承認・称賛の文化醸成|メンバー同士で承認・称賛し合うチームの作り方

承認・称賛には、人間関係を良化させたり、仕事へのやりがいやモチベーションを高めるといった効果があります。チームメンバー同士で承認・称賛し合う文化づくりは、以下のような考えをお持ちの方に効果的です。

・マネジメント人数が多い(今後、多人数をマネジメントするキャリアを希望する)
・チームの人間関係の改善(メンバー同士のコミュニケーションを活性化したい)
・仕事へのやりがいやモチベーションを高め、チームとしての生産性を高めたい

今回は、マネジャー自身が承認・称賛を意識して実行できていることを前提として、承認・称賛の発展形であるチームメンバー同士で承認・称賛し合う文化醸成について解説します。

マネジャーがメンバーから信頼されることはマネジメントの土台です。
もし、マネジャー自身があまり承認・称賛していない場合は、まずは以下コラムを参考に実践をしてみてください。
承認・称賛とは?|部下のやる気を引き出す承認と称賛の使い方

承認・称賛の効果|人間関係を良化させ、仕事へのやりがいやモチベーションを高める

承認欲求は人の根源的な欲求であり、程度の違いはあれ、誰しも「他者から認められたい」という欲求を持っています。
承認・称賛は、メンバー1人1人の承認欲求を満たす行為であり、大きく2つの効果があります。

①人間関係を良化させる(信頼関係を築く)

「マネジメント」や「指導」という言葉を履き違え、ダメ出しや指摘ばかりしてしまうマネジャーやベテラン社員をよく見かけます。
本人は、相手の成長のためと思ってやっているのでしょうが、欠点や悪い点ばかり指摘するのは人の承認欲求に反したアプローチであり、相手には強いストレスが伝わり、人間関係や信頼を損なってしまう可能性が高いです。
人間関係や信頼関係を築くには、人の承認欲求を理解し、良い点は良いと認めることが大事です。

また、「挨拶をする」「名前を呼ぶ」「顔を見て話す」「返事をする」「感謝を伝える」なども軽視できません。
これらは存在承認と呼ばれるもので、承認欲求より低次の社会的欲求(帰属意識)に影響します。
挨拶しない、返事をしないなどは、相手を無視する行為になり、一緒に働く仲間という意識を持てなくなります。
テレワークなど顔を合わせる機会が減っている場合などは、チャットやテレビ会議なども活用して、帰属意識を持てる工夫をしていきましょう。

なお、人間関係や信頼関係は、1対1の関係性のため、メンバーも含めた全員が意識して実行していく必要があります。
マネジャーだけがメンバーに承認・称賛を行う場合、マネジャー自身は信頼関係が高まっていきますが、メンバー同士(先輩後輩など)で人間関係が悪いと、チームの一体感が生まれなくなってしまいます。
マネジャーだけでなく、チームメンバー同士で承認・称賛し合う文化を作っていくことが大事です。

②仕事へのやりがいやモチベーションを高める

仕事へのやりがいやモチベーションは、メンバーの価値観やキャリアを理解して目標設定を行う、目標を達成に導き達成感や高い評価につなげる、目的やゴールを明確にして仕事を任せる、挑戦的な業務を任せてスキルや能力を伸ばす、権限と責任を与え自己決定させる、フィードバックで気づきを与え内省を促す、承認・称賛で努力や行動を認める、など、非常に多くの要素が関係しています。
また、人それぞれの価値観やキャリアの考え方にも影響するため、一概にこれをすれば高まるといった特効薬のようなものはありませんが、承認・称賛は、やりがいを実感するタイミングになったり、内発的動機づけをするために必要な要素となります。

内発的動機づけは、人の内面に沸き起こる意欲による動機づけです。
評価や金銭、賞罰といった外発的動機づけと比べて、内発的動機づけは長続きすると言われています。
内発的動機づけには、「自律性」「有能感」「関係性」の3つが大事とされています。(自己決定理論)

  • 自律性:自分の行動を自分自身で決めること(↔︎やらされ感)
  • 有能感:自分は能力があって優れているという感覚(≒自信)
  • 関係性:他社との精神的な繋がり(≒相互信頼関係、一体感)

細かい進め方まで指示を出す、指摘やダメ出しばかりする行為は、自律性や有能感を感じにくくします。
一方、承認・称賛により、褒められた、認められたというのは有能感を高めます。また、自分の仕事ぶりをちゃんと見てくれている、自分の考え方を認めてくれていると伝わるため、関係性(信頼関係)も高まります。
このように、承認・称賛は、内発的動機づけに効果的で、仕事へのやりがいやモチベーションを高める効果があります。

メンバー同士の承認・称賛は効果的なのか?

