業務支援とは?|メンバーの成長を促す業務支援のポイント

業務支援は、マネジャーであれば誰もが実施していると思います。

しかし、その支援方法はまちまちで、ここにマネジメント力の差が出てきます。

同じ時間を使うなら、より効率的、効果的な支援にしたいはず。

今回は、マネジャーに求められる3つの支援を意識しつつ、業務支援のポイントについて解説します。


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マネジャーに求められる3つの「支援」

支援とは、「力を貸して助けること」。

例えば、メンバーの仕事が遅いからと自身が代わりに対応することも、進め方1つまで細かく指示をすることも、任せきりにして失敗した際にお詫びに同行することも、捉え方によっては支援と言えるでしょう。

しかし、これらの支援の仕方では業務は進捗したとしても、メンバーの成長機会を奪ったり、自律性を損ないモチベーションを低下させたりと、マイナスの影響もあるため、効果的な支援とは言えません。


多くのマネジャーは「組織の目標達成」と「メンバー育成」の役割を担っています。

会社は毎年成長し続けることを求められるため、組織の目標も年々高まる傾向があり、継続的に成果を出し続けるには、メンバーの成長が欠かせません。

会社内での出世を希望せずワークライフバランスの取れた働き方を望む人など働き方の価値観も多様化しているため、メンバーの動機づけも重要度が増しています。


そのためマネジャーは、単に業務を支援するだけでなく、以下の3つの支援を意識的に行うことが必要になっています。


マネジャーに求められる3つの支援

  • 業務支援:適切な仕事を任せ、相談やアドバイスをすることで、業務を進捗させる
  • 精神支援:職場環境や人間関係を良好に保ち、内発的動機づけでやる気を引き出す
  • 内省支援:客観的意見や新たな視点を与え、振り返る機会を作ることで成長を促す

精神支援、内省支援は別の機会に詳しく解説しますが、メンバーのやる気や成長機会を奪うような支援が効果的でないのは理解いただけたと思います。

業務支援は仕事を任せるタイミングから始まる

メンバーのやる気や成長機会を奪う業務支援にならないようにするには、どのような意識が必要でしょうか?

業務支援は、何か問題が起きた時にサポートする、指導するというように発生ベースで対応を考えている方が多いですが、実は業務をアサインするタイミングでの仕事の任せ方も大きく影響します。


例えば、「いついつまでにこれをお願い」と納期だけ示してアサインした場合、メンバーは目的や背景を想像して仮説の中で進めなければなりません。

アサイン時に伝えれば迷わず進められることを時間をかけて考え、その上間違った解釈で進めてしまう可能性も出てしまいます。結果、数時間かけたのに最初からやり直しという悲劇もあり得ます。

このように、アサインタイミングでいかにきちんと仕事を任せるかによって、メンバーの仕事の進めやすさも業務支援にかかる時間も変わってきます。

仕事を任せるところから具体的な支援・フィードバックまでを全体的に捉え、予め業務支援のあり方を体系立てて理解しておくことが重要です。

仕事のアサインタイミングで意識すること

意識

  • 業務遂行の視点だけでなく、育成の視点、動機づけの視点を持つ
  • 自分と全く同じ進め方を期待しない(メンバーの工夫を受け入れる)

行動

  • アサイン時、目的や制約条件をしっかりと説明する
  • 理由や期待を添えて仕事を任せる
  • 中間報告を求め、そこまではメンバーに任せる

意識すべきは、育成や動機づけの視点を持ち、自分と全く同じ進め方を期待しないことです。

業務遂行の視点だけで考えると、1から10までやり方を指示してタスクをこなしてもらう仕事の任せ方も効率的に見えます。

業務支援は少なく済むかもしれませんが、メンバーは自己決定感を感じることができず、ただ作業をこなすことになり、やりがいを感じることができなくなります。


アサイン時は、目的や制約条件をしっかりと説明することで、ゴールイメージをメンバーと共有しましょう。ゴールイメージさえ目線合わせができていれば、メンバーは遠回りしてでも着実にゴールに近づくことができます。

また、アサイン時に納期を伝えるだけでなく、中間報告を依頼しましょう。万が一の場合にもフォローできる時点に報告タイミングを設けておくことで、そこまではメンバーに任せることができるようになります。

さらに、メンバー側から報告や相談をするようになると主体性が生まれ、その場でフィードバックすることで成長機会にもなります。


詳しくは、別のコラムでまとめていますので、併せてご確認ください。

▶ 仕事の任せ方|業績達成と育成を両立させるジョブ・アサインメントの方法

業務支援で意識すること

意識

  • メンバーの成長のためにフィードバックする
  • タイムリーにフィードバックする(経験が新しいうちに)

行動

  • 承認と指摘のバランスを意識する(指摘だけにならないように)
  • 具体的な改善点やその理由をフィードバックする
  • 相談しやすい状況を作る(物理的、感情的に)

マネジメントの場面では、どうしても誤った行動や非効率な進め方に目が向きます。それ自体は自然なことで、メンバーの仕事ぶりを把握できているのは良いことです。

重要なのは、どのように指摘すればメンバーの成長につながるか

この意識を持っていると良い業務支援ができるようになります。


メンバーの気になる行動があった時は、放置せずにその場で一言声をかけましょう。

その人なりの理由があってその行動をとっているはずですが、数日後ではその時の感情やロジックを覚えていない可能性もあり、フィードバック効果が薄れます。

時間がない場合は、最悪メモやメッセージでも構いません。

タイムリーにフィードバックすることを意識してください。


業務支援の場面で多いのは、支援のつもりが指摘するだけになっているケースです。

メンバーが自分なりに考えて業務を進めている中で、マネジャーから指摘ばかりされたらどう感じるでしょうか?

人は誰しも承認欲求を持ち、認めてもらえず指摘ばかりされるのは、内容がいかに真っ当で正しくても、感情的にマイナスです。

承認のポイントは、結果承認だけでなく、プロセス承認、行動承認、意識承認、存在承認などもあるので、何かしら良い点として認めることができるはずです。

「積極的に行動しているのはとてもいいね。」と行動承認をした上で、「もう少し〜〜を意識してみて」とアドバイスしたり、「どんな意図(目的)でその行動を選んだの?」と指摘したいポイントの話を進めるなど、承認とセットで伝えるようにすると、メンバーの感情的にも素直に受け止めやすいフィードバックになります。


また、「それは違う」「成功するイメージがない」など否定だけで終えず、その理由や具体的な改善点までフィードバックするようにしましょう。

何が良くないのか原因がわからないものは、メンバーも改善のしようがありません。また、理由はあなたの判断軸そのものなので、判断軸をメンバーに伝えることで今後同じような場面での応用も効くようになります。


メンバーから相談しやすい状況を作るのも重要です。

生産性を考えても、悩んだり迷っている時間が最も非効率です。

仕事を任せる時に中間報告を求めることで、納期まで悩み続けるリスクは無くせますが、中間報告までの期間悩んで過ごすのも勿体ないです。メンバーから相談しやすい状況を作っておきましょう。

「相談しづらい」と感じるのは、物理的理由と感情的理由があります。

マネジャーが忙しく物理的に相談する時間がないという場合は、先輩メンバーにメンターの役割を任せ、若手が相談しやすい状況を作るのがおすすめです。

感情的理由は、評価への影響や叱責を受けるのを危惧して相談しづらいという信頼関係ができていないことが原因のものだけでなく、マネジャーが忙しそうで声をかけづらいなど配慮からくる相談しづらさもあります。

後者の場合、予め共有予定表などで「相談タイム」を設けてメンバーに分かるようにしておくと、メンバーはその時間に相談をくれるようになり、マネジャー自身もその他の時間は業務に集中しやすくなります。



ポイントが多く長くなりましたが、業務支援はメンバーの成長のために、仕事のアサインから支援までを全体として捉えて考えるとうまく行えるようになります。

アサイン時に目的や制約条件をしっかりと説明し、中間報告を求める。

悩む時間を極力減らすために、相談しやすい状況を作る。

指摘だけで終えず、何が良くないのかその理由や具体的な改善ポイントを伝える。

これらのポイントを意識して、メンバーの成長につながる業務支援を心がけてみてください。

仕事のやりがいとは?|やりがいを高めるマネジメントの方法

あなたのチームメンバーは、仕事にやりがいを感じていますか?

