リーダーシップの経営心理学(前編)|良きリーダーに必要な能力とは?

INSEAD(インシアード)は、フランス、シンガポールにあるビジネススクールで、そのMBAプログラムは、最新のFinancial Times「Global MBA ranking 2020」で世界第4位にランキングされている名門ビジネススクールです。

今回は、INSEADにおいて企業幹部向けリーダー育成プログラムを統括したナラヤン・パント教授によるリーダーシップ研究から、全2回に分けて、マネジメントに必要なリーダーシップを紐解きます。


▶ リーダーシップとは?|マネジャーに必要なスキルとしてのリーダーシップ

良きリーダーになるために必要な能力

ナラヤン・パント教授は、良きリーダーに必要な能力として3つ挙げています。

具体的には、下記3つが理論の核となっています。

良きリーダーに必要な能力
  1. 自己管理能力
  2. チームの人々をまとめる能力
  3. 組織をうまく回す能力

また、パント教授は、上記に加えて、優れたリーダーの共通点は学び続ける姿勢であり、学ぶのをやめた瞬間にその人はリーダーではなくなるとも述べています。


人は今、どんなに優れていても、あるいは今どんなにダメでも、いつだって今より優れた人間になることはできます。数多くのリーダーに会ってきた経験からすると、優れたリーダーの共通点として、常に学ぼうという姿勢を持っていたことが挙げられます。逆に学ぶことをやめた途端、もう良いリーダーではなくなります。リーダーの生来の正確がどうであれ、訓練で克服することができます。その意味で、素質は大した問題ではありません。そんなことより、その人の能力がどれほど高かろうと、包容力があろうと、常に新しいことを学ぼうとしているかの方がリーダーとしてはるかに重要です。

引用:『世界最高峰の経営教室』広野彩子著

1.自己管理能力

結果を出すリーダーになるには、まず自分と向き合って自分の考えや感情を知り、そこから表出してくる行動をうまくコントロールする必要があります。

部下を怒鳴り散らすリーダーがいたとしたら、その人はコントロールが出来ていません。怒りを顔に出さずとも本当は起こっている場合もあります。

しかし、それもコントロール不能状態です。

感情にあらわにするか否かだけが問題ではありません。極端な考え方や感情、行動を抑える能力が必要です。

2.チームの人々をまとめる能力

限られた時間で最大の成果を出すには、チームをまとめることが欠かせません。チームをまとめるためにリーダーがすべきことは複雑ではありません。

世の中には「チームのベストの結果を出すためには、チームメンバーの話をよく聞き、理解し、心配事について心配せよ」と指南している本が数多くあります。それほど当たり前のことです。

しかし、実践できているマネジメントは多くありません。


あなたが会議に出席しているとしましょう。 部下が議論しているのと少し違うアイデアを話したりする。あなたは「なんでこんなトンチンカンなアイデアを言い出すんだ」「今言ったらダメだろう」などと、心の中で思ってしまう。

それこそがリーダーとして自分自身を管理できていない証拠です。不規則な発言にただ刺激され、考えることなしに怒っているだけです。

あなたは、もしかしたら、発言した部下が実は何か深刻に悩んでいて、助けを求めるために発言している可能性を考えていません。

また、その部下の迷いには、チームをまとめるうえで重要なヒントが隠されていることも多いはずなのです。

3.組織をうまく回す能力

自分とチームのコントロールが前提になります。

組織を動かす上でリーダーに重要なのは、実はしっかり周囲に頼る力です。

どんな立派な戦略が出来ても、リーダー一人で実現することはできず、他の人達に働いてもらわなければなりません。

明確な指示を与えることが出来ても、リーダーがチームを信頼し、チームが働ける環境を整えなければ組織は動きません。

リーダーは自分を管理しなければなりません。弱いリーダーはまず他人をコントロールしようとし、部下がしていることを全部報告させます。

しかし、そんなことは不可能です。

多くの権限を委譲し、仲間たちのしていることを信じつつ、組織の利益に沿って行動してもらうように促すのがリーダーの仕事です。

知識があることと、実践することは異なる

いかがでしたでしょうか?今回は、パント教授によるマネジメントに必要なリーダーシップについて解説しました。

とても基本的なこと、大半の人にとって似たようなことをどこかで聞いたことがあると思います。

しかし、実践できているマネジメントはごく少数です。

実行するのに特殊な能力が必要だったり、習得が難しく誰しもが実践できないといったことではありません。ぜひ明日から実践してみてください。


次回は、パント教授の後編として、なぜ知識があっても、マネジメントはリーダーシップを実践できないのか。マネジャー育成の心理的な壁の乗り越え方について解説します。


参考:『世界最高峰の経営教室』第4章リーダーシップの経営心理学 広野彩子著

▶ リーダーシップの経営心理学(後編)|マネジャーの行動変容を妨げる心理的壁の乗り越え方

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