承認・称賛の効果は、マネジャーかメンバーかという役職で変わるものではありません。
強いて言えば、信頼関係の深さが効果に影響します。
信頼する人の意見は素直に聞けるのに、信頼していない人の話は懐疑的に聞いたり、響かないのと一緒です。

人間関係を良化させる効果は、承認・称賛する人に対して好意をもつようになる心理(好意の返報性)なので、メンバー同士の人間関係改善やチームの一体感を作るには、メンバー同士で承認・称賛し合うことが重要です。
そうして、メンバー同士の信頼関係が高まっていけば、互いの承認・称賛で動機づけされ、やりがいやモチベーションを高め合う効果も見込めます。

マネジャー自身がメンバーを承認・称賛することはもちろん大切ですが、承認・称賛の頻度を高めたり、メンバーが増えた際に承認・称賛されないメンバーが出ないようにするためにも、メンバー同士の承認・称賛文化を作っていきましょう。
また、プレイングマネジャーとして自身がプレイヤーとして業務を行なっている場合や、テレワークなどでコミュニケーション頻度が減っている場合は、マネジャーのみの活動では限界があり、メンバー同士が承認・称賛し合う文化をつくることがチームワーク改善のカギになります。適切にメンバーを巻き込んでいきましょう。

承認・称賛文化の作り方

「文化」は、勝手に出来上がるのもではなく、意図して作り上げるものです。
承認・称賛の文化を作っていこうと思った時にぶつかる一番の壁は、組織の「慣性」です。
これまで互いに承認・称賛し合うということをしてこなかった組織では、しないことが当たり前となっており、力を加えない限りいきなり変わったりはしません。初めの動き出しのタイミングはエネルギーが必要ですが、承認・称賛し合う習慣さえつけてしまえば、それが当たり前になり、特に力をかけずとも承認・称賛し合うチームが出来上がります。
マネジャー自身がきっかけを作り、習慣化するまで継続させる方法を考えて実行していきましょう。

①マネジャー自身が率先垂範する

まず第一に、マネジャー自身が率先して承認・称賛を行うことです。
上司がやっていないのに、部下にやれというのはおかしな話です。まずは自分自身が率先して、褒める・認めるコミュニケーションを増やしていきましょう。
実際にやってみると、「褒めるポイントが見つからない」というマネジャーが意外と多いです。
メンバーも同じポイントで躓くことが想定されるため、自分が実践しておくと、メンバーにアドバイスできるようになるはずです。

②メンバーが承認・称賛する場づくり(習慣化させる)

メンバーに「承認・称賛をしよう」と伝えるだけだと、なかなか実行に移されません。これまで承認・称賛をしないのが当たり前だったので、「どんなことを褒めれば良いのか?」「こんな小さなことを褒めていいのだろうか?」とすぐに行動に移せないでしょう。
そのため、変化を生み出すために、最初は、全員が意識的に承認・称賛を行う場を作りましょう。

・朝礼やチームミーティング内で良い事例を共有し、承認・称賛する時間を設ける
・チームのチャットで、良い事例を共有し、他メンバーが反応する(いいね!やコメント)
・サンクスカードを用意し、良いと思ったその都度、相手に渡す
・「承認・称賛月間」「ありがとうキャンペーン」など、イベント化して意識づけを強化する

チーム内で影響力のあるメンバー(後輩指導をしている中堅や、ムードメーカーなど)に、目的や意図を伝えて巻き込み、自分以外からも承認・称賛が出るようにしておくと推進しやすくなります。依頼するメンバーを多くすると、責任が分散され、全員がやらなくなってしまうので、こうした慣性に逆らう変化を起こす際は、影響力あるメンバー1,2名を選定して協力を仰ぐのが得策です。

また、メンバーが行う承認・称賛に対して、マネジャーがリアクション(承認・称賛)するようにすると、行動が強化されます。習慣化するまでは、任せきりにせず、積極的に盛り上げるようにしてみてください。

③できない理由(言い訳)を事前に潰しこむ

よくあるできない理由は以下のようなものです。
・褒めるポイントが見つからない
・こんな小さなことでも褒めていいのか?という線引きで悩む
・褒め言葉を知らない(うまく褒められない)

褒めるポイントとしては、「結果承認」「プロセス承認」「行動承認」「意識承認」「存在承認」と5段階のレベルがあります。
結果が出てない場合でも、プロセス(過程)や行動、意識など何かしら良い点はあるはずです。
また、褒めるという言葉がハードル高く感じるようであれば、相手の良い点を率直に良いと伝える意識にすると承認・称賛しやすくなるかもしれません。
承認欲求は認められたいという欲求なので、「褒める」ではなく「認める」でも同様に効果があります。

また、こんな小さなことでも褒めていいのか?と、承認・称賛をとても高尚なものと捉えている場合もあります。
これは、慣れてきてから修正すれば良いので、最初はシンプルに、良いと思った行動や意識は全てOKと許容しましょう。

褒め言葉については、以下に褒め言葉集をまとめているので、参考にしてみてください。
メンバーを「褒める」スキル|マネジメントで使える褒め言葉集


いかがでしたでしょうか。
メンバー同士で承認・称賛し合う文化を作ることで、チームの関係性がよくなり、互いにやりがいやモチベーションを高め合う良いチームにしていくことができます。

マネジャーは自分の限られた時間を、うまく配分していくことが重要です。少人数のチームの場合は、自分自身が承認・称賛するだけでもうまく組織運営できているかもしれませんが、マネジメント人数が増えれば増えるほど、その方法では通用しなくなります。
メンバー同士が承認・称賛し合う文化を作り上げ、人数が増えてもマネジメントできる体制、強いチームを築いていきましょう。

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