マネジメントする上で、メンバーがやりがいを感じるポイントを理解していますか?


メンバーが仕事にやりがいを感じているかどうかで、仕事への熱量が変わり、組織としてのパフォーマンスが変わってきます。

転職の一般化により、仕事のやりがいを軽視していると、社員の離職につながってしまうこともあります。


仕事のやりがいを高めることは、組織として高い成果を出し続けるために欠かせないマネジメントの1要素です。

今回は、仕事のやりがいを高めるマネジメントの方法について解説します。


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やりがいを感じるポイントは人それぞれ

仕事のやりがいとは、「仕事をするだけの価値と、それに伴う気持ちの張り」を言います。価値があるかを判断するのは当人なので、「何にやりがいを感じるか」は人それぞれに違います。

メンバーにやりがいを感じるポイントを聞くと、実に多様な回答が返ってきます。


  • 社会貢献している実感が持てること
  • お礼や感謝の言葉をもらうこと
  • 自分の仕事を認められること
  • 頑張りに見合った評価や報酬を得ること
  • 目標を達成すること(仕事をやり遂げること)
  • 自分の能力を十分に発揮すること
  • 能力やスキルが向上すること
  • 自分の成長を実感すること
  • 新しい仕事にチャレンジすること
  • 自分で決める裁量があること
  • 影響範囲が大きい責任ある仕事をすること
  • 興味のある仕事をすること
  • 尊敬できる人と一緒に仕事をすること
  • チームで仕事をすること
  • 部下の成長を感じること

このように、それぞれの価値観の違いでやりがいを感じるポイントは異なります。

そのため、全社的な取り組みだけでやりがいを高めることは難しく、やりがいを高めるには個別的なアプローチが必要です。


信頼を構成する3要素とは?|マネジメントの前提となる信頼関係の築き方

まずは互いの価値観を理解し、信頼関係を築くこと

やりがいを高めるための土台となるのは、上司や同僚との信頼関係です。

人間関係は、低いと不満を招く要因(衛生要因)です。同僚との関係が悪いと帰属意識やチームの一体感は生まれず、一緒に仕事をしたい、チームに貢献したいという感情も芽生えません。

マネジャーがメンバーと信頼関係を築けていない場合は、メンバーからの協力を得にくく、組織をマネジメントできません。メンバー同士の間を取り持ち関係性を良化する役割も担えません。


上司や同僚との信頼関係が低い場合は、まずはコミュニケーション量を増やし、互いの価値観を理解しあうことから始めましょう。

メンバーの価値観を理解することは、メンバーがやりがいを感じるポイントを知るのにも役立ちます。


価値観を言語化するのはなかなか難しいため、きっかけとして「ソーシャルスタイル診断」や「ストレングスファインダー」などのツールを用いるのもおすすめです。

言動のタイプや、当人が持つ強みや資質が事前にわかると、それをもとに会話を広げ、理解を深めていくことができるので、短い時間でメンバー理解を進めることができます。

▶ 価値観とは?|メンバーの価値観を理解する重要性


役割や目標を明確にする

①組織の役割や目標を明示する

メンバー個人の目標設定の前に、マネジャーから組織の役割や目標を明示することが大切です。

例えば、「社会貢献したい」という価値観の場合、会社としては社会貢献性が高い事業をしていても、細分化した組織の中で与えられた業務が、本当に社会のためになっているのか?という疑問を抱くケースが少なくありません。

マネジャーから組織の役割を明示し、仕事の意義を語ることで、社会に貢献している感覚を持たせることができます。


どんな山を登ろうとしているのか。組織の目標を明示することも重要です。

目標とする地点の目線合わせができていない中でメンバーに目標設定を依頼すると、組織目標に連動しない個人目標になってしまいます。

これでは、個人目標を達成しても、組織目標が達成されないことが増え、「達成したのに評価されない」という不満につながってしまいます。

メンバーに目標設定を依頼する前に、必ずマネジャーから組織の役割や目標を明示するようにしてください。



②メンバー個人の目標設定を行うこと

目標管理制度(MBO)やOKRなど種類は別として、多くの企業でメンバー個人の目標設定を行い、それに基づいた評価、報酬の体系をとっています。

「目標を達成すること」「頑張りに見合った評価や報酬を得ること」からやりがいを感じる人も多いため、目標設定の形骸化は、やりがいを低下させる要因になります。

目標設定のポイントは、以下コラムでまとめていますので、併せてご覧ください。

▶ 目標設定のやり方|気をつけたいポイント


メンバーの価値観と結びつけ(意味づけして)業務をアサインする

組織には組織の役割があり、やらなければならない業務があります。

マネジャーは、メンバーに業務をアサインし、組織として成果を最大化することを考える必要があります。

誰に、どの業務を、どのように任せるか。ここに、マネジメント力の差が出てきます。


なぜあなたに任せたいかを説明せず「来週までにこれやって」と業務を依頼したり、「やるべき仕事だから」「他にできる人がいないから」「やって当然の職務/職位だから」という会社/組織都合の理由で仕事をアサインしていませんか?


メンバーの価値観を理解していれば、やりがいを感じる文脈で業務を意味づけしてアサインすることができ、そうすることで業務へのやる気を高めることができます。


「能力やスキルが向上すること」がやりがいになるメンバーには、

「自社サービスを組み合わせた総合的な提案ができるようになりたいと言っていたよね。今回の顧客はそのチャンスがありそうだから、○○さんに任せたい」


「影響範囲が大きい責任感ある仕事をすること」がやりがいになるメンバーには、

「このプロジェクトは、当社のサービスの新しい柱になる可能性がある重要なプロジェクト。少しレベルが高いかもしれないけど、フォローするのでやってみない?」


会社や組織の都合(Must)だけで業務をアサインするのではなく、メンバーのやりたいこと(Will)やできること(Can)にも着目して、仕事の任せ方にも気をつけてみてください。

メンバーの自主性・主体性を引き出す正しい『権限委譲』とは?

フィードバックや承認称賛で、やりがいを感じるタイミングを作る

「お礼や感謝の言葉をもらうこと」「自分の仕事を認められること」など、フィードバックや承認・称賛を受けることによってやりがいを感じる人も非常に多いです。

承認欲求は人の根源的な欲求であり、誰もが人から認められたいと思っています。

ただ、人によって認められたいポイントは異なるため、メンバーそれぞれの価値観に合わせて承認・称賛を行えるとベストです。


しかし、マネジャーは「できるプレイヤー」だった方が多いため、このくらいできて当然、当たり前と感じてしまい、承認・称賛が苦手という方も多いようです。

承認・称賛はテクニックなので、承認するポイントを押さえれば意外と簡単にできるようになります。

以下コラムで、5つの承認レベルについてまとめていますので、参考にしてください。

▶ 承認・称賛とは?|1on1でも重要な承認と称賛の使い方

仕事のやりがいは、非常に多くの要素が影響しており、メンバーの価値観を理解した上で個別アプローチで解決していく他ありません。


メンバーとの信頼関係を築く。

役割や目標を明確にする。

メンバーの価値観に結び付けて業務をアサインする。

フィードバックや承認称賛を行う。


マネジャーとしての役割を1つ1つ着実に実行していくことで、結果としてメンバーが仕事にやりがいを感じられるようになります。

自身のマネジメントを振り返り、できていないことを順番に改善していきましょう。

リーダーになって感じる孤独|昇進うつ、管理職のうつにならないために

役職がつきマネジャーになった、課長になった。多くの人にとって昇進は喜ばしいことですが、いざ実際に業務を始めると「孤独」を感じ、大きなストレスになってしまう方が一定数いらっしゃいます。


