一方で、管理職の方は、原因は思い当たらない、なぜだか分からない、と結果をきちんと受け止めることができず、内省が進まない方が一定数いらっしゃいます。

なぜ管理職は内省ができなくなってしまうのでしょうか?


自分を客観視できない管理職はどの会社にもいる

あなたの会社にも、変化しない、できない管理職として、思い浮かぶ人がいるのではないでしょうか?

これまでマネトレを提供した企業でも、“必ず”サーベイ結果の悪い部分に思い当たるところがない、なぜだか分からない、と言われる管理職が一定数発生しています。

なぜ客観視や内省が苦手になってしまうのか?それは、管理職を取り巻く構造的な問題であり、発生して当然の面があるのです。


誰からも指摘されなくなる管理職

外資系企業と異なり、大半の日本企業では、一度昇進してしまうと降格になることはめったにありません。

何か不祥事を起こしたり、よほどパフォーマンスが悪いケースを除けば、少なくとも現状維持ができます。

管理職の新陳代謝が組織としてほとんど起こらないため、管理職は自身のスキルや立場について危機感を持ちにくいのです。

結果が評価される業績面は別にして、特段自身のマネジメントについて内省しなくても、管理職という立場でいられるのが実情です。


加えて、管理職は立場が上がって行くほど、自分に対して指摘をしてくれる人が少なくなります。

メンバー時代は上司や先輩等、周りの方が色々とお節介を焼いてくれましたが、管理職になると指摘をしてくれる人が一気に減ってしまいます。

特に、長年管理職をしているベテランともなれば、周りに耳の痛いことを言ってくれる人はもはやいなくなります。

会社組織の構造的に、管理職は指摘されにくく、それ故に客観視する機会がどんどん少なくなってしまうのです。


振り返りができない管理職の事例

大手企業のグループ会社で課長職をされている40代後半のAさんも、従業員サーベイの結果を受け入れることができなかったひとりです。

サーベイの結果を見たAさんから、マネトレのコーチに対して「課題の原因となることが思い浮かばない」と相談をいただきました。

この質問自体は良くある質問です。何もないところから原因を考えるのは難しいため、コーチから、課題を引き起こしている原因として考えられることを複数お伝えしました。

すると、Aさんから「自分に当てはまると思うものはひとつもない」との返事がありました。

コーチからは、サーベイの結果は事実であり、事実として受け止めなければいけないこと。なんらかの原因は存在していること。どうやって内省していくべきか、についてお伝えし、Aさんも改めて週末時間を取って考えてみるとの返答でした。


こういった原因に思い当たることはありませんか?との質問に対して、「ここはできていないかもしれない」と考える管理職は6,7割です。

このコラムをお読みいただいている方は、いや、自分は全てできている、と言える人はちょっとおかしい、中々そんなことは言う人はいないよと思うかもしれません。

しかし、どこの会社の管理職でも、そういった内省ができない方が一定数発生しおり、サーベイ結果に対し「自分には思い当たる原因がない」と答えられる方が、実際にこれまで何人もおられました。


さて、先ほどのAさんはどうなったかというと、その後、思い当たることが見つかったとしてご報告をいただき、改善に向けて取り組んでいくことになりました。

Aさんは、週末奥様にメンバーからのアンケート結果について話をしたところ、そんなのあなたが他人の話を最後まで聞かないからに決まっていると言われたそうです。

そこで、Aさんは改めて自分を振り返り、「最後まで相手の話を聞かないまま、自分でその先を解釈し、自分の意見を話し始める」というコミュニケーションの癖に気づいたそうです。


管理職にも相談できる相手が必要

管理職は、組織の構造的に、客観視をするのがどうしても難しくなってしまいます。

そのため、管理職がマネジメントとして機能していくためには、サーベイのような客観的データや、指摘をしてくれる・相談できる相手が必要です。

年に1度の360°サーベイ研修を通じて、管理職に客観視させ内省させる場を設けている企業もありますが、年に1度の機会では、1回の気づきにはなっても、日常的に使えるレベルまで持っていくのは難しいのが実情です。


