上司の歩みよる姿勢こそがわだかまりを解く|解決しなくても解決することがある
上司の歩みよる姿勢こそがわだかまりを解く|解決しなくても解決することがある

マネジャーの姿勢が従業員エンゲージメントに与える影響|600組織を調査

組織にはさまざまな問題が発生しますが、問題の解決を諦めてしまっているマネジャー、リーダーも多くいるかと思います。
問題の解決をしなくても部下は淡々と業務をこなしてくれて日々の業務は進んでいきますし、自身の権限では解決が難しい問題もあるでしょう。

「問題を解決しなければ、組織は良くならない」
私たちは、そのような漠然とした考えを持っているかと思います。
実際、その考えが現場のミドルマネジャーが解決が難しいと考えた場合、改善のためのアクションを諦めている原因にもなっています。
しかし、どうやらその考えは事実と異なるようです。

最近マネトレで600組織のデータを分析したところ、面白い発見がありました。
それは、「組織課題の原因が解決されたかどうかは分からないが、マネジャーが解決しようと行動した組織においては、従業員のエンゲージメントスコアが上昇する傾向がある」ということです。

今回は、利用者データを分析結果と、現場ヒアリング調査の一部についてご紹介します。

マネジャーが行動するとエンゲージメントスコアは上昇する

マネトレ利用者約600名のデータを分析したところ、下記のような事実が浮かび上がりました。

マネトレ利用者のデータから判明したこと
  • 組織課題の改善計画を立て行動に移したリーダー・マネジャーの74%は、メンバーのエンゲージメントスコアが上昇する
  • 組織課題の改善計画を立てなかったリーダー・マネジャーの67%は、メンバーのエンゲージメントスコアが悪化する
  • 改善計画を実行したリーダー・マネジャーの89%は、組織のポジティブな変化を多少なりとも実感する

組織課題の改善計画を立てなかったリーダー・マネジャーの67%は、メンバーのエンゲージメントスコアが悪化しました。
マネジャーが課題に対し何もアクションを取らなければ組織の状態は悪化する、というのは恐らく皆さんの想像通りの結果かと思います。

一方、組織課題の改善計画を立て行動に移したリーダー・マネジャーの74%は、部下のエンゲージメントスコアが上昇しました。
しかし、改善計画を立てたからといって、その課題が解決できたかは分かりません。
行動したけれど解決できなかった、まだ解決まで至っていないケースも多いはずです。
分かっていてもできないのがマネジメントであり、「分かる」と「できる」には大きな壁があります。
では、なぜ74%もの管理職に改善が見られたのでしょうか?

ヒアリングから見えてきたリーダー、マネジャーの姿勢の大切さ

私たちは、実際にポジティブな変化が起きている組織にヒアリングを実施しました。
そこで見えてきたのは「問題の原因が解決されなくても、組織で起きている問題は解決されることがある」という実態でした。下記に一例をご紹介します。

<リーダー、マネジャーの視点>

若くして管理職として活躍するAさんは、経験してきたセールス領域以外まで管掌範囲が広がり、自分に知見があまりないマーケティング領域のメンバーに対するマネジメントに苦労していました。

会社としては、個人として高い成果を上げ、その後セールス組織でも成果を上げたAさんに期待しての登用でした。
しかし、自分の専門領域ではないマーケティングチームに対しては、うまくマネジメントができず、メンバーからの信頼は低く、組織のパフォーマンスも低下している状況でした。

マネトレのコーチから、サーベイの結果を分析し、原因として想定されることを複数お伝えしました。
Aさんは、それを踏まえ、どうしてリーダーとしてメンバーからの信頼が獲得できていないのかを考えました。
Aさんは、「自身の専門性が低い」「部下に弱みを見せまいとしている」ことが、マネジメントの基本であるメンバーとの信頼関係が作れていない原因と考えました。

そこで、Aさんはメンバーひとりひとりと1on1を実施し、カッコつけていない正直な気持ちを伝え対話したそうです。
その後、マーケティングチームのメンバーとの関係性は良化し、Aさん自身もマネジメントに手応えを感じているそうです。「自身の専門性の低さ」という原因は解決されていないにも関わらずです。

<メンバーからの視点>

メンバーのBさんは、マーケティング一筋の経験で、しかもAさんより年上でした。
マーケティングに関して詳しくないが主導するAさんの態度に反感を持っていたそうです。
Aさんと1on1を実施する際に、感じていた不満を伝えようと、怒りにも似た感情で意気込んでいました。
ところが、Aさんから、冒頭下記のような話があり、その感情は消えてしまったそうです。
Bさんは、これからどうしていくか、未来に向けて協力的な対話をしました。その日からAさんへの印象も、チームへのBさんの貢献も変わりました。
同じように、他のメンバーも協力的になり、Aさんへの信頼のスコアは上昇し、チームのコンディションは良化しました。

「自分が皆さんをうまく引っ張っていくことができていないことを痛感しています。マーケティングに関する知識も不足しています。これまでは、リーダーとして弱みを見せてはいけないと強がっていました。今は、自分自身が変わらなければと思っています。これからチームをよくしていくために、Bさんに協力してほしい。うまく行動できていないことは認識しているので、意見があれば率直に言ってほしい。」

解決できなくてもリーダー、マネジャーが行動すること自体に意味がある

組織のほとんどの問題はコミュニケーションによって生まれています。
マネジメントはコミュニケーションによって発揮されます。
今回は対話によって前進しましたが、元をたどればリーダーの「解決しようとする姿勢・行動」によるものです。

Aさんが、問題を認識し解決しようとする姿勢を見せなければ、決してメンバーからの信頼を得ることはできなかったでしょう。
Aさんが行動を起こさなければ、チームに起きている問題は解決されませんでした。

原因自体をリーダー、マネジャーが解決できなくても、リーダー、マネジャーの解決しようとする姿勢によって、問題は解決してしまうことが多々あるのです。
上司の歩みよる姿勢こそが、あらゆる問題を解決する糸口になる。
これは、マネジメントを行う人々を勇気づける事実ではないでしょうか。
今組織にある問題の解決をあきらめてしまっているリーダー、マネジャーも、組織を良くしようとする姿勢・行動を起こしてみませんか?

マネトレでは、マネジメントや人材育成、組織開発に役立つさまざまな資料を、無料で公開しています。ぜひお気軽にダウンロードください。