一般社団法人日本産業カウンセラー協会の調査によると、下記のように中間管理職の方々が多い年代に、メンタルの問題が多いことが分かります。

・メンタル不調の悩みの約4分の1は40代男性から

・男女とも相談の7割が30代~50代

・メンタル不調・病気の相談は男性は女性の2倍以上

※参考:https://www.counselor.or.jp/Portals/0/pdf/1.press%20release1901.pdf


メディアでも、中間管理職のうつ、昇進うつ、といったワードで、マネジャーのメンタルの問題は度々取り上げられてきました。この点に課題意識を持ち、悩まれている企業も少なくありません。

さらに、現在は「コロナうつ」なる言葉も出てきており、これまで以上にストレスを感じやすくなっている状況です。


今回は、マネジャーにとっての孤独について考え、マネジャーの心構えとその対処法について解説します。


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なぜマネジャーはなぜ孤独を感じやすいのか?|マネジャーの仕事量は増えている

メンバーとマネジャーでは、プレッシャーの度合いが大きく異なります。まずは、そのプレッシャーの要因について知っておくことが重要です。こうしたプレッシャーが増えるんだなと心構えをしておきましょう。


多くの管理職も同様の状況に置かれており、あなただけでなく、誰もが多かれ少なかれ孤独を感じています。

具体的には、下記のような要因があります。



・責任範囲・業務量の増加

メンバーのマネジメントが初めて業務に入ってくることになりますが、複数いるメンバーのマネジメントは思った以上に大変です。コミュニケーションに多くの時間を取られます。

産業能率大学が発表した『第5回上場企業の課長に関する実態調査』では、課長職の実に98.5%が、自身でプレイヤー業務を抱えており、そのような中で、部下とのコミュニケーションに最も多く時間を割いていることが分かりました。プレイングもマネジメントもマネジャーは非常に忙しい状況が見て取れます。

また、3年前と比べ業務量が増えていると答えた課長は約6割。悩みのTOPは仕事量が多すぎる、でした。

※参考:https://www.sanno.ac.jp/admin/research/kachou2019.html


・相談できる人の減少

立場が上がっていけばいくほど、相談できる人が少なくなります。隣のマネジャーに相談するのは心理的に難しいでしょうし、社内だけではアドバイスができる人も限られてきます。


・褒められる機会の減少

管理職になるような方は、パフォーマンスを出していた方であり、メンバーの時は、成果や行動について褒められる機会が多かったと思います。しかし、マネジャーになるとそういった機会は減少します。結果責任が求められるので、プロセスについては評価されず、結果でしか評価されなくなり、承認称賛される機会は大きく減少します。


・自分をフォローしてくれる人が少なくなる

メンバーの時には、先輩や上司が助けてくれることもあったと思いますが、管理職ともなると、困難も自分で乗り越えなくてはなりません。ひとりで判断して進めなければいけない場面が大幅に増えます。


・弱みを見せにくい

周囲に弱みを見せにくくなります。弱いリーダーと思われてしまうからです。困難な状況でも強くあろうとすることは、緊張状態を発生させますので大きなストレスになります。

管理職の孤独は誰もが感じるもの|どうやって対処すべきか

業務量が増えている中では、いかに任せていくかを考えなければ、どんどん業務量が増え、プレッシャーが大きくなってしまいます。

メンバーへの権限委譲のコツについては、下記コラムを参照ください。

▶ 仕事の任せ方|業績達成と育成を両立させるジョブ・アサインメントの方法


孤独を感じた時どうしたらいいか。これをしたら必ず解決するという特効薬はありませんが、管理職の孤独に対処する方法について、管理職、企業それぞれの面からいくつかご紹介します。


<管理職として>


  • ・成長のチャンスだと捉える
  • どんな人にも、程度の差はあれ孤独を感じる瞬間は必ずあります。あなただけでは有りません。リーダーシップを獲得する過程に必要なものと思い、成長のチャンスと捉えましょう。

  • ・誰よりも汗を流すこと(率先垂範)
  • 周りがついてきてくれない時は、誰よりも汗を流しましょう。まずは、2割の賛同者の心を掴むことです。賛同してくれる2割ができたら、その意見を聞きながら進め方を決め、6割の傍観者に役割を与えながら巻き込んで行きましょう。否定的な2割の変化はマネジメントに限らずどんな時でも難しいものです。焦らずすぐの変化を期待しない、否定者の2割に気持ちを取られないようにしましょう。

  • ・ビジネス書を読む
  • 一人で悩まず、その時に読みたいなと思うビジネス書を手に取りましょう。現状を改善するヒントが得られたり、勇気をもらえるはずです。セオリーや他社の実体験からの学びで問題解決の糸口になるかもしれませんし、困難を乗り越えた経営者の本に、自分の悩みがちっぽけに見え勇気をもらえるかもしれません。

  • ・社外のビジネスパーソンと接点を持つ
  • 社内の人に相談すると、俺もそういう時期があった、こうして乗り越えたという励ましはもらえますが、極めて限定的な個人の体験で時代も異なりあまり有用でなかったり、精神論を諭され、内にこもってしまうことになりがちです。
    悩んだ時は、視野を広げる、新しい視点を得るためにも、他社の人と積極的に会いましょう。そして教えを乞いましょう。社外に対しては体面を気にしたり、変にプライドを持つ必要もありません。違う価値観を知ることで、今ある孤独と向き合えるようになったり、悩んでいたことが大したことでないと感じたり、解決方法が見つかったり、新しい発見があるはずです。

  • ・時には弱みを見せて良い
  • 弱みは見せれない、失敗できない、そんな風に考え、肩肘を張って強いリーダーでなければと思う必要はないのです。完璧主義で人間くさくない上司の社員アンケート調査の結果は、大概低いものです。時には自分の弱さをみせてもいいのです。弱さをさらけ出せることも強さです。


<企業として>


  • ・社員自身のセルフチェックを促す
  • ストレスチェックもそうですが、新任管理職研修時には、管理職自身も心理的な病気になるリスクがあることを認識してもらいましょう。多くの企業ではメンバーのメンタルケアについては対応方法等の話をしても、本人たちが昇進により病んでしまう可能性を想定していません。

  • ・社内外のカウンセラーなどによるケアを充実させる
  • 社内にメンタルヘルスの専門家がいない場合、外部機関やサービスも検討しましょう。また、管理職はプライドも仕事の自信もある程度持っている人がなっているため、最悪の状態になるまで自ら相談にいかない傾向があるため、相談を促すこと、そういうものがあることを周知することが必要です。

孤独を感じたら、悲観せず行動を変えてみよう

いかがでしたでしょうか?どのような立場のリーダーであれ、多かれ少なかれ孤独を感じる場面を経験しています。


乗り越える過程での難しさは誰にもあり、変に自身の能力不足やリーダーとしての向き不向きとして悲観する必要は有りません。

独りで殻に籠もって悩むのではなく、行動を変えたり、教えを乞うたり、視点を変えたりしながら、リーダーの孤独を乗り越えて行きましょう。

【メディア掲載】マネトレの取材記事が掲載されました

顧客体験にまつわる情報発信メディア「CX Lab.」様に、当社サービスにて取材いただきました。

普段マネトレを利用いただいているマネジャーの方々をサポートしているカスタマーサクセス部門について取材いただいており、サービス利用をイメージしていただける内容となっております。
ぜひご覧ください!

