コラム

部下の行動変化を促すには?|変化を起こすマネジメント

マネジメントで部下の主体性を引き出したい

「もっと自分で考えて仕事をしてくれないものか・・・」

 部下に対して、こう思うことはありませんか?


「1から10まで全て指示をしないとダメ。もっと主体的に行動してくれないものか…」「メンバー同士で相談し合って進めてくれればいいのに…」といった考えは、マネジャーなら誰しも持ったことがあると思います。

日本企業はプレイングマネジャーが多いため、部下のビハインドを自身が補うことを考えると、部下に対して「もう少しは…」と願いたくなる気持ちも理解できます。


ただ、いくら願ったからといって、いきなり部下が変化をすることはありません。

この問題に対する理解を深め、マネジメントで変化を促すにはどうしたらよいのでしょうか?

人は行動を変えたくない生き物|ホメオスタシス

行動を変化させることは、今やっている行動を続けることと比べて、はるかにエネルギーが必要なことです。

生物には、体外環境が変化しても体内の環境を一定に保とうとするしくみがあり、これを ホメオスタシス(恒常性)と呼びます。

例えば、体温や体内の水分量を一定に保つといった生物的機能です。


心理学においてもホメオスタシスは存在し、今の生活習慣や環境をなるべく維持し、心理的な安定性をもたらす機能として人に備わっています。

そのため、人は慣れ親しんだ状態や環境に身をおいていると安心します。

逆に、変化することはホメオスタシスに逆らうことになるので、人により違いはあるものの、多かれ少なかれストレスを感じることになるのです。


新しいことを始めたい時、変化したい時に、心理的ホメオスタシスは邪魔をします。

ダイエットのためにスポーツジム通いを始めたけれど、1ヶ月で行かなくなってしまったということが起きるのは、このホメオスタシスが邪魔をするからです。

スポーツジムは新規入会者の8割は1年後続けていないと言われ、新しいことを始めるのがいかに難しいかが分かります。

マネジャーは自身の考えをちゃんと伝えているか?

人は見ようとしているものしか見えません。

大勢の人がいる賑やかな場所でも、対面して話している相手の会話は容易に聞き取れると思います。

これはカクテルパーティー効果と呼ばれ、認知心理学でいう「選択的注意」の1つです。

多くの情報が溢れている時、人はその中から選択的に注意を向け情報を取捨選択しています。

いまいちピンとこない方は、「見えないゴリラ」という有名な実験がありますので、YouTubeで動画を見てみてください。 ⇒ 動画(selective attention test)


さて、職場に話を戻しましょう。

あなたが部下に「もっと考えてもらいたいと思っていること」は、部下の意識の中にあるでしょうか?


よくあるのは、マネジャーと部下の立場の差による認識の違いです。

例えば「もっと組織のことを考えてほしい」という内容。マネジャーは組織の成果に責任を持つため常に意識していると思いますが、部下は組織の成果に対する責任はなく、自身の成果や顧客のことを考えています。

あなたが役割として与えたり、考えることを求めたりしなければ、それは部下の意識下にないかもしれません。

意識にない場合、その行動がマネジャーの求めるものでないのはある意味当然です。

行動を指摘する前に、その前提についてすり合わせが必要です。

良いマネジャーは部下に考えるきっかけを与える

そもそも変化を好まない生き物で、なおかつ目の前の仕事に集中しているため、部下は放っておけばこれまでのやり方で仕事を続けます。

部下に考えて仕事をしてほしいと望むならば、マネジャーからきちんと考えるテーマを与え、考えるきっかけを作るようにしましょう。


例に出した「もっと組織のことを考えて」という内容なら、マネジャーから組織の現状と課題意識を伝え、チームでディスカッションする場を設けると良いでしょう。

特定メンバーに役割を与え、その活動や成果を定期的に評価するというのも1つです。


人は「行動を変えたくない」「見ようとしているものしか見えない」。

何もせず部下の行動変化を期待しているだけでは、部下は変わりません。


マネジャー自身にとっても、マネジメントの仕方、コミュニケーションを変えるのは変化であり、エネルギーが必要なことです。しかし、放置していてはいつまで経っても状況は変わりません。

メンバーに行動変化を促すために、早速コミュニケーションを取っていきましょう。