部下を成長させる指導のポイント3選
部下を成長させる指導のポイント3選

部下を成長させる指導法のポイント3選

指導するにもパワハラと言われるのが怖い、時間がなくてコーチングなんてやってられない等の、部下への指導法に関する悩みは尽きません。
今回は、マネトレを利用する優秀なマネジャー数十人へのヒアリングを通じてまとめた、部下を成長させる指導法の3つのポイントについてご紹介します。
忙しい時にも使える指導法のショートバージョンもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

「叱る」はめったに使わない

大前提、「叱る(非のある言動を咎め、厳しく注意する)」という行為を日常的に使ってはいけません。
叱るという行為は受け手にとって大きなストレスとなります。叱られた本人の頭は混乱してしまい、多くの場合、言われたことをきちんと受け止めることができなくなってしまいます。
そのため、現状を修正する、同じ過ちをしない、といった目的から離れてしまうので、「叱る」は日常的に使う意味がありません。
基本的には「指導(問いや助言を与え、良い方向に導く)」を用いましょう。

マネジメントにおける「叱る」と「指導」の使い分け

部下を成長させる「指導法」の3つのポイント

指導とは、問いで考えさせ、部下を導く行為です。
部下に問いかけることで、本人の内省を促し、改善のために必要なことを部下本人に考えさせます。
単純な指摘や指示と異なり、本人の学びや成長に繋がりやすいとされます。

ポイント① 「問い」を投げかける

「問い」が先にあり、「自分はこうしてほしい」「それはだめだ」「僕はこう思う」といった自分の考えは後にあります。

自分の意見や考えを先出しせず、問いかけを通じて本人に考えさせましょう。
どうしたらもっと良くできたと思う?といった未来形の問いかけの方が、部下の心理的な負荷は小さくなります。
なんでできなかったのか?といった否定形の問い方は相手を萎縮させます。
失敗を詰めているような問い方にならないよう注意しましょう。

<問いかけの例>
どうしたらもっと良くできると思う?
どうすべきだったと思う?
なんでそう判断したの?

なぜ改善した方が良いのか、どうすべきか、といったことは、本人が問いかけの中で気付けるならそれで良く、追認してやるだけで問題ありません。上司から必ずしもこうした方が良いと伝える必要はありません。
また、上司が考えていたことと同じでなかったとしても、前に進みそうなら部下本人の判断を承認することも重要です。

ポイント② 「問い」の時間をコントロールする

問いが難しいのは、相手が答えられない可能性も多くある点です
問いを与えて考えさせる行為は、その問題の大小や重要度、前提知識を知っていることが判断の比重として大きい事項かなどによって、部下が何らかの答えを出せるのかが変わってきます。

本人のキャリアや価値観といったパーソナルな話をする際は、本人が情報を全て持っているので、待っていれば何かしら出てきます。
しかし、業務に関することは、部下が持っている知識や経験、状況認識等が、複雑に絡み合っています。
そのため、出てこない時はいくら待っても出てきません。
何も出てこない場合は、より具体的な考えるヒントを与えたり、切り上げる時間をコントロールする必要があります。

研修でコーチングを学んだ方がやりがちなのが、業務に関する指導での長過ぎる問いかけです。
長すぎる「間」は、受け手のストレスに変わってしまいます。
考える時間が長過ぎると、部下は考えている状態から、ストレスを感じている状態に変わってしまい、ストレスが大きくなります。
ストレスが大きくなると部下の頭に内容が入らなくなり、指導の効果は激減してしまいます。
問いの時間コントロールは非常に大切です。難しそうだなと思ったら、ヒントを与えたり、途中で切り上げてティーチングに移行しましょう。

ポイント③ 指導の目的を忘れない(感情をコントロールする)

管理職の中には、感情のコントロールが苦手で、「指導」している最中、本来の目的を忘れてしまう方が一定数います。
皆さんも、 管理職が指導している最中にヒートアップしてしまい、なんのために指導をしているか忘れ感情的になっている光景を見かけたことはないでしょうか。
感情的に叱り、さらにいつしか怒りになっている人も少なくありません。

部下への指導法の研修は世の中に多くあるものの、受けてもなかなか実践できないのは、行為の最中に「目的」をいつの間にか忘れてしまい、イライラが先にきてしまうことが一因です。部下にイライラをぶつけても、上司の気持ちは静まるでしょうが、それ以外になんの意味もない行為になってしまいます。

上司が怒れば、部下には多大なストレスがかかり、指導をきちんと受け取れません。
現状を修正する、同じ過ちをしないように導く、といった本来の目的を忘れずに、感情をコントロールすることを意識してください。

忙しい時の指導法|「問い」で導くに固執しない

問いで導く指導は、ティーチングより時間がかかります。
忙しい業務の中で全ての指導をそのような方法でやる余裕がない管理職がほとんどでしょう。
その場合は、「問いで導く」方法に固執しなくても問題ありません。

コーチング研修に感銘を受け、やたらとコーチングを多用する方がいらっしゃいます。
しかし、その結果時間がなくなり業務フォローや、フィードバックがおろそかになったり、適切な指示が受けられないとメンバーの不満に繋がるケースがあります。
これではコーチングの意味がありません。