▶企業の成長を助ける「マネトレ」でマネジメント力を高め、強い組織づくりを。

心理的安全性を高める前に必要な3つの前提|強いチームづくり

「心理的安全性」というワードを一度は聞いたことがあると思いますが、あなたは正しく理解していますか?

心理的なストレスが少ない環境のことではありませんし、仲が良いアットホームな職場のことでもありません。

言葉だけが一人歩きし、誤った解釈で広がってしまっていることが少なくないようです。


今回は、心理的安全性について正しく理解し、心理的安全性の高い組織を作るためにマネジャーが意識すべきポイントをまとめます。


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心理的安全性とは?

注目を集めるようになったきっかけは、Googleの「プロジェクトアリストテレス」。

社内で効果的なチームの特徴を明らかにするために行った大規模なリサーチプロジェクトですが、その成果報告で「心理的安全性がチームの効果性を高める重要な要素」と結論づけています。


ちょうどワークライフバランスや働き方改革が叫ばれるようになったため、生産性を高める要素として「心理的安全性」に注目が集まったわけです。

ただ、標語のようにワードだけが広まり一人歩きした印象もあり、誤った理解をされている方も多いです。

まずは、提唱者であるハーバード大のエドモンドソン教授の定義をご紹介します。


  • チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態

単に、人間関係が良く相談しやすい状態ではなく、「対人リスクをとるのに安全な場所」というのがポイントです。リスクを取ること前提とした概念です。

対人リスクとは、他のメンバーとの関係性を悪化させる可能性があるリスクのことを指します。


例えば、自分の弱みを見せることは対人関係のリスクです。

無知:「こんなことも知らないのか」と思われるのが不安で相談しづらくなる。

無能:「こんなこともできないのか」と思われ流のを恐れ失敗を認めづらくなる。

これらは、組織のパフォーマンスを低下させたり、コンプライアンス違反や顧客トラブルの種になってしまうため、注意が必要です。


また、意見を対立させることにもリスクを感じます。

チーム議論をする際、完全に同じ意見でなくても同調してしまうことはありませんか?

一見、皆が同じ意見に賛同して結束したチームに見えますが、同調圧力が働いたり、人間関係を悪化を恐れて発言を躊躇する状態は、心理的安全性が低い状態です。

反対意見が出ることが少なく、スムーズに物事が進む場合は、以下の心理状態の可能性があります。

ネガティブ:「チームの輪を乱してしまうかも」と不安になり、意見を言えなくなる。

邪魔:「あの人のせいでことが進まない」と思われるのが不安で発言しづらくなる。

心理的安全性が高い状態は、適切に意見をぶつけ合うことで、より良いアイデアを産み出したり、皆が心の底から納得して前に進んでいける状態です。


「信頼」を構成する3つの要素とは?マネジメントの前提となる信頼関係の築き方

心理的安全性が組織にもたらすメリット

心理的安全性が高い組織にすることで、以下のようなメリットがあります。


①イノベーションや改善の推進

新しい意見を出すことに不安を感じることがなければ、メンバーは考えを表に出しやすくなります。

三人寄れば文殊の知恵と言いますが、他人のふとした思いつきやアイデアが問題解決の糸口になったり、イノベーションのきっかけになることは少なくありません。

1人の意見に対して、他のメンバーがより良い方法について考え意見してくれるようになれば、アウトプットの質も変わってきます。


②メンバーの成長(能力・スキルの向上)

意見や指摘が少ないというのは、仕事を前に進めやすい反面、チェックの目が甘く、基準(妥協点)が低いアウトプットになりやすいです。

新人の時はあれこれ指摘されますが、数年経つとあからさまなミスも減り、指摘されることも少なくなります。

意見や指摘を受けない状態が続くと、「自分は有能だ」と感じるようになります。有能感自体はモチベーションにプラスなのですが、一部の意識が高い人材を除いて努力量が減ってしまう場合が多いです。

心理的安全性が高く、互いに意見をぶつけ合える組織では、より良い方法を考える癖がつき、新しい知識やスキルを習得することに意欲的な人材が生まれやすくなります。


心理的安全性を高め、イノベーションや改善が進み、メンバーが成長することは、組織のパフォーマンスを継続的に高めていくことにつながります。


メンバーの自主性・主体性を引き出す正しい「権限委譲」とは?

心理的安全性のための3つの前提

心理的安全性が高い組織を作るためには、いくつかの前提があります。

前提が満たされない中で進めると、組織のパフォーマンスを下げる逆効果になる可能性があるため、注意が必要です。


①人としての信頼関係ができていること

「対人リスクをとっても関係性が悪化しない」というのは、メンバー同士の信頼関係ができていることが前提にあります。

人事異動でメンバーが入れ替わった場合や、新卒や中途社員がジョインしたタイミングなど、最初は互いに探り探りで多少相手に気を使いながら接すると思います。

徐々に相手の価値観を理解していき、少しずつ自分を出せるようになる。

この過程を飛ばして、同僚への信頼関係が悪い中で心理的安全性を高めようとすると、相手の価値観を理解していない中で意見をぶつけるため、軋轢を生む可能性が高く、逆効果になります。

心理的安全性を高めようとする前に、メンバー同士の信頼関係が築けているか確認してみてください。


②役割や目標が明確になっていること

役割や目標は、物事を判断する上での指針になります。

メンバー同士が互いに意見をする際、指針がなければ好き勝手な意見が飛び交うことになります。それぞれが考える正しさに従って意見されるため、収集がつかなくなってしまいます。

組織としてパフォーマンスを最大化するためには、共通の判断軸が必要です。

役割や目標がその役目を果たしてくれます。

議論で意見が散らばってしまう場合は、メンバーに共通の判断軸ができてない可能性があるため、マネジャーから役割や目標を明示して議論の方向性を定めましょう。

マネジャーが普段から役割や目標をもとに一貫した判断を意識していけば、徐々にメンバーにも浸透していきます。


③仕事の質に対して高い要求水準が求められること

仕事の質に対して要求水準が低い状態で心理的安全性を高めると、「ぬるま湯組織」「仲良しクラブ」と揶揄される組織になってしまいます。

仕事の質が低い中で「まあいいや」と妥協してしまうと、その水準が妥協点となり、組織内の要求水準を規定します。

低い要求水準は容易にクリアできるため、メンバー同士で指摘し合い、より良いアウトプットを出そうとする意識が薄れます。

逆に、高い要求水準が染み付いている組織で心理的安全性を高めれば、マネジャーがいなくても互いのチェック機能が働き、変わらぬアウトプットが出せる強い組織になります。

これら3つは、心理的安全性を高める前に、前提として整えないといけないことです。

組織づくりには順序があり、順番を間違えると逆効果になることもあります。

心理的安全性を高めたいと思った時は、一度前提条件が満たせているか確認をしてみてください。

マネジャーに求められる情報伝達とは|役割や目標を明示することの重要性

マネジャーの基本的役割として、「情報関係」「業務遂行関係」「対人関係」「コンプライアンス関係」の4つがあります。

日本経済団体連合会の報告書によると、それぞれの役割は以下を指します。


マネジャーの基本的役割

  • 情報関係:経営の目標や方針を組織に浸透、現場の必要な情報を経営に伝達など
  • 業務遂行関係:組織の課題解決、業務効率化の推進など
  • 対人関係:部下の指導・育成、仕事に対する動機づけ、部下同士の協働促進など
  • コンプライアンス関係:法令遵守や、社会規範、企業倫理などへの組織的対応

