コラム

企業文化とは?|セールスフォースに学ぶ企業文化の重要性 創業者マーク・ベニオフ著『TRAILBLAZER』

企業文化に注目が集まっている

あなたの会社の「企業文化」はどんなものですか?

顧客第一、品質第一、経営理念や行動規範にあるそれらの言葉が思い浮かんだ方もいるかと思います。

一方で、ぱっと思い浮かばなかった方も多いのではないでしょうか。新入社員研修や管理職研修以来、経営理念や行動規範について久しく意識したことがないという方が大半かと思います。

企業文化を形作る理念や行動規範は、時間の経過と共に存在が薄くなってしまっていることが普通です。

しかし今、企業文化が世界的に再注目されています。

ミレニアル世代(1989年~1995年に生まれた世代)に代表される若い従業員は、これまでよりはるかに、自分の仕事に高い目的意識を持たせたいと考えていると言われます。

今回は、時価総額約20兆円、クラウドコンピューティングを開拓し、CRM(顧客関係管理)プラットフォームで世界No1企業であるSalesforce.comを例に上げ、その創業者マーク・ベニオフ著『TRAILBLAZER(トレイルブレイザー)』から、企業文化の重要性について考えます。


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企業文化とは?|企業風土とはどう違う?

企業文化と似たものに、企業風土という言葉があります。

企業文化は、企業が打ち出した経営理念や行動規範などをベースに、意識的・無意識的に築き上げたもの。

企業風土は、そこで働く社員の人間関係をベースに自然に生まれるものです。

企業文化とは、企業と社員との間で共有・形成される独自の価値観や文化、規範、ルールのことを指します。

創業時から積み重ねられた事実や、経営方針、マネジメント姿勢等によって形作られており、社員が共通して持つ価値観や行動規範となります。

企業文化はすべてのことに勝る|セールスフォースの事例

セールスフォースの創業者マーク・ベニオフが書いた『TRAILBLAZER(トレイルブレイザー)』では、企業文化について最も多く紙面を割いて語られています。

著者は本書の中で、経営学の大家ピーター・ドラッカーを例に上げ、ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る」というルールを定めたが、「企業文化はすべてのことに勝る」とまで述べています。

ここでは、特徴的な部分について一部抜粋します。



一部のビジネスリーダーは、設備の整ったオフィスに笑顔の人が集まっている修正済みの写真を載せた美しいパンフレットに、企業文化を代弁させようとしているようだ。あるいは、食通が喜ぶような食事を提供し、卓球台を設置すれば、企業文化ができたと思っている、

真実はというと、企業文化は単なる特典や無料サービスよりもはるかに重要なものだ。それは基本的に、自分たちのコアバリューを定義して表現する方法と言える。

成長し、その状況を長く維持するには、人目を引くバリューをずらりと並べる必要はなく、ただ本物があればよい。バリューを偽ることはできない。企業文化が偽物や亜流、中途半端や検討違いなものであれば、その会社は最終的に傾いていくだろう。

私達の企業文化は変化のペースに合わせて進化し、自ら息づき、親しみやすくダイナミックになり、私たちを実際に前へ前へと推し進める。将来に渡って繁栄を願う企業にとって、企業文化とそれを定義するバリューは、経済的成功の原動力となるのだ。



今日の世界は、経済的、社会的、政治的に課題が山積しているので、企業が通常通りに事業を遂行したり転換したりすることはもはや不可能になっている。企業が大きく鳴るほど、また影響を及ぼす対象者が増えるほど、単純に製品で自社を定義づけることが一層難しくなる。

ときとともに、従業員、顧客、さらには投資家、パートナー、コミュニティなどのステークホルダーが、あなたが事業を行なうに際してどんな哲学を持っているかを知りたかるだろう。あなたに「志」があるかを問うてくるのだ。


上記内容から、セールスフォースという会社が、いかに企業文化を大切にしているかが分かります。

同社では独自の企業文化をオハナ(家族)と呼び、コアバリューとして4つのシンプルな言葉を掲げています。

信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等

▶参考:セールスフォースのコアバリュー


バリューの言葉自体には、他の会社と大きな違いはないでしょう。

しかし、他社とは圧倒的に異なるレベルでそのコアバリューを徹底し、その上にオハナや社会貢献、ボランティア活動、1−1−1−モデルといった企業文化が生まれ、それによって同社は世界有数のエクセレントカンパニーになったのです。

バリューに反する問題から目を背けてはいけない|強力な企業文化をつくるために

セールスフォースのコアバリューへの態度を示す事例としてこんな事例があります。

同社があるインディアナ州で、「宗教の自由の回復法」というLGBTQを差別することを法的に認める法案を可決した際、マーク・ベニオフはTwitterで即座に「インディアナ州への投資を大幅に削減せざるを得ない」と反対を表明しました。

企業としては、態度を示さなければプラスもマイナスもない。しかし、反対すれば逆の立場の人から反発が出る。そもそもセールスフォースは政治家でもなんでもなく一企業でしかない。

企業内の問題ではなく、社会、政治の問題です。

それでも社員は、この問題にあなたはどうするつもりか?と、リーダーの具体的な行動を求めていたと語っています。

マーク・ベニオフは、「平等」というセールスフォースのコアバリューに反する差別に対し、会社の代表として明確に反対の立場を示しました。

社内の従業員に対してももちろんですが、全ての人々の平等を保証することを、社会に対しても行動で示したのです。

結果的に、この運動はムーブメントとなり、法案は修正されることとなります。

企業文化とは、社員や顧客に対するだけのものではなく、影響範囲はたとえわずかでも、接点のあるステークホルダー全ての人々を対象とするのです。


これは、アメリカ特有の話という訳ではありません。

平等を掲げているのに、管理職の女性比率が低い、役員は全員男性。公平を掲げているのに、社内政治や上司の好き嫌いで評価が決まる。コンプライアンスを掲げているのに、セクハラやパワハラの管理職が野放しにされている、過労死が発生している。品質第一を掲げているのに、データの改ざんが行なわれている。顧客第一を掲げているのに、受注や販売後の顧客の成功に関心がない、誇大広告を行っている。

日本企業においても、近年問題となったバリューに反する問題の例を上げれば枚挙にいとまがありません。

事業を強力に後押しする企業文化を創るためには、バリューの問題に目を背けてはいけないのです。

企業文化のメリット|企業文化が生む効果

企業文化には、様々なメリットがあり、代表的なものとしては下記のようなことが挙げられます。


  • 社員にとって共通の指針になる
    優先順位や取るべき対応を同じ物差しで判断することができる

  • 社員の一体感を生む:
    社員間の情報共有や相互協力の活性化、チームワークの改善につながる

  • 社員のパフォーマンス・モチベーションが向上する:
    企業文化に沿って何ができるかを考え、自発的に行動する社員が増える

企業文化には大きなパワーがあります。

セールスフォースほど強力に企業文化やコアバリューを実現していくのは難しいですが、すぐに始められることもあります。


トップマネジメントであれば、自社の企業文化やコアバリューが何なのか、時代に合っているのかを改めて考える、設定し発信する。バリューに反することを許さない。

ミドルマネジメントであれば、自社の企業文化やコアバリューを理解し、メンバーに共有する、それらに即した意思決定を行っていく。

そうした行動によって、企業文化を育み根付かせ、社員の力を引き出し事業成長に繋げていくことができるはずです。

あなたの会社のコアバリューはなんでしょうか?ぜひ改めて考えてみてください。

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