時間がないからといって、毎回「こうしろ、ああしろ」といった指示ばかりも適切ではありません。
指示ばかりでは部下は自分で考えることをしなくなり、成長しません。
結果、いつまでも人材が育たず、マネジャーの忙しい状況も一向に改善されなくなってしまいます。

場面や業務状況を考えて、問いや助言、指示を適切に使い分けましょう。

コーチングとティーチングの使い分け

時間がない時は、上司としての考えを先に示す

時間がない時に使える指導のショートバージョンは、「こうした方がもっと良かったと思うのだけど、それはなぜだと思う?」と、上司としての考えを指し示して、それはなぜかを考えさせる?という方法です。
前述の「どうしたら良かったか?」を考えさせる方法よりも、短い時間で考えさせることができます。
この方法は、部下の能力がその問題に対して追いついておらず答えを考えるのが難しい場合や、問いを投げかけても何も出てこなかった場合にも有効です。

さらに時間が無い場合は、「部下が考える時間」を一人で考えてもらいましょう。
もちろん部下が考えている際に一緒に付き合えることがベストですが、具体的なヒントを与えるなどして、ある程度答えに辿り着けそうな状態であるなら、一旦部下自身で考えてもらうという形でも構いません。
ただし、その際は「考えがまとまったらいつでも声をかけて」と伝え、もし部下からの声がけが無くても、必ず覚えておいて「例の件はどう?」と自ら部下に聞くようにしましょう。

今時間が取れない時は一旦指示し、後で指導する

すぐに対応が必要だが今は時間が取れない、といった状況の場合は、一旦ティーチングで指示し、後日部下との1on1などでそれを議題に取り上げましょう。
その際に問いかけを行えばOKです。時間をズラしての指導でも十分意味はあります。

部下が判断の理由、プロセスを考え理解し、次回自分で判断できるように導いてみてください。
新人や初めて担当する仕事のケースなど、部下の状態によっては、問いで導くより、ティーチングの方が適しているケースもあります。
実際のマネジメントにおいては、教科書通りのスタンダードな「問いで導く」方法に固執する必要はありません。
ご紹介したショートバージョンも組み合わせてみてください。

よくある勘違い|毎回最後に期待を伝える必要はない

「指導したら、最後に期待を伝えるをセットで」というような指導法もよく目にしますが、期待を毎回最後に伝える必要はありません。
現実のマネジメントで、毎回期待を伝えるのはそもそも無理があるでしょう。
むしろ、修正して成果が出た際に覚えていて、褒めたり認めてあげることの方が大切です。この点は忘れず実行しましょう。

期待がないと動けないのはマイナスでもあります。
こうした方がもっと良いよね、楽だよね、その方が自分の成長やポジティブな結果に繋がるよね、と部下が思えていれば、上司の期待を毎回伝える必要はありません。
また、期待は嬉しい人もいれば、実はストレスを感じる人もいます。期待や褒めるの乱用は、期待そのものの価値を下げてしまいます。
期待は外発的な動機づけであり、一時的な効果です。部下の中から生まれる内発的動機づけに勝るものはありません。
「指導」の最後に、部下が前向きに修正に向き合える状態に導くには、部下の価値観やキャリアを理解していることがとても役立ちます。

価値観とは|メンバーのやる気を引き出す価値観理解
キャリアとは|部下のキャリアを理解し信頼関係を築く方法

上司の指示は「指示待ち人間」をつくる

部下に任せてはできないからと、何でも自分で判断して指示する上司もいます。
部下の意見は多少の違いであってもなんでも否定して自分の「指示」を伝える。
このようなコミュニケーションで、部下に考えろというのは無理があります。部下にとっては自分で考えることは全て徒労に終わるからです。
コミュニケーションの矢印は上司➝部下の一方通行しかなくなり、いつしかそれが固定化されます。

こうなると、上司を支援する、上司に対し助言するといった、部下から上司へのコミュニケーションの矢印そのものがないという状況が固定化されます。

頑張って考えてもすべて上司の意見に最終的に変わるなら、部下にとって自分で考えることは無駄ですし、上司の指示をあおいだ方が合理的です。
その結果、指示をひらすら待つ部下が量産されます。

指示の多用によるマイナスは、指示待ち人間を作るだけではありません。
毎回上司による修正が入るので、部下としてはやり直しが頻発します。
すると、ビジネスのスピードは遅くなり、進まないのに時間はかかるのでメンバーのワークライフバランスは悪化し、エンゲージメントも低下します。
緊急時など、指示が有効な場面もありますが、日常的には「指示」ではなく「指導」を用いましょう。


いかがでしたでしょうか?

今回は部下を成長させる指導法のポイントをご紹介しました。
ハラスメントになりかねない感情的な叱るや指導をしなくても、部下を成長に導くことはできます。
むしろ、昔ながらの「叱る」が多いことや、命令・指示型のパワーマネジメントは今では逆効果です。
ぜひ部下を成長させる指導法を実践してみてください。

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