今回は、1つ目の役割である情報関係の中から、マネジャーが役割や目標を明示することの重要性についてまとめます。


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マネジャーに求められる情報伝達機能

まず、情報伝達機能を大きく分けると、以下2つがあります。

  • 経営の目標や方針を組織に浸透(上から下)
  • 現場の必要な情報を経営に伝達(下から上)

会社が大きくなり組織の階層が増えれば増えるほど、経営と現場社員との距離感が遠くなり、声が届きにくくなります。

経営は、全社の戦略や方針を掲げ発信しますが、経営が設定するのはどうしても抽象度の高い大方針になります。

それを自身の組織に当てはめ、咀嚼し、メンバーの役割や目標に落とし込むのがマネジャーの役割(上から下の情報伝達)です。


また、経営からは実際の現場が遠く、現場で起きていることを肌感覚として感じるのは難しいです。

そのため、マネジャーには、顧客やマーケットの状況、組織の状況など、経営の意思決定に関わるような現場の情報をきちんとフィードバックしていく役割(下から上の情報伝達)があります。


どちらも経営と現場を結びつけるマネジャーの重要な役割ですが、下から上の情報伝達は、昨今のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進もあり、タイムリーな情報共有がシステム的に補完されるようになってきました。

一方、上から下の情報伝達は、抽象的な目標や方針を、組織に合わせてメンバーに響く言葉に翻訳して伝え、浸透させることを求められています。システムで置き換えが難しいこともあり、相対的に重要性が増しています。


マネジャーに求められる『対話力』とは?

役割や目標を明示することの重要性

経営戦略や事業戦略といった抽象度が高い方針をそのまま伝えたときに、自身の業務と結びつけて行動を変化させることができるメンバーは多くありません。

そのため、マネジャーが適切に噛み砕き、役割や目標という形でメンバーにわかりやすく伝えていく必要があります。

役割や目標は、組織のあらゆる活動の基となり、行動する際の判断軸になります。


例えば、メンバーの目標設定。

組織の役割や目標が曖昧な状態でメンバーに目標設定を依頼してしまうと、それぞれの価値観や考えに従って自由な目標設定がなされてしまいます。

面談を通して調整することもできますが、役割や目標を明示してから依頼する場合と比べて倍の時間を要します。

チェックして調整しない場合はさらに悲惨です。メンバーが設定した目標を達成したとしても、会社の方針や目標に達せず、評価されないというギャップが生じます。

目標設定は形骸化し、評価への納得感を低下させ、モチベーションを著しく下げてしまうでしょう。

▶ 目標設定のやり方|気をつけたいポイント


また、権限を委譲して仕事を任せるためにも、役割や目標の明示は必要です。

納得された役割や目標は、メンバーに責任感を持たせます。また、仕事を進める上での判断軸にもなります。

役割を果たすため、目標を達成するために何ができるか、自分なりに工夫し、自分で判断して進めるための土台になるのです。

逆に、役割や目標を明示せず、ただ業務をアサインしている場合、なぜ必要なのか、何の役に立っているのかをメンバーは理解できません。モチベーションを感じづらく、ただ与えられた仕事をこなす状態になりやすいです。

▶ withコロナの管理職に求められる権限委譲とは?|権限委譲のマネジメント


このように、メンバーに役割や目標を明示することは、マネジメントのあらゆる場面に影響を与えます。

組織をリードして高い成果を出すために、組織の役割や目標を明示することは欠かせません。


マネジャーが意識すべきコンプライアンスのポイント

自分の言葉で役割や目標を語る

「経営が〜〜と言っていた」「会社の方針は〜〜です」とそのまま伝えることに意味はありません。それは経営から、メールなり社員総会なりで伝えれば済む話です。

マネジャーに求められるのは、自組織に当てはめて、メンバーにわかりやすく伝え、行動変化につなげること。

そのために、以下のように自分に問いかけ、マネジャー自身が理解・納得することが必要です。


経営の目標や方針を自組織に当てはめると、どんな役割が期待されるのか。

自組織の役割を理解してもらうために、どんな伝え方をするとメンバーの心に響くか。

方針に沿って業績責任も果たすためには、どんな目標設定、ルール設定が必要か。


マネジャー自身が納得していない、リアリティのない言葉では人の心は動きません。

自身がしっかりと咀嚼して納得した上で、自分の言葉で役割や目標を語れるようにしましょう。

チームビルディングの方法|同僚との信頼関係がないチームでマネジャーはどうすべきか?

職場の人間関係があまり良くない、自分の仕事はするけど他のメンバーについて関心がないと感じていたり、従業員サーベイで同僚への信頼が低い、といった結果を見た経験はないでしょうか。

マネジャーにとって、メンバーの同僚という自分以外の対象が問題となっている場合、どうしたら良いか分からず悩まれる方が多い印象です。

ほとんどのケースでは、飲み会をする、休日にバーベキューをしてみるといった、業務外でのコミュニケーション増やそうとします。

しかし、ひとつの手段として有効ではあるものの、チームの発展段階によっては、量のコミュニケーションが意味をなさないケースもあります。

また、コロナ下では実施が難しかったり、仕事観の変化や、共働き、子育て、介護等多様な背景をもったメンバーが増えて、実施が難しいケースもあると思います。


今回は、タックマンモデルからチームビルディングについて考察し、日々の業務に盛り込むことで同僚への信頼を高める方法について解説します。


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チームビルディング手法|タックマンモデル(チームの発展段階)

チームビルディング(組織進化)の有名な理論として、心理学者のタックマンが提唱したタックマンモデル(チームの発展段階)があります。

チームの発足から、チームが成果をあげられる状態になるまでを5段階に分け、各段階をクリアしていくことで、チームが機能しはじめ、最高のパフォーマンスが発揮できるようになるというモデルです。

チームの人間関係が良くないケースは、強いチームの手前である、準備期間(形成期、混乱期)の状態です。

チームの発展段階では、どんなチームにも「混乱期」がやってきます。混乱期を乗り越えるためにどうすべきなのか、今回は形成期、混乱期を中心にタックマンモデルを例に考えていきましょう。

チームの準備期間|形成期と混乱期のチームビルディング

<形成期>

・構成メンバーが決まった段階で、チームメンバーはお互いのことをよく知らない状態

・チームの共通の目標や、チームメンバー個人の役割も明確に定まっていない状態


形成期にあるチームの特徴

  • マネジャーに説明や指示を求めようとする
  • メンバーに対して遠慮や不安、緊張感がある

最初は会話の「量」にこだわりましょう。チームのメンバー同士が気軽に話せる状況でないと、当然ながらチームは機能しません。

メンバーをシャッフルした定期的なランチ等でお互いが会話をする時間を持つだけでOKです。難しい取り組みは必要ありません。


形成期のチームビルディング

  • コミュニケーションの「量」が重要
  • お互いを知る機会が必要
  • リーダーはメンバーに対し、プロジェクト趣旨の説明、明確な指示が必要


<混乱期>

・チームとしての目的や個人の責任や役割が定着していない・理解しきれていないため、意見の食い違い、具体的な業務の進め方について対立が生まれる状態


混乱期にあるチームの特徴

  • 個人が、それぞれのやり方で動く
  • 自分の仕事はするがお互いに関して無関心
  • 個人が主張することで、対立・衝突が生まれる
  • メンバーのエネルギーはチーム内部の競争に向けられる
  • チーム全体のモチベーションが下がりがち
  • チーム内にゆるやかな派閥が発生する

チームの発展段階では、どんなチームにも「混乱期」がやってきます。チームとして前進していても痛みが伴う辛い時期です。このタイミングでは会話の「質」を意識する必要があります。質とは、お互いの考え方や価値観を知る時間ということです。