一度限りではなく、恒常的に管理職が自分の客観視や内省ができるようにするためのサポート、相談や気付きを与えてくれる機会をどう作っていくか。

マネジメント変革に取り組みたい企業においては、重要なテーマになるのではないでしょうか。

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テレワークに監視は必要?|コロナ時代にマネジメントはどうあるべきか

テレワークだからといって社員の監視を強める必要はない

コロナの影響でテレワークが一気に広がり、在宅勤務にも慣れてきた頃と思います。

マネジャーとしては、「メンバーがサボってしまうのでは?」というのはどうしても心配になるところ。そんなニーズがあってか、テレワークの監視サービスなるものも登場してきました。zoomを常時つけっぱなしで働いている(監視されている)なんて声も聞こえています。

テレワークでは、監視をしないとマネジメントできないのでしょうか?決してそんなことはありません。

今回は、テレワークではどのようにマネジメントすればいいかについて考えます。


オフィスワーク時のマネジメント

「監視」という発想の背景には、これまでのオフィスワーク環境が影響しています。

オフィスワークの場合、組織メンバーは近い席に配置されているため、ちょっと振り向けば、メンバーが何をしているかが分かりました。手が動いてなければ「集中してる?」と声をかけることもできました。

メンバー同士も互いの仕事ぶりが見えるので、サボってるメンバーがいれば注意でき、評価の妥当性もそれほどずれない状態になっていたと思います。

オフィスワークは、目の前のメンバーの働きぶりを見て育成・指導するというマネジメント手法がスタンダードになりやすい環境だったと言えます。


いざテレワークとなると、これまでのようにメンバーの働きぶりをタイムリーに把握することは困難です。

この環境の変化に対して、これまでのマネジメント手法を固定的に考えると、監視という発想が生まれます。


動機づけとは?|外発的動機づけと内発的動機づけ

メンバーにやる気を出して働いてもらうための「動機づけ」の方法は多様です。

今回は、外発的動機づけ/内発的動機づけに分けて考えてみましょう。


監視は、外発的動機づけです。

「見られているからちゃんと仕事をしなければ!」という動機づけとなり、メンバーは自身の評価を下げないために働きます。

「サボらずちゃんと働いてもらう」という目的は果たすことができます。

一方で、「監視しないとサボると思われている」とメンバーに感じさせ、信頼関係にとっては悪影響となります。

また、外発的動機づけは、「長続きしない」「目的に対して手段を選ばなくなる」などのデメリットがあると言われています。

監視をかいくぐる方法を考えるメンバーも出てくるかもしれません。


対する「内発的動機づけ」とは、メンバー自身の内面に沸き起こる意欲による動機づけです。

そんなの元々仕事が好きか、たまたま興味ある仕事ができているかで、コントロールできないと思われる方もいますが、内発的動機づけを生み出す方法はあります。


自己決定がやりがいにつながる

やり方が決まったタスクを手順通りにこなす仕事と、やり方は自由な仕事だと、後者の方が面白いと感じる人が多いと思います。内発的動機づけに至るまでの道筋をまとめた「自己決定理論」でも、やりがいを感じるには「自律性=自己の行動を自分自身で決めることに対する欲求」が特に重要と言われています。


マネジャーからは、期待する成果や到達目標を示すようにしましょう。それを達成するための方法は、メンバーに任せ、メンバー自身が考え決めた行動計画について報告を求めてみてください。 こうすることで、メンバーは「自身で決めた計画」となるので、その行動に対して責任感が生まれます。

PDCを回すために週次で1on1ミーティングを設定して振り返りを行えば、常時監視をしなくても早期に軌道修正できるでしょう。


▶︎ 関連コラム: 1on1ミーティングとはテレワークのマネジメント

コロナの影響で、テレワークができる環境整備が一気に進みました。仕事の進めづらさなどマネジメント課題は多いと思いますが、メンバーにとっては一種の権利のような認識でテレワークをしたいという声は高まると思います。


テレワークにおけるメンバーのモチベーション維持は、避けては通れない道です。テレワーク環境に合ったマネジメント手法へのシフトが重要です。「監視」をせずに、メンバーにちゃんと仕事をしてもらう方法として、自己決定でやりがいを生むことを考えてみてはいかがでしょうか?

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