人と組織は簡単には変わらない|すぐの結果を求める人ほどマネジメントは失敗する
人と組織は簡単には変わらない|すぐの結果を求める人ほどマネジメントは失敗する

人や組織は簡単には変わらない|変化を起こせるマネジャーに必要な中長期視点

組織やマネジメントの改善に取り組むと、すぐの成果を期待する管理職がいらっしゃいます。
そうした方々は、3ヶ月や半年で成果が出ないと、「大きく変えないと何も変わらないのでは」「新しい仕事に取り組むチームにしたいけどメンバーが動かない。手詰まりだ。」「部下のエンゲージメントスコアに変化が見られない、意味がないのでは」といった感想を持ち、改善への意欲を失ってしまいます。

一方で、下記のように中長期を見据えて、年単位で計画を立て、取り組まれる方もいます。
「管掌事業は業績が伸び組織の拡大が見込まれているため、リーダーの数を増やしていかなければならない。そのためには、権限委譲を進める必要がある。今年はそうした人材の発掘とマネジメントへの興味喚起やキャリアイメージの形成。来年はリーダーとして任命して、マネジメントに関する教育研修を行いつつ、まずは少数チームでマネジメントをさせてみよう。上手くワークするようであれば管理職として登用しより大きいチームを持たせよう。そのために今年は・・・」

たいてい、後者の方が組織運営やマネジメントとして大きな成果を出されます。
人や組織の変化を起こす上で、なぜ短期での計画や期待は失敗しやすいのでしょうか?
今回は、マネジメントが短期で成果が出しにくい理由や、短期視点の乗り越え方について解説します。

チームの歴史は、チームのカルチャー(文化)となり変化を阻む

新規事業でまったくの新造チームでもなければ、企業における組織はすべからくチームの歴史を背負っています。
例えば、次のようなものがチームの歴史により生まれた、そのチームにおける関係性やカルチャーにあたります。

・メンバー同士の興味関心、チームワーク
・失敗の捉え方、挑戦を称賛する空気
・コンプライアンスへの認識
・チーム内で話される言葉(ワード)のチョイス
・顧客に対する考え方
・上司部下の関係性
・毎朝の挨拶があるかないか
・業績へのこだわり、目標達成に対する意識


日々の一つひとつの出来事や、上司部下含めたチームメンバーの言動や態度、なんらかの大きなトラブルまたは成功体験など、そうしたものが積み重なっているのがチームの歴史です。
チームの歴史によって、チームメンバーの関係性やカルチャーが形成されます。
そして、積み重なった歴史は期間が長ければ長いほど、カルチャーや関係性は固定化され強固となり、そう簡単には変わりません。
これは経営学で「現状維持バイアス」とも呼ばれます。たとえ良い変化であっても、組織には慣性が働き、変化への抵抗が起こります。

(参考)現状維持バイアスの乗り越え方

現状維持バイアスはとても強固なため、一気に大きな変化を起こそうとしても大概うまくいきません。
小さな行動や言葉の一つひとつを着実に変えていくことで、大きな変化に繋げることができるようになります。
人や組織は、上司が変えたいと思っても短期間でそう簡単には変わらない。
このことを覚悟して、マネジャーは組織やマネジメントの改善に取り組む必要があります。

短期での上司の変化は、メンバーから見ると本当の変化か疑わしい

上司からすると、自分は変わろうと努力しているけれど、メンバーが応えてくれない、チームに変化は見られないというケースもあるでしょう。
やり方が間違っている場合もありますが、大抵は短期での変化を期待しすぎていることから生じています。

先に述べたように、3ヶ月や半年程度で、マネジャーが実感を得れるほどの大きな変化を望むのは難しいことが多いです。
また、部下からすると、短期間の上司の言動の変化は、単なる上司の思いつきの域を出ません。
「ああは言っているけれど、本当に実行したらまた叱責されるのでは?」
「その通りにしたら結局評価されないのでは?」
と疑わしく、すんなりと受け入れるのは難しいのです。

短い間だけ頑張るなら誰でもできます。継続してはじめて、メンバーは上司の変化を「本当の変化」だと捉えはじめます。
上司が本当に組織を良くしようとしている、マネジメントスタイルを変えようとしている、そうメンバーが感じて初めて、うまく改善の歯車が回るようになるのです。

上司にも背負った歴史がある|変わったと思ってもらうためには時間がかかる

上司としてのあなたの歴史(部下に対する言動、周囲からの見られ方)によって、上司の変化に対する部下の受け入れ方や認識は大きく異なります。

失敗への過度な叱責やパワハラまがいの言動。思いやりのない姿勢や、部下の意見に聞く耳を持たない姿勢。上司の役割責任を勘違いした部下への横柄な態度など、こうした負の歴史を背負っていれば、部下にあなたの良い変化を素直に受け入れろというは無理があります。

上司の背負った歴史が悪いものであればあるほど、メンバーに変化を受け入れてもらう、協力してもらうには多くの時間が必要です。
逆に良い歴史を背負った上司に対しては、メンバーは短い期間であっても変化への協力をしてくれやすいです。

例えば、これまで部下の発言を制していた、自分と異なればすぐ否定していたリーダーがいたとして、「今後は意見を積極的に言ってくれ。より発言が活発に行われるチームにしたい」と言ったとします。
しかし、上司のこれまでの歴史により生まれた、メンバーの中にある「何か思いついても発言しない方がよい」という暗黙のルールをすぐに変えることはできないでしょう。
この認識は徐々にしか変えることはできず、上司の継続した努力が必要になります。

チームの関係性、カルチャーを変えるには継続的なリーダーシップの発揮が必要

マネジメントを改善する上で、マネジャーが短期でなんらかの成果が欲しくなるのは仕方ないことです。しかし、たいていそう上手くはいきません。
組織やマネジメントを改善するには、上司の継続した努力、リーダーシップの発揮が欠かせません。

会社にも、組織にも、上司にも歴史があり、それが関係性やカルチャーとなりチームに根付いています。
社内の会話で顧客に「様」や「さん」を付けずにで呼んでいた組織で、メンバーに高い顧客志向を持たせるには相当な時間がかかるでしょう。
パワハラやセクハラがあっても口頭注意で処分されない、コンプライアンス通報したら通報した人が不利益を被る会社で、コンプライアンスを遵守する会社に変えようと思えば抜本的な改革が必要です。
心理的安全性が低い組織を変えたければ、まず上司の意識や姿勢が変わったことをメンバー全員に納得してもらう必要があります。
メンバー同士が関心を持たないチームで関係性を改善しようと思えば、まず気持ちの良い毎朝の挨拶から始める必要があるでしょう。

人や組織の変化には時間がかかります。小さな変化を積み重ねていくことが必要です。
マネジャーはそのことを念頭に、すぐに諦めることをやめなければいけません。
より良い組織をつくるためには、上司は変化を率先する継続したリーダーシップを発揮し、粘り強く変革に取り組むことが求められるのです。

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