混乱期のチームビルディング

  • コミュニケーションの「質」が重要
    お互いの価値観や考え方のズレが対立を生み出すため、ランチや飲み会では解決されない。
  • お互いを理解するための対話が必要
    何をやりたいかといった価値観、得意不得意、何に喜びを感じるか等の人間性や仕事観を掘り下げる深い会話です。話し合うためのまとまった時間を設ける必要があります。ストレングスファインダーのような診断ツールを使うのもおすすめです。
    ▶ 価値観とは?|メンバーの価値観を理解する重要性
  • あえてメンバーの意見を表面化させる
    トップダウンでなく、メンバー全員で意見やその背景を明らかにし、皆が納得するためにどうしたらよいか話し合う。

強いチームへの飛躍の期間|統一期と機能期のチームビルディング

<統一期>

・チームの目指すべき目的や、各メンバーの役割や特徴が共有され、統一感が生まれはじめている状態


統一期にあるチームの状況

  • 目的やビジョン、役割等が明確になってくる
  • メンバーは、チームのために行動を修正する
  • 「私は」ではなく「私たち」が主語になる
  • チームが活性化し、モチベーションが高まる

マネジャーは明確な目的や目標を指し示し、メンバーに役割を与えることが必要となります。また、メンバー同士が協力できるような仕組みづくりや、各々の存在感を発揮するために、与えた役割に対する成果を承認、称賛する等、チームの一人ひとりを主役にする活動が求められます。


統一期のチームビルディング



<機能期>

・チームに結束力や連動性が生まれ、個人の主体性が高いながら対立することはなく相互にサポートができるようになる状態。チームとして最もパフォーマンスを発揮できる理想的な状態。


機能期にあるチームの状況

  • チームが一致団結して機能する。共通のゴールに向かえている。
  • 主体性高く、自ら意思決定し、率先して行動する
  • チーム全体のパフォーマンスとモチベーションが高い
  • チーム内でお互いに強い信頼関係がある

チームビルディングはフェーズに応じた対応が必要

他のメンバーについて関心がない、従業員サーベイで同僚への信頼が低い、といったマネジャーを悩ます起こりがちなチーム状態は、「混乱期」にあたります。

混乱期を乗り越えられず何年も同じ状況で停滞してしまうチームも数多くあります。

単純なコミュニケーションの頻度・量を増やしても効果が薄い反面、解決の方法を知らないため、自分で考えてコミュニケーション量を増やす施策を実施するマネジャーが非常に多いのが特徴です。

乗り越えられないマネジャーの多くは、課題を感じて量のコミュニケーションを繰り返すものの、チームに変化が起こらないという辛い時期を過ごしています。

少し抵抗があるかもしれませんが、混乱期のタイミングではお互いの本音を知る「質」のコミュニケーションが必要です。

どんなチームも直面する混乱期を乗り切るために、ぜひ参考にしてみてください。

コンプライアンスとは?|働きがいのある組織づくりに向けて

あなたはコンプライアンスについて、どの程度意識をしてマネジメントしていますか?

「法律には触れていないから大丈夫」「大きな問題にはならないから大丈夫」という甘い意識が、思いもよらない問題になることもあります。

今回は、組織のマネジメントに視点を置き、マネジャーが意識すべきコンプライアンスについてまとめます。


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法令遵守だけではないコンプライアンスの広がり

コンプライアンスとは、企業が法律や規範等の基本的ルールを守って活動することを指します。

様々な企業の不祥事を背景に、企業は厳格なコンプライアンスを求められるようになり、今日では、自主的、積極的にコンプライアンスに取り組む企業が増えました。

こうした背景から、本来コンプライアンスが持つ「法令遵守」以上の意味を含むようになっています。

法令の遵守はもちろんのこと、社内の規定や規則の遵守、さらには、社会規範(倫理や道徳)、企業倫理(企業理念やCSR)なども含めた広い概念です。



SNSの広がりもあり、自身の不用意な発言や行動が、思いもよらぬ形で炎上したり、非難を浴びるという事例も増えています。

社会の目も厳しくなっているため、これまでは大丈夫だった、法律には触れていないという意識で看過していたグレーゾーンがある場合は、早期に見直しが必要です。

チーム運営におけるコンプライアンス意識の重要性

チーム運営におけるコンプライアンス意識は、不祥事や問題を防ぐだけでなく、メンバーの働きがいにも影響します。

「働きがいのある会社」ランキングを発表しているGreat Place to Work Institute Japan(GPTWジャパン)では、働きがいの要素として「信頼」があり、リーダーへの“信用”、従業員の“尊重”や“公正”な扱い、そして仕事への“誇り”と仲間との“連帯感”の5つが重要としています。

コンプライアンス意識の欠如は、メンバーからの信用を低下させたり、仕事への誇りが持てなくなったりと、働きがいを低下させる要因になります。

メンバーと信頼を築き、誇りをもって仕事に取り組んでもらうためにも、コンプライアンスを守る意識は軽視できないと言えるでしょう。


マネジャーは、チームメンバーがコンプライアンスを遵守することを求められますが、他人の言動をコントロールするのは、自分の行動をコントロールする何倍も難しいことです。

コンプライアンスの概念も多岐に広がっているため、1つ1つこれはOK、これはNGと説明するのは難しいです。

そのため、本質を理解し、メンバーが正しく判断して行動できるような意識づけすることが重要です。


コンプライアンス違反が起きるのは、会社のため、組織のため、個人のためなど、利己的な思考が背景にあることが多いです。

「顧客志向」「プロフェッショナリズム」「誠実」などを企業理念にしている企業も多いですが、これらに照らして、「それは顧客のためか?」「プロの仕事か?」「誠実な対応か?」と利他的な視点で判断するようにしてみてください。

組織内でこのような問いかけがされていれば、メンバーもコンプライアンスを意識して正しく判断できるようになってきます。


また、マネジャー自らがルールを守ることも非常に大事です。

役職があがれば、使える予算枠も増え、裁量や影響力も大きくなります。

たとえば、明らかに社内の飲み会なのに領収書をもらう姿を部下が目にしたら、それなら自分もと思ってしまいます。

小さいことかもしれませんが、日頃からマネジャー自身がルールを守っている姿を見せることが何より重要です。

マネジャーが気をつけたいコンプライアンスのポイント

以下では、マネジメントをする中で陥りがちなコンプライアンスの問題についてご紹介します。

何気なく、むしろ良かれと思ってやっていることが、リスクを孕んでいる可能性があります。


①いきすぎた成果主義/高い業績責任

「成果を出せば多少のルール違反は構わない」という考え方で、これは営業組織に起こりがちです。

東芝の不正会計騒動で話題になった「チャレンジ」も、この考え方の弊害の1つです。

マネジャーから明確な指示をしているわけではなくても、高すぎる目標(ノルマ)を設定していたり、成果に応じて給与が変動する場合は、相対的にコンプライアンス意識が下がってしまいます。

問題が起きた際に責任を追及されるのはマネジャーなので、自分の身を守るためにも、ルールをきちんと守った上で目標達成できるように導くことが大切です。


②安全配慮義務を意識した正しい労務管理

残業が多い、休みが取りづらいという状況も、放置をしていると問題になる可能性があります。

労働契約法では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という安全配慮義務を定めており、「生命、身体などの安全」には、心(メンタル)の安全や健康も含まれるとされています。

また、2019年から施行された働き方改革法案では、有給消化5日未満の従業員に対して、会社が取得するべき日を指定することが義務付けられています。

人手不足や採用が難航しているなど、マネジャーだけが原因ではないかもしれませんが、上司が休まないから休みづらいといった原因もあります。

いずれにしても、36協定を超えた残業過多や、休日出勤の常態化、有休が取得できない状態があるならば、部長や会社を巻き込み早期に改善策を検討しましょう。


③パワハラリスクの高まり

2020年6月に「パワハラ防止法」が施行となり、これまで以上にパワハラを指摘されるリスクが高まっています。

パワハラは完全にマネジャー個人に起因する問題であり、自身の行動を見直せば改善できるものです。

セクハラも同様ですが、相手の受け取り方がポイントになるため、疑わしい言動は見直すのが賢明です。

役職のパワーを使ってメンバーを動かすのではなく、メンバー自らが動きたくなる気持ちを起こさせるのが正しいマネジャーの影響力です。

詳しくは、以下のコラムでまとめているので参考にしてみてください。

▶ マネジャーの影響力とは?|部下や関係者の協力を得てチームを成功に導く方法

いかがでしたでしょうか?

