反対意見を出すなら代案もセットでは正しいのか?
反対意見を出すなら代案もセットでは正しいのか?

反対意見を出すなら代案もセットで、は正しいのか?|反対意見を表明する際の3つのルール

ミーティングや議論における進行ルールの一つに、「反対意見を出すなら代案もセットで」というものがあります。
批判的な意見が出やすい、否定的な意見ばかりのチームにおいては、話を前に進めるためにとても有効なルールですが、実は落とし穴もあります。
今回は「反対意見を出すなら代案もセットで」という一見正しそうなルールに潜む落とし穴と、反対意見を表明する際の3つのルールについて解説します。

反対意見を出す際に代案を求める意味

誰もが会社で、自分の考えに一致しないと何でもかんでも反対する上司、やりたくないを意味がないと言い換えて反対する部下に遭遇した経験をお持ちと思います。
代案を考えるのは難しいですが、ただ反対するだけならとても簡単です。
そのため、話を前に進めたい人からすると、反対だけして代案を何も出さない人は、鬱陶しいことこの上ありません。
代案なき反対は議論を停滞させます。
ミーティングにおいて、「代案がないなら反対するな」「反対するなら代案はセットで」という考えを参加メンバーが持っている、そうしたルールが設けられたチームでは、安易な反対がなくなるため議論がスムーズです。
代案がなければ反対意見は表明できませんので、代案や建設的な意見をベースに話を進めていくことができます。

代案なき部下はマネジャーにとってやっかいな存在

代案なく反対する部下もいます。

マネジャー「今月の商談を増やすために、サイトを訪問してくれた顧客に電話をしよう」
部下「サイト訪問くらいの顧客に電話をしても無駄だと思います」
マネジャー「それはどうして?」
部下「サイト訪問くらいではまだ顧客のニーズは浅いです。サービス資料をダウンロードくらいした人でないと効率が悪い」
マネジャー「ではどうしたら商談を増やせるかな?」
部下「どうしたらいいかは分かりません。ただ、意味がないと思うんです。」
マネジャー「意見は分かった。では、今の案より効果的な策を一緒に考えて欲しい。もしより良い案があるならそれでいこう。ただ、現状のまま何もしないは無しだ。」
部下「分かりました。では、過去に失注した顧客に連絡するのはどうでしょうか。」

こんな場面に遭遇したら、上記のマネジャーのように「より良い案を一緒に考えて欲しい」とメンバーを巻き込むことはできずに、「もっと主体性を持ってくれ」「評論家になるな」とイライラして怒ってしまうマネジャーの方が多いのではないでしょうか。

代案がある部下の意見は上司にとって貴重です。しかし、代案はないけれど反対する部下は、上司にとってはやっかいな存在です。
このような場面で、マネジャーが「反対するなら代案を出せ」と言えば、言われれたメンバーはもっともな意見と感じ、納得がいかないながらも黙って従うでしょう。
「反対するなら代案もセットで」というルールは、安易な反対に対しては有無を言わせない力を発揮します。

代案がなければ反対意見は認められないのか?

実は、チームにとって反対意見が出ることは何ら悪いことではありません。むしろ、反対意見が出ないこと、メンバーが上司や周りに対して忖度する状態こそ問題です。
心理的安全性の低いチームでは、当然ながら立場の強い人に対する反対や否定は出なくなります。
実は、心理的安全性がある中で、代案がなくても反対ができるという状態は、よい状態とも言えるのです。
代案なき反対を許さない状態がいきすぎると、チームにとって不都合なことが起こります。
それは、本当に善意で「やめた方がいい」「もっといい案があるはず」と、メンバーが感じた違和感が放置されてしまう点です。

例えばある会議で、プロジェクトの進め方について発表者からある方向性が示されました。

マネジャー「それでは、本件は時間もないので、いつも依頼しているA社にお願いして進めようと思います。」
Bさん「ちょっといいですか。」
マネジャー「なんだい?」
Bさん「今回のプロジェクトは、A社にすべて任せるのは違う気がしています。今回の趣旨からすると、もっと良い方法があるのではないでしょうか。」
マネジャー「具体的にどうしたらよいと思うの?」
Bさん「すみません。分かりません。ただ、A社に任せるというのは安直過ぎると思うのです。もっと良い方法があるんじゃないかと。。もう少しみんなで考えませんか?もし何もよい案が出なかったらA社に任せるという形はどうでしょう。」
マネジャー「わかった。Bさんの言うことも一理ある。みんなどうかな?」
Cさん「確かに今回の内容からすると、A社とはちょっと違う気もします。こういう方法もあるのでは?」
マネジャー「それいいね!○○チームにも協力をお願いすれば、ある程度自分たちでできるかもしれない」

この時、「代案がなければ反対できない」というルールが徹底されていたとすると、今回Bさんが感じた違和感は表明されることはありませんでした。
違和感を取りこぼしたことにより、チームで生み出されたより良い代案にたどり着くチャンスを失っていたはずです。
「代案がなければ反対できない」というルールにより失うのは下記のような点です。

・善意からの反対や違和感を見逃す
・集団の知で解決できること、より良い代案にたどり着けない

前者は先に述べた通りですが、後者の「集団の知で解決できることを見逃す」も重要な視点です。
反対を表明した個人では解決・代案までたどり着けないけれど、チームでならたどり着けることがあります。
違和感や間違っていることを感じることより、代案を考える方が難しいです。
そのため、「代案がなければ反対できない」ということになると、善意の反対まで無くしてしまいます。それは、チームとしては大きな損失です。

反対意見を表明する際に必要な3つのルール

一方で、マネジャーとしては、代案のない反対意見や否定的な意見ばかりの状態を放置するわけにはいきません。
そうした場面でマネジャーに必要なのは、「前向きな反対意見」なのか、「後ろ向きな否定・単なる批判」なのか、を見極める姿勢です。

では、前向きな反対意見とするためには、どうしたら良いのでしょうか?
前向きな反対意見を行うには、発言者の発言の仕方が重要になります。

代案のない反対意見を表明する際に必要な3つのルール
  1. 反対する際に、相手の意見を全否定しない
  2. 前向きな決断としての反対であることを示す
  3. 一緒により良い代案を考える姿勢を示す

先の事例のBさんは、上記3つのポイントをしっかり抑えていました。
この3つのルールを守れば、単なる批判や否定でなく、前向きな反対意見を伝えることができます。
マネジャーとしても、3つのルールを守った反対意見であれば、たとえ代案がなかったとしても前向きな発言として耳を傾けることができます。
前向きな反対意見では、不毛な議論の停滞は起こりません。
マネジャーは、この3つのルールを守れば反対意見を表明して良いとメンバーに理解させること(逆にルールから逸脱した反対意見は認めない)、ルールに則った発言には耳を傾けることが重要になります。

反対意見を出すなら代案もセットで、はほどほどに

いかがでしたでしょうか?
代案のない反対意見はたしかに議論を停滞させます。
批判や否定ばかりして、建設的な意見を言わない人もいるでしょう。
しかし、全て一律で「代案なき反対」を否定しては、必要な反対意見を黙殺してしまいます。
反対意見をするなら代案もセットで、はほどほどにした方が賢明です。
今回取り上げた3つのルールをチームの共通認識とすることで、チームのコラボレーションを最大限発揮していきましょう。

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