コンプライアンスは、法令遵守の枠を越え、社会規範や企業倫理など広い概念として社会的責任を問われるようになっています。

コンプライアンス意識の欠如は、企業やマネジャーのリスクになるだけでなく、組織運営においてはメンバーの働きがいにも悪影響です。

会社の問題、大きな問題にはならないと軽視することなく、大きな問題になる前に自身の言動を見直してみてください。

企業文化とは?|セールスフォースに学ぶ企業文化の重要性 創業者マーク・ベニオフ著『TRAILBLAZER』

企業文化に注目が集まっている

あなたの会社の「企業文化」はどんなものですか?

顧客第一、品質第一、経営理念や行動規範にあるそれらの言葉が思い浮かんだ方もいるかと思います。

一方で、ぱっと思い浮かばなかった方も多いのではないでしょうか。新入社員研修や管理職研修以来、経営理念や行動規範について久しく意識したことがないという方が大半かと思います。

企業文化を形作る理念や行動規範は、時間の経過と共に存在が薄くなってしまっていることが普通です。

しかし今、企業文化が世界的に再注目されています。

ミレニアル世代(1989年~1995年に生まれた世代)に代表される若い従業員は、これまでよりはるかに、自分の仕事に高い目的意識を持たせたいと考えていると言われます。

今回は、時価総額約20兆円、クラウドコンピューティングを開拓し、CRM(顧客関係管理)プラットフォームで世界No1企業であるSalesforce.comを例に上げ、その創業者マーク・ベニオフ著『TRAILBLAZER(トレイルブレイザー)』から、企業文化の重要性について考えます。


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企業文化とは?|企業風土とはどう違う?

企業文化と似たものに、企業風土という言葉があります。

企業文化は、企業が打ち出した経営理念や行動規範などをベースに、意識的・無意識的に築き上げたもの。

企業風土は、そこで働く社員の人間関係をベースに自然に生まれるものです。

企業文化とは、企業と社員との間で共有・形成される独自の価値観や文化、規範、ルールのことを指します。

創業時から積み重ねられた事実や、経営方針、マネジメント姿勢等によって形作られており、社員が共通して持つ価値観や行動規範となります。

企業文化はすべてのことに勝る|セールスフォースの事例

セールスフォースの創業者マーク・ベニオフが書いた『TRAILBLAZER(トレイルブレイザー)』では、企業文化について最も多く紙面を割いて語られています。

著者は本書の中で、経営学の大家ピーター・ドラッカーを例に上げ、ドラッカーは「企業文化は戦略に勝る」というルールを定めたが、「企業文化はすべてのことに勝る」とまで述べています。

ここでは、特徴的な部分について一部抜粋します。



一部のビジネスリーダーは、設備の整ったオフィスに笑顔の人が集まっている修正済みの写真を載せた美しいパンフレットに、企業文化を代弁させようとしているようだ。あるいは、食通が喜ぶような食事を提供し、卓球台を設置すれば、企業文化ができたと思っている、

真実はというと、企業文化は単なる特典や無料サービスよりもはるかに重要なものだ。それは基本的に、自分たちのコアバリューを定義して表現する方法と言える。

成長し、その状況を長く維持するには、人目を引くバリューをずらりと並べる必要はなく、ただ本物があればよい。バリューを偽ることはできない。企業文化が偽物や亜流、中途半端や検討違いなものであれば、その会社は最終的に傾いていくだろう。

私達の企業文化は変化のペースに合わせて進化し、自ら息づき、親しみやすくダイナミックになり、私たちを実際に前へ前へと推し進める。将来に渡って繁栄を願う企業にとって、企業文化とそれを定義するバリューは、経済的成功の原動力となるのだ。



今日の世界は、経済的、社会的、政治的に課題が山積しているので、企業が通常通りに事業を遂行したり転換したりすることはもはや不可能になっている。企業が大きく鳴るほど、また影響を及ぼす対象者が増えるほど、単純に製品で自社を定義づけることが一層難しくなる。

ときとともに、従業員、顧客、さらには投資家、パートナー、コミュニティなどのステークホルダーが、あなたが事業を行なうに際してどんな哲学を持っているかを知りたかるだろう。あなたに「志」があるかを問うてくるのだ。


上記内容から、セールスフォースという会社が、いかに企業文化を大切にしているかが分かります。

同社では独自の企業文化をオハナ(家族)と呼び、コアバリューとして4つのシンプルな言葉を掲げています。

信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等

▶参考:セールスフォースのコアバリュー


バリューの言葉自体には、他の会社と大きな違いはないでしょう。

しかし、他社とは圧倒的に異なるレベルでそのコアバリューを徹底し、その上にオハナや社会貢献、ボランティア活動、1−1−1−モデルといった企業文化が生まれ、それによって同社は世界有数のエクセレントカンパニーになったのです。

バリューに反する問題から目を背けてはいけない|強力な企業文化をつくるために

セールスフォースのコアバリューへの態度を示す事例としてこんな事例があります。

同社があるインディアナ州で、「宗教の自由の回復法」というLGBTQを差別することを法的に認める法案を可決した際、マーク・ベニオフはTwitterで即座に「インディアナ州への投資を大幅に削減せざるを得ない」と反対を表明しました。

企業としては、態度を示さなければプラスもマイナスもない。しかし、反対すれば逆の立場の人から反発が出る。そもそもセールスフォースは政治家でもなんでもなく一企業でしかない。

企業内の問題ではなく、社会、政治の問題です。

それでも社員は、この問題にあなたはどうするつもりか?と、リーダーの具体的な行動を求めていたと語っています。

マーク・ベニオフは、「平等」というセールスフォースのコアバリューに反する差別に対し、会社の代表として明確に反対の立場を示しました。

社内の従業員に対してももちろんですが、全ての人々の平等を保証することを、社会に対しても行動で示したのです。

結果的に、この運動はムーブメントとなり、法案は修正されることとなります。

企業文化とは、社員や顧客に対するだけのものではなく、影響範囲はたとえわずかでも、接点のあるステークホルダー全ての人々を対象とするのです。


これは、アメリカ特有の話という訳ではありません。

平等を掲げているのに、管理職の女性比率が低い、役員は全員男性。公平を掲げているのに、社内政治や上司の好き嫌いで評価が決まる。コンプライアンスを掲げているのに、セクハラやパワハラの管理職が野放しにされている、過労死が発生している。品質第一を掲げているのに、データの改ざんが行なわれている。顧客第一を掲げているのに、受注や販売後の顧客の成功に関心がない、誇大広告を行っている。

日本企業においても、近年問題となったバリューに反する問題の例を上げれば枚挙にいとまがありません。

事業を強力に後押しする企業文化を創るためには、バリューの問題に目を背けてはいけないのです。

企業文化のメリット|企業文化が生む効果

企業文化には、様々なメリットがあり、代表的なものとしては下記のようなことが挙げられます。


  • 社員にとって共通の指針になる
    優先順位や取るべき対応を同じ物差しで判断することができる

  • 社員の一体感を生む:
    社員間の情報共有や相互協力の活性化、チームワークの改善につながる

  • 社員のパフォーマンス・モチベーションが向上する:
    企業文化に沿って何ができるかを考え、自発的に行動する社員が増える

企業文化には大きなパワーがあります。

セールスフォースほど強力に企業文化やコアバリューを実現していくのは難しいですが、すぐに始められることもあります。


トップマネジメントであれば、自社の企業文化やコアバリューが何なのか、時代に合っているのかを改めて考える、設定し発信する。バリューに反することを許さない。

ミドルマネジメントであれば、自社の企業文化やコアバリューを理解し、メンバーに共有する、それらに即した意思決定を行っていく。

そうした行動によって、企業文化を育み根付かせ、社員の力を引き出し事業成長に繋げていくことができるはずです。

あなたの会社のコアバリューはなんでしょうか?ぜひ改めて考えてみてください。

マネジャーの影響力とは?|部下や関係者の協力を得てチームを成功に導く方法

影響力とは、他に働きかけ、考えや動きを変えさせるような力のことです。

マネジャーにとっての影響力は、メンバーや上司、その他関係者に働きかけ、望ましい行動を引き出す力です。

もし、業務プロセスの構築や業務支援をきちんとしているのに思ったように進まない、協力を得られていないと感じる状況なら、影響力を高めることが解決に役立つかもしれません。


今回は、マネジャーの影響力を高める方法(人を動かす秘訣)について解説します。


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人を動かす秘訣|みずから動きたくなる気持を起こさせる

マネジメントにおいて、業務フロー構築や業務支援も大事ですが、実際に業務を行うのは他者なので、いかに期待通りに動いてもらえるかも重要な要素です。

名著『人を動かす』(デール・カーネギー)では、「人を動かす秘訣は、みずから動きたくなる気持を起こさせること」と述べられています。この考え方が、影響力を高めるための参考となります。


さらに同書では、人を動かす原則として3点挙げられています。


人を動かす原則

  • ・批判/非難するかわりに、相手を理解するよう努める
  • ・重要感を持たせる(承認欲求を満たす)
  • ・人の立場に身を置く(強い欲求を起させる)

①批判/非難するかわりに、相手を理解するよう努める

「盗人にも三分の理」という諺がありますが、部下があなたと違う考えや行動をしている場合も、その人なりの理屈があります。

批判/非難してしまうと、反発や反感が生まれるため、行動を改めてほしい場面では逆効果です。

頭ごなしに否定するのではなく、なぜ自分と違う考えに至ったのかを理解することが重要です。


②重要感を持たせる(承認欲求を満たす)

承認欲求は人の根源的な欲求であり、他者から「自分は重要な存在だ」と認められたいという欲求があります。

承認欲求を満足させる方法は人それぞれ異なりますが、満たす方法は称賛(褒める)だけではありません。

存在承認、意識承認、行動承認、プロセス承認、結果承認など、承認できるポイントを理解しておけば、相手にあった承認が使いこなせるはずです。

▶︎ 関連コラム: 承認・称賛とは?|1on1でも重要な承認と称賛の使い方


③人の立場に身を置く(強い欲求を起させる)

人の欲求は承認欲求だけではありません。

例えば、利益あることはやりたいと思い、不利益があるなら回避したいと思います。

火のないところに煙は立たないように、欲する理由がないところに欲求は生まれません。

相手の立場に身を置いて、相手の利益/不利益を考えてみましょう。

影響力の武器|人が要請を受け入れる心理的原理

社会心理学者ロバート・B・チャルディーニの『影響力の武器』では、説得の秘訣として、人が要請を受け入れる心理的原理についてまとめられており、6つの影響力の武器(返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性)について述べられています。

今回は、特にマネジメントに役立つ「返報性」と「コミットメントと一貫性」の2つをご紹介します。


返報性

他者から何らかの恩恵を受けたら、そのお返しをせずにはいられない。「借り」を作った状態は心地悪く感じるというものです。

GIVE&TAKEは一般用語で使われますが、心理学的にも実証されている人の心理です。

スーパーで試食を貰った時に「買わないと悪い」と思ってしまうのが、まさに返報性です。


上司や組織に対しては、部の方針に同調し促進役を買って出たり、会社や部の戦略に沿ったチーム運営で成果を追い求めるのが基本です。

メンバーと一緒になって会社や上司の考えに反発することで、メンバーからは好かれているマネジャーもいますが、これはただの仲良しクラブであり、影響力のないマネジャーになってしまいます。

影響力のあるマネジャーは、会社や部の方針をきちんとチーム運営に組み入れ、実行に移します。方針が自分の考えと異なる場合も、上司に確認したり実行してみた上で、問題点や改善点について意見します。

方針に沿って実行した上での意見であれば、上司も真剣に耳を傾けるはずです。

こうして意見が通るようになり、マネジャーとしての影響力がさらに高まっていくのです。


メンバーに対しては、業務の支援や指導は「当たり前」という感覚になっている可能性があり、効果が薄い場合があります。

その場合は、メンバーの不満を聞きそれを解消するのがおすすめです。

まずは、早期に解消できる不満に対応し変化を感じさせることです。

自身で解決が難しいことや解決に時間がかかりそうなものは、解決しようとする姿勢を見せ、時間がかかる旨を伝えましょう。

返報性はプラスだけでなくマイナスにも働きます。「不満を伝えたのに対応してくれない」と感じさせてしまうと、あなたの依頼に対しても「対応したくない」という感情が芽生えます。

マネジャーは評価者なので、大抵はそれでも対応してくれますが、これは役職のパワーを借りて従わせているだけであり、メンバーが心から動きたいと思っていない状態となってしまいます。


返報性を理解し、相手が快く行動してくれる状態を目指しましょう。



コミットメントと一貫性

一度決定を下すと、そのコミットメントと一貫した行動をとり、自身の決定を正当化しようとする心理が働きます。

発言と行動が一致しない人は、裏表がある人だと疑われてしまうため、自動的に一貫性を保つことが習慣化しているのです。


メンバーにコミットメントを求めたい場合に、上司の立場で指示・命令するような伝え方になっていませんか?

同じ業務でも、上司が命令するのではなく、メンバーが自分自身に決めさせることでコミットメントを引き出すことができます。

仕事の任せ方ひとつで、メンバーのやる気は変わります。目的や制約条件はきちんと伝えてブレないようにした上で、細かい部分はメンバー自身で決定させるようにすると効果的です。

▶︎ 関連コラム: 仕事の任せ方|業績達成と育成を両立させるジョブ・アサインメントの方法

影響力を高めるためにマネジャーが意識すべきこと

影響力を高める方法として、心理学的原理を踏まえたポイントをご紹介しました。

マネジャーとして部下や組織を動かす際は、業務をしっかり設計するとともに、人の心理を理解し、自ら動きたいという気持ちにさせることが大事です。


・異なる考えや行動を頭ごなしに否定せず、相手の考えや相手なりの理屈を理解する

・GIVE&TAKE(返報性)を意識し、まず自分が先に何かを提供する(貸しを作る)

・1から10まで指示命令ではなく、相手に決定させることでコミットメントを引き出す

・承認称賛を用いて、相手に重要感を持たせる(承認欲求を満たす)


無意識に実践していることもあるかもしれませんが、改めて意識してみてください。

いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介した心理学的原理は、非常に強力なので、うまく活用すれば影響力を高めることができます。

一方で、強力がゆえに、注意も必要です。

ともすれば、間違った方向に人をコントロールすることもできてしまうからです。


ぜひ、自己の利益、自組織の利益など部分最適ではなく、全体最適を考えて影響力を発揮するように意識してみてください。